週末の懐メロ95:オー・マイ・マイ/リンゴ・スター

 

1973年リリース。

この曲が収録されたアルバム「リンゴ」は、

ビートルズ解散後、

リンゴ・スターの初めてのオリジナル曲集。

他のメンバー3人も曲を提供したり、

録音に加わっていることから、

発表当時、

ビートルズ再結成説がまことしやかに飛びかった。

 

僕は高校時代に友だちから、

このレコードを100円だか200円で買った記憶がある。

その頃は緊張感の強い曲が好きだったので、

どうもこういうリラックスムードが気にいらなかった。

ビートルズ時代の曲もそうで、

「黄色い潜水艦」とか「タコさんのお庭」とか、

リンゴの歌う曲はマヌケな歌・お笑いか?

と思わせるような歌ばかりで、

ビートルズのカッコよさを損ねていると思っていた。

 

ドラムも後から出てきたハードロック、

プログレッシブロックなどの

ドラマーと比べて地味で、全然カッコよくない。

 

1960年代から70年代のロックドラマーは

ジャズドラマーに習って、思いっきり腕前を見せつける、

派手で長尺のドラムソロを披露するのが一流の証だった。

 

しかし、一度もそんなことはやったことがなく、

それもまたリンゴ・スターは二流、三流で、

たまたま他の3人がすごかったから一緒に売れただけだと、

さんざんディスられていた。

 

けど、いくらすごいドラマーでも、

ドラムソロが5分も10分も続いた日にゃ、

よほどのマニアでなければ飽き飽きしてしまう。

ライブでならまだいいが、レコードでは退屈でしかたなく、

たいていその部分は飛ばして聴いていた。

 

そうしたリスナーの心理を知っていたのか、

リンゴ・スターは、

「誰もレコードでドラムソロなんて聴きたくないから」

と言って、目立とうとはしなかった。

 

そんなビートルズ時代の彼の姿勢は、

今ではほとんどの評論家に支持されており、

「ビートルズのハートビート」

「ドラムで曲に表情を付けられる天才ドラマー」として

リスペクトされている。

 

リードヴォーカルを取ることも、

作曲をすることも少なかったが、

アルバム1枚に1曲、彼の歌声が聴こえてくると

なんだかホッとする面があった。

 

キャラクターもユニークで、他の3人に比べて、

なにか次元の違う場所にいるような奇妙な味がある。

たとえドラムがリンゴ・スターでなくても、

レノン=マッカートニーの天才ぶりを考えれば、

やはりビートルズは偉大なバンドになっていたとは思う。

 

ただ、ロックミュージックの変革者たる彼らが、

ここまで世界中で多くの人々に愛され、

「ビートルズ」という、後の世代まで親しまれる、

ひとつのカルチャーになり得たかというと、

疑問符が浮ぶ。

単なるドラマーの域を超えたリンゴ・スターの存在感。

本当に不思議な存在感。

 

ビートルズの4人を四季に例えてみると、

ジョージ・ハリスンは秋、

ジョン・レノンは冬、

ポール・マッカートニーは春、

そして、やはり「イエローサブマリン」や

「オクトパス・ガーデン」のイメージからか、

リンゴ・スターは夏。

 

ハッピーでノー天気な「オー・マイ・マイ」は

彼のソロ曲の中でも、僕としてはベストナンバー。

この齢になって知るリンゴ・スターの素晴らしき世界。

 

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