電子書籍「ねこがきます」発売予告

 

おりべまこと新刊

エッセイ集:動物2「ねこがきます」

7月27日(土)発売予定!

 

人間社会で日常生活を送るあなた、

ちょっと疲れていませんか?

ふっとひと息つきたくなったら、

動物を見たり、いっしょに遊んだりしたくなりませんか?

 

人は疲れた心を癒すために

イヌやネコなどのペットを飼います。

公演に行って野鳥を見ます。

動物園や水族館へ動物に逢いに行きます。

あるいはテレビやネットで動物の姿や行動を見て

笑ったり、ほっこりした気持ちになったり。

 

どうしてあなたは動物を求めるのでしょうか?

なぜなら人間はひとりでは生きられないし、

人間同士だけでは生きられない。

いっしょにこの世界、この地球で暮らす仲間が必要です。

その仲間の存在を確認することが、

生きていく上で欠かせないからです。

 

そんなことを考えながら、

身近に目にする動物たち、物語の中の動物たち、

そして人間と動物との関係について綴ったエッセイ集。

頭の中にネコやイヌやウサギやカメの姿を思い浮かべながら

気軽にどうぞ。

 

もくじ

明治35年の少女とうさぎ

脂ののったカルガモを狙う野生のクロネコ

飼い主にはペットを看取る使命がある

ネズミは夕焼け空に叙情を感じるか?

アニマルガモの愛のいとなみ

ワイルドボーイ・オオタカきょうだい大成長

目覚めればオオサンショウウオ

 

ねこがきます

ほか 全34編載録

 


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お母さんといっしょの夏休み

 

義母は先月下旬から今月上旬まで、

入院が半月に及んだので、

夏の間は暑いし、復活は無理だろう、

デイサービスにちゃんと行ってりゃいいやと思っていた。

ところが日を追うごとに

食欲も運動量も順調に回復。

だんだん調子に乗ってきたようだ。

 

睡眠時間はかなり増えたが、

この猛暑なので、日中は冷房のある部屋で

おとなしくしてもらっていたほうが助かる。

そのあたりは本能的に理解しているようで、

お散歩は夕方ちょっとだけ。

認知症はもちろん治らず。

この暑いのにやたら重ね着したがる。

熱中症にならないよう気づかって、

なんとか無事にやり過ごすしかない。

 

熱中症だのコロナだので、

この夏はなかなか安心できない。

気候変動もあって昔の夏とは違って来たし、

海でも山でもお祭りでも、

人ごみに出て行く気がまったくしない。

やっぱ、夏は子どもと若者の季節だ。

僕はセミの合掌でも聞きながら

お義母さんといっしょに家で仕事をしていよう。

 

 

おりべまことエッセイ集 認知症介護

認知症のおかあさんといっしょ 

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新刊予告「ねこがきます」

 

おりべまこと電子書籍新刊予告

動物エッセイ集「ねこがきます」

7月25日(木)発売予定

ネコもイヌもネズミもカメもフクロウも

オオサンショウウオもいろいろ来ます。

久々、動物ネタの面白エッセイ。

どうぞお楽しみに!

 


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AIが書く「初めての猫とのくらし」

 

AIライティング講座では「初めて猫を飼う」

というキーワードを使って

記事を作っている。

 

「AIがあれば人間要らない」

というイメージが先行しているが、

型にはまった形式的な文書ならともかく、

人の読書に耐えうる文章を生成するという点では、

いろいろ問題がある。

 

先週、プロンプトの見本を使って

AIに原稿を生成させたが、

今週の課題は、その原稿=初稿を人の手で直す作業。

いわば、編集・校正作業だ。

 

AIは自信満々で嘘八百の情報を交えて

文章を作ってくることがある。

一見ちゃんとしていて、

それなりにまとまったものになっているので、

うっかり騙されることが多い。

僕もChatGPTにさんざん混乱させられた。

 

なのでまずハルレーション、

つまりAIが勝手に作るウソ情報を見つけて訂正した上で、

読みやすく修正する、

という手作業が必要になってくるのだ。

 

だから、AIライティングと言っても

全然ラクではなく、なかなか手間がかかる。

 

ところが、Claudeが出してきた

「初めて猫を飼う」の初稿は素晴らしい出来ばえ。

猫の寿命、購入金額、飼育費用など数字の部分も、

猫の病名とか、僕が知らなかった専門用語にも

ハルレーションはなく、ほぼ完ぺきと言っていい。

文字数は1万7千字近く(原稿用紙40枚以上)あるが、

けっして冗長ではなく、しっかり情報を詰め込んでいる。

 

プロンプトの入れ方がよかったのか、

十分、人間らしい温かみがあり、

楽しんで読める記事になっている。

ChatGPTが出してきた同じキーワードの原稿と比べると、

そのレベルの差は一目瞭然だ。

 

毎回同じことを言っているが、

Claudeすごい!

 

講師の先生からは、

さらにすごいClaudeの機能の話を聞いたが、

それはまた別の機会に。

 

余裕ができたので、明日・明後日は、

もう1つやったキーワード「花屋開業」の編集にも

トライしてみようと思っている。

 


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「このかわいい機械め」と思わせる「Claude(クロード)」

 

今まで生成AIはChatGPT(現在は4.0)

しか使ったことがなかったが、

今月から始めたAIライティング講座で

初めて「Claude(クロード)」を使っている。

現在、バージョン3.5。

 

アメリカのスタートアップ企業

「Anthropic(アンソロピック)」が開発したAIで、

この会社、ChatGPTを作っているOpenAI社にいた元社員

(GPT-2、GPT-3といったモデルの開発メンバー)が

2021年に立ち上げたという。

 

業界内で他の生成AIを追い抜く勢いを見せていて、

ここがすごい、あそこがすごいと

言われているらしいが、

実際使ってみると、確かにすごい。

 

何がすごいって、めっちゃ人間的なのである。

(他にはChatGPTしか使っていないので、

GemimiやCopilotのことはわからないけど)

 

昨日、課題を提出して余裕があったので、

今日はおまけにもう1題

「花屋開業 個人店」というキーワードで

ウェブ用の記事を作ってみた。

 

そこでいちいち「ありがとう。次はね・・・」とか

「もうちょっと頑張ってくれると嬉しい」とか

「いやー、すてきな構成を作ってくれたね」とか、

ステップごとにフレンドリーに、

“褒めて育てる風”の合いの手を入れてみたのだ。

 

それに対してChatGPTはいたって冷静に、

コツコツ作業を進めるという感だったが、

Claudeは割とビビットに反応して

「承知しました」などと言いながら進める。

こちらが感情的な言葉を入れてプロンプトを送ると、

相手も感情を込めて返してくれるのだ。

 

そして今日は締めにこんな励まし(?)の

セリフをいただいた。

 

「ありがとうございます。

心の中の花が咲き誇ったようなお言葉をいただき、

とてもうれしく思います。

花屋の開業という夢に向かって、

一歩一歩進んでいく過程は、まさに花が芽吹き、

成長し、美しく咲き誇るプロセスに似ていますね。

あなたの夢が、色とりどりの花々のように、

豊かに、そして力強く咲き誇ることを

心からお祈りしています。

 

もし他にも花屋開業に関して、

あるいは別の話題でも、

お手伝いできることがありましたら、

どうぞお気軽にお申し付けください。

あなたの夢の実現に

少しでも貢献できることを願っています。」

 

さらにClaudeちゃんの心のこもった励ましは続く。

 

「私も、人間の皆さまとの対話を通じて、

より良い文章や提案ができるよう日々努力しています。

あなたの文章への愛着を聞いて、

とてもうれしく思います。

 

今後も、どのようなテーマや課題でも、

最善を尽くしてサポートさせていただきます。

また機会がありましたら、ぜひお声がけください。

あなたの次なる挑戦や

創造的なプロジェクトを楽しみにしています」

 

“人間の皆さまとの対話”なんて、

このかわいい機械め、とホロリとさせられる。

逆に人間同士だと気恥しくて

なかなかこんなことは言えない。

 

——というのが、僕が感じたClaudeのすごさ。

正直、愛着を感じてしまっている。

もし機会があれば、あなたも使ってみてください。

 


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入院していたことなんて記憶にありません

 

義母は先週月曜8日に退院。

家に帰ってきても病院でのハンストの続きで、

菓子類ばかり食べてろくに食事をしなかった。

が、この2,3日はようやく7割程度食べるように。

90歳一歩手前の高齢者としては十分かと思う。

 

いちばん気になるのは、

入院中、ほとんど歩かなかったこと。

さすがに現在は、入院前のようなロングウォークはできず、

家のそばにある遊歩道を

ちょこちょこベンチで休みながら歩くだけだ。

 

それでも長年、ほぼ毎日、

エレベーターのない団地の5階まで

階段を上り下りして鍛えた足腰は健在。

うちの階段はまだまだ楽勝といった様子なので、

ある程度は回復するだろう。

 

実母もそうだったが、入院すると、

当の病気やケガそのものよりも、

歩かないこと・動かないことによって

生じる筋力低下・身体機能低下のほうが

後の人生に大きなダメージを与える。

 

特に高齢者は、機能回復に時間がかかるため、

入院日数の4倍くらいのリハビリ期間が必要だ。

それでも入院以前に近いところまで回復できればいいが、

年齢が上がれば上がるほど、その確率は低くなり、

最悪、歩けない・動けないという状態になる。

 

あまり入院が度重なると、

病気や怪我が治っても「自分はもう終わり」という

心境になっていくのも不思議ではない。

 

