オバマのタカハシさんちの娘は人魚の肉を喰った

 

人魚はメルヘンであり、ファンタジーであり、

ホラーであり、モンスターである。

ついでにかなりセクシーでもある。

 

アンデルセンの「人魚姫」の下半身が魚から

人間の脚に変わるのは、

女性の性的成長を表すメタファーである、という解説を

ある本で読んだときは、

まさしく目から魚のウロコが落ちた。

 

というわけで古今東西、人魚に恋する者は後を絶たず、

世界各地に人魚伝説が残されることになった。

 

ヨーロッパには、人魚姫のイメージを覆す

人魚が船乗りの男どもをおびき寄せて

食っちゃうという話がある。

(というか、逆にアンデルセンがこの怖いイメージを覆して、

可愛く、美しいイメージを創り上げたんだけど)

 

対して日本では人魚を食べちゃった、という話がある。

 

オバマ大統領の時、大いに盛り上がった福井県小浜市。

そのオバマの地に伝えられている「八百比丘尼」の話は

日本の民話の中でも異常に人気が高い。

 

昔、若狭国小浜(わかさのくにおばま)に

高橋権太夫という長者が住んでいた。

ある日、舟を出して遊んでいると嵐が起こり、

見知らぬ島に流されてしまった。

そこで彼は思わぬもてなしを受けることになる・・・

 

という感じで始まるこの話、このタカハシさんはこの土地の

お偉いさん、お金持ちで、彼が贅沢な会食をするのは

いろんなバージョンがある。

しかし、その後はどのバージョンも共通している。

 

その贅沢な会食の食卓に上るのは人魚の肉なのである。

(タカハシさんが厨房で人魚がさばかれるのを

目撃してしまうというバージョンもある)

 

タカハシさんは金持ちのくせにセコいのか、

少年のように好奇心旺盛なのか、

この人形の肉をこっそりテイクアウトして、

家の戸棚に隠しておく。

 

お刺身だったのか、塩焼きだったのか、ムニエルだったのか

わからないが、いずれにしても

冷蔵庫のない時代、そんなところに入れておいて

腐らないのかと心配になるが、

腐る前に家族の者が見つけて食べてしまった。

 

そのつまみ食いの犯人が、

みめ麗しい年ごろのタカハシさんちの娘だったのである。

 

肌の白い美しいその娘は、

それ以後、まったく齢を取らなくなった。

人形の肉を食べたせいで不老不死の体になったのである。

 

夫も家族も友人も死に絶え、時代が変わっていっても、

彼女は若いまま生き続ける。

 

やがて彼女はその長い生に倦み、村を出て、

尼さんとなって全国を遍路する。

 

そして人々を助け神仏への信仰を説き、

行く先々で白い椿を植えたという。

(杉の木を植えたなど、違うバージョンもある)

ちなみに八百比丘尼は正確には不死だったわけでなく、

800歳でこの世を去ったということだ。

だけど十分過ぎるほど生きた。

 

魚食文化を持つ日本人にとって、

そう遠くない過去--昭和の貧しい時代まで、

魚は不老長寿の薬、とまではいかないにせよ、

病気を治し、健康を保つ薬だった。

 

そういえば僕も子どもの頃に、

産後の肥立ちが悪い母親とか、病気の大人に、

タイやコイを食わせろーーという話を聞いたことがある。

 

この間、取材した島根県の坊さんは、

このあたりでは戦前まではオオサンショウウオ

(現在、特別天然記念物の地球最大の両棲類)を

捕まえて食っていた。

 

オオサンショウウオは半分に裂いても死なないほど

生命力が強いことから「ハンザキ」の異名がある。

おそらく滋養強壮剤として食べられていたのだと想像する。

 

これも実際は両棲類だが「山椒魚」というくらいだから、

昔の人は魚の一種だと考えていたのだろう。

オオサンショウウオを食べて不老長寿を獲得する―ー

そういう人がただの一人もいなかった、とは言い切れない。

 

それにしても、八百比丘尼の話は、

人魚を殺して肉にする。

それを若い娘が喰う。

不老不死になる。

旅に出て、花や木を植える。

 

モンスター、ホラー、ファンタジー、メルヘン、

そして考えようによってはセクシーも。

 

すべての要素を一つの物語に凝縮したかのようだ。

そのおかかげで現代のマンガや映画、小説、アートなど、

いろいろなカルチャーのモチーフになっている。

そういえばコロナ退散祈願のアマビエも人魚っぽい。

 

僕は800歳になった八百比丘尼は死んだのではなく、

人魚になって海に帰っていったのではないかと思うのだが、

いかがだろうか?

 


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帰ってきたE.T.

 

先日、「中学生におすすめの映画」を30本ほど挙げてみた。

その中の1本に「E.T.」を入れたが、

一昨年、37年ぶりに続編が出ていたのを知ってびっくり。

 

ただし、これはインターネット会社の

コマーシャルとして作られらたショートムービー。

 

タイトルは「A Holiday Reunion」。

4分ちょっとで観られるので、

興味のある人は見てみてね。

 

なんと、あの時の主人公・エリオット少年を演じた俳優、

ヘンリー・トーマスが出演している。

もちろん彼は無事に大人になっていて、この時点で48歳。

作品の中ではパパとなっている。

 

「E.T.」の公開は1982年。

世界中で大ヒットした

スティーブン・スピルバーグ監督の作品である。

 

思えば80年代はハリウッド映画の黄金期で、

「スターウォーズ」「エイリアン」「ターミネーター」などの

SFアクションをはじめ、現代に繋がるエンタメ大作が

続々と作られ、ガンガンヒットを飛ばしていた。

 

その後、シリーズ化された作品も多く、

「E.T.」も人気に乗じて続編が作られても

おかしくないはずだった。

 

実際、そういう企画は上がっていたと思う。

けれどもスピルバーグ監督がやろうとしなかったのだろう。

僕もこれは彼の最高傑作だと思っている。

 

だからこそ、このショートムービーを観て思ってしまった。

スピルバーグ監督、失礼だけど、

きっとあなたの時間は残り少ない。

あなた自身の手でやったらどうですか、100分の続編を。

 

こんな世界が分断される時代だからこそ、

1982年とはまったく違った、

けれども人々が納得し共感できる「続E.T.」を。

あなたの手で作る価値があるのではないか?

そう僕は待望している。

 


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中学生におすすめの映画

 

フェイスブックで「中学生におすすめの映画を教えて下さい」

とあったので、いろいろ好きなのを書き出してみたら、

残念ながら半分くらいはR15だった。

 

でも、リュック・ベッソン監督の映画「ニキータ」「レオン」はR15だろうと思ってたらセーフ。

逆に同じベッソン監督でも「グランブルー」はNG。

バイオレンスよりエロスに厳しい。

 

グランブルーはきれいな濡れ場だったという印象があるけど、

とにかくやってるところや丸ハダカが出てきちゃダメってことだ。

サイコホラーの元祖みたいな「羊たちの沈黙」なんて

子供が見たら人間が怖くなりそうな映画だけどOKなんだね。

 

というわけで、中学生だからと言って教育上好ましい映画、

感動しますよ映画ばかり見せてちゃいけない。

怖い世界、醜い世界、残酷な世界、変な世界にも

なるべく若いうちから触れておいたほうがいいということで

オススメを出してみました。

 

●トミー:70年代ロックオペラ。幼少期のトラウマを克服していく青年の物語。当時のロックスターが集結する絢爛豪華な世界。

 

●ジーザス・クライスト・スーパースター:70年代ミュージカルの金字塔。舞台っぽい、メイキングオブ丸出しのつくりも面白い。

 

●レ・ミゼラブル:原作も名作。ミュージカルとしても、音楽としても名作。舞台を完全映画化。

 

●オペラ座の怪人:同上。舞台を見られない少年少女たちにぜひ映画で体験してほしい世界。

 

●ブレードランナー:これからの社会でAI、ロボットと共生する人間が見ておくべきSFを超えたリアル。

 

●マイ・ライフ・アズ・ア・ドッグ:詩情あふれる少年の成長物語。スウェーデン映画。

 

●ビッグ:大人になりたい子どもが一夜にして夢をかなえて活躍するファンタジックコメディ。若きトム・ハンクスの名演。

 

●はじまりへの旅:現代文明の中で生きる人たちの内なる希望を発見させる寓意と哲学性あるコ三カルなロードムービー。

 

●帰って来たヒトラー:独裁者であり大悪党とされているヒトラーだが、彼を産んだのは何だったのか?という話。現代批評を交えた物語でありながら、かなりのエンタメ。

 

●わたしを離さないで:原作もドラマも映画も傑作。これまた未来の社会を生きる人間が見ておくべきSFを超えたリアル。

 

●田園に死す:70年代アングラ演劇の帝王にして詩人・思想家の寺山修司の前衛幻想劇。中学生になったら、これくらい異様な世界に迷い込む体験をしておいた方がいい。

 

