失われた喫茶店・珈琲の味を求めて

 

 失われた10年とか20年とか、よく言われます。失われたものは確かにあるけど、その代わりに等価交換で得たものも結構あるのではないでしょうか。

 そのへんの話はまたそのうちしたいのですが、この10年~20年で何が確実に失われたかと言うと、僕はまず街の喫茶店を挙げたいと思います。

 

 若い時分は喫茶店の多い街を移り住み、しゅっちゅう喫茶店に籠って、ときには日に何軒もハシゴして、原稿を書いたり本を読んだりしていたのですが、齢を取るとともにそういう習慣が失われていきました。

 

 もちろん自分の生活の変化、筆記用具の変化(手書き⇒ワープロ⇒パソコン)もあるのですが、だんだん個性的な喫茶店が減っていったのもその一因です。

 代わりにいろんなチェーン店が幅を利かすようになり、安いのは有難いけど、店独自の個性的な雰囲気・珈琲の味は画一化されていったような気がします。

 

 その遠因は経済の落ち込みで個人経営の店が減ってしまったこと、そして、ひいて言うと管理社会が進行した一つの現れであるような気がします。

 

 なんでこんなことを考えたかと言うと、昨日、仕事のヒアリング&打ち合わせで赤坂見附に出向き、久しぶりに某大手外資系チェーンのコーヒーショップに入ったのですが、「あれ?ここの珈琲、こんな味だたっけ?」と思ってしまったので。

 

 クオリティが落ちたのか、以前は確実に某大手国内チェーンのコーヒーショップより美味しいと思っていたのだが、それ並みかそれ以下・・・。

 

 それと同時に思い出したのが、先月、笹塚で入った某珈琲専門店の美味しさ! べつに「昔は良かった」なんていうつもりはありませんが、珈琲好きなおやじの個人経営(だと思う)の、昔よくあったような雰囲気の店で、おそらくホームページもないでしょうが、ここの珈琲がめっちゃとうまかったのです!  

 さりとて、値段がベラボーに高いわけでもない(ブレンド系ならほとんど500円前後)。さすが専門店!と胸にしみいった次第です。

 

また行こう!