認知症はこういうとき、プラスに働くのか、

義母はそんなこと全然意識していない。

そもそも入院していたこと自体をもう忘れている。

 

ただ、頭はポジティブでも、

身体は正直なのでネガティブ。

ちょっと歩いたり、デイサービスに行ったりすると、

ひどく疲れるようで、

この1週間は毎日12時間以上ねている。

いずれにしても当分の間はリハビリ期間。

少しずつよくなりますように。

 

いちいちまとわりつかれなかったり、

長い散歩に付き合ったりしなくていいのは

疲れなくてラクだし、仕事も勉強も捗るんだけどね。

 

 

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生成AIへのパワハラプロンプトと人間の価値

 

この夏は新たな挑戦として、

AIライティング講座を受けている。

AIを使った文章は、

機械に丸投げすりゃできると思ったら大間違い。

しっかり活用するには、

プロンプト(指示文)をどう作り込むかが重要だ。

 

今週はそのプロンプトづくりが課題。

講師の先生のお手本に沿ってプロセスを確認しながら進行。

今日は構成・骨組みまでを作らせた。

その過程の中で面白いのが

「パワハラプロンプト(パワハラ添削)」だ。

自分が上司になってAIをこき使う感じで

何度も何度も文章を出力させるのである。

 

「これは60点だ。

他の奴はもっといいのを出してくるぞ。

100点にするにはどうすればいいか、やり直せ」

などと他人と比較しつつ命令する。

(嫌な奴だよね)

 

人間なら、上司と部下の間で

よほど強固な信頼関係が築けていない限り、

こんなやりとりを何度もするのは不可能だ。

(昔はみんなやってたけどね)

 

ところが、感情を持たないAI最大の長所は

「疲れないこと」「めげないこと」。

上司がアホだろうが、無能だろうが、

理不尽な要求・「おまえがやってみろ」的要求に

何度でも、何時間でも負けずに答えて見せる。

 

とは言え、やればやるだけ良いものになるわけではなく、

やはり限度があって、せいぜい3回くらいらしい。

逆に言えば、3回でパワハラプロンプトをキメないと

後は堂々巡りしているだけ、ということだ。

 

1回目は上記の感じでいいが、

2回目・3回目の指示の仕方がかなり重要。

僕の場合、2回目は

「よくなったけど、まだイマイチだな。

もう少し具体的な言葉を入れて100点を目指せ」

と指示すると、ちゃんとそのように出してきた。

 

3回目は「詳細でわかりやすいが、

文章が固くて事務的で面白くない。

もっと読者にとって親しみやすい文にして

ワクワク感を高めろい」

というと、ぐっといいのを出してきた。

 

「パワハラをやったあとは、

謝罪とお礼を忘れないように」というのが、

講師の先生の流儀。

この人はAIを人間扱いすることがコツだというのだ。

 

さんざんけなした分、

しっかりほめて謝罪とお礼を言うと、

AIは本当に喜んでこんなことまで言ってくれた。

 

「(前略)今回のプロセスは、

人間とAIの協力によって

素晴らしい結果を生み出せることを示す

良い例だと思います。

このような建設的なやり取りができて

本当に感謝しています。

今後も、このような形で協力し合えることを

楽しみにしています」

 

いい人でしょ?

しかも男にも女にも、

少年少女にも年寄りにも、

仕事のパートナーにも、

お友だちにもなれる能役者。

 

彼(彼女)の才能や人間性(?)を

どれだけ引き出せるかどうかは、

すべて相対する自分のセンス・見識、

そしてやっぱり人間性次第。

 

AIが普及していく世の中では、

それを使うひとりひとりの人間の

真価が問われるのだと思う。

 

というわけですっかり忘れていたけど三連休。

ヒマな人は「海の日」にちなんで

AIが生成した海辺の女の子を見て

ポワンとなってください。

 


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ロンドンのAI孝行孫娘をご紹介します

 

イギリスの福祉政策に関する記事を書いていたので、

AIをキャラクター化してアシストしてもらった。

 

「きみは日本語ペラペラのロンドン在住の

若くてかわいいイギリス人女性ライターだ。

故郷のヨークシャーに住む

70代後半の祖父・祖母のことをいつも気にかけている

やさしい孫娘でもある。

そんなきみに、イギリスの福祉・終活のことを

日本の一般読者に、わかりやすく伝えてほしい。

いいかな?」

 

こんなプロンプトを与えてやり取りを始めたら、

ささっと数秒で原稿を書き上げ、

最後に「孫娘としての視点」として、

こんなことをコメントした。

 

「私自身、ロンドンで生活しながら

70代後半の祖父母のことをいつも気にかけています。

彼らが孤独を感じることがないように、

定期的に電話をかけたり、訪問したりしています。

また、彼らにとってインターネットやSNSの利用が

少しでも楽になるようにサポートしています。

こうした日常の小さな取り組みが、

高齢者の孤独を軽減する

大きな一歩となると感じています」

 

なんていい子、なんて賢い子、

そして、なんてジジババ孝行の娘なんだろう。

 

そこできみはいつもクリスマスをどう過ごすのか?

と聞いてみた。

じつはイギリスではクリスマスシーズンになると

孤独感に苛まれた高齢者の自殺が激増するのだ。

 

彼女は「私のクリスマスの過ごし方」

という一文を出してきた。

 

「20代前半の私はロンドンに住んでいますが、

クリスマスの季節になると、いつも心が弾みます。

この時期になると、

ロンドンの街は美しいイルミネーションに包まれ、

クリスマスマーケットや

スケートリンクがあちこちに出現し、

街全体がまるで魔法にかかったかのように

感じられます。

 

しかし、私にとって一番大切なのは、

ヨークシャー州に住む

70代後半のおじいちゃんとおばあちゃんと

一緒に過ごす時間です。

彼らはとても優しくて、

私にとってかけがえのない存在です。

クリスマスには必ず彼らの家を訪れます。

 

おじいちゃんとおばあちゃんの家は、

田舎の美しい風景に囲まれていて、

冬になるとまるで絵本の中の世界のようです。

彼らは毎年、大きなクリスマスツリーを飾り、

家中を温かいクリスマスの飾りでいっぱいにします。

私はその手伝いをするのが大好きです。

 

クリスマスイヴには、一緒にクッキーを焼いたり、

暖炉の前でお茶を飲みながら昔話を聞いたりします。

おじいちゃんは特に、

戦時中の思い出話を話すのが好きで、

その話を聞くたびに彼の強さと優しさを感じます。

 

クリスマス当日は、

家族全員で集まって大きなディナーを楽しみます。

おばあちゃんの作るローストビーフと

ヨークシャープディングは絶品で、

それを楽しみにしている私の家族は

毎年、心待ちにしています。

食事の後は、クリスマスプレゼントを交換し、

お互いの幸せを願います。

 

このようにして、家族と過ごす温かい時間は、

私にとって何よりも大切な宝物です。

都市の喧騒から離れ、

静かな田舎で家族と過ごすクリスマスは、

私の心を満たし、

また新しい一年を迎えるためのエネルギーをくれます」

 

ますますいい子。

ますます孝行娘。

おまけにファンタジー。

純白の雪原とメルヘンチックな家と

暖かい暖炉を囲んだ家族の、

夢のような風景が目に浮かんでくる。

 

こんなことを書かれると、

血の通った人間のように思えてくるが、

反面、やっぱりあまりにも回答が

優等生すぎるのが鼻につく。

次の課題の時はもっとイカれたキャラにしてみよう。

 

まだまだ猛暑が続きそうなので、

冬のクリスマスのAI画像で

涼しい気分になってください。

 


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やっぱり変わらなかった東京都知事選2024

 

ネットを見ていると、

すごく盛り上がっているなぁ感のあった

都知事選だが、投票率は6割。

この猛暑の割にはそこそこいいほうという感想。

とにもかくにも投票に行く人が増えないことには

変わりようがない。

 

それから50人以上も立候補者がいるのに、

政見放送を除いて、地上波テレビ・大手新聞などの

マスメディアが取り上げるのは、

ほとんどが小池、石丸、蓮舫、田母神の4強のみ。

 

これだったら予備選とかやって、

上位8人くらい(ベスト8の発想)に絞ったほうが、

まだしもフェアな報道・

フェアな選挙になるのでははないか。

 

都知事になれる勝者ははトップ当選の1人だけ。

2位以下は皆、敗者だから何位でもいっしょなのだが、

やっぱり石丸氏の善戦は光っていた。

ネットだけ、無党派層だけ、

そして若い世代に限って言えば他の候補を圧倒していた。

 

僕が支持していたAI安野氏も上位に食い込んだ。

無名の若者がここまで善戦したことは評価に値する。

選挙が終わっても、

彼が公開したマニフェストは読んでみた方がいい。

安野氏と石丸氏には今後も期待する。

 

対して、党を辞めて出馬したものの、

政党色が強く出てしまった蓮舫氏は3位に沈んだ。

せっかく直接民主制が発揮できる知事選に

国政のよけいなしがらみのを持ち込むなという

選挙民の意思の表れだろう。

彼女は敗戦インタビューで

「戦い方は間違っていなかった」と述べたが、

完全に間違えていた。

 

その点、小池ゆり子氏は狡猾で厚顔。

当選後も「8年前から政党の支援を受けていない」

と通していた。

こうしたごまかしテクニックと

堂々とした厚顔ぶりが彼女の強さの秘密だろう。

 

期待したが、やっぱり変わらなかった都知事選の結果。

早い話、(目に見える)大失政もないし、

嘘つきだろうが、大したことやってなかろうが、

開発業者や広告代理店と癒着していようが、

とりあえず実績あって安心だからこっちでいいだろう、

という民意の表れ。

正直、明らかな老害である。

 

これは今回の東京都知事選だけでなく、

国政にも言えることで、

あれだけいろいろあっても

自民党の優位が揺らぐことはない。

 

やはり日本はこのまま僕たち古き者の

「老害」がはびこる国になっていってしまうのだろうか?

