不滅の手塚マンガ再発見「おさむーびー」

 

昨日、手塚治虫が亡くなる3年程前の

ドキュメンタリーを放送していたので、チラ見した。

大げさでなく、

本当に命を削って何十年もひたすらマンガを描き続けた天才。

それも近年のマンガ家のように、

強力なヒット作を何年も続けるのではなく、

子供対象から大人対象まで、バラエティ豊かなジャンルで、

実に多彩な作品を、次から次へと発表していた。

 

昭和レジェンドのあるある話だが、

本当に全然寝ていなかったようだ。

今では科学的に睡眠をとらないと

脳が正常に働かないことが証明されている。

が、それは僕らのような凡人の話。

 

彼のようにそんな科学的常識に当てはまらない人間、

意志の力で不可能を可能にしてしまう天才は確実に存在している。

 

60歳で「もっと仕事をやらせてくれ」と言って、

この世を去った手塚治虫。

あれだけ描いても満足も納得もできず、

残念な思いを残したかもしれないが、

それでもマンガの創作を通して、

彼は寿命の倍以上に匹敵する時間を

生き抜いたのではないかと思う。

 

最近、YouTubeの手塚プロダクション公式サイトで、

「おさむーびー」というのを配信しているので、

仕事の合間によく見ている。

 

これは手塚作品をアニメでなく、

コマ割りされたマンガを動かし、声優がセリフを吹き込み、

動画風にしたもの。

雑誌に読み切りとして掲載され、その後、全集に納められた、

マイナーな作品が中心で、短編ミステリーやブラックな話が多い。

 

いずれも半世紀ほど前の作品だが、

これがめっちゃ新鮮で面白い。

話の構成とストーリーテリングのすばらしさ、

ビジュアル表現の見事さ、

そしていろいろな角度から見て楽しめる奥深さ。

改めて手塚治虫の天才ぶりを堪能できる。

 

その中の一編「紙の砦」は、

少年時代の戦争体験をもとに描いた半自伝的作品で、

初めて見たが、

手塚先生がなぜ命を削ってマンガを描いていたのか、

これを見るとわかるような気がする。

 

戦争で生き延びることができた自分の人生は、

ひたすら創作するための人生――

時代の波、流行の波などと闘いながらも、

魂の命じるままに手を動かし続けていたのだろう。

不滅の手塚マンガは、僕にとって元気の源である。