「親に愛された(?)子ども」の相続(争族)

 

昨日は月刊終活の取材で、日比谷の東京商工会議所へ

相続診断協会の「笑顔相続シンポジウム」に参加した。

 

会場は渋沢栄一ゆかりの東京商工会議所・渋沢ホール。

2020年にできたばかりのきれいなホールだ。

ここで開くのは何回目か知らないが、

こうしたシンポジウムを毎年開いており、

けっこう活発に活動している。

 

相続診断協会は、相続問題における家族の悲劇を

何度も目の当たりにした税理士が一念発起して、

2011年に設立した一般社団法人である。

相続に関する相談に乗る「相続診断士」を

養成している。

 

スタートしてから11年。

士業や保険会社や金融機関の社員、

終活カウンセラーなどの間で評判になり、

この資格を取得する人が増えて、

「相続診断士」は現在、全国に45,0000人以上。

協会は国家資格を目指して奮闘している最中だ。

 

シンポジウムはコンテンツも盛りだくさんで面白く、

「笑顔相続落語」というエンターテインメントもある。

これは協会がプロの落語家に依頼して

作った創作落語で、

より多くの人たちに相続問題に興味を持ち、

きちんと向き合ってもらうためのもの。

 

「不幸な相続を一件でも減らしたい」という

法人の理念は、単なるお題目ではなく、

心に訴える真摯なものだ。

 

相続というからにはもちろん、お金の話になるのだが、

機械的に、数字的に、きちんとお金を分けましょう・

管理しましょう、というだけにものではない。

 

その根底にあるのは、

良くも悪しくも人間の強烈な感情だ。

感情があるからこそ幸福な笑顔相続にもなり、

非情な家族間の争族にもなる。

 

代表理事が話してくれたことで最も印象的だったのは、

「なぜ人が遺産の金額にこだわるのかと言えば、

その多くは、

自分がいかに親に愛された子どもだったのか、

を確認したい、証明したいからなんです」

 

日本人の生活の歴史の中では、

遺書を遺すという文化は育たず、

相続問題で揉めるようになったのは戦後のこと。

 

戦前世代と戦後世代との意識・価値観のギャップが

その大きな原因になっている。

お金の問題であり、心の問題であり、歴史の問題。

幾多のテーマをはらんだ日本の相続問題は

これからが本番である。