●その日の前に:人生を考える終活映画。宮沢賢治の詩を基調とした大林亘彦監督ならではのファンタジーワールド。

 

●鉄道員(ぽっぽや):詩情あふれる鉄道員のヒューマンドラマ。消えゆく日本の心を一度は堪能してほしい。高倉健さんも志村けんさんも今はもういない。

 

●花とアリス:かわいい女の子の恋愛話。確か原作は少女漫画。アニメ化もされた。

 

●万引き家族:是枝監督のおもしろ悲しい傑作。犯罪と裁判の舞台裏を描く「三度目の殺人」もおすすめ。

 

●実録連合赤軍・あさま山荘への道程:中学生のいじめと変わらなかった、堕した学生運動の理想と末路。日本の黒い歴史の一つとして見てほしい。フィクションなのにドキュメンタリーのよう。

 

●この世界の片隅で:今や戦争のことは映画で知るしかないかも知れない。これはアニメだし、入門編として最適&素晴らしい高質のドラマ。

 

●シザーハンズ:ジョニー・ディップの出世作。モンスターのメルヘンストーリーと映像美。

 

●あの頃ペニーレインと:70年代ロックをテーマに、グルーピーの女の子に恋してしまう少年の青春物語。

 

●街の灯:一度は見ておくべきチャップリンの名作クラシック。

 

●おくりびと:中学生も死を見つめる時間を持つと良い。その入門編としても面白い。

 

●深呼吸の必要:沖縄を舞台にした青春もので、とても癒され、さわやかになる。

 

●トゥルーマンショー:バーチャルワールドを生きる現代人必見の“恐怖”コメディ。ジム・キャリーの代表作。

 

●レインマン:自閉症の兄を助ける弟の物語。ヒューマンドラマ。ダスティン・ホフマンとトム・クルーズの共演。

 

●太陽がいっぱい:アラン・ドロン主演。いまだ最高のサスペンスドラマに思える。フランス映画の金字塔。

 

●ET:宇宙人の子どもを助ける少年たちの話。思い出しただけで胸躍り、脳が宇宙に舞い上がるスピルバーグの最高作。

 

●ALWAYS三丁目の夕日:高度成長期は現代と地続きであり、歴史の1頁でもある。おとなのノスタルジーだけにしないで中学生にも見てほしい。

 

●ラジオの時間:稀代の喜劇作家・三谷幸喜のエッセンスが詰まっている。「12人のやさしい日本人」もおすすめ。

 

●ニキータ:泣き虫の殺し屋の大活劇。女の子が無中になる。

 

●レオン:やさしい殺し屋の悲劇。男の子が夢中になる。ジャン・レノが最高。

 

●羊たちの沈黙:「人間とはなんと恐ろしい生き物だ」と思わせる史上最恐のサスペンスにして、サイコホラーの原点。現代の異常心理を描くサイコドラマはここから始まった。

 

スターウォーズ、ターミネーター、エイリアン、ハリーポッター、ロード・オブ・ザ・リングなどのシリーズものは敢えて外して単独で観られるものだけにした。

 

こうやって書き出してみると、中学生におすすめすると同時に、自分がもう一度観たい映画ばかりだ。

死ぬまでに観られるか?

 


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40年目の「4月のある晴れた朝に100パーセントの女の子に出会うことについて」について

 

今年も4月になったので、村上春樹の

「4月のある晴れた朝に100パーセントの

女の子に出会うことについて」を読んだ。

 

別にルーティン化しているわけではないのだが、

つい決まりごとのようにページを開いてしまう。

クリスマスにクリスマスケーキを食べたり、

お正月にお餅を食べるのと同じである。

 

いまや老練な大作家になった村上春樹氏だが、

この短編の文章には、そのみずみずしい萌芽が詰まっている。

懐かしさよりも新鮮さ。

何度読んでも、そのたびにいろいろな感情が

湧き水のようになって体を巡る。

 

この物語はちょうど40年前、

1981年の4月という設定になっている。

 

1981年の4月、僕は練馬区の江古田駅近くの

4畳半に住んで、自分の劇団のための芝居を書いていた。

何もなくて、まったく自由で、毎日楽しかった。

ただ、100%の女の子はいなかった。

 

そこでふと考えたのが、今のカミさんは

僕にとって100%の女の子だろうか? ということである。

 

昔はそんなこと考えもしなかったけど、

今、振り返るとそうだったのかも・・・と思える。

そうだったことにしようとしているのかもしれない。

 

みんな「成功」というものに憧れているけど、

良い恋愛、良い結婚、好きな仕事をしていれば、

それで人生は成功、100%である。

それ以上のことはみんなオマケだ。

オマケをたくさんつけようと追いかけて、

本体を台無しにしたら0%になってしまう。

 

4月はまだ始まったばかりなので、

ほかにも感じるところを言語化できれば書こうと思う。

 


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なぜ桜とクローンは切なくて美しいのか?

 

エヴァの人気キャラ・綾波レイが

ファンを虜にした名ゼリフの数々は、

彼女がクローン人間であるという設定から生まれた。

 

その切なさと美しさは桜に通じる。

日本のあちこちで美しい桜並木となったソメイヨシノは

1本のオリジナルを次々とコピーして作られた

クローン木なのである。

 

ソメイヨシノは200年ほど前、

江戸の植木職人がエドヒガンとオオシマザクラを交配させ、

その交雑種のなかでとりわけ美しい花を咲かせる個体を、

接木などの手法で増やしたもの。

 

取木や接木で増やした場合、

それらの個体はすべて遺伝子的には全て同一、

すなわちクローンなのだそうだ。

 

ちなみにクローンという言葉の本来の意味も「挿し木」。

科学技術の意味合いで、この言葉(概念)が人々に

認知されるようになったのは、今から30年前、

1981年、イギリスでクローン羊が生まれてからだ。

 

当初は新聞で、また、科学系雑誌で話題となり、

SF小説のネタとして使われていたが、

あっという間に世間一般の間にも広がった。

 

神の領域に踏み込んだ人工生命――

すなわち、ロボットやフランケンシュタインの怪物と同じく、

おぞましさと悲しさのイメージをまとったクローンは、

自分は世界でオンリーワンの存在なのだという現代人の自意識を

強く揺さぶり、脅かす。

 

特に個性的でありたい、自分らしくありたいと願いながら、

“みんな”に合わせて付和雷同してしまう日本人にとって、

クローンという概念が紡ぎ出すイメージは

心に食い込んでくるのだろう。

 

だから日本人は桜が好き―ーというのはこじつけ過ぎだが、

日本人の心象風景をつくり替えた桜を見て、

いろいろSFっぽい妄想に駆られる。

 

だけど、同じ遺伝子の木でも、

川沿いの桜は水と光を求めて枝を水平に伸ばし、

川から離れた桜は空へ向かって高々と枝を広げる。

育った環境で違った姿かたちになっていくのだ。

 

あんまり個性やオリジナリティやらにこだわる必要は

何ではないかと思う。

普通に生きているだけで、誰でも十分個性的なのに。

 

今年は早く咲いたが、散るのも早いかも知れない。

来週は桜吹雪があちこちで舞っているだろう。

そんな切なさも日本人は愛してやまない。

 

おりべまこと電子書籍

どうして僕はロボットじゃないんだろう? ¥274

 社会のニーズに応え、生活に入り込み、世界を変革していくAI・ロボット。はたしてやつらは人間の敵か味方か? 上司か部下か? ライバルか友だちか? ただの機械に過ぎないのか、それとも人類の子どもなのか?

 2016年夏から2020年夏まで、AI・ロボット・インターネット・DXにまつわる考察の面白まじめエッセイ集。ブログから33編を厳選・リライト。

 ●もくじ

・介護士・看護師は人間か、ロボットか?

・インターネットがつくるフォークロア

・こちとら機械だのロボットだのじゃねえ。人間でぃ!

・聖書から始まった「人間VS機械」

・子どもはどうしてロボットが好きなのか?

・きみはロボットじゃないよ

 ・ロボットみたいな人間、人間みたいなロボット ほか

 

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なぜ「もう死にたい」と思っても人はめしを食うのか?

