おすすめ本「なんで家族を続けるの?」

 

内田也哉子と中野信子の対談本。

カミさんが図書館で借りてきたのを

借りて読んだら、めっちゃ面白かった。

 

内田也哉子はご存じ、樹木希林と内田裕也の娘。

中野信子は頭脳キレまくりの脳科学者。

日本人の女として、かなりイレギュラーな

家庭・家族の間で育った二人のトークは軽妙で、

家族論を中心に、人生論・幸福論へ広がっていく。

 

要約すれば、日本の伝統的家族像は、

たかがこの150年余りで作られたもの。

それぞれ違ってていいんだ、

というダイバーシティな話をしているのだが、

二人の家族経験・キャラと相まって、

笑えて面白く、とても感動的だった。

 

この本では婚姻関係と生殖・子育て・家族の構築は別物

という大きなテーマが語られている。

中野信子が

「アホウドリの3分の1のカップルはレズビアン」

という話をするのだが、そういえば数年前に、

テレビのドキュメンタリーで、レズビアンのカップルが、

「精子バンクで精子を買って子供を産んで育てたい」と

話しているのを聞いて衝撃を受け、

「そうか・・・」と妙に感心した、というか、

男としてなかなか複雑な思いに駆られたのを思い出した。

 

また、読みながら、ふと樹木希林が晩年に出演した、

是枝裕和監督の映画「万引き家族」が頭に浮かんできた。

 

いま、フランスで生まれる子どもは

過半数が婚外子だという。

そんな国の映画祭(カンヌ国際映画祭)で「万引き家族」が

大きな共感を呼び、グランプリ(2018年)を受賞したのは

何だかと絵も納得できる。

僕も大好きな映画でもう3回見ているが、

また見たくなった。

 

少子化問題が大変だと言っている日本もこの際、

婚姻関係にこだわらず、

フランス式のライフスタイルを受け入れればいいのに、

と思うのだが、

歴史・文化・自然環境などの条件の中で培ってきた

感性・考え方は、

そう簡単に外国に合わせるわけにはいかないようだ。

そのあたりも中野信子は言及している。

 

それにしても、

いつまでも昭和スタイルにこだわっていては、

経済も産業も、家族も人々の幸福感も、

どんどん損なわれていくのは明白である。

そんな、この先のこともいろいろ考えられる本なので、

ぜひ一度、読んでみてください。