人生は思ったよりもずっと短い

 

先日、ある年上の知人と会ってがく然とした。

前に会って半年も経っていないのに

ずいぶん老け込んでしまったと感じた。

もう70を超えて高齢者の域に入っているので

けっして不思議ではないが、それにしても・・・。

 

病気になったとか、怪我をしたわけでもない。

話を聴く限り、何かショッキングな出来事や

センセーショナルな出来事があったわけでもなさそうだ。

でも目が死んでいて覇気がない。

何か自分の人生を放棄してしまったような感じを受ける。

 

彼は若い頃、けっこう自信家で常識を疑い、

人間と社会に対する鋭い批評眼を持っていたので

内心、一目置いていた。

そしていずれ中年になる頃には

何かデカいことをやるだろうと思っていた。

ところがさにあらず、

人生は思うようにいかなかったようだ。

プライドが高く、自己主張が強いことも裏目に出た。

独身であり続け、

ここに至るまで自分の家族を持たなかったことも

不運だった気がする。

 

彼のことを批判的には考えたくない。

昔はむしろ、ちょっとアアウトローっぽい

個性的な生き方がカッコいいと思っていたくらいだ。

 

けれどもいつの間にかダメになったのは、

世の中を批評的に見過ぎて、

自分がやりたいことをまじめに考え、

それに向けて何も行動していなかったことだ。

 

いつかはそういうチャンスが

巡って来るだろうと思っていて、

若くて元気な時代、体力がある時代を

その時々の欲望や生活のための仕事で

消耗してしまい、何も育んでこなかった。

悲しいことだが、今となってはその時間は取り戻せない。

 

こういうことは誰にも起こる。

会社員でもフリーランスでも関係ない。

うかうかしていると時間はすぐに過ぎ去る。

人生100年時代になったが、

それでも自分が何者であるか知り、

自分の中に埋蔵しているものを掘り出すには、

人生はあまりに短い。

 

今日いっぱいやりたいことがあったのに、

いろんな雑用が入ってきたり、

突然、頼まれごとをしたり、

家族の面倒を見なきゃならなかったりで、

それらをこなしているうちに夜中になって、

なにもできずじまいだった――というのと同じだ。

 

若い人は心して聴いてほしい。

40歳を過ぎたら、

その後の10年、20年はあっという間に過ぎ去る。

そうならないようにするには

30代までのいろいろな経験を活かし、

後年のエネルギーに変えていくといった工夫がいる。

 

「老後の蓄え」というのはカネだけの話ではない。

いや、むしろカネを蓄えるのに人生を消耗して、

カラッポになってしまう人の方が

もっとヤバいのではないかと思う。

 

若くて元気なうち、体力があるうちに

いろんな冒険をし、心を解放する。

そして自分が本当は何をやりたいのか、

自分の人生にとって大切なものは何なのか考えながら、

それに向かって少しずつでも行動していく。

そうすると違った世界が開けてくると思う。