「ばけばけ」と彼岸花

 

「耳なし芳一」などの怪談を残した

小泉八雲(ラフディオ・ハーン)の

奥さんが主人公の「ばけばけ」。

今週から新しく始まった、

NHKの朝ドラをたまたま見たのだが、超面白い。

 

初回、朝っぱらから(ドラマの中では夜中だが)

家族で丑の刻参りして、

藁人形に五寸釘打ち込んでいるのにはワロた。

明治は昭和以上に面白い時代だ。

そして、主人公の少女時代を演じる子役の女の子が

可愛くておもろい。

「野垂れ死に、野垂れ死に」と歌う主題歌も気に入った。

 

今年は猛暑で遅咲きしている彼岸花は、

「死人花」とか「幽霊花」といった別名があるようだ。

日向で見ているときれいだが、確かに日陰で咲いているのや、

夕暮れの薄暗い中で見ると、ちょっと妖しい雰囲気を醸し出す。

 

彼岸花にそうした妖のイメージが付いたのは、

まだ死者を土葬していた時代、

ネズミやモグラが入り込んで遺体を齧るので、

周囲によく植えていたからだ。

 

彼岸花の球根には猛毒があるので、

ネズミなどが寄り付かなくなるのだ。

そんなわけで昔の人たちは、

遺体が埋まっている場所に咲く彼岸花を

かなり気味悪がったらしい。

 

そういえばこの間、子供らが遊びで

「青い彼岸花はないか」と探していた。

「鬼滅の刃」のボス鬼・鬼舞辻無惨が、

太陽の光を浴びても生きられるように=

不死身になる薬として、青い彼岸花なるものを

手下の鬼たちに探させていたからだろう。

もちろん、赤でも白でもなく、青いのは実際にはない。

 

同じく「鬼滅の刃」のなかで魔除けとして使われ、

鬼にとって強力な毒となる藤の花も、

実際には猛毒を持っている。

鬼でなくても、人間にとっても口にしたら危険だ。

やはり美しいものには毒がある。

藤も彼岸花も化け物に近しい花だと思うと、

ちょっと見え方が違ってくる。