週末の懐メロ134:ウィリー・オ・ウィンズベリー/ペンタングル

 

1972年リリース。

美しい旋律のスコットランド民謡を

イギリスのフォークグループ・ペンタングルが

素晴らしい歌・演奏で現代によみがえらせた。

古いからこそ新鮮な味わいのある不思議なバラッドだ。

 

ペンタングルは1960年代後半から70代にかけて

活躍したバンドで、

この懐メロ探検で初めて知った。

ヴォーカルのジャッキー・マクシーという女性は

ヴィクトリア女王にルックスが似ているという

コメントもある。

 

ルックスはともかく、その声は僕が知る限り、

この時代以降のロック・フォーク・ポップスの

いずれのフィメール・ヴォーカリストとも異質な、

どこか神秘的なニュアンスを帯びている。

 

この曲はチャイルドバラッドの一つ。

チャイルド・バラッド(Child Ballad)は、

19世紀のアメリカの文献学者・

フランシス・ジェームズ・チャイルドが

19世紀後半にまとめた、

イングランドとスコットランドの

305篇の伝統的なバラッドと

それらのアメリカでの異本を集めたもので、

これらの歌詞と、チャイルドによる研究文が編集されて

1960年代に出版されたという。

 

歌詞の内容は、16世紀のイギリス(エリザベス1世)と

スペイン(フェリペ2世)との

英西戦争の時代を背景にした恋の物語。

王女と身分違いの恋に落ち、

いったん死刑を言い渡された

ウィンズベリーのウィリーという青年が、

王の心を動かし、

やがて王女と結ばれるというストーリーで、

弦楽器とマクシーの独特の声は、

まるで中世から大航海時代の吟遊詩人が

人びとに叙事詩を語り歌う姿を彷彿とさせる。

 

ペンタングルはチャイルドバラッドを

数多くレパートリーにしているが、

とりわけ、この「ウィリー・オ・ウィンズベリー」は

人気が高く、

最近の若いミュージシャンも数多く、

この美しい旋律に魅了されてこの曲を取り上げている。