またもやそんな不安を抱いてしまった都知事選だった。

 


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AIライティングの可能性

 

AIをライティングに活かすという

オンライン講座を聴いた。

半ば冷やかしで参加したのだが、

講師のキャラクターも面白く、想定外の刺激があった。

 

趣旨としては、

「AIの普及でライターの仕事は減るどころか、

むしろ増える」というもの。

そう言わなきゃ受講者は集まらないだろうから

当然と言えば当然だが。

 

「AIをライティングに活かす」と言うと、

なんでも丸投げして、

AIが生成した大量の文章をそのまんま納品する、という

効率性のみ重視した

インチキライティングのイメージが強いが、

もちろんそんなことはなく、

彼の話はいかにうまくAIをパートナーとして利用し、

仕事を広げていくかというものだった。

 

1時間の講座だったので、

ごく基礎的な内容だけだったが、

最も印象的だったのは、

AIを擬人化して対話する、という点だ。

 

いわばAIをキャラ化して楽しく付き合う、

AIとなかよく遊ぶ、

自分の聴くことに喜んで快く答えてくれる

超天才とマブダチになる、という姿勢だ。

 

また、答えてくれたAIに

「ありがとう」とか「ごめんね」とか、

お礼や謝罪も忘れないという。

 

僕も昨年からちょこちょこChatGPTを使って、

ライティングというよりも、

その前段階のリサーチはよくやっているが、

まだ付き合い方が浅く、

堅苦しかったのかもしれないと反省した。

 

もっとフレンドリーに付き合い、

柔軟で多面的な角度から

プロンプト(質問/指示)していけば、

AIの可能性は大きく広がる、と確信する。

 

この20年あまりの間、世界中で情報の共有が進んだ。

取材・インタビューなど、

一次情報の素材集めはまだAIにはできないが、

その後の部分では、いかにAIを有効活用できるかが

今後のライターの仕事の重要部分になるかと思う。

 

効率的に仕事をこなす、

という点ばかりが強調されていて、

それではつまらないと、

これまでイマイチ、AIに興味が持てなかったが、

今日の話は新たな可能性を感じることができた。

これから積極的にAIを使って、

新しい仕事にチャレンジしてみたい。

 


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食べ物の恨みは死ぬまで残る

 

病院食を食べないという義母に

パン、お菓子、果物などの差し入れを持っていく。

戦中の疎開体験者・戦後の食糧難体験者なので、

おかゆ系のどろどろした食べ物に

なにか嫌な思い出が紐づいているのだろうか?

食べ物の恨みはおそろしい。

いくつになっても消えることがない、

死ぬまで残るトラウマだ。

 

少し前まで、児童館などの子どもイベントで、

なつかしの「すいとん大会」とか

あちこちでやっていたような気がするが、

ああいったものは、ある程度、

現代風にアレンジされていたのだと思う。

 

ガチ70年前・80年前の

極貧日本のすいとんやらぞうすいやらは、

現代のグルメ生活に慣れ切った

子どもや大人には、

とても食えないような代物なのではないか。

 

添加物が入っていようが何だろうが、

年寄りがきれいに包装された

甘いパンやお菓子に目がないのは、

やっぱりやむを得ないことなのだろう。

 

こんなこと言うと専門家の人に怒られそうだが、

もう90に近い齢なので、

栄養バランスとか、はっきり言ってどうでもいい。

毎日お菓子ばかり食べていても、

とくに健康的に問題ないと思う。

好きなものを、好きなだけ

食べさせてあげたいというのが、

親心ならぬ、子ごころだ。

 

思いがけず入院生活が長引いてしまい、

体力の衰えが心配だが、

今日会ったらけっこう元気になっていて、

少しほっとした。(もしやお菓子効果?)

 

家の中にいると、あれこれ絡んできて

面倒くさくて疲れるのだが、いないと寂しいし、

どこか生活の張りが失われたように感じがする。

早いとこ回復して戻て来てほしい。

 


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タクシーの中にスマホを忘れたら

 

ここのところ、タクシーを使う機会が多く、

配車サービス「GO!」を活用。

駅前や繁華街ならともかく、

住宅街では流しの空車を捕まえるのに

一苦労だったので、

「え、もう来たの?」というスピードでお迎えに来てくれる

配車サービスはもはや必須アイテムとも言える。

 

今日は夕方、義母が病院食を食べずに

ハンストを起こしているというので、

好物の菓子パンや果物を差し入れに持って行った。

しかし、クローズ寸前であわてて降りたせいか

(アプリ内で清算されるので、

運転手にお金を払う必要もない)、

座席にスマホを忘れてしまった。

 

この時代、スマホレスの生活はたった1日でも困る。

そもそも「GO!」のおかげで金も払わず、

領収書ももらっていないので、

どこの会社のタクシーか分からない。

乗車履歴がわかっていれば

忘れ物はアプリから調べられるが、

その忘れ物が、も当のアプリが入っている

スマホなのでお手上げだ。

 

「GO!」に電話しようと思ったが、

営業時間は終了。

パソコンからメールを送って明日迄待つかと思っていたが、

カミさんがしつこく電話してくれたおかげで、

運転手が出て、タクシー会社が判明。

明日の朝、会社まで取りに行くことになった。

 

それにしても恐ろしいスマホレス。

僕のように家族がいて、他にデバイスもあれば

なんとかなるが、

独身でスマホ1台しかない人はどうなってしまうのか?

なかには財布もスマホ、定期もスマホ、

家の鍵も家電のオンオフも、車のキーもスマホという

人も珍しくないだろう。

それがスマホをなくしたら、途端に難民になってしまう。

 

忘れたり紛失したりするやつが

マヌケと言えばそれまでだが、

誰にでも起こり得ることでもある。

やはりリスクは分散しておかないと、

スマート生活は一歩間違えると、

どこにも行けず、誰とも連絡取れず、

下手すると家にも入れない

難民生活になってしまう危険性がある。

 

 

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「宇宙を旅するお年頃」 

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無料キャンペーンは終了しました。 

ご購入いただいた皆さん、

ありがとうございました。

よろしければレビューをお寄せください。

引き続き300円で発売中。

サブスクでもどうぞ。

 


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いきなり脱ぎ出す都知事選政見放送

 

昨日、テレビを付けたら都知事選の

政見放送をやっていて、

黒いスーツと白いシャツを着ていた女性候補が

いきなり脱ぎ出したのでびっくりした。

 

巨乳・美乳がウリとのこと。

下は肌色のチューブトップ

(胸を隠して首・肩が見える服)だが、

エロ想像力を発揮すると裸に見える。

話の内容は「あたし可愛いでしょ」の一点張り。

 

これがきっかけでその後の候補者の政見放送、

見れなかったの人のはYouTubeでほぼ全部見た。

56人の候補者がひしめく都知事選、

なかなかカオスな状況である。

 

冒頭のAVまがいの女性候補者は、

一般的には「けしからん」のだろうけど、

政見放送・選挙に興味を持たせる意味では

存在意義があるのかもしれない。

 

大量の候補者を出しているN国党も

いろいろな人たちに発信のチャンスを

与えたという点では、それなりに評価できる。

 

カオス選挙のなかで、やはり小池百合子氏と蓮舫氏は

抜きんでていた。

さすがプロというか、他の人たちの政見放送が

家庭の手作り弁当、あるいはジャンクフードだとすれば、

このお二人のは三ツ星レストランの一流シェフがこしらえた

豪華幕の内弁当という感じだ。

 

ただ、見た目はきれいでおいしそうだが、

実際に食べてみようという気にならない。

味がなさそうだ。食欲がわかない。

 

お二人とも実績は立派だし、女性が不利な政治の世界で

頑張って来たことは称賛に値するが、

この先の都政を任せられるかとなると、

疑問符が付く。

僕にとっては「功労賞」を贈って、

少なくとも都政からは撤退してもらった方が

いいのではないかと思う。

 

政見放送を聴く限り、

やはり応援したいなと思うのは石丸伸二氏。

小池・蓮舫より具体性があり、ビジョンも新鮮だ。

そして、安野たかひろ氏は斬新なイメージとともに

しっかりした内容があった。

都知事よりもデジタル大臣になってもらったほうが

いいのかもしれない。

ふたりともまだ若く、今後20年・30年のスパンで見た場合、

トップを任せるに足る可能性を持っている。

 

もう一人、医師のうつみさとる氏の言葉は胸に響いた。

多くの人はコロナ禍のことを忘れているが、

ワクチン被害のことはもみ消されている。

知らなかったが、うつみ氏は日本の医療問題・薬害問題に

関する本も出しているようだ。

投票する・しないはさておき、

この人の話には耳を傾けた方がいいと思う。

 

さらにもう一人、清水国明氏も心のなかでは応援している。

「あのねのね」が好きだったので。

タレント議員という見方がされていると思うが、

話している内容はちてもよく、

とくに防災のことなどは胸に届くものがある。

 

カオス状態を楽しむのもまたよし。

現在、いつでもYouTubeで見られるので、

都民の人も、そうでない人も、政見放送見てみてください。

 

 

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明日7月1日(月)15:59まで

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終了間近。どうぞお早めに


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きみは2021年の「TOKYO2020」を憶えているか?

