認知症に学ぶ変化への対応と人間の根っこ

 

過去や実績にこだわらず、時代の変化に柔軟に対応する。

ビジネス本などでよく言われていることですが、
2020年を迎えて1か月。
これまで以上の大きな変化が訪れているような気がします。

そんなとき、認知症の義母のスタイルが参考になります。


なにせ次々といろんなことを忘れてしまうので、
瞬間瞬間を生きている。

「いつもそう言ってるでしょ」
なんてセリフは通用しない。
昨日のことも、1時間前のことも憶えてないんだから。

 

言い換えると、これはつねに自分が
フレッシュな状態でいるということです。
つまり、いつも新しい自分。

 

もちろん、それだとまともな社会生活は送れないわけだけど、
そういう人といっしょに暮していると、
「過去や実績にこだわらず、時代の変化に柔軟に対応する」
という言葉をしっかり自分の中に刻み込めます。

 

今朝もデイサービスに行く日なのに、
「あなたと一緒じゃないと出掛けない」とか言い出したので、
こりゃいかんなと思い、お迎えが来るちょっと前に、
「手紙を出すので一緒にポストまで行きましょう」と言って
外に連れ出しました。

(毎週火曜はカミさんが鍼灸治療の仕事で朝いないので、
送り出しは僕の仕事)

 

ほんの10分くらいですが、一回りして戻ってきたら
お迎えの車が到着。
そうしたら「出かけない」と言ってたことなど
ケロッと忘れて、バイバーイと出発してホッとしました。

 

駄々をこねる子どもをなだめて保育園に送るのと同じですが、
子どもと違うのは、やっぱり高齢者には「過去」があること。
いわば自分の人生の「根っこ」があることです。

 

認知症になろうが何だろうが、
その人間の根っこ、
この世の中に数十年生きて地に伸ばした根っこは
最期までけっして枯れません。

 

それはまた、誰でも自分以外の人間にはなれないということ。
世の中の役に立つ人間、求められる人間になろうという
向上心は大切ですが、
世間の情報、人の言うことにふりまわされて
根こそぎ倒れてしまわないよう
気をつけたほうがいいです。

 

こうしたことを義母から日々、学んでいます。
これからますます変わる2020年代。
なるべく頭の中を軽くして、流れに乗ることも大事ですが、
自分の根っこをつかんでおくことは、もっと大事だと思います。