 

「親が死んでも食休み」というが、

確かに僕は父が死んだときでも

別に食欲が落ちることなくパクパク食べていた。

母が死んでもたぶん同じだろう。

 

どんなに悲しんだり、落ち込んだり、

深刻に悩んだり、もう死にたいと思っていても、

人は腹が減ればめしを食う。

 

食っているとき、

人の「生きる」という意欲はモリモリ表に出る。

そしてガツガツしたエゴがむき出しになる。

何だかひどく罪深い気持ちになる。

 

悲しんだり、悩んだり、絶望したりしているつもりでも、

結局それはフリだけだ。

本当のおまえは他の生命を奪ってまで

意地汚く食って、

みっともなく生き延びたいだけなんだ、

と別の自分に嗤われているような気になる。

 

たまにそんなことを考えつつ、

明日も生きるぞ、さあ何を食おう?と考える。

 

わが家では最近、いろいろ混ぜて飯を炊く。

今使ってるのは熊本県産発芽玄米使用の十一雑穀米。

 

くまモンが付いているせいか、

義母はお菓子だと思ってて、

時々こっそり開けて中身を見て

がっかりしているようだ。

 

でも認知症には、お好きな銀シャリよりも

こちらのほうがいいそうなんですよ。

 

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ロンドンのハムカツ

ASIN: B086T349V1        ¥282

 「食」こそ、すべての文化のみなもと。

その大鍋には経済も産業も、科学も宗教も、日々の生活も深遠な思想・哲学も、

すべてがスープのように溶け込んでいる。

「食べる」を学び、遊び、モグモグ語る面白エッセイ集。ブログから33編を厳選・リライト。

 もくじ

・お米と田んぼとお母ちゃんのニッポン!

・お米を研ぐ理由と人間の味と匂いの話 

・永遠の現物支給 : 2018年3月15日

・フツーのおにぎりでも日本のコメなら800円!?

・ロンドンのハムカツ

 

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生まれて生きて繁殖して死んでいく僕ら

 

春の喜びは生きる喜びと結びついている。

花を見ながら、人間も地球の一部であることを

自覚させられるからかも知れない。

 

近年、テクノロジーの進化とともに、

農業に関心が寄せられていること、

若い人の就農が増えていることも、

これと関係しているのではないかという気がする。

 

昨年来のコロナ禍でめっきり減ってしまっているが、

農業関係の取材の仕事が

そろそろ復活するかも知れない。

 

今週はシン・エヴァにすっかり頭をやられてしまった。

ちょっとだけネタバレになるが、

あの世界観の中で、農業が出てくるのには

かなりびっくりした。

いきなり「この世界の片隅に」へ

ワープしたような感じだった。

でもそれは僕らの心象風景。

廃墟となった街も、希望の村も。

 

そしてネコも出てくる。

エヴァでネコに逢うとは思わなかった。

いい味出してるネコたちに思わず涙。

生まれて生きて繁殖して死んでいく僕ら。

そのすべてが喜びであり悲しみ。

 

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ピノキオボーイのダンス

             ¥456

21世紀からそう遠くない未来社会。

人間は労働力のみならず、エンターテインメントや精神面のケアなど、暮らしのあらゆる分野でロボットの力に頼って人生を送っている。12歳の少年の姿をしたレンタルロボットはダンサーとなって喝采を浴びるが、やがて戦場に送り出される。人間とロボットとの間で明滅する光と闇を描くSF長編ファンタジー小説。

 

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シン・エヴァ観劇 卒業おめでとう

 

お天気も良く、ポカポカ陽気になったので、

自転車で五日市街道をひた走り、

吉祥寺の映画館まで行って、

シン・エヴァ、観て来た。

 

2時間半。

ネットでチケット取ったとき、

1時間半の間違いじゃないかと思ったが、

観て納得。

息子がショートメッセ0ージで書いてきた通り、

まさしくみんなの卒業式。

 

過去3作はもちろん、

テレビ版も旧劇場版もすべてひっくるめて、

主要登場人物ひとりひとりにすべて意味と決着をつけて、

25年にわたるエヴァンゲリオンの戦いが終わった。

 

すごい。

ドラマと映像の構成・密度がすごすぎる。

そして、やっぱりよくわからない。

 

セリフの一つ一つ、

ビジュアルの一つ一つが

すべて暗喩やストーリーの伏線になっている。

やっぱり脚本とイメージ表現がすごいんです。

 

最近よく聞く「神ナントカ」という言い方は

好きではないが、これは確かに神業。

 

神ついでに言ってしまうと、

僕たちひとりひとりの胸に愛すべき神がいて、

日常の生活、風景の中に神話が溶け込んでいる。

――ということがエヴァンゲリオンという物語だったのだ。

と思う。

 

庵野監督もエヴァファンも卒業おめでとう。

でも、僕は落第生で、やっぱりよくわからないので

1回観ただけでは卒業できそうにない。

少し間をおいてまた観に来ることになると思う。

 

 

 

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「恐怖!かえる女」はプリンセス

 

どうやら弱みを握られたようだ。

 

「椎名町の家にカエル」

「家族が迎えに来てるからカエル」

「すごそこに兄貴がいるからカエル」

 

そうやってケロッピーなセリフを放つと、

僕やカミさんが慌てて対応してくれることを

義母は学習してしまったようである。

認知症患者、侮るなかれ。

 

こうした「かえるコール」が出るのは、

たいてい「飯まだか」「おやつが食べたい」

「散歩に行きたい(退屈だから外出したい)」

のいずれかである。

 

要するに自分の要求を訴えたいとき、

「かえるコール」を発射することが

最も有効な手段なのだ。

 

仕事でテンパっているときに

これをやられると、プシューっと脳みそが沸騰するが、

やむを得ずニコニコ仮面を被って要求に応じる。

これ以上エスカレートしないことを念じるばかりだ。

 

さらに最近、ときどき朝起き出してくると、

「あれ、男の子たちは今日いないの?」

といった、ボケゼリフが飛び出す。

 

最初は幼い頃のきょうだいとか、息子のことを言ってるのかな、

だけど兄しかいないし、娘しかいないし、

「男の子」には縁がないはず。

幼なじみがいたのかな・・・と、カミさんと話していたが、

どうもそれはデイサービスのスタッフのことを

言っているらしい、ということに思い至った。

 

最近はデイサービスで若い男のスタッフが

けっこうチヤホヤしてくれていて、

お姫さま気分を味わっているようだ。

 

少なくとも本人にとって、

認知症になったのが悲劇であるとは限らない。

もしかしたら、今こそがお姫でいられる

わが世の春なのかもしれない。

 

逆に幼い頃、お城みたいなところに住んでていて

召使に傅かれていたけど

わたしは不幸だった、と語る人もいた。

 

諸行無常。万物流転。

今がいいから、またはダメだからと言って

人生の幸不幸をそう単純に決めてはいけない。

 

おりべまことの エッセイ集

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●昭和69年の思い出ピクニック    ¥318

アイドル、家族、戦争・・・あの時代を面白まじめに考察する昭和エッセイ集。

 

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動物の神秘と面白さ、人間との関係性を探究する動物エッセイ種。

 

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誰の心の中にもいる「子ども」に焦点を当てた子どもエッセイ種。

 

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週末の懐メロ⑳:なごり雪/イルカ

 

3月は「なごり雪」の季節。

新しい季語まで生んだこの歌は、

僕が10代の頃からもう時代遅れな世界だった。

 

ロマンチックに感じて当時のガールフレンドと

真似事をしたことはある。

 

だけど、新幹線や特急列車が続々と

日本中を走る時代になり、

こんな別れのシーンは、1980年ごろには

古びた映画みたいなストーリーになっていた。

 

かぐや姫の伊勢正三が作り、

アルバムにひっそりと収められていた曲を

イルカがカバーして1975年に大ヒットさせ、

ほとんど彼女の代名詞になった。

 

子どもなのか、大人なのか、

女なのか、男なのか、

いまいち判然としない彼女が歌うことで

「なごり雪」は一つのファンタジーに昇華した。

 

いまや懐メロ中の懐メロ。カラオケの鉄板。

いろんな歌手がカバーしているので、

若い世代にもよく知られた人気曲になっている。

70代以下の日本人なら、

知らない人はいないと思われるくらいだ。

 

昨年の大みそかにテレビ東京の歌番組

(冒頭の徳光和夫さんのアナウンスから涙が出る)

で放送された、たぶん最新のイルカの映像。

 

いつまでたっても変わらないその風貌に

ずっと不思議な思いを抱いてきたが、

久しぶりに見て、ちょっとショックを受けた。

 

彼女も齢を取った。

時がゆけば幼い君も

大人になると気づかないままだったんだ、僕は。

 

独特の伸びやかな声は失われつつあり、

もう高い音を出すのが苦しそうだ。

けれども、それが新しい味付けになっているようにも聴こえる。

 

長年彼女が歌い続け、たくさんの人が愛して育ててきた名曲は、

この先、「ふるさと」や「赤とんぼ」のような

日本人の心の故郷の歌になっていくのだと思う。

 

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自動書き起こしソフトから生まれた地球のメッセージ?