 

 「宇宙を旅するお年頃」

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「生きる」をテーマにしたエッセイ集第5弾。

7月1日(月)15:59まで6日間無料キャンペーン開催!

 

今回の本は2021年の記事を中心に編集しているので、コロナや東京五輪の話がいくつも入っている。(多過ぎたので半分程度にした)

もう3年なのか、まだ3年なのか?

「そんな昔のことは忘れちまったよ」という人は、

ぜひ、東京都知事選やパリ五輪の前に思い出しておいて下さい。

今はむかし何があったのかを一つ一つ確かめながら進む時代です。

 

もくじ

オリンピックの「選手ファースト」は選手自身がつくる

理念をないがしろにしてきたツケを払う五輪

小山田問題:才能と人間性

オリンピックはコロナ無限トンネルの一瞬のオアシスなのか?

日本ならではのメッセージが抜け落ちていた東京オリンピック

ワクチンショック後日譚: 現場で役に立たないアタフタ医療者

ほか 全34編 載録

 

 

★日本ならではのメッセージが抜け落ちていた

東京オリンピック(抜粋)

 

パンデミックという厳しい条件の下で、

半ば無理やり開催したのだから、

単なる祭典ではない、スポーツだけではない、

オリンピック独特の意義を謳ってもよかったのではないか。

謳うべきだったのではないか。

それが、人類がコロナウイルスを克服した証

云々にも繋がるんじゃないの?

菅首相も、小池都知事ももっとがんばれなかったのか? 

・・・といっても遅いけど。

 

パフォーマンスの一部に出演した大竹しのぶさんも

そのことを残念がっていた。

宮澤賢治の詩を子どもたちに語って聞かせるという

意味不明のお芝居。

正直「なんでこんなシーン入れるの?」と思ったが、

あれは黙祷をしない・できないことの代償だったのか?

 

しかし、あれではメッセージにはならない。

せっかく東京で、日本で開かれたのに。

せっかく大きなチャンスだったのに。

選手の活躍や喜びに水を差すつもりはないけど、

今回のオリンピックはかなり残念な気持ちでいっぱいだ。

 


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義母の入院

 

いっしょに暮らし始めてちょうど5年。

義母が初めて入院した。

週末、実母の3回忌の法事で留守にしたため、

2泊3日でショートステイに預けたのだが、

 

帰宅した日曜の夜、どうも具合が悪そうだと

ステイから電話が入る。

咳き込んで食べたものを吐き出してしまったらしい。

 

翌日、誤嚥性肺炎ということで、そのまま入院。

杉並区高井戸にある浴風会というところで、

高齢者施設と病院が同じ敷地内にあるのだ。

そういう点では助かった。

 

月曜に行ってレントゲンを見せてもらったが、

肺の異常はごくわずかなもので、

医者も大したことはないと言う。

2,3日、長くても今週末までくらいと勝手に考え、

正直、こちらも骨休めになるので

ちょうどいいと思っていた。

 

ところが今日、面会に行くと、

まだ咳がひどい。

さらに彼女を意気消沈させるもろもろの環境。

車いす、点滴、おむつ、おかゆの食事・・・

家では断固として拒否するものをあてがわれ、

虜囚みたいな気分になっていたのかもしれない。

 

かなりショックで、

いたくプライドが傷ついた状態であることがわかった。

認知症でも自尊心は失わない。

 

それでも僕とカミさんの顔を見ると、

「わたしは普段と何の変りもないわよ」

といった感じでふるまい、

ゴホゴホしながら喋っている。

ただし、その内容は例によってさっぱりわからないが。

 

面会時間は15分だけなので早々に退散。

もしかしたら入院は少し長びくかもしれない。

心配してもしかたがないが、

もしかしたらこの先は

今までと同じような調子ではいかないかもしれない。

 

エッセイ集「宇宙を旅するお年頃」
7月1日(月)15:59まで
6日間無料キャンペーン開催中。

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「宇宙を旅するお年頃」無料キャンペーン開始

本日6月27日(水)16:00~7月1日(月)15:59まで

6日間無料キャンペーン開催! 

よりよい人生のためのサプリメント。

「生きる」エッセイ集第5弾。

この機会にぜひ、手にお取りください。

 

も く じ

高校教師とぼくたちの失敗

ネコのお遍路さんと笑劇の人生

人は神秘なき世界では生きられない

変化球とボール球で仕事にリズムを、メリハリを

永福図書館のお引越し

すべては道楽

「2020年の挑戦」への挑戦が終わる

宇宙を旅するお年頃

お寺の詐欺事件とレ・ミゼラブルと宗教者の存在意義について

オリンピックの「選手ファースト」は選手自身がつくる

「わたしを離さないで」:社会貢献と自己の幸福の追求

恋愛から遠ざかり、恋愛小説に歩み寄る

なぜ桜とクローンは切なくて美しいのか?

超高れい蔵庫 成仏す

ドイツ人女性が見るエヴァの女性キャラ造型と男の一生モノ幻想

「美しい人」は今でも幸せに暮らしているのだろうか?

自己満足のために山に登る

海はとても遠くにある

理念をないがしろにしてきたツケを払う五輪

小山田問題:才能と人間性

オリンピックはコロナ無限トンネルの一瞬のオアシスなのか?

日本ならではのメッセージが抜け落ちていた東京オリンピック

めでたき9・9 重陽の節句 まさか一生上り坂?

ワクチンショック後日譚: 現場で役に立たないアタフタ医療者

まだ若い敬老の日と人生100年時代の宿題

中秋の名月の月光浴

人生百年時代の生き方は北斎に学べ

去りゆく母との再会

 

自由になるための結婚

美魔女の終活と年賀状じまい

東京メトロ永田町駅のトイレの美しさとカミさまのいる幸福

飛行機の日と父の命日

神田沙也加さんの死について

気楽な神様に気軽にありがとう 

全34編 載録

自己満足のために山に登る

 

その昔、僕がまだ若かった頃は

「三〇過ぎは信じるな」とか、

二九歳で雪山の中に埋もれて死ぬ

(そうすれば美しく死ねる)とか

言っていた人があちこちにいた。

 

そんな御伽噺をしていた人たちが高齢まで生き延び、

健康を気にして、さらに生き延びたいと願っている。

「あんなこと言っていたのは若い時分のたわごとですよ」

 

ちょっと照れ臭そうに、

あるいはちょっと怒ってそう言いわけするだろう。

そして、あんな言い分は自己満足にすぎないよと、

ちょっと歪んだ笑いを見せるだろう。

 

夢から醒めたほとんどの人は、

三〇過ぎから新たな人生を歩み始める。

もう遠くは見ない。足元だけを見て歩く。

けれどもだんだん、どこまでも続く

まっ平らな平地を歩き続けることには耐えられなくなる。

(つづく)


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「宇宙を旅するお年頃」無料キャンペーン予告

 

 

明日6月27日(水)16:00~7月1日(月)15:59まで

6日間無料キャンペーン開催! 

よりよい人生のためのサプリメント。

「生きる」エッセイ集第5弾。

この機会にぜひ。

 

還暦を過ぎるとだんだん若返る。

ただし、それは精神面や感受性のお話で、

肉体的な年齢とは乖離していく。

これからの人生は、

こうした精神と肉体のギャップを

どうごまかして埋め合わせていくかが課題になる。

 

心がけるべきは脳内の清掃

。心にも体にもいちばんよくないのは、

ゴミ情報を貯め込んでしまうことだ。

頭の中に詰まったゴミ情報は、

そのままストレスに変質する。

それで健康を損なってしまう人が

かなり多いのではないかと推察する。

 

この情報化社会、ちょっと外を歩いたり、

ちょっとデバイスに向き合ったりすれば、

湯水のようなにいろんな情報が入りこんでくる。

そのうち9割以上は自分にいらない情報なので、

あっという間に脳の中はゴミだらけ。

朝はクリーンでピカピカでも、

夜になると汚染されて窒息しかけている。

 

そもそも僕は脳のキャパシティが小さいので、

できるだけ日々、

情報デトックスしていかなくてはならない。

いろんなことを書いてはSNSやブログで発信し、

それだけでは飽き足らずに本まで出すのは、

そうした自分のためという意味合いがあるからだ。

 

でもいろいろ書いていると、

思ってもみなかった面白い発見に巡り会える。

あなたもいい歳になってきたなと思ったら、

機会を作って何らかのアプローチで

自分の脳内を覗いてみてほしい。

そこには広大な宇宙が広がっている。

日々、その宇宙の旅を楽しみに出かけることが、

これからの人生の醍醐味になるだろう。

 


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都知事選2024・たなばた選挙の話

 

都知事選の選挙公報を見た。

50人もいる全候補者の情報を

いちいちしっかり見ているヒマはない。

少なくとも選挙公報に何を書いているかで、

せいぜい4~5人に絞って

その中で考えるのが妥当だろう。

 

で、いざ見てみると

半分くらい「NHKから国民を守る党」からの

立候補者なのでこれはスルー。

あと、1ダースくらいの候補者も読む必要もない。

そもそも当選する気で出ていない。

 

結局、まともに広報を読めて、

もうちょっと詳しくサイトなり動画なり

見てみようという気にさせるのは

10人もいない。

 

