きみはロボットじゃないよ

 

●彼女の自殺に思う

 

  一昨日だったか、某大手広告代理店――と書くと、却っていやらしいのではっきり言ってしまいますが、電通の若い女性社員が自殺したという記事を読みました。

 

 僕も下請けとして、完成して間もない頃、かの汐留にある大御殿に何度か足を運んだことがあります。

 担当の孫会社の人が、建物の真ん中の巨大な吹き抜けを指して、「ここは飛び降り用に作られている」とか、「入社するとまず全員、土下座の練習から始めるんだ」というようなことを冗談めかして、でも、まことしやかに話していた。

 

 本当に冗談じゃなく、そういう体質というか構造があるようですね。

 別に今回の社員の人は特別じゃないようです。

 

 この話とは別に、某有名大学を出て、某大企業に入社したのに数年――まだ20代半ばでメンタルをやられて自殺してしまった人のことも知っています。

 どうしてこういうことが起きるんだろう?

 

 そんな会社なら逃げ出してしまえ、と思うのですが、どうも日本にはそうできない人が大勢いるらしい。

 

 本当に、これではせっかく大学出たって就職したって何の意味もない

 人生、そこで終わりじゃないから。そこは始まりだから。

 本当に悔しい。

 

●ロボットさん、一丁上がり

 

 最近はやたらニュースなどで就活がどうのこうの、と言って、みんな同じリクルートスーツを着た大学生がゾロゾロしているのをよく見るけど、なんだかムカついてくる。

 

 あれは暗に大学行って、就活やって、就職して会社員とか公務員になるのがまっとうな人生だ、といったメッセージを発信しているような気がします。

 

 子供の前に親も洗脳されちゃっているから、何も考えずに小学校から大学までの「まっとうコース」のベルトコンベヤにのっかちゃう。

 

 さらに最近は奨学金という名の教育ローン――早い話が借金で大学に行く人も多いから、借金返すために就職した会社にしがみつく、しがみつかざるを得ないという人も少なくないと聞きます。

 

 こんな言い方は好きじゃないけど、これではまるで奴隷の人生だ。

 そんな教育―就職のシステムは、ロボット生産工場だね。

 

 就職して嫌になっちゃったら、さっさと逃げ出してフリーターになったほうがいい。

 高いお金払って大学で勉強だか遊びだかわからないことやって時間を過ごすよりも、フリーターをやってお金稼ぎながらがっちり社会勉強したほうがいい。

 そのほうがよっぽど自分のためになる。

 20代ならそれができる。

 

●仕事するのは自分のため

 

 もちろん、お金かせいでめしを食うことは何よりも大事。

 人のため、社会のために役立ちたいという気持ちも大事。

 でもその前に、昨日も書いたけど、働くこと、仕事することは、何よりも自分のため。自分の生を癒すため。

 それはジュリアンのような音楽家に限ったことじゃない。

 

 自分が成長し、自分が元気になるのが本当の仕事。

 すぐには見つからないかもしれないけど、そう考えながら過ごしているだけで違ってくると思います。

 そういう本当の自分の仕事を見つけよう。

 でないと、そのうちワーカーはみんな、本物のロボットに取り替えられちゃうよ。

 

 

2016・10・10 MON