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    今回はどうする? Zoomでやる? とも話したが、
    「ナマでお顔が見たいです」との要望にお応えし、
    ガラガラの京王井の頭線と東京メトロ銀座線を乗り継いで
    銀座の隣の京橋へ。
    昨年10月に引っ越してますます洒落てきた同社のロビーは
    ミニミニ図書館みたいになってて、知性と安らぎの空間演出がなされている。
ここのところZoomを使っての取材、
座談会、打ち合わせをやっていた。
    スカイプでリモートをやっていたの時は
    話が込み入ると面倒さ・不自由さ・
歯がゆさみたいなものを感じたが、Zoomはじつにスムーズ。
    理由を考えてみると、
    相手の顔が見えるのが大きいことに気づいた。
    「目は口ほどにものをいう」ということわざがあるが、
    「動く顔」が発する情報量はすごい。
    電話やスカイプ――音声のみや静止画だと、
    相手が黙って考え込んでいるとき、表情が見えないので、
    なんだか間が持たず落ち着かなくなってくる。
    そうすると、たとえば取材の場合、要点だけ早く聞き出して
    さっさと済ませたくなる。
    どうしても掘りが浅くなりがちだ。
    
    表情が読める安心感はなにものにも代えがたい。
今までは基本アナログで、
    時間や場所の関係でリアルには無理な場合のみ、
    デジタルを使用していたが、
    これからは基本がデジタル、時々アナログ
    という感じに逆転すると思う。
確かにデジタルでやったほうが時間も労力も節約できる。
30分やせいぜい1時間の取材をするために、
往復4~5時間を要するなんてザラだ。
    効率的で低コスト。生産性も上がるだろう。
    原稿づくりに限って言えば、
    目標とする記事をデジタルの力を使えば
    早くたくさん書くるようになるはずだ。
でもね、それで自分が面白いか、
面白い記事になるのかはちょっとべつの話。
    
    デジタル取材は手早く要点を話し合うには優れているが、
    余白がなく、面白みに欠けるような気がする。
    アナログの場合は、ちょっとした小旅行気分が味わえたり、
    その土地・その人の持つ空気感を存分に感じられたり、
    雑談や脱線から思いもかけぬアイデアが生まれたり、
    相手の意外な一面を知ることができたり、
    いろんな副産物を得られる可能性がある。
    何より自分自身が楽しめ、エネルギーが湧くことが多い。
    きょうもナマでお会いしたおかげで、
    ちょっとしたことだが新しい企画の切れ端をつかめた。
    これからはベーシックなインプット・アウトプットを、
    デジタルで効率よく低コストで必要とされるものを行い、
    ときどき愛すべきリッチなアナログで、
    仕事に対するエネルギーを取り入れていく.
    そんなワークスタイルになるのではないかと予測する。

 
    
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