 

“心を間違えましたね。

1959年、地球に月に食事量は決まってるので”

 

なんだか不思議なセンテンスが出てきて、

妙に気持ちをそそられる。

 

人間が心の在り方を間違えたせいで、

1959年に、地球と月が摂取する食事量は決まってしまって、

以来、60年以上にわたって地球の自然エネルギーは

大きな問題を抱えてしまった・・・

 

そんなストーリー展開がイメージされる。

なんだかノストラダムスの大予言っぽい

SF小説のみたいなものが出来そうだ。

 

仕事のインタビュー取材が大量にあって

音声起こしの毎日が続いている。

 

最近はYouTubeの自動音声起こしソフトを使っていて、

上の文章はそこから書き起こされたものだ。

 

もちろん、インタビューではこんなこと言ってない。

ひどい誤訳だが、

それでも使うごとに精度が上がってきている。

 

昨年はまともなセンテンスとして出てきたのは

全体のせいぜい1~2割程度だったが、

今年になってからは3~4割使えるという印象に変わった。

 

精度はもちろん、録音時のコンディションによるところが大きい。

ノイズが多い場所、声が届きにくい場所だと、かなり落ちる。

今回は個人宅の静かなリビングルームでの

インタビューだったのでかなり良好だ。

 

そして、話す人の話し方、声のトーン、波長などによって

だいぶ変わる。

インタビュイーは高齢の方だったが、

声はしっかりしていて、丁寧にゆっくり話して戴いたので

5割近く使える感じだ。

 

反対にインタビュアーである僕の方は

全然まともに起こされていない。

喋り方を改める必要があるかもしれない。

 

ただ、いずれにしても、まだまだ機械は機械だ。

出てきた文章をまともなものにするために

頭からもう1回録音を聴いて直していかなくてはならない。

 

それに正確に起こしたとしても

そのままだとどうしてもその人の喋り方のクセとか、

「あの」とか「要するに」といった余分な言葉が

混じってくるので、読みにくててしかたない。

 

また、相手の人の話に含まれる細かいニュアンスは、

インタビュアー本人、ライター本人でないと

書き起こすのは難しい。

 

型にはまった演説とかプレゼンテーション的なものは

機械でもある程度対応できるかもしれないが、

そうでない、人間の心の内奥から言葉を引き出す

インタビューの場合は、

やはり手を抜かず、今のところは、

人間が自ら取り組まなくてはいけないと思う。

 

だけど面白い間違いは大歓迎。

また、とんでもセンテンスを期待している。

最近はいろんな自動書き起こしソフトが

出ているようなので、いろいろ試してみようと思っている。

 

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「わたしを離さないで」と「ノルウェイの森」: 恋愛から遠ざかり、恋愛小説に歩み寄る

 

先週、AmazonPrimeでドラマ「わたしを離さないで」を

一気観したことを書いた。

そのドラマの感触が何かによく似ているなぁ、

何なんだろうと思っていたが、

それが村上春樹の小説「ノルウェイの森」だと気づいた。

 

じつは3年ほど前に村上春樹の初期作品を立て続けに

再読したことがある。

「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」を読み終え、

しばらくしてから「ノルウェイの森」も読んだ。

 

二つのストーリーは共通したところはないのだが、

全体を貫くトーンと言うか、悲しみの色合いみたいなものが

よく似ていると感じるのだ。

 

「ノルウェイの森」は1987年の発売当時、

大ベストセラーになったので、読んだ人も多いだろう。

そして多分、嫌いになった人も多いだろう。

村上春樹を嫌いな人は

たいてい「ノルウェイの森」の悪口を言う。

 

僕が最初に呼んだのは20代後半の頃だったが、

それまでの現実世界から少しズレた、

クールで、幻想的な味わいのある作品が好きだったので、

何とも言えない違和感を覚えた。

 

そして、あのグダグダした感傷的で鬱病的な恋愛の世界と、

濡れ場の描写の妙なリアル感がかなり気持ち悪くもあった。

 

当時、女性の友人らともあの小説について話したが、

一体何を話していたのか、さっぱり思い出せない。

 

たぶん僕も彼女らも、誰もまともなことは言えなかったのだろう。

売れてるし、恋愛がテーマだから読んどくか、

みたいなノリだったのだろうと思う。

 

僕もその頃は恋愛は本の中ではなく、現実の世界にあった。

 

しかし、それから30年経って再読した「ノルウェイの森」は

全然違う世界だった。

 

けっしてすごい傑作だとは思わない。

やっぱりグダグダしてて感傷的で鬱病的なのだが、

それがひどくリアルに自然に感じられ、

抵抗なく受け入れることができた。

 

そして舞台となっている1970年の空気も

ひどく肌になじんだ。

タイムマシン効果というやつだろうか?

 

大事なものを失うこと、

何か得体の知れない巨大なものに奪われること、

抗いようもなく損なわれること、

それでも癒し癒されながら生きようとすること―ー

そうしたものが描かれている気がする。

 

そう考えてみると、「わたしを離さないで」も

こういった要素を含んだドラマだった。

 

こんな劇的な悲恋を体験したことなどないし、

そもそも僕にとって恋愛は遠い世界になった。

 

もうあんな面倒くさいことにわが身を投じる

気力も体力もない。

 

ただ、恋愛について考えることはできる。

半分は性的衝動だが、あとの半分は何なのだろう?と。

10代の子どものように恋に恋しているのかもしれない。

 

今年はどこかで時間を作って

「ノルウェイの森」をもう一度読んでみようと思う。

 

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再評価してほしいドラマ「わたしを離さないで」

 

昨日はAmazon Primeで5年前にTBSで放送されたドラマ

「わたしを離さないで」にはまり、

午後から深夜までかけて10話イッキ観してしまった。

 

原作はノーベル賞作家・カズオ・イシグロの同名小説。

ドラマは原作の文学性をきちんと踏まえつつ、

後半は独自のドラマチックな展開も作っていて

ものすごく高質なドラマに仕上がっている。

 

3人の男女の過酷な運命の果て、

綾瀬はるか演じる主人公が海から戻ってくる

ラストシーンは、最近観た映画やドラマの中でも

最も美しいラストだった。

 

水川あさみがタイトルの言葉を叫ぶシーンも

脳裏に貼りついたまま、引き剥がせない。

 

ストーリーの骨格となる

臓器移植とかクローン人間という題材は

平和な日常生活からはかけ離れたもの。

自分も含めて当事者にならなければ目を瞑りたいものだが、

この物語の本当のテーマは、そことは違ったところにある。

 

人間は自分の運命とどう向き合い、

どう生きていけばいいのか。

 

社会に自分の何かを提供し、貢献することと

自分の幸福を追求することとを

どう両立させればいいのか。

 

そのうえで愛や友情やどう育て、

人間同士の絆を作っていけばいいのか。

 

そうしたことを問いかけ、心の深部に響いてきて、

見終わった後もなかなか日常に戻れなくなるくらいの

インパクトがあった。

 

ただ、明るく描きようがない題材なだけに、

(美しいけれども)暗く重いトーンが敬遠されたのか、

放送当時の視聴率は相当ひどかったようである。

 

確かに仕事や家事や子育てで疲れて

1日終えた心身で観るには

ちょっとヘヴィすぎるのかもしれない。

 

けれども今はAmazon Primなどの

動画配信が充実しており、

ほぼ無料に近い低料金で楽しめる。

その意味ではとても恵まれた時代になっている。

 

視聴率だけがすべてではない。

放送当時の人気は芳しくなくても、

面白い作品、優れた内容の作品、

そしてそのとき限りでなく、

この先も永い生命力を持ち得るであろう作品を

自分が好きな時間・好きな場所で

くり返し何度でも楽しむことができるのは嬉しい限り。

 

これからは作り手も視聴率ありきでなく、

そうした意識を持って制作するべきだろう。

 

「わたしを離さないで」は

脚本・演出・俳優、どれも高いレベルにあって

原作への愛とリスペクト、

ドラマ作りに対するチャレンジ精神と誇りと良心を感じさせる。

ぜひ再評価されてほしいと願っている。

 

それにしても主演のひとり、三浦春馬は、

生命の価値を問いかける、

こんな素晴らしい作品で好演しながら、

どうしてあの若さで自殺などしてしまったのか。

今さらながら、とてもとても残念でならない。

 

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みんなが愛して憎んで生きた時代を1960(昭和35)年生まれの著者が探検する面白まじめエッセイ集。ブログ「DAIHON屋のネタ帳」から30篇を厳選・リライト。

 もくじ

・西城秀樹さんのお葬式:青春の同窓会

・ちびまる子ちゃんとサザエさんはいつまで続くのか?

・昭和オカルト大百科

・新聞少年絶滅?物語

・死者との対話:父の昭和物語

・社会全体の児童虐待と「晴れた空」

・東京ブラックホールⅡ:「老いた東京」は美しいか?