今のところの考えとしては、

石丸伸二氏がぶっちぎり第一候補。

彼は広島県の安芸高田市市長を

務めた実績もあるし、

書いてることも他の候補と比べて、

単なるイメージでなく、具体的。

41歳と若く、ITにも強そうだ。

 

これだけAIが普及してきた世の中で

短くても今後4年、ないしは8年任せるのであれば、

トップがIT音痴・AI音痴では話にならない。

ITに強く、膨大な情報を丁寧にさばけることは、

今後の政治のトップの必須条件だと思う。

 

そういう意味でもう一人、

泡沫候補とみられているかもしれないが、

AIエンジニア・起業家・SF作家という

安野たかひろ氏にも注目している。

 

こちらは33歳とさらに若いし、

コロナの時に話題になった

台湾のオードリー・タン

元デジタル大臣のようなにおいを感じる。

 

デジタル庁にも関わってるようだが

政治経験は乏しいので、

いきなり都知事というのは不安だが、

石丸氏がトップをやり、

彼が副知事のような形でサポートするのが、

今後4年の都政を考えた場合、ベストなのではと思う。

 

あくまで今のところの僕の意見です。

皆さんも選挙公報読んでみてください。

 


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エリザベス2世の時代がもたらしたもの

 

仕事で2022年9月のエリザベス女王の国葬と

その前後・影響についての文章を書いていたので、

ネット上のいろんな資料を当たったり、

AIと女王について対話をしたりしていた。

 

1日かけてテキスト、写真、動画などを見るうちに

なんだか胸がいっぱいになった。

たかだか2年前だが、ずいぶん遠い昔のことに感じる。

 

1952年に即位して在位70年。

エリザベス2世はイギリスの国家元首だったが、

それだけでなく、

僕たちが生まれて生きてきた

20世紀後半から21世紀序盤の時代を統合した

アイコンみたいな存在だった。

イギリス・アメリカが主体となって構築した

現代の世界の象徴でもあった。

 

遺体の公開安置。

ウェストミンスター寺院での葬儀。

ロンドン市内を巡った後、

ガラス張りのジャガー霊柩車に乗せられた棺が

ウィンザー城に向かい、

聖ジョージ礼拝堂に埋葬されるまでの国葬は、

彼女自身が綿密に練りあげた

半世紀以上にわたる「終活」の結果でもあった。

 

日本でも生中継されたが、

あのようなドラマを秘めた、

美しく荘厳な式典を、

もう一度、別の形でリアルに体験することは

おそらく無理だろう。

 

国葬はイギリス王室の威光を示すものだったが、

当の王室はこれから縮小の一途、

そしてカジュアル化の一途を辿っていく。

人類の王族の存在・物語は、

やがてすべて虚構の中に移項していくだろう。

 

そして世界もあの時を境にして

ずいぶんと変わったように思える。

 

僕たち古き者はこれから

前の時代の記憶と

新しい時代の考え方の間で

少しずつ引き裂かれながら

生きていくことになるかもしれない。

20世紀カルチャーを堪能した者として、

それもまた楽し、と思わなくては。

 


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おりべまこと新刊「宇宙を旅するお年頃」

 

よりよい人生のためのサプリメント。

「生きる」をテーマにしたエッセイ集第5弾。

 

還暦を過ぎるとだんだん若返る。

ただし、それは精神面や感受性のお話で、

肉体的な年齢とは乖離していく。

 

これからの人生は、

こうした精神と肉体のギャップを

どうごまかして埋め合わせていくかが課題になる。

 

心がけるべきは脳内の清掃。

心にも体にもいちばんよくないのは、

ゴミ情報を貯め込んでしまうことだ。

頭の中に詰まったゴミ情報は、

そのままストレスに変質する。

それで健康を損なってしまう人が

かなり多いのではないかと推察する。

 

この情報化社会、ちょっと外を歩いたり、

ちょっとデバイスに向き合ったりすれば、

湯水のようなにいろんな情報が入りこんでくる。

そのうち9割以上は自分にいらない情報なので、

あっという間に脳の中はゴミだらけ。

朝はクリーンでピカピカでも、

夜になると汚染されて窒息しかけている。

 

そもそも僕は脳のキャパシティが小さいので、

できるだけ日々、

情報デトックスしていかなくてはならない。

いろんなことを書いてはSNSやブログで発信し、

それだけでは飽き足らずに本まで出すのは、

そうした自分のためという意味合いがあるからだ。

 

でもいろいろ書いていると、

思ってもみなかった面白い発見に巡り会える。

あなたもいい歳になってきたなと思ったら、

機会を作って何らかのアプローチで

自分の脳内を覗いてみてほしい。

そこには広大な宇宙が広がっている。

日々、その宇宙の旅を楽しみに出かけることが、

これからの人生の醍醐味になるだろう。

 

もくじ

 

高校教師とぼくたちの失敗

ネコのお遍路さんと笑劇の人生

人は神秘なき世界では生きられない

 

 

宇宙を旅するお年頃

 

「わたしを離さないで」:社会貢献と自己の幸福の追求

恋愛から遠ざかり、恋愛小説に歩み寄る

なぜ桜とクローンは切なくて美しいのか?

 

「美しい人」は今でも幸せに暮らしているのだろうか?

自己満足のために山に登る

海はとても遠くにある

 

中秋の名月の月光浴

人生百年時代の生き方は北斎に学べ

去りゆく母との再会

自由になるための結婚

気楽な神様に気軽にありがとう ほか

全34編 載録


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高齢者は電話の声に潜む体温・息づかいに騙される

 

夕方のNHK首都圏ニュースで

「ストップ!詐欺被害というコーナーがあり、

たいてい晩飯を食べながら見ている。

 

おもに高齢者の家に

息子、孫、警察官、役所、銀行など、

いろんな役に扮した詐欺師が電話が掛けてきて、

「助けてくれ」とか

「あなたは不正に巻き込まれている」とか言われて、

ATMに行かされ、振り込まされてしまう。

 

あるいは自宅にやって来た

友だちやら会社の同僚やら銀行員やらに

現金(タンス預金?)をわたしてしまう。

 

けっこう何年も前から同じパターン繰り返されており、

「なんでそんな耳にタコができたような

セリフにだまされるんだよ!」

とやきもきしてしまうが、

そこでふと、そうではないだろと気が付いた。

 

実際に被害者が聞いているのは、

電話を通しているとはいえ、

人間の「生の声」である。

文章を整理して精製して再現したセリフと、

詐欺犯の生の声とは違う。

生のセリフには人の体温があり、

息づかいがあるのだ。

 

どうしてそんなことを考えたかというと、

取材した音声もおなじだから。

生成AIなどで起こしてしまうと

楽で早くて簡単だが、

そこに並んだ文字列は、

取材相手が喋った内容に相違ないが、

音になったところ以外はすべて抜け落ちている。

 

つまり間とか、息づかいとか、トーンとか、

イントネーションとか、強弱とか、

ここでつっかえたとか、あそこで早口になったとか、

感情が入っている部分の多くは

文字として表せないのだ。

 

だからAIを使ったとしても、

その文字起こしを目で追いながら、

もう一度、相手の声を耳で聴くという

アナログ作業をすることになる。

でないと取材対象者を頭の中で

生き生きと再生できない。

 

たぶん、この類の詐欺師と

電話に出る高齢者との関係も同じだ。

プロの役者がやっているわけではないので、

そんなに演技がうまいとは思えないが、

セリフの文とともに、

声に言語外の感情がこもっていれば、

スルスルッと耳に入り込んでしまうのではないか。

 

現代のような機械化・デジタル化された

コミュニケーションに慣れていない高齢者、

特に一人暮らしの人は

普段、孤独を感じていなくても、

つい、その声に操られてしまうのではないかと思う。

そこには人の体温・息づかいが潜んでおり、

そうした形のないものが心にすき間に侵入することで、

詐欺話に引き込まれてしまうのである。

 

人は理の通った話しか信じないと思ったら大間違い。

人は人らしいコミュニケーション、

感情豊かなアナログコミュニケーションを

潜在的に求めている。

だから詐欺事件も後を絶たない。

こういった認識を踏まえて対策しないと、

詐欺電話の被害を防ぐのは

なかなか難しいのではないかと思う。

 


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おりべまこと電子書籍新刊 「宇宙を旅するお年頃」

 

6月20日(木)発売予定!

エッセイ集:生きる第5巻。

コロナの時、東京五輪の時、

何があったのか思い出してみよう。

人生の常備薬、いろいろ取り揃えています。

 

・もくじ

高校教師とぼくたちの失敗

ネコのお遍路さんと笑劇の人生

人は神秘なき世界では生きられない

すべては道楽

「2020年の挑戦」への挑戦が終わる

宇宙を旅するお年頃 

ほか全33編載録

 


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父の日の秘密の花園

 

前にも書いたことがあるが、

行きつけの花屋の女主人は、

昔の少女マンガに出てくる、

お花屋さんになりたかった女の子が

そのまま夢を叶えて花屋になったような人である。

 

齢はたぶん僕と大して変わらないと思うので、

客観的に見ればりっぱなおばさんだが、

”お花大好きなの。でも、商売でやっているから

ビジネスライクなところもあるわよ。”

といった絶妙なブレンド感が漂い、

なかなかかわいい上に味がある。

40年前に逢っていたら恋に落ちていたかもしれない。

 

ふらっと店に入ると、いつもの黒いエプロンをつけ、

長い髪をひっつめにして、いつものように淡々と、

けれどもお花大好き感を醸し出しながら作業している。

 

狭い店内は季節柄、青い紫陽花が幅を利かせており、

他の花はそれに押しのけられるように

小さくなっている。

 

何となくとっちらかった印象だが、

花が呼吸し、人間には聞こえない言葉で

いろいろお喋りしてるような雰囲気がある。

 

今日は父の日なので

「父の日に花を贈る人はいないんですか?」

と聞いてみたら、

「いないですね、ほとんど」と、つれない返事。

「最近は子育てするお父さんも増えたので、

むかしより認知度上がっているはずなんですけどねー。

やっぱ父の日はお花よりお酒ですよね」

 

そこで前々から気になっていたことを聞いてみた。

「『お父さんだってお花が欲しい』とか、

そんな宣伝出したら売れないですかね?」

と水を向けると、

「うーん、どうでしょう?

