バカは死ななきゃ治らないけど、死ぬまでちょっとは成長できるかも知れない

 

 近年、日本のコンテンツをハリウッドが映画化する事例が増えています。

 このGWは「甲殻機動隊」を実写映画化した「ゴースト・イン・ザ・シェル」が公開(まだ見てない)。

 そこで息子と今後どんなコンテンツが映画化されそうか、されると面白そうか、話してみました。

 「鋼の錬金術師」などは、敵がキリスト教における「七つの大罪」だし、アメリカ人にウケそうな要素がたっぷり詰まっていると思います。

 

「エヴァンゲリオンなんかどう?」と水を向けると、

 「いや、あれはムリ。主人公のシンジ君をはじめ、登場人物が誰も成長してないから」という返事。

 しかも敵が使徒――ANGELでは、ハガレンとは逆にキリスト教徒の反感を買うのは必至というわけ。

 

 と議論をしていたわけですが、ハリウッド映画の中の暗黙のルールは、主人公が成長を体現すること。

 これがヒットの条件となっており、脚本の中にこれがないとドラマと認められません。

 

 21世紀になる頃からこうした公式が少しずつ崩れ始めてはいますが、やはりいまだに観客の意入る王道的な作品、子供を含む幅広い年齢層にアピールする作品は、この公式に則って作られる、少年(最近は少女も多い)の成長物語なのです。

 

 成長物語なので、主人公は子供や若者であることが多いのですが、必ずしもそうでなくていい。

 現状に留まらず(留まれず)リスクを負って冒険でき(せざるを得なくなり)成長するのであれば、登場人物は中年や年寄りだっていいわけです。

 

 なんとか賢く、ずるく立ち回ろうとしたがうまくいかず、身も心も擦り切れて、あるいは悪徳に染まって、社会の軋轢に青息吐息の中高年。

 「バカは死ななきゃ治らない」とうそぶいて、薄ら笑いを浮かべながら人生を放棄しようとしている。

 そんな彼らにも、それぞれ一つだけ、どうしても守らなくてならない何かがあった。

 そのために望みもしない冒険に巻き込まれ、闘う羽目に陥って・・・。

 

 人間、良い意味で、永遠の子供・永遠の若造でいられる。

 きっと死ぬまで成長できる、たいしたことないかもしれないけど。

 そんな話を一つ書きたいなと思っています。