悲しいことなんてぶっとばすロックンロールバンドのモンキービジネス

 

6月9日はロックの日。

 かどうかは知らないけど、ロックについて考えてみました。

 ロックについて考えるなんで、あまりに漠然としているので、もう少し焦点を絞ろうと思ったら、聞えて来たのが、清志郎の歌声です。

 

 ♪子供だましのモンキービジ~ネ~ス

 

 自分がやっているロックのことをそう彼は歌っていました。

 「ドカドカうるさいロックンロールバンド」という歌。

 

 街中のガキどもにチケットがばらまかれ、バカでかいトラックに機材を積み込んで、ドカドカうるさいロックンロールバンドがやってくるぜ~ぃ!って曲だけど、忌野清志郎がヴォーカルをやっていたRCサクセションの曲の中で最高の一曲です。

 もちろん僕的に、ということですが。

 

 思うにこの曲、ローリングストーンズの「It's only Rock'n roll(イッツ・オンリー・ロックンロール)=たかがロックンロール」に触発されたと思われます。

 

 あの時代、やたらロックミュージシャンがカリスマ的に祭り上げられるのを、独特の皮肉とユーモアを込めて「ロックバンドのやっていることなんて、子供だましのインチキ金もうけじゃん」って批判しちゃっているところが、なんとも痛快でカッコいいのです。

 

 ミック・ジャガーもジョン・レノンも、きっとそういう思いを持って歌っていたと思うな。

 もともと支配者への反抗の音楽だからね。

 

 けれども世界中にロックが広まり、大成功して人気が高まり、大人もビジネスとして認めちゃうと、今度は自分たちの方が偉くなっちゃって神様・王様みたいに扱われてしまう。

 だから時々王様を降りて、道化をやって自己批判しないとアイデンティティが崩壊して、自分が何者なのかわからなくなっちゃうのだと思う。

 

 そういうことを知ってて、ロックミュージシャンであり続けるために、清志郎はこの歌を作り、歌う必要があったのだと思います。

 

 本当に笑えて愉快痛快な歌なんだけど、最後の1フレーズですべてが昇華する。

 

♪悲しいことなんてぶっとばそうぜ ベイビー

 

 ってやられると、カタルシスで思わず涙がどっとあふれ出します。

 ここに清志郎の熱いスピリット、ロックへの愛、聞く人へのメッセージ、

 全部がほとばしっている。

 

 ドカドカうるさいロックンロールバンドは最高だ。

 そしてやっぱり何度聴いても泣ける。

 そういえば、清志郎が亡くなって5月でもう8年が過ぎた。

 改めて合掌。