・さらばショーケン:カッコ悪いカッコよさを体現した1970年代のヒーロー

・さらば平成――みんなが昭和に帰りたがった30年

・永遠の昭和 明日のための1960年代・70年代   ほか

 

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昭和プロレタリアートの「出会いそして旅立ち」

 

「行くぜ、小田急で」

「え、オバQ?」

「ちゃうねん。小田急線で小田原まで」

「まあ、わたし、ロマンスカーで箱根まで行きたいわ」

 

20世紀レトロ感の漂うプロレタリアート風の男と女を描いた

巨大壁画レリーフ。

洋画家の宮永岳彦さん(1919~1987)の原画を

基に構成されたという。

この画家は小田急の特急ロマンスカー・SE(3000形)のカラーデザイン、

バーミリオンオレンジに白とグレーの塗装を考案した人でもある。

ロマンスカーの登場は1957年=昭和32年4月のこと。

 

それから62年後の一昨年3月末、小田急線の複々線化完成を記念して

下北沢の小田急線・井の頭線連絡通路に作られた。

 

久しぶりのリアル取材で小田原へ行ったのだが、

乗り換えで下北沢を利用したので

2年たって初めて気が付いたというわけ。

タイトルは「出会いそして旅立ち」。

 

作業着っぽい服を着た男と、スカーフを被った女の姿は、

何となく1957年=昭和32年当時の映画に出てくる、

ヒーロー・ヒロインを連想させるから?

戦後の復興の時代は

こういう若者たちが労働現場で日本を支えていたのだ。

ちょっとソ連とか、社会主義国っぽい?

 

「ロマンスカーは小田原には停まらないぜ」

「それに特急料金も払えないんでしょ」

「じゃあ小田原に行ったら名物・焼き蒲鉾を買ってやる」

「いや、わたし、箱根の温泉まんじゅうが食べたいの」

 

小田原にも箱根の温泉まんじゅうは売ってます。

はい、おみやげ。

 

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もくじ

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・ちびまる子ちゃんとサザエさんはいつまで続くのか?

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・新聞少年絶滅?物語

・死者との対話:父の昭和物語

・社会全体の児童虐待と「晴れた空」

・東京ブラックホールⅡ:「老いた東京」は美しいか?

・さらばショーケン:カッコ悪いカッコよさを体現した1970年代のヒーロー

・さらば平成――みんなが昭和に帰りたがった30年

・永遠の昭和 明日のための1960年代・70年代   ほか

 

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ファミリーストーリー100年史の制作

 

縁あって在日コリアンの方の

ファミリーストーリーを書くことになった。

先祖は100年ほど前、大正時代、鬼滅の刃の時代に

日本へ渡ってきたのだという。

当初は関西のほうにいたというから、

釜山か済州島から船で九州とか大阪に渡航したのだろうか。

 

ご本人は3世で両親からはルーツについて

何も聞かされていない。

唯一、ある程度、事情をご存じだろうという叔父さんが

高齢でご病気でもあるので、今のうちに

子どもたちに伝えるために形にしておきたいということ。

あくまで私家製の本なので、世の中に出回ることはない。

 

その叔父さんが東京近郊におられるので、

来週、取材に行くのだが、

基礎的なことは知っておかなくては、と思って

本やサイトで歴史をいろいろ勉強している。

 

案の定、ネット上では日韓両国の関係にまつわる

さまざまな意見が入れ乱れ、

悪意ある差別的な記事もかなり溢れている。

おそらくこういう記事には一定の需要があるのだろう。

 

1世、2世の方たちは大変な思いをしただろうな、

というのが、まず正直な感想。

 

概して3世以降は比較的、社会情勢が落ち着いた頃に

生まれ育っているので、以前の世代ほど

ひどい差別などは受けていないように思われる。

 

在日の方に限らず、親や祖父母の世代が

子どもに何も伝えてこなかったということは多い。

断片的でもいいから誰か周りの人に取材をして

形にしておくのはいいことだと思う。

 

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★13日(土)17:00~15日(月)16:59

子ども時間の深呼吸 ASIN: B0881V8QW2

 

だれの心のなかにも「子ども」がいる。

自分のなかにいる子どもにアクセスしてみれば、

何が本当に大切なのか、何が必要なのか、

幸せになるために何をすればいいのか、どう生きるのか。

自分にとっての正解がきっとわかる。

〈少年時代の思い出〉×〈子育て体験〉×〈内なる子どもの物語〉で

こね上げた 面白エッセイ集。ブログから40編を厳選・リライト。

もくじ

・大人のなかの子ども、子どもの中のおとな

・ちびちびリンゴとでかでかスイカ  

・天才クラゲ切り:海を駆けるクラゲ 

・子ども時間の深呼吸 

・親子の絆をはぐくむ立ちション教育 ほか

  

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ネズミやネコやイヌは夕焼け空に叙情を感じるか?

 

♪夕日が沈むよ ポコ・ア・ポコ

と、トッポジージョがギターを持って歌っていた。

 

トッポジージョは僕が子どもの頃、

テレビで人形劇として放送されており、

終わるときに必ずこの歌が流れるのだ。

 

当時の子ども番組、それも動物が主人公の番組には

似つかわしくないメランコリックなメロデイで

トッポジージョは

ミッキーマウスとかジェリー(トムとジェリー)とは

ひと味ちがう、ちょっと大人っぽいイメージのネズミだった。

 

振り返ってみると、スパゲティ以外では

はじめてのイタリア体験だったかもしれない。

 

人形劇の内容はさっぱり憶えてないが、

僕の中では勝手に海に沈む夕日に向かって

ギターを弾いているトッポジージョの姿が形成されていた。

 

ナポリタンスパゲティのイメージも絡まって、

すっかりナポリのネズミだと思っていた。

 

昭和40年代はスパゲティと言えば一般的には、

赤いウインナーの乗っかったケチャップ和えのナポリタンか、

ミートソース(今でいうならボネーゼ)しかなかったので。

 

でも、つい最近知ったことだが、

トッポジージョはナポリでなく、ミラノのネズミらしい。

 

ちなみに「ポコ・ア・ポコ」というのは

イタリア語で「少しずつ」という意味で、

イタリア料理店、パン屋さん、お菓子屋さんなどの

店名としてよく使われているようだ。

かわいくて憶えやすい語感だからね。

 

トッポジージョは僕の中で、いたずら野郎でなく、

そういうメランコリックなネズミなのだが、

当たり前のことながら、夕空を見て叙情的になるネズミはいない。

基本的に夜行性なので、

夕方になれば活動開始!と思うだけである。

 

いつも散歩する公園では夕刻になると、

僕が「ネコ林」と呼んでいる場所に野良猫たちが集まってくる。

日が暮れる頃になると、ネコ使いのおばさんがやってきて

ごはんをくれるのを知っているからだ。

 

ネズミもネコもイヌも、人間のように夕日を見て

何か物思うことなんてしない。

そもそも彼らは四つ足で地面に近いところで生きているので

空なんて見上げない。

見るとしたら、上空から猛禽類が襲ってくるかも知れない、

という危険を感じた時だけだ。

 

でも人間も都市に暮らし、引きこもって生活していると

空を見上げなくなる。

朝でも夜でもいいから1日に何回か空を見上げないと、

だんだん人間から四つ足動物の感性になっていく、

ような気がする。

 

さて、と書いてきたことは僕の勝手な思い込みで、

空を見上げるのは実は人間の特権ではないのかもしれない。

 

もしかかして、あなたが一緒に暮らしている

イヌやネコやネズミは

遠い空の彼方に思いを馳せたり、

夕焼け空に叙情を感じたり、

「見上げてごらん夜の星を」を心の中で歌い、

UFOを発見し、ETとコンタクトできるのかもしれない。

もしそんなイヌやネコやネズミがいたら教えてほしい。

ポコ・ア・ポコ。

 

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神ってるナマケモノ (動物エッセイ)

 

僕たちはこの星の上で137万種類を超す動物たちといっしょに暮らしている。

イマジネーションを掻き立て、人間の世界観の大きな領域をつくってきた仲間たちについてのエピソードや、あれこれ考えたことを編み上げた、おりべまことの面白エッセイ集。

自身のブログから36編を厳選・リライト。

 

目次 

・ネコのふりかけ

・おしりを拭いてもらうイヌの幸せと人面犬の増殖について

・なぜ日本ではカエルはかわいいキャラなのか?

