「子ども時間の深呼吸」第2回無料キャンペーン 

 

前回、5月6日(水)~7日(木)の無料キャンペーンの時は、
思いがけずたくさんの方にご購入いただきました。
ありがとうございます。
毎月、手持ちのネタから刊行していきます。
今回の無料キャンペーン、本日16日(土)17:00~17日(日)16:59
もぜひご活用ください。

 

だれの心のなかにも「子ども」がいる。
自分のなかにいる子どもにアクセスしてみれば、
何が本当に大切なのか、何が必要なのか、
幸せになるために何をすればいいのか、どう生きるのか。
自分にとっての正解がきっとわかる。
〈少年時代の思い出〉×〈子育て体験〉×〈内なる子どもの物語〉で
モチモチこね上げた おりべまことの面白エッセイ集。
自身のブログ「DAIHON屋のネタ帳」から

40編を厳選・リライト。

 

もくじ
・大人のなかの子ども、子どもの中のおとな 
・ちびちびリンゴとでかでかスイカ  
・天才クラゲ切り:海を駆けるクラゲ 
・子ども時間の深呼吸  
・親子の絆をはぐくむ立ちション教育
・大人になるとわかる? サンタのプレゼント 
・お年玉はムダづかいしよう! 
・星や月を見て何のトクになるのだ? というお話 
・ベビーカーを押す男 
・旅する本屋のおじさん 
・あの世に行った父と話す 
・子どもの日とお年寄りの日のコラボ
・子どもはイヌ時代を経てネコ化する  
・世界で一つだけ、人生で一度だけの卒業 
・星のおじいさまと孤独なエイリアン 
・子どもはどうしてロボットが好きなのか?
・少年小説のバイブル「スタンド・バイ・ミー(死体)」
・女目フィルターの少年像と少女版スタンドバイミーについて
・子どもの自殺防止は不登校体験者にまかせよう! 
・夢と現実が交わる座談会
・でめきんをめぐる追憶 
・ぐゎぐゎタオルと世界共通言語 
・戦争の記憶と戦争文化体験
・子どもや動物にモテる妻とモテない夫のミステリーとハッピネス
・卒業式の詩と死
・ちょっと切なくて笑えるネバーエンディングな少女のバレエ物語 
・男が踊り出す日 
・新聞少年絶滅?物語 
・続・新聞少年絶滅?物語:まかない付き・住み込みOKの光と闇
・二階のお兄ちゃん
・父親としての誕生日に「父親の誕生」を拾い上げる 
・忍法影分身と忍法影縫いに関する実験と考察  
・雪降る日は若き血潮がたぎる 
・雪と少女 
・大人の事情と自分の中の子どもの虐待
・働くシングルマザーと生活保護のシングルマザーの価値観 
・子どもの声と「人類の子供たち」  
・子どもと大人の狭間で人間は自分の一生を俯瞰する
・楽しい思いをさせてくれた子どもたちにありがとう  
・海から山への旅 

 

★Amazon kidleより販売中
・子ども時間の深呼吸 ¥324→0 ASIN: B0881V8QW2

 

★アクセス
https://www.amazon.co.jp/  からコードナンバー、
または「おりべまこと」、または書籍名を入れてアクセス

 

今回の立ち読みコーナー。
2017年2月20日初出のブログ記事をリライト。
P・D・ジェイムズの名作もぜひ読んでみてください。

●子どもの声と「人類の子供たち」
 
 うちの前は車が通れないほどの狭い小道になっている。日中、二階で仕事をしていると、窓の下からタタタタと、とても軽いリズムの小走りの足音が聞こえてくる。
 「あ、来たな」と思うと、カチャリと音がして門が開き、ピンポーンとチャイムが鳴る。カミさんが受け答えすると、明るい、はしゃいだ子どもの声が聞こえる。
 うちは一階が鍼灸院になっており、鍼灸師のカミさんが小児鍼をやっているので、営業日はほぼ毎日のように何人か子どもがやってくるのだ。
 足音のリズムと最初にドアを開けた時に発する声はワンセットになっていて、それぞれ個性があって楽しい。
 僕は診療しているところにはいっさい顔を出さないので、どんな子が来ているのかは、カミさんの話を通してしかわからないが、音と声だけで想像するのも楽しい。けっこう恵まれた環境にいるんだろうなと思う。

 子どもを育てた人も、もう子育てと関係なくなってしまうと興味を失い、子どもの声がうるさく感じられるらしい。だから近所に保育園や幼稚園を建てる話が出ると、必ずと言っていいほど反対運動が起こる。いろいろその人たちなりの事情があるんだろうけど、ひどく寂しい話だ。
 だいぶ前に読んだ小説で、英国のミステリ&SF作家のP・D・ジェイムズ(女性)が書いた「人類の子供たち」(訳:青木久恵/ハヤカワ・ミステリ文庫)という作品がある。世界中で子どもが生まれなくなった世界を描いたもので、これはすごく面白かった。
 子どものいない世界――どこへ行っても子どもの声を、足音を聞けない世界は、どんなに豊かで便利で娯楽に溢れていても、おそらく氷に閉じ込められた中で暮らしているような絶望感や孤独感に苛まれるのではないかと思う。
 自分との血のつながりがあるとかないとかは関係ない。「わたしたちの子供がいる」と思えることが大事なのだ。でもきっと、そういうことはこの小説の世界みたいに失ってみてはじめてわかることなのだろう。