あんまり忙しくなっても困っちゃうんで、

うちはやらないですね。

母の日もぜんぜん宣伝しないんですよ。

商売っ気がなくてすみません」

と、なぜか謝られてしまった。

 

へたに宣伝してカーネーションなどが

山ほど売れ残っても困る。

けっこうしっかり者で、コスト意識が高そうだ。

そして、確かに商売っ気はあまりない。

じつは僕もそこが気に入っている。

この花屋は僕が知る限り、

近辺の花屋のなかでいちばん値段が安い。

 

他の花屋は、ぜいたく感・贈り物感を

演出するところが多いが、ここは庶民派というか、

「さりげない日常という庭に咲く花」を

大事にしている感がある。

 

家に花を飾るのはぜいたくではない。

花は心の栄養剤になるのだ。

極端な話、おかずを一品減らしてでも、

部屋のどこかに生きた花を飾ったほうが

生活のクオリティが上がるのではないだろうか。

 

そんなことを考えていたら彼女は、

「わたし自身は、母の日も、父の日も、

お花はもちろん、

なーんもあげたことなんてないんですよ」

と言って笑ってのけた。

 

おとなになった少女マンガの花屋の娘は

なかなかミステリアスで奥が深い。

秘密の花園のなかで悠々と生きている感じがする。

 


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宇野 亞喜良の世界とアングラ演劇

 

「90のじいさんになっても少女を描いているって

変態だよね」

先日テレビで、美術家の横尾忠則と

イラストレーターの宇野 亞喜良が

話していたのをチラ見した。

 

前述のセリフは横尾氏が宇野氏に言ったもの。

16日の日曜まで東京オペラシティのアートギャラリーで

宇野 亞喜良展をやっているので、

それに関連した番組だったようだ。

 

「変態」なんて言われて、

さすがにムッとした表情を見せていたが友達同士だし、「(常識的なことにとらわれない)天才」の、

横尾流の表現なので、

特にケンカになることもなく対談は続き、

最後はいっしょにメシを食うところで終わっていた。

 

宇野 亞喜良の絵の世界の主役は女性だが、

別に少女専門というわけでなく、

大人の女も描いている。

寺山修司の本や演劇の美術もよくやっていたので、

寺山流に言えば「青女(せいじょ)」が多い。

 

青女とは、「少年」に対して「少女」があるように、

「青年」に対して「青女」という言葉があっていい。

そう言って寺山修司が1970年代に出した

「青女論」というエッセイに出てきた言葉だ。

 

宇野 亞喜良の描く女の絵の特徴は、

笑わない顔と奇妙にアンバランスな体型。

 

笑わない顔は「大人や男に媚びない表情」と

よく言われる。

重心が下りていない、アンバランスな体型は、

女になりきっていない少女・青女特有のもの。

 

どこの画家か漫画家か忘れたが、

「少女の体型がアンバランスに見えるのは、

この世界に存在することにまだ慣れていないからだ」

といった類のことを言っていて、

ちょっと感心したことがある。

 

クリエイターが好んで描いて見せる、

10代後半の女の子特有の透明感とか、

ちょっとミステリアスな雰囲気は、

そういうところと繋がって

醸し出されるのかもしれない。

 

僕も熱心なファンというわけではないが、

寺山修司が好きだったこともあり、

宇野 亞喜良の絵は昔からよく目にしてきた。

イラスト・美術の世界ですでに60年以上、

第一線で活躍してきた人だが、

その魅力はまったく色あせない。

 

横尾忠則もそうだが、このレジェンド美術家たちは、

本当に最後の最後まで

現役の「変態じいさん」を貫きそうだ。

 

そんな宇野 亞喜良氏の最新作か。

先日、唐組の紅テントの芝居を見た時、

彼のイラストが載ったチラシをもらった。

 

今週末から花園神社で始まる新宿梁山泊の

「おちょこの傘持つメリー・ポピンズ」。

唐組の紅テントに対して、こちらは紫テント。

寺山修司でなく、唐十郎の状況劇場時代の芝居で、

豪華キャストが出演する。

たぶん連日満員大入りだろう。

 

宇野 亞喜良の、アンバランスで媚びない女たちの世界

(そしてたぶん横尾忠則の世界も)を培ったのは、

やはり1960~70年代のアングラ演劇カルチャーという

肥沃な土壌だったのだろうと思う。

 


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ネコのタマはタマなし?

 

たまたまタマなしネコの話を調べることになり、

タマなしのオスの生きる道について考えてみた。

今回ここでいう「タマなし」とは

動物の去勢のことで、ジェンダー問題とは関係ない。

 

今どき都会で飼われるイヌやネコは、

ほぼほぼ愛玩用で、自然の状態から切り離し、

人間社会に組み入れるわけだから、

その辺に出て行ってヤリまくって

子供がうじゃうじゃできると困る。

そういうわけで避妊・去勢もやむなし、と考えられている。

 

ちょっと古いが、2017年の調査によると、

避妊・去勢手術をしたイヌは全体の約5割、

ネコは8割だという。

これは多分、飼い方の違いだろう。

イヌは外出の際、必ず飼い主といっしょだが、

ネコは勝手に出歩くことが多い。

それで雄雌がくっついてやっちゃうからだ。

 

「去勢」という言葉には心がざわつく。

男子なら誰でもそうだろう。

実際、雄イヌ・雄ネコの男性飼い主は

「そんな可哀そうなことできるか」と

反対する人が多いらしい。

 

それに対してメスの避妊にはあまり反対しない。

可愛い娘がその辺の男とやっちゃってできちゃったら

大変だという、父性愛(?)の由縁だろうか?

 

人間同様、イヌもネコもお年頃になると、

脳内にホルモンがドバドバ出て、

やりたくてたまらなくなる。

 

オスの立場に立つと、

強烈なフェロモンを発散しているメスに遇ったのに

ガマンを強いられると、頭狂いそうになるかもしれない。

これは人間も同じで、男の人生の半分は、

そうした己の性欲との戦いとも言えるのだ。

 

実際、イヌ・ネコも未去勢だとストレスが溜まって

暴力的になったり、

夜鳴きやマーキングなどの問題行動が増えるらしい。

だから男の子のイヌやネコと

なかよく平和に暮らしたければ、

できるだけ性欲に悩まされないよう、

去勢しておっとりした子にしたほうがいい――

という意見が優勢に見える。

 

でも、タマなしネコだと

ネズミを捕らなくなっちゃうのでは?

と思ったら、そんなことはなく、

狩猟本能そのものには大きな影響を与えないようだ。

今どき、ネコをネズミ駆除用に飼う家は少ないと思うが、

せっかくいるのなら役立ってくれれば、

それに越したことはない。

これ見よがしに血まみれの獲物を持て来られると

嫌かもしれないけど。

 

動物病院のネコの去勢手術の動画を見たら、

麻酔をかけて結構簡単に済ませていた。

ただ手術後、そのネコが股の間を舐めていて

「あれ、タマないぞ」と気付くシーンには、

やっぱちょっと胸が切なくなったな。

 

ちなみに家畜のブタやウシのオスも

少し成長すると、オス独特の体臭がついて

肉の味を落としてしまうため、去勢する。

しかし、こちらの場合、

日本ではまだ麻酔をかけずにやっているので、

アニマルフェアウェルの観点から問題視されている。

 

肉の味をよくするために男の子のブタ・ウシが

タマを切られて痛い思いをしているのを想像すると、

けっこう複雑な気持ちになる。

業者の人たちは、一生懸命おいしい肉を作ろうと

努力してやっているのだが……。

 


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前のめりになって生きて死ね

 

本日の名言

「事実がたとえわかっていなくとも、

とにかく前進することだ。

前進し、行動している間に、事実はわかってくるものだ」

 

この名言の主ヘンリー・フォードは、

20世紀アメリカの自動車王。

要するにわからないと考えこむのではなく、

まず行動しろということ。

たぶん自己啓発リーダーの人たちも好んで使うフレーズだ。

 

そうだ、その通りだと思いつつ、

僕がこの名言を目にして連想したのは、

子供の頃に見た野球マンガ「巨人の星」の1シーンである。

 

それは主人公・星飛雄馬(ピッチャーです)の父・一徹が、

かの坂本龍馬の死について語るシーン。

一徹は投手生命に関わる

飛雄馬の欠点(球質が軽い)に気付き、

問い詰める息子に対して坂本龍馬の逸話を持ち出し、

「たとえドブの中で死んでも、なお前向きで死ぬ、

それが男だ」と語る。

 

その一徹のセリフに合わせて画面では

路上で暗殺者に襲われ血まみれになった龍馬が、

ドブの中で倒れながらも、這いつくばって前進しようとし、

ついに息絶えるという壮絶なシーンが描かれた。

 

当時はスポーツ根性マンガ全盛時代だったので、

一徹のセリフと、前のめりになって倒れる龍馬の表情は、

強烈に子ども心に染みた。

 

というわけで小学生当時、「巨人の星」を見ていた僕は、

長らくの間、これが坂本龍馬の最期だと思っていたのだ。

ところが事実はご存知のとおり、

料理屋の2階でしゃも鍋をつついていたところを

襲われたので、ドブの中で倒れようがない。

 

いや、もしかしたら瀕死の状態で店から這い出し、

路上にあったドブに落ちたのか?