・ウーパールーパーな女子・男子

・ヌード犬・ファッション犬

・いやしの肉球

・金魚の集中力は人間以上 ほか

 

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お寺の詐欺事件とレ・ミゼラブルと宗教者の存在意義について

 

先日、金融詐欺で3000万円を騙し取られた

お坊さんの話を書いたが、

昨日はコロナで失業した男からお金を騙し取られたという

ニュースを見た。

ただし、こちらの金額は1万円である。

 

「コロナで働き先ない 43歳、寺から1万円詐欺容疑」

(朝日新聞デジタル)

https://www.asahi.com/articles/ASP255H22P25UTIL01T.html

 

住所不定無職の43歳の男が、コロナ禍で仕事を失ったうえ、

実家に帰る費用がないと嘘をつき、東京都足立区の寺の

住職の息子から現金1万円をだまし取ったとして、

詐欺容疑で逮捕されたという。

 

住職の息子は「交通費を貸してほしい」と相談されて

貸したが、1カ月が過ぎても返金がないので

警察に相談に行った。

 

警察は都内のほかの寺院に注意喚起し、

借金を頼まれたら警察に通報するよう要請していた。

 

そこへこの男が今月3日に中野区の寺で

借金を頼んだことがわかり、

現場で取り押さえられたという。

 

このニュースを見て、ぱっと頭に浮かんだのは

「レ・ミゼラブル」である。

 

貧しさ故、パンを盗んで牢屋に入れられた

主人公ジャン・バルジャン。

やっと出てきて路頭に迷った末に、

拾ってもらい慈悲を掛けてもらった教会から

恩を仇で返すかのように、高価な銀食器を盗み出した。

 

すぐに警察に捕まって「これはおたくの食器ですね」

と警官に尋ねられた神父様は、

「はい、さようです。しかし、これは私がこの人に譲ったもの。

これだけではない。この教会にある銀食器はすべてこの人に

譲ったのです。

さあ、これも持っていきなさい。これも、これも」と、

持ちきれないほどの銀食器を持たせる。

 

思い出しながら書いているので正確ではないが、

とにかくそんな神父様の慈悲の心に触れ、

こころ動かされたジャン・バルジャンは、

貧しさに負けていた自分を恥じて悔い改め、

まっとうな人間への道を歩み始める。

 

世界名作「レ・ミゼラブル」序盤の

最も感動的なシーンである。

 

で、思った。

どうしてこの足立区の住職の息子をはじめ、

金をだまし取られたという都内のお坊さんたちは、

宗教者でありながら、このレ・ミゼの神父様のような

広い心がないのだろうか? と。

 

そんなの作り話じゃんか、同じことできるわけないだろ!

と言われればそれまでだ。

しかしたとえば、この詐欺男に対して、

 

「それは大変ですね。

1万円ではその場しのぎにしかならないでしょう。

10万円持っていきなさい。いや、それでも足りない。

100万円あれば生活をやり直せるのでは?

わたしの貯金を取り崩しましょう。何ならもっと・・・」

 

とでも言えば、詐欺男も動揺して

「も、申し訳ありません、お坊様。

私は嘘をついておりました。どうかお許しください!」

 

と改心し、生まれ変わる

・・・という展開だってあり得たかもしれない。

半分冗談だけど、半分は本気です。

 

こんな悪事、こんな詐欺を放っちゃおけない、

という正義感で警察に訴えたのかも知れない。

 

だけど、世間一般と同じ論理、同じ善悪の基準でしか

人間に対せないのなら、

宗教者の存在意義って、どこにあるのだろう?

 

宗教者はやっぱりレ・ミゼの神父様のようであってほしい。

少なくともその片鱗くらい見せてほしい。

もちろん、超能力とか霊能力の類は要りません。

 

説教だけでなく、人の心を動かすような

立ち居振る舞いをしてほしい。

 

コロナ禍で困っている人が大勢いる今こそ

存在感を発揮するべきではないか。

 

この男だって最初は騙してやろうというつもりではなく、

本当に困っていたのではないか?

お寺なら何とかしてくれると思ったから来たのではないか?

それで最初は返すつもりだったけど、

なかなかうまくいかず、つい甘えてしまっただけではないのか?

同情し過ぎ、弁護し過ぎだろうか?

 

いずれにしても、

ああ、やっぱり人間には宗教というものが必要なんだ、

神様や仏様を敬わなきゃだめだと、

思い知らせてほしいのだけど、

現代では難しいことなんだろうね、たぶん。

 

 

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ポップミュージックをこよなく愛した僕らの時代の妄想力

(音楽エッセイ)

 

★9日(火)17:00~11日(火)16:59

どうして僕はロボットじゃないんだろう?

(AI・ロボットエッセイ)

 

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18日(火)新刊:昭和エッセイ発売予定!

 

どうぞお楽しみに!

 


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「鬼滅の刃」で辿る近代日本の家族主義と個人主義

 

この映画では母の遺言を守り、

命を懸けて無限列車の乗客を守る煉獄杏寿郎の姿に

多くの女性が涙し、杏樹郎人気が爆発したようだが、

僕はその前の、自分の夢と戦う炭治郎のシーンが面白かった。

 

そこには大正時代から現代までの約100年間の

日本人の家族に対する考え方・マインドの変化が

表現されているように読み取れる。

 

僕の親は昭和ひとケタ生まれだが、

この世代の人たちは「今の人は自分勝手」としばしば口にする。

貧しい時代に生まれ育ち、戦争まで経験した彼らは

「和をもって尊し」という教えが身体に染み込んだ世代である。

僕たちのライフスタイル・ふるまい方・考え方を見ていると、

どうしてもそういう思いが口から漏れ出てしまうのだろう。

 

こうした旧・日本人の成り立ち方は、

おそらく明治や大正の人も同じだろう。

とにかく貧しかったので、

家族が身を寄せ合い、いろいろ我慢を重ねて

協力し合って生きなくてはならない。

そうした生き方が大多数だったのだ。

 

国はそこを利用して、日本人は天皇を中心とした家族である、

という夢を見せ、富国強兵を進めて、

アジア随一の軍国国家を創り上げた。

 

けれども戦後、日本人はその夢から醒め、

生まれからその生活スタイルが激変した。

経済成長とともに、それぞれの個性を重んじ、

それぞれが、それぞれの幸福を追求する

個人主義の時代になっていった。

 

これもまた、経済成長という夢に乗っかった結果であり、

その夢もいま、醒めようとしているのだが。

 

いずれにしても昭和の後半、

みんな、それまでの家族の因習、

家族の寄合であるムラの因習から逃げ出すかのように街に出て、

大家族は解体され、核家族になり、

さらに個々バラバラになった。

 

その状況を見て、やっぱり

「昔はよかった。暖かい家庭があった。

いまの日本人は寂しい」という声が出る。

 

おそらくこの大正時代の炭治郎の家族を見て、

これぞあるべき日本人の家族の姿と

感動する人もいるかもしれない。

 

鬼が見せる甘美で幸福な夢の世界。

あの頃の母と弟・妹たちが家にいる。

すべては元通りになっている。

涙の出るような情景。

僕もこのあたりのシーンは泣いた。

 

そして昭和30年代の自分の子どもの頃まで思い出した。

さすがに竈はなかったが。僕の家の台所も土間だった。

煎餅を焼いた覚えはないが、

冬はみんなで火鉢を囲んで餅を焼いて食べた。

おいしかった。楽しかった。

 

けれども現実の世界の時計は進んでいる。

もう後戻りはできない。

 

水面に映った自分自身と対話して

これが夢であることを見破った炭治郎は、

涙ながらに家族に背を向け、走り出す。

そして自分で自分の首を斬ることで

甘い夢の世界から抜け出そうとする。

 

それは、ともすればレトロな夢にすがりたくなる

現代の日本人の心象を表しているようにも見えた。

 

しかし、なおも鬼は夢を見せようとする。

今度は悪夢で、死んだ家族たちが

「なぜおまえだけのうのうと生きている」と呪詛を吐く。

それは炭治郎の胸の奥にある罪悪感を突き刺す。

 

彼は優しい少年なので、炭を売りに出た帰り、

宿を取って一晩過ごしてしまった時に、家族が惨殺されたことに

ひどい罪の意識を抱いているのだ。

 

けれども彼はその悪夢も破る。

自分の大好きだった家族が自分を呪うわけがない。

彼は死んだ母やきょうだいを信じる心を取り戻し、

「俺の家族を侮辱するな!」と叫ぶ。

そのシーンは結構涙腺が崩壊した。

 

家族愛をテーマにした「鬼滅の刃」には、

現代の日本人のトラウマを刺激する要素が詰め込まれ、

さまざまなメタファーがあふれている。

 

それは近代から始まり、江戸時代、戦国時代、

そして原初の鬼・鬼舞辻無残が生まれた平安時代まで遡る。

 

テレビシリーズと今回の映画は

物語全体の第1幕に過ぎず、まだ2幕・3幕とある。

映画まで見てしまうと、この続きが気になって、

原作のマンガが読みたくなる。

うまいビジネスモデルになっている。

 

そして原作が完結しているにも拘わらず、

この先、ネタばれ状態でテレビと映画で

またアニメをやるのかも気になるところ。

 

いずれにしてもコンテンツが優れているからこそ

成り立つビジネスモデル。

今度は原作を読んでいろいろ研究してみようと思う。

 

 

 

 

 

 


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女心に刺さる「鬼滅の刃」

 

節分は過ぎたけど鬼の話。

鬼といえば今や「鬼滅の刃」。

だいぶ遅くなったが、映画を見て来た。

 

節分の日。平日の午前中に行ったので映画館はガラガラ。

そういえば昨年は一度も映画館に来なかった。

 

さすがにAmazonPrimeで配信されるまでは待っていられない。

何といっても興行記録を塗り変えた映画である。

すごい! とまではいかないが面白かった。

 

「強く生まれた者は弱き者を守る使命があります」。

これがこの映画のメッセージであり、

主人公の炭治郎らが鬼と戦う理由である。

 

