チビガモ8きょうだいの冒険

 

善福寺川添いの散歩道でカルガモ親子に遭遇。

いままで3メートル下の川の中や中州、

岸でしか見たことがなかった。

こんな間近で見たのは初めて。

どうやらこのお母さん、

このあたりの草むらで卵を産んで孵したらしい。

散歩の犬などがよく草むらをかき分けて

クンクンやったりしているのに

よくぞ無事に生まれたものだ。

 

ひなは8ぴき。

でも、こんなところでのんびりしていたら、

たちどころにカラスや蛇のごはんになってしまう。

 

お母さんは一生懸命川に降りられる場所を探す。

子ガモたちはピイピイ言いながら、

押し合いへし合い、必死になってついていく。

 

やっと橋のたもとで降りられそうな場所を見つけた。

母はダイブ。

母はいい。何と言っても大人だし、飛べるし。

「早くみんな来なさい!」

グワグワグワと下からがなり立てる。

「ひえー、お母ちゃん、そんなこと言ったって、

こわいよこわいよ」ピーピーピー。

「はよ来い、ボケカス!」グワグワグワ―!

 

いやいや、人間だって飛び降りるのはこわい3メートル。

子ガモの体に換算したら、こりゃドバイの超高層ビルから

地上まで飛び降りるのに匹敵するんじゃないのか?

 

それでも行かなくては、この先、生きることはできない。

あっという間にカラスのごはんだ。

えいっ!

勇気ある一匹がダイブ!

もちろん飛べないので、そのまま落っこちる。

斜面をひたすら転げ落ちる。

 

でも大丈夫だ、生きている。

おれたちは死なないぜ、きょうだい!

ピーピー言いながら、

みんな「ナムアミダブツ」と唱えつつ、

つぎつぎとダイブ。

護岸工事がされたコンクリの岸に

たたきつけられてもなんのその。

それ行けとばかりに川に飛び込みむと

ぷかぷか浮かんでいる。

さすがカモ!

みんなよくがんばった。

きみらの勇気と冒険に大感動だ。

(この間、つれてきた義母はほったらかし)

 

しかし油断大敵。

ごちそうを前によだれをたらしながら

カラスが近づいてくる。

必至に交戦し、追い払うお母さん。

しかし、シングルマザー1羽で

チビガモ8兄弟を守るのは至難の業だ。

 

一昨年はオスかメスかわからないけど、

複数のおとなが協力してヒナを守ったおかげで、

抜群に生存率が高かったという。

みんなで子育てに協力してチビたちを守ってくれ!