1日3分の地球人

 

 特にこれといったきっかけがあるわけでもなく、時々ふっと地球のことを考えます。

 自然派とかアウトドア派でもまったくないのですが、脳が森の中に分け入ったり、深海に潜ったりしてみるのです。

 

 そこで生きている者たちのことを僕らは分かっているようで何も知りません。みんな、草か木の実か肉かプランクトンか、とにかく何かめし食って排泄して、生殖して眠る……ということは知っているけど、彼らだってきっとそれ以外の何かを考えながら生きていると思います。

 

 人間の「思考」とはちょっと違うものかも知れないけど。動物だけでなく植物も。その想念みたいなものが集まって「地球環境」というのは形づくられているのではないか、という妄想にかられるのです。

 

 それにしても現代の人間は恵まれています。普通、森に生まれたおサルの子は森しか知らずに死んでいくし、海に生まれたイルカの子は海しか知らずに死んでいく。

 

 いや、人間だってほんの数十年前までは、ほとんどの人は自分の生まれ育った地球のほんの一地域しか知らずに一生を終えていました。

 

 そう考えると情報化社会の恩恵を受けた現代人は、まさしく「地球人」です。

 

 地球人が皆、1日ほんの数分間、森や砂漠や海中にダイブして、こういう星で自分は暮らしているんだ、と感じるだけで、地球環境は変るかも知れないという気がします。