「この世界の片隅に」を観ると、世の中そうたやすく悪くはならないと思えてくる

 

 「老いては子に従え」

 というわけではないのですが、最近のネット情報、小説、映画などについては、わが息子を先生にしています。

 

 で、これも彼のおすすめ作品ということで見に行きました。

 戦争映画――正確には戦争時代の庶民の日常生活を描いた映画、それもアニメ。

 自分ひとりだったら、たぶん見ない――少なくとも、わざわざ映画館に足を運ぶことはないだろうカテゴリーのものですが、子供―若者に評判、ってどういう作品?

 ということでいきました。

 

 で、ウケている理由が分かった。

 なんと表現すればいいのか・・・かわいい映画。

 「かわいい」というのは、けっして軽んじて言っているのではなく、心のどこかでずっと抱いていたくなるというか・・・70年以上前のこの国で、こういう人たちがこういう生活をしていて、それが深いところでは今でもずっと続いているんだ。もちろん、僕たちもその気持ち・その感覚を持続しているんだ、と思えるのです。

 

 本当に見事な表現だな、と感心しました。

 力んでいない、大げさでない、淡々と粛々とストーリーが進んでいく。

 けれども、そこに劇的なものが秘められており、囁くように物語れる。

 

 そして、この作品がクラウドファンディングで支持されて制作されたという事実にも胸打たれました。

 本当に良い作品、力を持った作品は、いずれにしても世に生まれる運命にあるのです。

 

 世の中、まだまだ捨てたもんじゃなない。

 世界はそうたやすく悪いほうにはいかないぞ。という気持ちになりました。

 すすめてくれた息子には、えらいえらいと頭をなぜなぜしてうやりたい(やったら殴られそうだけど)。