6月10日は「時の記念日」。
「時間は大切にしましょう」という日だけど、
その「大切にする」の中身は何か?
時間を無駄遣いしないこと。
それは単に時間を節約して、
もうけたもうけたと満足することか?
タイパをよくして、
「私は合理的で賢い人間です」という気分になることか?
ミヒャエル・エンデの「モモ」に出てくる
灰色の男たちにそそのかされ、
節約した時間を時間銀行に預けて
通帳の数字が増えるのを見てニヤつくことなのか?
僕もそうだった。
若い頃、時間はまっすぐ一直線に伸びていて、
遠くまで続いていた。
齢を取るとその距離が縮まるのだろう、
終わりまでが短くなるのだろうと思っていた。
でも、実際は違う。
そもそも時間はまっすぐ直線ではない。
それは丸く円を描いている。
人生の時間は円環だ。
「還暦」という言葉の所以である。
60を超えてからは、子供時代や青春時代のことが、
30代・40代・50代の頃より近くなった。
単に懐かしんでいるだけでなく、
その時の心情や感性にもう一度アプローチする
チャンスが生まれるのだ。
そして、その意味を考えてみることで、
過去と今と未来がつながる。
生を豊かに膨らませるための、上手な時間の使い方を見つける。
それが時間を大切にすること。
ちなみに「時の記念日」が制定されたのは、
1920(大正9)年のこと。
これには、当時欧米の先進国から
「日本人は時間の感覚に乏しい」とみられていたことから、
“時間に関心を持ち、規律正しく効率的な生活を習慣化する”
啓発の意味があったという。
それ以前の日本人は、
もっと自由な時間感覚を持っていたのだろう。
もしかしたら、世界でも際立つ、日本人の幸福度の低さは、
これをきっかけに始まったのかもしれない。

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