親より先に死んではいけません

 

昨日は父の命日だった。

もう14年になる。

今年は母が逝ったので14年ぶりにいっしょになれた。

良かったと思う。

おとぎ話っぽいが、死後のことは誰にも分らないので、

天国でまた仲良くやっていることを想像する。

 

僕にとって、父、母と呼べる人は、

認知症の義母一人になった。

彼女の方は実の娘であるカミさんのことも

娘と認知してないので、当然、僕が義理の息子だとも

思っていない。

 

「おかあさん」という呼び方にも反応しないので、

半分以上は名前で呼んでいる。

その方が本人も居心地いいようだ。

しかし、客観的には母親に違いない。

最後の親なので、彼女より先には死ねない。

と、最近よく思う。

 

僕は昭和の人間なので、上の世代から

「親より先に死んではいけない。それは最大の親不孝」

と割ときつく教えられてきた。

 

10代の頃から同世代で事故や病気や自殺で死ぬ

人間を見て来た。

逆に子供に死なれた友人・知人も見て来た。

やはりどっちも見るに堪えないものがある。

 

若い頃は、いつ死ぬかなんてわからないから

しょーがないだろと思っていたが、

齢を取ると、やはり親より長く生きるのが

最低限の親孝行というふうに思える。

 

いくらいい子でも、親孝行を重ねてきた子でも、

親より先に死んだら元も子もない。

 

「親より先に死んではいけません」という戒めは、

今の時代、割と薄れてきたように感じるのだが、

どうなのだろうか?

 

もちろん、寿命がどこまでかは

神のみぞ知る運命なのでどうにもならないが、

「親より先に死んではいけない」は、

いつもおまじないの言葉として唱えていた方がいい。

人生は自由に生きればいいが、

どこかでそれくらいの重しは必要だと思う。