このセリフを言うのは、もう一人の主人公である

煉獄杏寿郎の母である。

病の床にあった母は、まだ少年だった杏樹郎に

この言葉を残して亡くなる。

鬼との戦いの中で杏樹郎の脳裏にその情景がよみがえるのだ。

 

ここで両隣に座っていた女性が泣き出した。

そのあと、最後までほぼ泣きっぱなし。

見た感じ、中年ぽかったのでお母さんなのかも知れない。

 

「鬼滅の刃」の人気の秘密は、

こうした女心に突き刺さったからである。

女子ウケしなければ、

ここまでの大ヒットにはならなかっただろう。

 

概して女性はそれぞれの技やバトルアクションよりも

登場人物らの過去の物語に関心を寄せる。

なぜ彼らはここで、こうした姿で戦っているのか、

その物語(バックストーリー)に心奪われるのである。

 

それは主人公チームだけでなく、

敵である鬼も同様。

鬼はもともと人間であり、

心を支配した強い思い――怨念、執念、嫉妬、憎悪などが

血肉を得て形になった化け物なのだ。

鬼の中にも泣かせるドラマがあり、

日本人の影の歴史がある。

 

この映画「無限列車編」には、

人間を眠らせ、夢を見させる鬼が登場する。

幸福な夢にどっぷりつからせ、その間に潜在意識の中にある

精神の核を潰して廃人にしてしまう――という恐ろしい術策だ。

 

というわけで眠らされた炭治郎たちは、それぞれの夢を見る。

これによって原作もテレビシリーズも観てなくても、

主人公の炭治郎がどういう運命を背負った少年なのか、

何となくわかるようになっている。

 

これも女子ウケの大きな要因だが、

このマンガの大テーマは「家族愛」である。

敵である鬼もまた家族愛の悲劇から生まれる。

もともと人間だったのに、どうして鬼になったのかという

物語もまたよく描かれている。

 

この映画では母の遺言を守り、

命を懸けて無限列車の乗客を守る煉獄杏寿郎の姿に

多くの女性が涙し、杏寿郎人気が爆発したようだが、

僕はその前の、自分の夢と戦う炭治郎のシーンが面白かった。

 

そこには大正時代から現代までの約100年間の

日本人の家族に対する考え方・マインドの変化が

表現されているように読み取れる。

 

長くなりそうなのでまた明日。

 


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コロナを倒せ! シン・ウルトラマン

 

映画は映画館で観なくてはいけない。

と、僕も言っていた。

でもその信念はコロナでガラガラと崩れた。

 

今ではすっかりAmazonPrimeだより。

何といっても月500円で観放題と言うのはすごい。

それに家から出る必要ないので、

短時間で何本も観れてしまう。

Amazonに限らず、Netflix、Huluなど、

あっという間に映画もドラマも

ネットで観る時代になってしまった。

 

新作は基本的にはまだ映画館で観なくてはいけないが、

1年もすればネットで観られると思うと、

よほど面白そうなもの、これはぜひ大画面で・・・・・

というものでなくては観客を集めるのは難しいだろう。

 

そこで映画界が頼みの綱とするのが

アニメと特撮だ。

 

「もう映画館で観るのはアニメや特撮だけだよ」

と、うちの息子が正月にのたまっていたが、

実際、その通りかもしれない。

俳優の不祥事などでポシャるリスクも小さいし。

 

その二刀流で活躍するのが庵野秀明監督だ。

「シン・ゴジラ」の大ヒット。

完成したものの、いまだ公開されない

「シン・エヴァンゲリオン」。

そして今度は「シン・ウルトラマン」

 

新なのか? 真なのか? 

深なのか? はたまた神なのか?

 

とにかく「シン」がつけば何でも観ちゃうという人たちが

特報映像公開でヒートアップ。

そして特別ビジュアルに記された一言が刺さった。

「そんなに人間が好きになったのか、ウルトラマン。」

 

瀕死の映画館も「シン」がつけば観客が来る!

と、エヴァ、ウルトラマンの連続公開に望みを託す。

 

もはや庵野監督抜きで

日本の映画界は成り立たないのではないかと思えるほどだ。

 

ちなみに「シン・ウルトラマン」は

ゴジラと同じく、庵野氏は企画・脚本。

監督は樋口真嗣氏。

初夏公開。

2020は鬼滅、2021はシン!

コロナを倒せ、ウルトラマン。

映画ビジネスの未来のために!

 

Amazon Kindle 電子書籍新刊

「ポップミュージックをこよなく愛した僕らの時代の妄想力」

 

ビートルズをきっかけにロックが劇的に進化し、ポップミュージックが世界を覆った時代.僕たちのイマジネーションは 音楽からどれだけの影響を受け、どんな変態を遂げたのか。心の財産となったあの時代の夢と歌を考察する、おりべまことの音楽エッセイ集。ブログ「DAIHON屋のネタ帳」より33編を厳選・リライト。

ASIN: B08SKGH8BV ¥311

 

●アクセス

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または「おりべまこと」、または書籍名を入れてアクセス。

 

●スマホやタブレットで読める:Kindle無料アプリ

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●Kindle unlimited 1ヶ月¥980で読み放題

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もくじ

●八王子・冨士森公園のスローバラード駐車場で、ポップミュージックをこよなく愛した僕らの時代の妄想力について考える

●アーティストたちの前に扉が開いていた

●21世紀のビートルズ伝説

キング・クリムゾンの伝説と21世紀版「風に語りて」

●プログレッシヴ・ロックスターの死①:ジョン・ウエットンの訃報、そしてロンドンの寿司

●プログレッシヴ・ロックスターの死②:キース・エマーソンの尊厳死(1周忌に捧ぐ) 

●ヘイ・ジュード:ジョンとポールの別れの歌  ほか

 


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週末の懐メロ⑮:キエフの大門/エマーソン・レイク&パーマー

 

1975年、ロック音楽雑誌「ミュージックライフ」で

グループ部門堂々第1位。

キーボードプレイヤー部門はキース・エマーソン、

ベーシストはグレッグ・レイク、

ドラマーはカール・パーマーと、

すべて第1位を総ナメ。

「ELP(エマーソン・レイク&パーマー)を聴かない奴は

若者じゃないぜ」

とまで言われるほどの圧倒的な人気を誇った伝説のバンドだ。

 

当時はロックミュージックの急成長時代。

「古い価値観・古い権威をぶっとばせ!」の心意気で、

クラシック音楽をロックにしちゃうというのが一時期流行した。

 

そこでELPはムソルグスキーの組曲「展覧会の絵」を

めちゃくちゃアグレッシブなロックに変えて

ライブ録音でアルバムをリリース。

それが大ヒットとなり、

「クラシック音楽ロック」の代名詞となった。

もちろんで今も名盤として聴き継がれている。

 

また、男子だけでなく、女子にも人気があり、

少女マンガの青池保子氏の名作「イブの息子たち」に登場する

3人の主人公は、ELPをモデルにしている。

 

この1974年の「カリフォルニアジャム」というライブにおける

「展覧会の絵」のクライマックス「キエフの大門」の演奏では、

曲の中盤で、エマーソンがオルガンを弾き倒し=引き倒して

ギュワンギュワン唸らせた後、

今度はグランドピアノに飛び移って弾き出すと

それがみるみる宙に浮かび、

エマーソンはピアノとともに空中で

グルングルン何度も回転する。

 

そして最後はダイヤルとケーブルを全身にまとった

電子楽器の巨神兵・ムーグシンセサイザーに飛び掛かり、

ヒュイーンヒュイーンと泣かせて完全制圧する。

 

いま見ると大笑いの超絶パフォーマンスだが、

あの頃はこれがすごかった。カッコよかった。

エマーソンはまるで機械文明に打ち勝った

人類代表のヒーローのようだった。

みんなが興奮して泣いていた。

 

けれども僕らの胸を熱くした

エマーソンもレイクもこの世を去っていった。

「キエフの大門」の歌詞の末尾、

「Death is Life」が胸を刺す。

 

今ではもう多くの人から忘れられているかも知れないが、

ELPこそロック黄金時代の夜空を焦がした

巨大な打ち上げ花火だった。

This is ELP!