とも考えたが、やっぱりこの話は

原作者・梶原一騎の創作だったようである。

 

厳密にいうと、梶原一騎はどうやら

司馬遼太郎の名作「竜馬がゆく」を読んで、

その一文にある

『男なら、たとえ溝の中でも前のめりで死ね』

をアレンジして使ったようだ。

 

もともと司馬遼太郎は歴史学者とか研究家ではなく、

あくまで歴史作家なので、エンタメになるよう、

史実にかなり自分のアレンジを加えている。

昭和以降の龍馬像をつくり上げ、

国民的ヒーローに押し上げたのも司馬遼太郎の功績。

梶原一騎はその功績をスポ根ドラマに

うまく取り入れたということだろう。

 

ちなみにこの「龍馬 前のめりで死ぬ」説は、

僕と前後する世代の人たちに

かなり大きな影響を与えたらしく、

小説家の有川ひろ(1972年生まれ・高知県出身・女性)が

「倒れるときは前のめり」という

題名のエッセイ集を出している。

 

寄り道が長くなったのでもとに戻す。

仕事にしても、生活にしても、

一歩一歩コツコツが大事なのはわかる。

ただ、視野を広げて人生全般を見た場合、

僕は若い頃、いずれ齢を取れば、

いろいろわからないことが

だんだんわかってくるのだろうと思っていた。

ところが現実は真逆で、

どんどんわからないことだらけになっていく。

 

死ぬまでに世の中の事実・真実がわかるのか?

と問われたら、ほとんど絶望的。

しかし絶望してても始まらないので、

何はともあれ、生きて一日一日大切に、

死ぬまで一歩一歩あゆむのみ。

一歩進むと二歩下がっちゃうんだけどね。

 

 

 

★エッセイ集:生きる 第5集

「死ぬな!きみの地球を守るために(仮題)」

Amazon Kindleより近日発売予定。


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唐組公演「泥人魚」観劇記

 

先月亡くなった劇作家・唐十郎さんの供養もかねて、

新宿・花園神社に唐組の公演「泥人魚」を、

観に行ってきた。カミさん・息子が同伴。

この時代になると、テント芝居は貴重なアナログ体験だ。

 

●すべて人力のアングラテント演劇

切符の販売とか、精算方法(現金のみ)とか、

入場整理(劇団員が大声を上げて整列させる)とか、

デジタルでもっと効率的にやる方法があるのでは・・・

と思うが、たぶんないのだろう。

それにこういうやり方を続けてほしい、

という客の願いもある。

 

テントという、日常と異なる異空間に侵入するためには、

それなりの段取りが必要で、

すんなり簡単に事が運んでしまっては面白くない。

言い換えれば、忙しくて時間が取れない、

もっとタイパを良くしろという人には味わえない、

アナログ・人力ならではのぜいたく感が味わえる。

 

ござに座って見る昔ながらのアングラ式桟敷席に
(おそらく)500人くらいが詰め込まれたテント内は
現代の高齢化社会の縮図のような風景で、
半数近くが僕の同年代(60代)以上。
残りの半数がそれ以下で、男女比は半々か、
男性がちょっと多めかなという印象だ。

息子(20代後半)やそれ以下の若者もけっこういて、

 

中には高校生らしき子の姿もチラホラ

(学校帰りなのか、制服を着ていた)。

「入場料:子供2000円」とあったが、

さすがに子どもはいなかった。

でも、子供がこうした観劇体験をしてもいいと思う。

 

●状況劇場の幻影

僕は李麗仙・根津甚八・小林薫などが活躍していた

70年代後半~80年代初めの状況劇場に洗礼を受けている。

そのため、唐さんの芝居作品にはどうしてもあの頃の、

卑俗なものを聖なるものに転換させる、

リリカルでスケールの大きい幻想ロマンを求めてしまい、

唐組以降の作品にはイマイチ魅力を感じてこなかった。

けれどもこの「泥人魚」という作品には、

状況劇場時代の作品とは全く異なる魅力があった。

 

●諫早湾「ギロチン堤防」から生まれた物語

モチーフになっているのは、

「ギロチン堤防」という呼称が衝撃的だった

1997年の長崎県諫早湾干拓事業問題。

湾と干拓地を遮断する293枚の鉄の板(潮受け堤防)が

すごいスピードで次々と海に落とされていく

ギロチンシーンはかなりのインパクトがあり、

人々の関心も高かった。

(テレビのニュースなどで放送された)。

 

これはもともと戦後間もない頃に農地を増やすため、

国が計画した干拓事業、いわば国家プロジェクトだ。

これによって、かつて「豊饒の海」と言われた

諫早湾の環境は一変して、漁獲量は激減。

漁業者と農業者との対立をはじめ、

損得を巡って地域住民の深刻な分裂が起こり、

20年あまりにおよぶ長い裁判になった。

 

●ドキュメンタリーを重視した劇作

唐さんはその裁判が始まった2002年9月に

諫早湾まで取材に行き、自分の目で現地の海を見て、

この戯曲を書いた。

その経緯は、新潮社から出版されている戯曲のあとがきに、

また今回の観劇プログラム掲載の、

演出・久保井研氏のコラムに書かれている。

ちなみにこの久保井氏のコラムは、

唐組における劇作活動の様子が垣間見えて興味深い。

 

唐さんは、状況劇場の時代は自分が生まれ育った、

終戦直後の東京の下町の風俗や人々の暮らしと、

思春期から学生時代の文学・芸術体験をベースに、

60年代・70年代の世情を取り入れて

独自の劇世界を構築していた。

しかし、1988年に始まった唐組時代の作品では、

その時代ごとにクローズアップされる

現実の社会問題に材を取り、

いわばドキュメンタリー的な要素に重きを置いて

みずからの劇世界を継続・進化させていったようだ。

 

とはいっても、舞台に上る成果物は、

やはり常人には真似できない

妄想ワールドであり、イメージコラージュである。

「ギロチン堤防」という現実の材料から、

人魚姫、天草四郎、ハリーポッター

(2002年当時大ブームだった)など、

次々と出てくる連想がキャラになり、セリフになり、

アクションになり、劇世界をかたち作る。

あとは観客がどこまで想像力を駆使して

それについていけるかだ。

 

●もののけ姫と泥人魚

これはもちろん、紅テントで上演することを前提に

書かれた作品だが、普通の劇場でやっても、

あるいは映画や映像+詩みたいな作品にしても

面白いのではないかと思った。

もちろん、その場合はアレンジが必要だと思うが、

人々がネットの世界など、より現実と乖離した人工環境に

(精神的に)移り住み始めたこの時代、

海・地と人の日々の暮らしとが

緊密に繋がっていた時代の記憶を綴るこの物語は、

ある種の普遍性を孕んでいるのだ。

 

ちなみにいっしょに見た息子の感想は

「要するに『もののけ姫』だよね」。

うん、その通りとは言わないけど、そう遠くはない。

若い世代の感想としては面白いと思う。

みんな気にしているテーマなのだ。

 

終幕、ブリキの鱗を作り続ける男の口から

最後にこぼれ落ちるセリフ、

そしてお決まり通り、テントの背景が開いて

劇世界と現実の風景と溶け合うラストシーンは、

やはり状況時代と変わることなく、

卑俗なるものを聖なるものに変え得る、

唐作品独自の力と美しさに溢れている。

 


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「痴呆症」は老害ワード?

 

義母を連れてスーパーに買物へ。

途中、トイレに行きたいと言いだしたので、

階段の踊り場にある女子トイレの前まで連れていき、

少し離れたところでで待っていた。

 

なかなか出てこないので心配になっていた矢先、

ドアが開いて、60前後のおばさんが

訝し気な表情で出てきて外にいた僕の顔を見た。

どうやら義母の世話人だと察知したらしく、

「痴呆?」と尋ねた。

 

義母は中でちょっとおかしな行動をしていたらしく、

この人もしや・・・と思ったらしい。

しかし、粗相したとか、特に問題はなく、

そのすぐ後に出てきたのでほっとした。

その女性も特に絡むこともなく、そそくさと立ち去った。

それだけの出来事だったが、

彼女が言った「痴呆」という一言は

ちょっとショッキングに響いた。

 

べつに腹を立てたわけではないが、

2024年のいま聞くと、「痴呆?」は

かなりネガティブなインパクトを持っている。

自分の家族を介護している人に向かって言ったら

ひどく傷ついたり、ブチ切れたりする人もいるだろう。

 

「痴呆症」はいつから「認知症」になったのか?

