公務員の仕事は障害者にまかせよう

 

 受験シーズン。就職シーズン。

  最近、私立大学では就活学生のニーズに応じて、よく公務員試験の準備説明会を開いています。人気なんですよね、公務員。

 でも、その光景を目の当たりにすると「公務員って、大卒の健常者である必要があるのだろうか?」と思ってしまうのです。 

 

 公務員って職域は広いけど、基本は社会貢献の仕事。公僕です。

 もちろん最初は下っ端のパシリから始まるんでしょうけど、大学出たばかりの、社会のことをろくに知らない若い衆にふさわしい仕事なのでしょうか?

 フリーターでも何でも何年か、社会で揉まれてきた人の方がまだしも役に立つのではないだろうか?

 

 ま、学歴のことはさておき、健常者でなくてはならないのか、について。

 

 僕は公務員のうちの半分は、障害のある人が就くべき仕事だと思います。

 警官や消防、自衛隊などは身体能力が必要なので、これは健常者でないと務まらない。

 でも、いわゆる事務系の職域なら、最近はコンピュータ技術が進歩し、いろいろな設備が整えられているので、障害者でも健常者と大差なく、業務をこなせると思います。

 

 すでに一定の採用枠が設けられていますが、少なすぎるのではないか。

 少なくとも僕は役所関係のところにいって障害のある人が働いているところを見たことがありません。

 それとも地域によってはたくさん採用しているところもあるのかなぁ。

 

 企業に障害者を採用させようという動きも最近活発だけど、企業の場合は熾烈な競争したり、利益を上げなくてはならないというプレッシャーがあります。

 業種や経営の考え方によるけど、雇用するにはリスクが高い場合が多く、限界があるのではないでしょうか。

 

 ずいぶん前に障害者を雇用しているという、従業員100人くらいの企業に取材したことがあります。

 トップに、あるいは当の社員に聞いたわけではないので、真相はわからないけど、担当者へのインタビューからは、なんとなく「慈善事業をやっています」というニュアンスが感じられました。

 

 もちろん、それでも雇わないより大マシなんだけど、障害者の人たちだってそんな慈善やお情けなどで雇用されたくなんかないよね。

 

 公務員の仕事が障害者に適した職場だと思うのは、競争に勝とう、利益を上げようと、しゃかりきに頑張る必要のないこと。

 今後、とても大切になる弱者目線で街づくり、また、いろいろな施策・システムづくりを考えられること。

 そして、何よりも多くの人に働いている姿を見せられ、コミュニケ―ションもること。

 

 役所や公的施設は、不特定多数の市民が足を運ぶところです。

 そこで多くの人たちが、障害者と健常者がいっしょに働くシーンを目の当たりにできるのは、とても情報価値が高いと思うのです。

 

  人間は視覚から大半の情報を得ます。

 ウエブやパンフレットなどで「障害のある人もともに暮らせる社会を」などと美しい理念を訴えるのもいいけど、社会の模範たる公務員の世界で、そのものズバリの協働の光景が「これが当たり前なんだよ~ん」と展開していれば、自然と人々は納得でき、脳もそういう方向に調整されていくのではないでしょうか。

 

 さらに身近に障害者のいない健常者は、障害のある人とどう関わったらいいかよくわかっていない。

 へたに同情するようなことを言ってしまったら失礼になるのでは・・などと考えてしまってコミュニケーションできない。

 それがスタッフと利用者という立場なら悩まずコミュニケーションできます。そうしたコミュニケーションに慣れていけば、どんどん双方の溝は埋まっていくのではないでしょうか。

 

 「1億総活躍社会」と言っているけど、本気でそういう社会をデザインするのなら、まず、公務員の障害者枠を全体の半数に広げたらどうでしょう。

 そう難しいこととは思えないんだけど。

 


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コメント: 2
  • #1

    サリー (水曜日, 25 7月 2018 08:30)

    その通りです
    でもそうすると健常者から障害者への風当たりが一層厳しくなるような気もします
    健常者の人は障害者にならないと行政のありがたみが分からないものですね

  • #2

    もーり (金曜日, 17 8月 2018 22:50)

    大賛成です。企業には障害者雇用枠を広げようとしているんだから、公務員は半分くらい雇用すべきですね。