五右衛門の湯豆腐と空海の鴨カツ丼

 

京都で印象深かった食と言えば、

南禅寺の参道沿いにあった湯豆腐のお店「五右衛門」。

 

それから道路を挟んで東寺の入口の向いにある

カモ料理の「空(くう)」。

 

南禅寺は臨済宗のお寺。

禅宗の一つである臨済宗は、坐禅・宿坊・精進料理で、

外国人に大人気。

 

それにこの辺は水がいいので豆腐がうまく、

いつの頃からか、ここの参道沿いには

いくつも湯豆腐の店ができ、名物になった。

 

もともと質素なはずの精進料理だが、

観光客相手だと高級料理に変わってしまい、

この周辺の湯豆腐屋もめっちゃ敷居が高い。

 

その中でも「五右衛門茶屋」は

比較的リーズナブルなお値段で、

店の雰囲気も素朴であったか。

湯豆腐を食べるのにぴったりだ。

 

お昼の定食は湯豆腐をメインに突き出し、

野菜天ぷら、ごはんがついて2500円也。

 

ちなみに南禅寺のもう一つの名物は、石川五右衛門。

もちろんルパン3世の仲間でなく、

安土桃山時代に生きた大盗賊で、

最期は豊臣秀吉によって、

三条河原で、手下や家族もろとも釜茹での刑に処された。

「五右衛門ぶろ」はそこから生まれた

蓋を底に沈めて入る釜茹で風呂である。

 

それにしても権力を握った後の秀吉はほとんど狂人で、

その残虐さは信長以上である。

五右衛門は権力者ばかり狙う盗賊だったので、

庶民に人気が高く、さまざまな伝説が生まれ、

江渡時代になると歌舞伎のネタにもなった。

 

巨大な南禅寺の三門は高さが22メートルあり、

日本三大門の1つに数えられるほどの名門だが、

歌舞伎「楼門五三桐(さんもんごさんのきり)」の中で

石川五右衛門が満開の桜を眺め

「絶景かな、絶景かな」と見得を切る場面としても有名だ。

建てられたのは江戸時代初期なので、

五右衛門の「絶景かな」はお芝居での話。

 

東寺は空海を宗祖とする真言宗のお寺。

その向かいの「空」は当然、空海の空と

めしを「食う」を掛け合わせたもの。

(と断定したけど、お店の人に聞いたわけではない)

 

ちょっと古風な門構えで、しかも鴨料理というので

一瞬、高いかな?と思わせるが、

少なくともランチはいたってリーズナブル。

ほとんどのメニューが1000円台で食べられる。

 

お店のなかは外観とちょっとギャップのあるモダンな造り。

いわゆる「町屋カフェ」として売り出しているようだ。

 

お昼の限定メニューとして、

鴨カツ丼と鴨カレー(鴨しゃぶのだしのカレー)が

あったので、迷ったあげく、鴨カツ丼を選択。

チキンとはまた違う、ちょっと珍しいおいしさだった。

カレーの方も食いたかったとちょっと未練を残しつつ

京都を去ることになった。

 

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