終わってゆく母との再会

 

昨日は名古屋に行って母と会ってきた。

コロナでずっと行けなかったので、

会うのは約2年ぶりである。

 

母は昨年(2020年)4月から施設に入って暮らしている。

月に一度くらい電話はしていたので、

それなりに元気なのはわかっていたが、

正直、実際どうなんだろう?

今の姿を見たらちょっとショックを受けるかも

・・・と、ちょっと怖った。

 

感染症対策として

家玄関のガラスドア越しの面談。

 

とても穏やかで優しい顔をしていた。

そして誤解を招く言い方かも知れないが、

半分、この世の人ではなかった。

もう終わっていく人の顔だ。

 

92歳。

今は元気な90代の人も多いが、

母はこのあたりがゴールのようだ。

 

認知症と診断はされてないが、

もういろんなことを忘れている。

辛うじて僕や妹の顔はわかるが、

うちのカミさんや息子(孫)などのことは

あやふやなイメージのようだ。

なのでうちの家族のここ10年くらいの写真を

ちょっとしたアルバムにして持っていったが、

見てもやっぱりあんまりわかっていないようだった。

 

「お父さんが死んでもう13年になるから

そろそろ迎えに来るかもね」といったら、

「そうだといいねー」と言っている。

だけど、もうお父さんの顔も忘れちゃったけどねーと

笑って言っている。

 

だんだん食べる量も減っているらしいが、

終わる身体にそんなにエネルギーは必要ないので、

ごく自然なことだと思う。

お土産のクッキー、食べきれるかなぁ。

 

半ば僕の願望が混じっているが、

人間、こんなふうに終わるのが理想だよねー

という終わり方なのかもしれない。

 

母にまだ仕事が残っているとしたら、

子どもである僕たちに、人間、おしまいはこんなものだよ、

と僕らに教えることなんだろうと思う。

 

穏やかなおしまいが訪れますように。