赤ちゃんは大人になって働いています

 

幻視なのかどうかよくわらないが、

認知症の義母のところには、

もう一緒に暮らしていない家族がよく現れる。

 

昨日は食事の時に「あれ、赤ちゃんはどこ行ったの?」

と言い出したので、カミさんが

「もう大人になって会社に行って働いています」

と答えたら、

「ああ、そうか」と納得した様子を見せた。

なんともシュールなやりとりで笑ってしまった。

 

彼女が最近、家の中で見た赤ちゃんと言えば、

僕らの息子のことである。

食卓上に20数年の時間が風のように過ぎ去った感じだ。

 

義母が見る家族は、何十年も会っていない人たち。

カミさんによるとそのきょうだいの人たちは

ほとんど亡くなっている。

さらに謎の男の子・女の子も現れる。

いつも通っているデイサービスの

スタッフのことかなと思うが、

そうでないこともあるようだ。

 

経験上、子どもが成長する時は

なだらかな曲線を描くのでではなく、

ある日突然、ガン!とステップアップする。

 

それと同じで、人生の下り坂も

ガン!とステップダウンするようで、

最近、認知度の劣化が目立つ。

話す言葉が意味不明なことが多く、

コミュニケーションしづらくなってきた。

自分の誕生日も、このクソ暑い今がどういう季節かも

よくわからなくなってきている。

 

また、先週・先々週あたりは

ちょっとしたことでキレまくったり、

デイサービスでは風呂に入るのを頑なに固辞したり、

かなり手を焼いて、こっちもキレそうになった。

あとどれくらい一緒に暮らせるのだろう?