おとなの事情を優先して、自分の中の子供を虐待していませんか?

 

 いいおとなであれば、誰でも使ったことがあるであろう便利な言葉が「おとなの事情」。

 それ、どういう意味? と尋ねるあなたは世の中のことを知らない子供です。 そこんとこ暗黙の了解でヨロシク

 ーーというのが、社会で立派に通用する、まっとうなおとなというもんです。

 

 長らく生きていると、この「おとなの事情」と、ねんごろになります。

 そしてあらゆる場面において、「おとなの事情」を優先するようになるのです。

 

 すると、あなたの中の子供は声をあげます。

 けれどもいくら叫んでも、あなたは振り向いてくれない。

 「うるせえ」と言って抑えつける。

 面倒みないし、遊んであげないし、ごはんをあげるのも忘れてしまう。

 

 虐待です。ネグレストです。

 子供はひねくれ、ひきこもり、窒息し、弱って病気になります。

 気になって呼んでも出てこなくなる。

 最悪の場合、いつの間にか息絶えている。

 気が付いてみると、おとなのあなたは普通に生活していても、子供のあなたは死んでいる。

 

 それでさしつかえなければいいけど、そうするとだんだんあなたの人生は本来の軌道を外れ、とんでもない方向にねじ曲がっていったり、ゆがんでいったり、上へ向かっていると思っていたのが、逆に下向きになっていた、ということが起こったりする。

 

 おそらく生きている途上で、あなたは、あなたの中の子供の力を借りなくてはならない時がくると思います。

 

 新しい、柔軟な発想が求められるとき。

 創造性を発揮する必要があるとき。

 想像力を広げようとするとき。

 孤独感や不安感を克服しなくてはならないとき。

 未来を思うとき。

 そして、幸福とは何か、を考えるとき。

 

 子供は普段、何の役にもたたず、ただ遊んでいるだけのやつかも知れないけど、あなたの元気の源には、その子の存在がある。

 

 あなたの中の子供、元気ですか?

 もしヤバそうなら、せめて10回に1回くらいは「おとなの事情」を無視して、子供の声を聞いてみませんか?