小説「弱虫軍鶏と恐竜拉麺」プロローグ 恐竜を食う

 

アメリカの英語で弱虫、臆病者のことを

「チキン」っていいますが、

これは英語の「chicken heart」(鶏の心臓)

という言葉からきているらしいですね。

実際に鶏の心臓の大きさは、

おれたちの人差し指の先くらいの大きさしかない。

つまり「小さな心臓」から

「気の小さい」「小心者」「臆病者」[弱虫」「腰抜け」

という意味に変化したってわけです。

 

からっきし度胸のないおれも

このチキン野郎の一人なんですが、

弱虫だからダメ、

腰抜けだから生きていけないってわけじゃありません。

この話を聞けば、そう思えるかもしれませんよ。

 

てなわけで、さあ、開店です。

へい、らっしゃい!一名様、カウンターにどうぞ。

ご注文は何にしましょう? しゃもラーメン?

 

はい、かしこまりました。しゃも一丁入りました!

 

「弱虫」と呼ばれる臆病者こそが、最強の鶏を生む。

 

ラーメン屋の修行中の若者が出会った

老養鶏家・風間晴仁の波乱の生涯。

恐竜の末裔・武蔵軍鶏誕生の秘話と、

食を通じた命の連鎖を描く、

痛快で滋味あふれる青春食道人情譚。