ロシアの天の川

 

今日は息子の誕生日だったので、

昨夜は新宿のロシア料理専門店へ。

「ちょっと変わったのがいいかなと思って」

という彼のリクエストである。

確かに東京広しといえどもロシア料理店なんて少なく、

なじみもないし、最近は特に対ウクライナ戦争で心象も悪い。

とはいえ、

この「スンガリー」というお店(本店)の創業は1957年。

僕が生まれる前から営業している老舗だ。

 

僕たちが行ったのは本店でなく、

靖国通り沿いにある新宿3丁目店で、

ここではロシア料理だけでなく、敵国(?)のウクライナ料理、

グルジア料理、ジョージア料理なども出している。

 

あえてコース料理にせず、ビーフストロガノフやピロシキ、

ウズベック・プロフ(仔羊と野菜のウズベキスタン風ピラフ)

金目鯛のワインロースト(オレンジワインソース)などを

好きにあれこれ頼んで食した。

 

どれもおいしく、日本人好みにアレンジもされているので、

こちらロシア・東欧方面の食文化に興味があれば、

一度試してみることをおすすめ。

 

食後の紅茶(ロシアンティー)にローズやベリーなど、

各種ジャムを入れて甘くして飲む。

お土産用にブルガリア産ダマスカスローズの

薔薇のジャムを売っていたので、カミさんにせがまれて買った。

 

 

ちなみに結婚前、カミさんが某大手商社に勤めていて、

その時の配属がロシア事業部だった。

シベリアの大地で古代の贈り物――

石油や天然ガスなどの化石資源を掘り出すために、

コマツ・トヨタなど日本製の重機を使っていた

(今も使っていると思う)ので、

それを輸出する手続きの仕事をやっていたのである。

 

そうした縁で、1995年の新婚旅行でモスクワに行って滞在し、

事務所で観光旅行をお世話してもらった。

当時はまだソ連から体制を移行したばかりで物資が乏しく、

飲み食いに関してはいい思い出がない。

―ーということが今では楽しい思い出になっている。

 

教会の食堂でごちそうになったロシア料理は、

スンガリーの料理とは全く別物で、

そのまずさだけが頭に残っている。

そして当時、開店したばかりのモスクワ1号店の

マクドナルドのハンバーガーがおいしかったこと!

確かセットで日本円で1人前2000円近くしたと思うが、

当時の普通のロシア人の労働者には高嶺の花だった。

観光地を回る運転手をしてくれた、

その事務所の若者セルゲイ君にごちそうしたら

涙を流さんばかりに喜んでくれた。

彼が嬉しそうにハンバーガーを頬張っていた姿は

忘れることができない。

 

ちなみにその後、ロシアはプーチン大統領の指揮のもと、

産業と経済を整えた。

なんといってももともと資源が豊富だし、

農産物の生産量も多く、食糧自給率も高い。

特に2000年代以降はそうした資源の豊かさを活かして、

どんどん国力を増した。

日本ではよく報道でウクライナが

小麦の一大生産地と紹介されているが、

ロシアはその3倍以上の小麦を生産している。

(ウクライナ2540万tに対し、8540万t)

そしてその2分の1近くをイラン、トルコ、エジプトなどに

輸出している。

 

貿易・物流の勉強をしていると、

なんとなく国同士の関係・世界の情勢がわかってくる。

こうした資料を見ると、ウクライナとの開戦時におけて

西側諸国の経済制裁をかけたことなど、

屁でもなかったんだろうなと思う。

 

ロシア料理店に行ったことから

あらぬ方向に話が飛んでしまったが、

もちろん、この店ではそんな戦争の影など微塵も感じさせず、

ホールのチーフらしき、きれいな白い肌と金髪の

ロシア人(だと思う)女性をはじめ、

多国籍の人たちが楽しそうに働いている。

「スンガリー」という店名は、ロシア語で中国・ハルビンを流れる

松花江(しょうかこう)を指す

「Сунгари(スンガリー)」に由来するという。

これは満州語で「天の川」を指す言葉だ。

見渡す限りの平原が続く大地の見下ろして

夜空にたくさんの星が集まって

川のように流れている風景を想像した。

 

 

ついでに僕がまだ小学生だった1971年、

ロシア民謡の「ポーリュシュカポーレ」を

俳優の仲雅美が歌って大ヒットしたことも思い出した。

子供心に感動して、

なけなしの小遣いをはたいてレコードを買って持っていた。

とてもいい曲なので、ぜひ聴いてみてください。