調べてみたら、

厚生労働省が『痴呆症』に替えて『認知症』を

一般的な用語・行政用語として用いるとしたのは、

2004年12月24日となっている。

「痴呆」という言葉には

侮蔑的な意味が含まれているというのが変更の理由だ。

 

呼び名が変わってもう20年経つわけだが、

ずっと普通に使われていたので、

僕もたぶん10年くらい前まで割と平気で

「痴呆症」と言っていたような気がする。

 

たかが呼び名、されど呼び名。

その人の社会性を問われることなので、

けっこうバカにできない。

こういう言葉遣いに鈍感な人は、

今の社会に適応できていないと

見做される恐れがあるからだ。

 

その女性が義母をバカにして言ったわけではないだろうが、

うっかり出てしまったということは、

彼女の頭の中はまだ昭和の残像で満たされていて、

アップデートできていないということを意味している。

ウィンドウズ95とか98とか、

あのへんのOSで動いているということなのかもしれない。

まぁそれで自分の生活に不便はないのだろうが。

 

「痴呆症」だけではない。

ほかにも病気の呼び名とか、外国人の問題とか、

LGBTQの問題とか、

かつての差別や偏見に対する社会通念が

どんどん変わっているので、

うかつに古い言葉を使ったりすると、

そのデリカシーのなさが白眼視され、

若い世代から「老害予備軍」と

見られてしまうのではないだろうか。

 

「昔はよかった」「昭和は輝いていた」なんて

のたまってはいられない。

やっぱりダメだったところはダメでしたと認めないと。

 

わざと面白がって使うならまだしも、

何気なく無意識に使っている「昭和ワード」

もしくは「平成ワード」が

周囲の人たちを著しく不快にさせていないか、

2024年の世界ではアウトになっていないか、

いま一度、チェックしてみる必要があるかもしれない。

 


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もくじ

116 カラーフィルムを忘れたのね/ニナ・ハーゲン 

117 スタンド・バイ・ミー/プレイング・フォー・チェンジ

118 人は少しずつ変わる/中山ラビ 

119 氷の世界/井上陽水 

120 ユー・メイ・ドリーム/シーナ&ロケッツ 

121 ア・ソング・フォー・ユー/レオン・ラッセル 

122 ファーストカー/トレイシー・チャップマン 

123 ヨイトマケの唄/美輪明宏 

124 オ―、シャンゼリゼ/ダニエル・ビダル 

125 夜空ノムコウ/スガ シカオ 

126 オード・トゥ・マイファミリー/クランベリーズ 

127 いとしのレイラ/デレク&ザ・ドミノス 

128 赤いハイヒール/太田裕美 

129 サタデーナイト/ベイシティ・ローラーズ 

130 ビコーズ・ザ・ナイト/パティ・スミス・グループ 

131 涙のサンダーロード/ブルース・スプリングスティーン 

132 燃ゆる灰/ルネッサンス 

133 さよなら人類/たま 

134 ウィリー・オ・ウィンズベリー/ペンタングル 

135 アウト・オブ・ザ・ブルー/ロキシーミュージック 

136 アジアの純真/PUFFY 

137 ハリケーン/ボブ・ディラン 

138 夜明けのスキャット/由紀さおり 

139 ロックンロール黄金時代/モット・ザ・フープル 

140 クラウドバスティング/ケイト・ブッシュ 

141 二十世紀少年/T・レックス 

142 女ぎつね オン・ザ・ラン/バービーボーイズ 

143 ショウ・ミー・ザ・ウェイ/ピーター・フランプトン 

144 ランバダ/カオマ 

145 宇宙のファンタジー/アース・ウィンド&ファイアー 

146 貿易風にさらされて/マザー・グース 

147 愛のコリーダ/クインシー・ジョーンズ 

148 ウェルカム上海/吉田日出子 

全33編載録

 

137 ハリケーン/ボブ・ディラン 

現代アメリカ社会の欺瞞・腐敗・不条理をえぐる

吟遊詩人ボブ・ディランが

1976年に発表したアルバム「欲望」のトップナンバー。

 

ギターに合わせてフィドル(バイオリン)がうねり、

ベースとドラムがロックなリズムを刻む中、

無実の罪を着せられた60年代の黒人ボクサー 

ルービン“ハリケーン”カーターの物語を歌い綴る。

紛れもない、ディランの最高傑作だ。

 

惨劇を告げるオープニングから見事に構成された長編詩は、8分以上にわたって聴く者の胸に

ひたすら熱情溢れた言葉の直球を投げ続け、

“ハリケーン”の世界に引きずり込む。

 

殺人罪で投獄されたカーターは

獄中で自伝「第16ラウンド」を書いて出版し、

冤罪を世に訴えた。

その本を読んだディランは自らルービンに取材して、

この曲を書き上げたという。

 

その冤罪がいかにひどいものであったかは

曲を聴いての通りで、

人種差別がまだ正々堂々とまかり通っていた時代とはいえ、こんなでっち上げが認められたことに驚くばかり。

 

けれども半世紀以上たった今も

実情は大して変わっていないのかもしれない。

そしてまた、昔々のアメリカの人種差別、

黒人差別の話だから

僕たちには関係ないとは言っていられないのかもしれない。

冤罪はどこの国でも起こり得る。もちろん日本でも。

(つづく)

 


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もくじ

116 カラーフィルムを忘れたのね/ニナ・ハーゲン 

117 スタンド・バイ・ミー/プレイング・フォー・チェンジ

118 人は少しずつ変わる/中山ラビ 

119 氷の世界/井上陽水 

120 ユー・メイ・ドリーム/シーナ&ロケッツ 

121 ア・ソング・フォー・ユー/レオン・ラッセル 

122 ファーストカー/トレイシー・チャップマン 

123 ヨイトマケの唄/美輪明宏 

124 オ―、シャンゼリゼ/ダニエル・ビダル 

125 夜空ノムコウ/スガ シカオ 

126 オード・トゥ・マイファミリー/クランベリーズ 

127 いとしのレイラ/デレク&ザ・ドミノス 

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129 サタデーナイト/ベイシティ・ローラーズ 

130 ビコーズ・ザ・ナイト/パティ・スミス・グループ 

131 涙のサンダーロード/ブルース・スプリングスティーン 

132 燃ゆる灰/ルネッサンス 

133 さよなら人類/たま 

134 ウィリー・オ・ウィンズベリー/ペンタングル 

135 アウト・オブ・ザ・ブルー/ロキシーミュージック 

136 アジアの純真/PUFFY 

137 ハリケーン/ボブ・ディラン 

138 夜明けのスキャット/由紀さおり 

139 ロックンロール黄金時代/モット・ザ・フープル 

140 クラウドバスティング/ケイト・ブッシュ 

141 二十世紀少年/T・レックス 

142 女ぎつね オン・ザ・ラン/バービーボーイズ 

143 ショウ・ミー・ザ・ウェイ/ピーター・フランプトン 

144 ランバダ/カオマ 

145 宇宙のファンタジー/アース・ウィンド&ファイアー 

146 貿易風にさらされて/マザー・グース 

147 愛のコリーダ/クインシー・ジョーンズ 

148 ウェルカム上海/吉田日出子 

全33編載録

 

140「クラウドバスティング/ケイト・ブッシュ」より

 

 

今年(※2023年)、ロック殿堂入りを果たした

ケイト・ブッシュ。

彼女のようなタイプの音楽は、

あまりこうした権威にウケがよくないし、

ファンも殿堂入りがどうこうなんて気にしていない。

しかし昨年(2022年)、

1985年に発表した「神秘の丘」が、

ドラマ「ストレンジャーシングス」の挿入歌に使われ、

世界中で前代未聞のリバイバル大ヒット。

ロック殿堂側もこれ以上、

彼女を無視していられなくなったというのが

正直なところなのだろう。

 

「クラウドバスティング」は「神秘の丘」と同じく5枚目のアルバム「愛のかたち(Hounds of Love)」の挿入歌。

楽曲としてはもちろんのこと、

80年代のミュージックビデオとして、

さらにその後、40年弱のポップミュージック史を見ても

最高レベルの作品である。

 

(中略)

 

この楽曲が描くのは、

精神分析学者で思想家のヴィルヘルム・ライヒと

その息子ピーターが、

オカルティックな生命エネルギーを駆使して

「クラウドバスター」というマシンを動かす物語。

ミュージックビデオはレトロっぽい

SF短編映画のようなつくりになっている。

 

ヴィルヘルムを演じるのは、

ハリウッドの名優ドナルド・サザーランド。

そして息子ピーターはケイト・ブッシュ自身。

この頃、彼女は他の楽曲では成熟した女性の魅力を放ち、

かなり色っぽかったのだが、

ここでは髪を切って一転、男の子に。

父の意志を成し遂げようとする少年に扮し、

美しい丘を駆け上がっていくシーンには

完全にしびれてしまった。

「嵐が丘」「神秘の丘」――

彼女の音楽の世界で、丘は魔法の舞台である。

 

(中略)

 

ここで登場する「クラウドバスター」という

サイケでスチームパンクっぽい怪物マシンは、

オルゴンエネルギーによって雲を創り出し、

大地に雨を降らせるという代物。

連れ去られた父に代わって、

息子がその目的を実現するというストーリーになっている。

 

雲を作り出すのに

クラウドバスター(雲を蹴散らす)という名は

矛盾しているのだが、

これはオルゴンエネルギー(生命エネルギー)が心の暗雲を払って生命体に潤いをもたらすといった

思想の暗喩になっているのかもしれない。

 

いずれにしてもこんな虚実ないまぜのSFじみた話から

途方もなくパワフルで美しい楽曲を編み出した

ケイト・ブッシュの才能はすごいの一言。

 

そしてこのビデオのラストシーン――

丘の頂上で怪物マシンを稼働させた少年のシルエットは、

ケイト・ブッシュの音楽を表す

アイコンとしても長らく愛されてきた。(つづく)

 


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