87歳・真冬の大冒険

 

年末のテレビでは当然のように東京オリンピック2021の

振り返りをやっていて、

あの女子スケボーの「13歳、真夏の大冒険」

というアナウンスが毎日のように響いていた。

 

「冒険」という言葉は、大人にとってはポジティブな言葉だ。

冒険ができる大人はカッコいい。

したくてもできない大人がみんな冒険に憧れる。

 

もちろん小さな子どもにとってもワクワク感があって

エキサイティングに響くだろうが、

これが中高生あたりの子にとってはどうなのだろう?

 

金メダルを獲った当の彼女がどう思っているのかは知らないが、

僕が中高生だったら、「おい、子ども扱いすんなよ」と

うそぶいてしまうのではないだろうか。

 

さて、うちの義母は一昨日(1月15日)にお誕生日を迎え、

御年87歳になった。

昨年秋から体力増強著しく、

正月が終わった頃からますますヒートアップ。

デイサービスのない日は、食事と寝る時間以外、

「87歳・真冬の大冒険」にお出かけになる。

 

「家に帰るんだからひとりで大丈夫よ」というが、

認知症患者を一人で表に行かせられるわけがなく、

きょうは午前・午後2回ずつ、計4回も1時間以上の大冒険。

僕が3回、カミさんが1回付き添いして、

もうへとへとだ。

 

道行く人に誰彼かまわずご挨拶し、

手を振り、笑顔を振りまき、ご愛嬌を大サービス。

ちゃんと返してくれる人もいれば、

びっくりした顔をする人、無視する人、

リアクションはいろいろだが、

本人はこれまでのしがらみから解放されて、

ことのほか楽しそうだ。

 

はてさて、この大冒険はいつまで続くのか?

あなたの人生に金メダルあげるから、

もう少しお手柔らかにお願いしたい。