昭和の価値観はどこまで生き延びるのか?

 

昨日は、昭和100年の「昭和の日」だった。

最近は、なんでもデオドラントしないと気が済まない

ホワイト社会が進行中で、

昭和の価値観が次々とバッシングされている。

 

中居正広の性暴力問題から発展したフジテレビの問題しかり。

八代亜紀のヌード写真入りCDの問題しかり。

 

●性暴力を受けた女性がセクシー写真集を出すふしぎ

 

中居くんを擁護するわけではないが、性被害を受け、

PTSDになったという元フジテレビの女性アナが、

自身でカミングアウトした本や

セクシーな写真集を出しているのは、僕には理解しがたいし、

同性の間でも首をかしげている人は多いのではないか。

いろいろ理屈や事情があるのだろうけど、

いちいちそれに耳を傾ける人はそんなにいないだろう。

 

そしてまた、不思議なことに、彼女のこうした奇異な行動には、

僕が知る限り、あまり批判的な意見を聞かない。

 

被害者なのだから、

ということで優しくしなくてはいけないからか?

下着や水着の写真集を買うことで彼女を応援しようということか?それとも中居くんの擁護者・性暴力の容認者と思われるのが

嫌だから?

これもやっぱり僕には理解できない。

 

まだまだ昭和の価値観に染まっている人たちは、日本人の大半を占めていると思うが、みんな、このホワイト社会化についていっているのだろうか?正直、僕は息切れしている。

 

●昭和歌謡の女性歌手は花魁である

 

八代亜紀さんのCDの件は、裁判沙汰に発展する気配だが、

当のレコード会社は、そうなる前に発売してしまった。

転売目的で買った人も大勢いるようで

早くも高値を付けて売られている。

これは裁判になる前に商売完了という筋書きだ。

 

裁判に持ち込まれたとして、どんな裁きになるかはわからないが、倫理的にはともかく、

このレコード会社の社長が法律的に重罪になるとは思えない。

 

今でこそ「昭和歌謡」は、音楽通からもリスペクトされているが、昭和の時代、歌謡曲の歌手、

特に女性はクラブのホステスとほぼ同様の扱いだった。

という言い方に語弊があれば、江戸時代の遊郭の女郎、

あるいはもう少し上の花魁という扱いである。

 

今年のNHKの大河ドラマ「べらぼう」の主な舞台・吉原は、

江戸最大の遊郭があった街。

とびきり歌のうまい花魁は大人気で、

彼女のためなら大金を貢ぐという旦那は大勢いただろう。

ただし、社会的には身分制度の埒外で、

身請け制度があったことからも、

人間ではあるが「商品」としてのニュアンスが

強かったと思われる。

 

昭和はまだこうした江戸時代の芸能文化の流れを引きづっていて、歌ったり踊ったり芝居をしたりする人たちは、

一種の「商品」として見られていたと思われる。

たとえ八代さんほどの大歌手だとしてもだ。

 

だから「権利を買い取って所有している」という、

かの社長の主張は、

(下品だが)昭和の価値観からすれば正当なものだし、

その権利を使って商売するのが、どうして悪いのだ?となる。

 

亡くなって自分の意思を示せない八代さんの写真を出すことには

僕も反対だ。

だが、かといって

「八代さんが生きていたら絶対に認めないはずだ」という意見は

勝手な決めつけだろう。

僕は「多くの人に自分が若い頃の美しい姿を見てほしい」と

希望することも十分あり得ると思う。

女性の方々はどう思うだろうか?

 

●人間臭さ・エロ臭さにおう昭和の価値観はいずこへ

 

エロい方向の話に偏ってしまったが、

今後、AIが浸透し、様々な情報が整理され、

管理社会・デオドラント社会が進展してくると、

その一方で、ある意味野蛮で、汚く、

下品でいい加減な昭和の価値観は

ますます重要性を増してくるだろう。

 

なぜなら昭和が(もしくは20世紀が)人間による、

最後の、人間臭い時代、

最後のエロ臭い時代として認識されるようになるからだ。

 

その後、人間臭さ・エロ臭さを脱臭された人間はどこへ行くのか?昭和の価値観はどこまで生き延びるのか?

とても楽しみである。

それにしても、こんなことを考えている時点で、

僕はもう、時代に取り残された昭和人なのだろうと思う。

 

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