
「あれ?起きてこないなぁ」
そう家の者が訝って寝室を覗いてみると・・・
それが僕の最期だよ、とAさんは話す。
Aさんは現在、自叙伝の代筆を任されたお客さんで、
とあるグループ企業のお偉いさん。
書き進めながら月に一度、取材をして、
ざっくばらんにいろんな雑談をしている。
そんなAさん、自分の死に方ももう決めているのだそうだ。
もちろん、思った通りにいかないのが人生。
最期だって自分の望み通りになるとは限らないが、
目標というか、イメージを持っておくのはいいかもしれない。
Aさんの話を聴いて、
子どもの頃、僕があまりにもよく眠っているので、
祖母が「死んでしまったのかと心配したよ」と
話していたのを思い出した。
どうも丸一日昏睡していたらしい。
病気だったのかどうかは憶えていない。
記憶にないと言えば、7年前、硬膜下出血で路上で倒れ、
救急車で運ばれて病院をたらい回しにされ、
やっと入院した病院で手術をしたと、いう丸二日の出来事が
すっぽり記憶から抜け落ちている。
カミさんに話を聴いてやっと状況が分かった。
その他、若い時分、丸一日眠りこけていたということはよくある。
それで仕事をさぼってしまったこともあったが、
叱られはしたものの、くびになったことはない。
恵まれていたのか、甘やかされていたのか。
若い頃は遊ぶのも仕事も、徹夜はざらだったので、
そうした失敗談も多々あるが、今ではみんな笑い話。
ただ、丸一日寝てしまった日は、
やっぱりちょっとした罪悪感があるので、
「長い人生、こんな日もあったっていいのさ」と
自分で自分を許していた。
そう考えると、最近は半日以上――
10時間も眠り続けるってほとんどないのだが、
今日はカミさんは仕事、義母はデイサービスでひとり。
風邪をひいたのか、猛暑の疲労が一気に出たのか、
調子悪くて、日中ほとんど寝て過ごした。
てか、今日は怠けてゴロゴロ寝てやろう、
と自分のなかで決意のようなものがあった。
だけど、そろそろ
「長い人生、こんな日もあったっていいのさ」と、
さらっとは言いのけられない自分がいる。
「おまえの人生、あと何日残ってるの?」と
聞いてくる別の自分がいる。
そんなの、わかんねーし、やっぱりいいのさと、
またもや言いのけ返す自分がいる。
OECD(経済協力機構)のデータによれば、
日本人の一日の平均睡眠時間は、先進国中、
最短レベルらしい。
あなたも無理せず、調子が悪いときはゴロゴロ寝てください。
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