友だちの墓参りへ行って知ったこと

 

 劇団をやってた時代の相棒だった友だちの墓は、東京タワーの足もとにある。

 今日はもう一人のアホ友といっしょに2年ぶりに墓参りに行った。

 

 墓参りを済ませて側面の名前を見ると、いちばん左側、つまり新しい碑銘のところに「平成27年」という文字が彫ってある。

 あれ? やつはもう死んで8年になるはずだが・・・と訝ってよく名前を見ると、彼の親父さんだった。

 

 2年前に親父さんが亡くなっていた。

 命日もたった2日しか変わらないので、見違えてしまった。

 

 19、20歳の頃、保谷に住んでたやつの家に泊りがけで遊びに行くと、時々、その親父さんがいて、何度かいっしょに飲んだ。

 出版社勤めのインテリで酒もたばこも大好きだった。

 見た目の印象はだいぶ違っていたが、今思えば結構よく似た親子だったように思う。

 

 飲むたびに「おまえは大物になる」と励ましてくれた。

 飲んだ勢いで言っているに過ぎなのだけど、単純な若いやつに大人の励ましは嬉しいものだ。

 

 最後に会ったのは、やつの葬式の時だった。

 息子の葬式に出るなんて夢にも思っていなかっただろう。

 話をしようと思ったが、話せなかった。

 ちょっと目と目で挨拶しただけだった。

 

 それに親父さんはフィジカルに話せなかった。

 数年前に喉頭がんで声帯を失ってしまっていたからだ。

 

 

 でも墓の前で手を合わせると、顔よりも声を思い出した。

 息子は低い声だったが、親父さんは高い、よく通る声をしていた。

 酒を飲んで大声で笑い、その甲高い声で激励してくれた。

 

 もう87歳だったので大往生の部類に入るのだと思う。

 が、息子を失って6年間、どんな思いで晩年を過ごしていたのかなぁと思う。

 あの世で親子そろってまた飲んでいるのだろうか。合掌。