ずいぶん久しぶりに原宿に出かけた。
少なくともコロナ後は来ていなかったので、
たぶん5,6年ぶり。
原宿には東京に出てきたころからなじみが深く、
20代・30代のころは仕事場も近く、よく遊んでいたし、
まだ10年ほど前までは時々訪れていたが・・・
それが見事なまでに別世界に生まれ変わっていた。
最近、どこに行ってもそうだが、とにかく外国人だらけ。
昨日はGWの谷間の平日だったが、
体感的に7割ぐらいは外国人だったのではないか。
まるでロンドンにいるようだった。
●おしゃれビルでふつうの銭湯が16時間営業
そんななかで最もインパクティブだったのが、
「ハラカド」という商業施設の地下にお風呂屋さんがあったこと!
知らなかったけど、できて1周年!
原宿に風呂屋?
しかもサウナや、今どきのスーパー銭湯などの類でなく、
昔ながらのお風呂屋さん、要するに銭湯である。
モダン建築の商業施設の中にある、
ということ以外はいたって普通のお風呂屋さんで、
入浴料も銭湯料金の550円(小学生200円、未就学児100円)。
昨日は木曜で定休日だったので閉まっていたが、
その他は週6日、なんと朝の7時から夜11時までの、
1日16時間営業だというから、驚きだ。
街中の、いわゆる普通の銭湯だってこんなに長時間あいていない。
朝早いのは、夜中に働いていた人、
あるいは遊んでいた人たちの需要に合わせているのだろうか?
とにかく興味津々。
夏場になったら一度、原宿お風呂体験をしてみたいと思った。
●高円寺から原宿へ
調べてみたら、この「小杉湯」は杉並・高円寺にある銭湯で、
「100年後も銭湯を残したい」と、
銭湯文化の普及・情報発信にがんばっている銭湯で、
この原宿店も同じ経営者だ。
そういえば、高円寺のカルチャー銭湯って、
テレビやネット記事で見かけたことがある。
高円寺は戦後復興期のヤミ市を経て、
60~70年代カルチャーをたっぷり取り込み、
いろいろな庶民文化のごった煮のなかで育ってきた街で、
小杉湯は、そうした高円寺の一種の象徴的存在だ。
その「町のお風呂屋さん」に
渋谷圏の大開発を進める東急がアプローチし、
原宿に招き寄せたという。
「小杉湯原宿」が入っている「ハラカド」は、
表参道と明治通りとの交差点に立つ東急プラザの1店舗。
1階にはロンドンの香水ブランド「ジョン マーロン」が入り、
屋上に庭園を設えた、超モダン、超おしゃれな施設だが、
中には日本・アジアの屋台街を模した、雑多な飲食店街があり、
自由に回遊して飲み食いできる。
そんな感じで、
従来の高級ファッションや雑貨ブランドだけに偏った施設でなく、「生活感との融合」がコンセプトになっているようだ。
●ファッショナブルな街に生活感とユーモアを取り戻す試み
原宿は半世紀前からおしゃれでファッショナブルな街だが、
ケヤキ並木に彩られた表参道沿いで、
圧倒的な存在感を放っていた同潤会アパートが、
表参道ヒルズになってからだいぶイメージが変わってしまった。
レトロなたたずまいの同潤会アパートがあったころは、
ファッショナブルななかにも、生活感というか、
一種の「ユーモア」があって親しみやすい街だった。
しかし、2000年代に取り壊され、
取って代わった表参道ヒルズの、
ピカピカ一色・高級一色のイメージになってから、
原宿への愛着は薄らいだ。
心は遠のき、仕事や用事がなければ
足を運ばない場所になっていた。
「ハラカド」は、そうしたことを考慮して、
再び原宿に生活感やユーモアを
取り戻そうとしているのかもしれない。
「小杉湯原宿」のプランが実現した経緯の記事も
いくつか読んだが、
小杉湯さんも東急さんも、かなり思い切ったことをした。
こうしてでき上がり、ビルの下で営業しているのを見ると、
なるほど、街にはお風呂屋さんが必要だ、
という発信にも共感を覚える。
以前、「原宿×お米屋さん」ということで
小池理雄さんの「小池精米店」の記事を書いたことがあるが、
お米屋さんとか、お風呂屋さんとかが醸し出す、
庶民的な色合い、生活臭が消えてしまうと、
街は単なる消費のための空間になってしまう。
そうしたビジネスやトレンドばかり追求する街づくりは
もう時代遅れで、
人間的な肌ざわりを感じられる何かが混在していることが、
今後、その街の付加価値につながっていくのだと思う。
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