「いたちのいのち」の書き直し

 

  5年ほど前に「いたちのいのち」という話を書いたことがあります。

 これはフェレットとその飼い主の話。

 フェレットと言うのはイタチ科の動物で、イヌより手間がかからず、ネコより愛嬌があって、ネズミよりも撫でがい、可愛がりがある――要するにとても飼いやすく、よくなついて面白いというやつです。

 

 体型が面白くて、ダックスフントみたいにビロロロンと胴体が長く、なんだかニョロニョロしている。そのまま首に巻いて襟巻にできそうな感じ。

 先祖はダックスと同じように穴に潜って野ネズミを捕まえていたらしい。

 英国のエリザベス1世やビクトリア女王にも飼われていて、ハリーポッターにも「ヨーロッパケナガイタチ」として登場。ドラコ・マルフォイが魔法でこのイタチに変えられてしまう、というシーンがあります。

 

 人間と代謝機能の何らかの数値が同じだとかで、実験動物として使われてきたという履歴(今でも使われている)を持っています。

 

 一時期、ペットとしてブームになったようですが、 今はどうだかわかりません。少なくとも最近は連れて歩いているのを見たことがない。

 

 なんでそんな話を書いたのかというと、純粋に個人用。

 フェレットを飼っている女性がいて、彼女の「イタチくん」との生活を話すからそれをまとめて話を作ってほしいというオーダーでした。

 

 彼女との関係やプロフィールを説明するのは面倒ですが、簡単に言うと、当時ちょっとバイトしていたところの職場の同僚。色恋とはまったく関係ないけど割と仲が良かったので、そのフェレットの話をよく聞かされました。

 あるとき、しばらく(1週間くらい)来なくなり復帰したので聞いてみると、いちばんお気に入りのフェレットが死んだとのこと。

 

 それで話を聞いているうちに、僕がライターだということも知っていたので、流れでそんなことになってしまったのです。

 

 仕事ではないのでギャラも発生せず、一銭ももらいませんが(コーヒーは一杯おごってもらった)、こういうのもけっこう面白いなと思って1カ月くらいかけて書き上げたのが「いたちのいのち」です。

 

 フェレットの歴史や習性の話、彼女とフェレットたちとの出会い(多頭飼いしていた)と生活、彼女の動物に対する思いをおもに書いたつもりだった。

 けど、できてみるとそのストーリーの裏に見え隠れする彼女の孤独感とか、家族との不和、人間関係のうまくいかなさ加減がにじみ出てしまっていて、ちょっといたたまれない気持ちになりました。

 

 それで原稿を見てもらおうとメールで送ったのですが、それからすぐに音信不通になり、職場にも無断で顔を出さなくなりました。

 

 結局その後、何度かメールをしても返事はなく、二度と顔を合わせることはなくなりました。

 僕もそこまで深追いはしなかった。

 

 この話を読んだせいかな、それとも最後の一匹(一番のお気に入りが死んで、その時点で一匹だけ残っていると話していた。)も死んでしまっておっち込んでいるのかな、といろいろ考えましたが、どうにもならない。

 

 その後、一度、少し書き直して置いてあったのですが、もう時効だと思うので、まるっきり書き直してみようと1カ月ほど前から、あれこれやっています。

 

 動物は純粋。というか、人間が「こいつは、この子は純粋」と信じられる。

 信じても差し支えない。損得勘定とも無縁の世界。

 だから心を素直に胸を開いて、自分の心を映し出せるのだろうなと思います。