阿久悠の作詞入門

 

 「いい文章・面白い文章」を書くにはどうすればいいか?を探し求めて、幾多の文章読本を読みましたが、これはその中で間違いなく3本の指に入ります。

 

 5000曲の歌を作った阿久悠さんは、日本の歌謡曲の世界を構築した伝説の作詞家。

 その阿久さんが書いた「作詞入門」は表向き、歌詞の書き方のハウツー本ですが、内容の奥には、昭和の時代を駆け抜けた独自の生き様・人生哲学が、

 そして歌詞や文章にとどまらず、あらゆるクリエイティブのエッセンスが詰まっています。

 

 岩波現代文庫で出されたのは2009年ですが、初版は1970年代半ば。

 今から40年前のものですが、近年、巷にあふれているクリエイティブやマーケティング系のハウツー本が100冊束になってもかなわない。

 そんな濃厚な内容です。

 

 そのすごさ・阿久さん独自のユニークさは、最後の方にある「書き終わってチェックする10ポイント」を読むだけで分かります。

 

 ①言いたいことが言えているか

 ②不快感はないか

 ③アイデアはあるか

 ④泣かせどころはあるか

 ⑤替え歌はできそうか

 ⑥耳で聞いて意味が通じるか

 ⑦リズムはあるか

 ⑧覚えやすい言葉か

 ⑨いい歌か、面白い歌か

 ⑩自分はそこに存在しているか

 

 これらのポイント、特に④⑤⑨⑩などをどう解釈し、どう応用して自分の中に採り入れるかは読む人次第。だから面白い。

 

 今や誰もがクリエイティブやマーケティングに取り組む時代です。

 もし、ここで採り上げたポイントを読んでビビッと脳に響いたら、一読してみてください。

 きっと参考になりますよ。

 ついでに歌もできちゃったらいいですね。