おかげ犬、赤福VSお福餅、日本一の餃子、御師の廃墟——
江戸時代から続く「庶民の伊勢参り」を、
令和の目線でのんびり歩いた二泊三日の旅エッセイ。
ガイドブックには載っていない、
俗っぽくて深い伊勢の魅力、全12話。
其之壱 ええじゃないか、おかげ犬
明日死ぬかもしれないので、一生一度の伊勢参り。
というわけで先週末、二泊三日で行って来ました、お伊勢さん。
まずはいきなりお土産のご紹介です。
伊勢の名物と言えば、ごぞんじ、お餅をこしあんでくるんだ、めっちゃおいしい赤福餅が超有名で、全国お土産ランキングでも堂々第3位にランクイン。
伊勢では外宮・内宮ほか、あちこちいたるところに店舗があって、おなじみの赤福餅はもちろん、赤福ぜんざい、要するにお汁粉も食べられます。
それと同時に最近、売り出し中なのが「おかげ犬サブレ」。
赤福餅は日持ちがしないので、残念ながら、ばらまき土産としてあっちゃこっちゃに配るのには不向き。というわけで、このサブレが考案されたらしいのです。(賞味期限約1カ月)
「おかげ犬」とは江戸時代、首におめでたい注連縄と、街道の人々から御寄進をいただくための巾着財布をつけてお参りに行ったという「代参犬(だいさんけん)」のこと。いろいろ事情があって自分でお参りに行けない飼い主のために代理で犬がお参りに行くというのです。これはおもに江戸時代後期(十八世紀後半〜十九世紀前半)に流行しました。特に1771(明和8)年に単独で参宮した犬の記録をきっかけにブームが全国へ広まり、幕末にかけての「お蔭参り(おかげまいり)」の時期に最も盛んに行われたといいます。江戸、あるいは京都・大阪かといった大都市からはもとより、遠く離れた四国や東北からも、伊勢参りに行った犬がワンさかいたようです。
そんな落語やメルヘンみたいな話は誰かのでっちあげ、冗談に思えますが、ちゃんと文献も残っているので、事実として認めなくてはなりません。
このミラクルでハートウォーミングなドキュメンタリーは、江戸研究者・動物研究者が著作のテーマにしたり、ネットで拡散されて広がったりして、近年、一般人の間でもよく知られるようになり、ファンも増え始めています。それに目を付けた赤福が「おかげ犬」としてキャラ化し、赤福餅とは別路線のお土産を作ったのです。さすがに商売上手ですね。
もともと赤福餅は、「ええじゃないか、ええじゃないか」のコマーシャルソングにもある通り、江戸時代、何十万人と大挙して押し寄せた伊勢参りの庶民を相手にして大当たりし、全国に広まった名物です。そうした「庶民に愛される」というブランドコンセプトに
「おかげ犬」はぴったりだったといえるでしょう。次は赤福餅のキャラ赤太郎とおかげ犬のコラボ商品も出してほしいものです。
これをお読みの皆さんが、日本の神様を熱心に拝んでいる信仰深い人だとは、これっぽっちも思っていないので、食べ物のことなど、俗っぽいお話を中心に、気まぐれにお伊勢参りのお話を書いていきます。たぶん何の役にも立たない与太話なので、おヒマがある人だけテキトーに読んでいってください。




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