わたしの寿命はあと7年

 

誕生日が来て63になった。

あと7年したら70だが、

僕の寿命はそこらあたりまでかなと思っている。

 

いや、べつにどこか悪いところがあるわけではない。

いたって元気で健康だ。

でも、あと20年生きても30年生きても7年なのだ。

 

もうほとんど前世の記憶みたいだが、

18歳から25歳までの7年間、

演劇の学校に行って、

仲間と劇団を作って芝居をやっていた。

いま思い返すと若気の至りというか、

バカ気の至りみたいなことをやってて、

恥ずかしいぐらいだ。

 

でもバカはバカなりに面白くていつも弾けていた。

出逢うものすべてが新鮮で、

ポジティブにでも、ネガティブにでも、

いちいち鮮烈な感情が自分の内側から迸った。

どう生きてやろうかという気概に溢れていた。

 

あの頃に戻りたくはない。

はっきり言ってあんなふうに毎日を送っていたら

疲れてしかたがない。

齢を取るとは、こういうふうに思ってしまうことだ。

 

ただ、あの頃の時間の感じ方を取り戻せらたら、とは思う。

同じ24時間なのに、実にいろいろなことができた。

バイトをし、稽古をし、本を読み、本を書いた。

ほんとんど寝ない日もあれば、

疲れて一日中爆睡しているような日もあった。

実に贅沢に時間を使い捨てていた。

一つの季節が今の1年ぐらいに感じられた。

そもそも自分が齢を取るなんて思っていなかったのだ。

フォーエバーヤングだと本気で思っていたのだ。

 

しかし、明らかに体力は衰え、

目も悪いし、歯も悪いし、頭も悪い。

顔はちょっといいかも知れない。

 

若ぶって40年前と同じように…は無理だけど、

バカ気の至りを発揮して、

感性豊かに生きてきたいと願う。

最悪、本当にあと7年でもOKなように。