20世紀の夢の歴史を見よ。

 

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「ポップミュージックをこよなく愛した僕らの時代の妄想力」

 

ビートルズをきっかけにロックが劇的に進化し、ポップミュージックが世界を覆った時代.僕たちのイマジネーションは 音楽からどれだけの影響を受け、どんな変態を遂げたのか。心の財産となったあの時代の夢と歌を考察する、おりべまことの音楽エッセイ集。ブログ「DAIHON屋のネタ帳」より33編を厳選・リライト。

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●アーティストたちの前に扉が開いていた

●21世紀のビートルズ伝説

キング・クリムゾンの伝説と21世紀版「風に語りて」

●プログレッシヴ・ロックスターの死①:ジョン・ウエットンの訃報、そしてロンドンの寿司

●プログレッシヴ・ロックスターの死②:キース・エマーソンの尊厳死(1周忌に捧ぐ) 

●ヘイ・ジュード:ジョンとポールの別れの歌  ほか

 


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エイジトラベルする義母と幻の息子

「さっき、息子が来ていたはずだけど・・・」

「え、息子?」

 

最近、認知症の義母の頭の中に

息子が登場するようになった。

彼女には息子はいない。

一応、僕と義妹の夫が「義理の息子」ということになるが、

どうやらそれとは違うようだ。

 

正月にうちの息子(彼女の孫)が遊びに来ていたので、

彼のイメージが残っているのかも知れない。

それを材料にして架空の息子を創作してくるところは、

なかなかクリエイティブだ。

 

義母の脳内にはいろんな家族が登場する。

その多くは過去一緒に暮らした人たちで、

時々、彼女のところに遊びに来たりする。

 

それも夫や兄、父母などが

あれこれ役割を変えてかわるがわる登場したり、

飼ったことのないペットのイヌやネコが登場したり、

お菓子の空き箱を子どもの娘たちが取り合ったりする。

それを実の娘であるカミさんがあきれて

その話を聞いていたりする。

 

僕たちと一緒に暮らし始めた当初は、

自分の年齢を結婚前の20代前半あたりに設定していたようだが、

今では時々、母親としての設定も入ってくるので、

その時々によって縦横無尽にエイジトラベルしているようだ。

 

ちなみに幻の息子は今年になっては初登場したキャラである。

「今日はいないよ」と言うと、

「そうかぁ、会いたかったのになぁ」と言って

部屋に引っ込んでいった。

 

実際にははいないけど、息子のいる人生もあり得たかもね。

たとえ架空でも、いろんな家族がいて、

いろんなストーリーがあると楽しいね。

 

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「ポップミュージックをこよなく愛した僕らの時代の妄想力」

 

ビートルズをきっかけにロックが劇的に進化し、ポップミュージックが世界を覆った時代.僕たちのイマジネーションは 音楽からどれだけの影響を受け、どんな変態を遂げたのか。心の財産となったあの時代の夢と歌を考察する、おりべまことの音楽エッセイ集。ブログ「DAIHON屋のネタ帳」より33編を厳選・リライト。

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●八王子・冨士森公園のスローバラード駐車場で、ポップミュージックをこよなく愛した僕らの時代の妄想力について考える

●アーティストたちの前に扉が開いていた

●21世紀のビートルズ伝説

●藤圭子と宇多田ヒカルの歌う力の遺伝子について

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「ザ・ビートルズ:Get Back」を観て死ね

 

昨年末に映画「ザ・ビートルズ:Get Back」の

先行特別映像が公開されていた。

 

1970年制作の映画「レット・イット・ビー」は、

「ゲットバック・セッション」という約3日間にわたる

末期ビートルズのセッション風景を編集した

ドキュメンタリーだった。

 

今年8月に公開される「ザ・ビートルズ:Get Back」は

それと同じ映像素材――

「レット・イット・ビー」で使われなかった

約56時間に及ぶ未公開映像を編集し、

新たな映画として構築したものだ。

 

予定ではビートルズの終焉から50周年となる昨年中に

完成・公開されるはずだったが、

コロナ禍によって延期を余儀なくされたという。

 

先行特別映像は、ピーター・ジャクソン監督の挨拶の後、

約5分にわたってモンタージュ映像が展開するが、

これを見て驚愕した。

 

本当にこれが50年以上前の、

あの「レット・イット・ビー」と

同時期に撮影した映像なのか?

 

この4人は一昨年のクイーンの映画みたいな

若いそっくりさんじゃないのか?

 

何かフェイクの極みみたいな、

すごい加工技術が施されているのではないか?

 

そんな疑念が次々と湧いた。

が、そんなことはあり得ない。

これは本物だ。1970年のリアル・ビートルズだ。

 

この頃、解散寸前のビートルズは仲間割れが顕著となり、

4人の心はもうバラバラで、

それぞれのソロ活動に向かっていた。

ビートルズは、ビートルズを葬り去ろうとしていた。

 

ーーというのがこれまでの定説だった。

それを表現した映画「レット・イット・ビー」は

葬送曲のごとく、暗く物憂いトーンで作られていた。

 

ところが、この未公開映像の中の4人は

そうした従来のイメージとあまりにかけ離れている。

とても半分崩壊したバンドとは思えない、

元気で生き生きとした輝きを放っている。

 

そして端々に垣間見える、

彼らの音楽つくりへの意欲と創造性の炸裂。

このテンションの高さはなんだ?

すでにこの世にいないレノンやハリスンの息吹も

間近に感じられる。

 

若い世代にとっては、現代に続くロック、

ポップミュージックの礎を築いた伝説のバンドの

最後の姿が見られる絶好のチャンス。

 

そして半世紀を超えてビートルズを愛し続けたファン、

特に70歳を超えた、リアルタイムでビートルズを聴いた

オールドファンは、もう一度、元気にGet Backするためにも

これを観ずして死んではいけない。

8月27日(金)世界同時公開とのこと。

 

1月21日(木)17:00~24日(日)16:59

3日間限定無料キャンペーン実施!

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「ポップミュージックをこよなく愛した僕らの時代の妄想力」

 

ビートルズをきっかけにロックが劇的に進化し、ポップミュージックが世界を覆った時代.僕たちのイマジネーションは 音楽からどれだけの影響を受け、どんな変態を遂げたのか。心の財産となったあの時代の夢と歌を考察する、おりべまことの音楽エッセイ集。ブログ「DAIHON屋のネタ帳」より33編を厳選・リライト。

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もくじ

●八王子・冨士森公園のスローバラード駐車場で、ポップミュージックをこよなく愛した僕らの時代の妄想力について考える

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池袋でふくろう時代を振り返る

 

昔から「いけふくろう」というのが池袋にいる。

それが近年、キャラクター展開されて、

大々的に「ふくろうの街」としてPRしている模様。

交番も地域を巡るコミュニティバスもふくろうだらけだ。

ホーホー。

 

月曜日の話だが、ちょっと用があって約1年ぶりに池袋へ行った。

18歳で上京したころ、

通っていた演劇学校が西池袋にあったので、

ここは東京におけるわが故郷のような街である。

そして、この街でかつて僕はフクロウだった。

ホーホー。

 

今でこそ早起きで、夜は11時を回ると

眠気に耐えられない体質になってしまったが、

かつては夜行性のフクロウ族で、

夜の池袋を飛び回っていたのだ。

ホーホー。

 

しかしこの日行ったのは、もちろん昼間。

しかも緊急事態宣言発令中。

サンシャインに続く東口はそこそこ人出があったが、

西口は閑散としていた。

 

その閑散とした中で

駅前の「コロナ感染に注意しましょう」という

親切なアナウンスと、

駅前繁華街の「客引きに注意しましょう」という

丁寧なアナウンスが混じり合って、

なんともいえない空気を醸し出していた。

 

そんな空気の中でブラブラしていたら、

この駅前繁華街

(昔はロマンス通りという名だったが、今は?)で

生まれて初めて水商売のバイトをやったことを思い出した。

 

地下1階のパブで、午後6時から11時半まで

黒服と蝶タイのウェイターをやっていた。

 

カネマツさんというあんまり水っぽくないマネージャーと、

ナガミさんという思い切り水っぽいサブマネ、

そしてキツネとタヌキのコンビみたいな女の子らと

一緒に働いていた。

 

ボトルキープ期限切れのウィスキーを1本に集めて

新品として出したり、

ミネラルウォーターの瓶に水道水を入れて200円で売っていた。

レーズンバターなるつまみをこの店で初めて見た。

渇きものでどれも1,000円くらいとってたような気がする。

けっこうインチキビジネス。

 

生演奏をするバンドが入っていて、

サンタナの「哀愁のヨーロッパ」

「ブラックマジックウーマン」や

プロコルハルムの「蒼い影」が十八番だった。

 

「蒼い影」になると、真ん中のホールでカップルが

チークダンスをしていた。

ヤクザのおっさんもよくきて凄みをきかせていた。

僕が休みの日だったけど、一度、暴れたことがあったらしい。

 

その時代の池袋には

まだ戦後のヤミ市の残滓みたいなものがあったのかもしれない。

汚くて野蛮な部分もあったけど、奇妙なぬくもりもあった。

昭和の体温とでもいうのだろうか。

ホーホー。

 

そういえば3年前に演劇学校の同窓会をやって、

やっぱり故郷・池袋はいいなぁと思ったが、

さすがに昔のように夜通し飲むという気分にはならなかった。

 

もう夜の街を飛び回ることもないのだろうけど、

池袋のフクロウには何だか親近感を感じる。

 

ちなみに、ただの駄洒落で「いけふくろう」

なのだろうと思ってたけど、

この近辺の雑司ヶ谷の森には

野生のフクロウだかミミズクだかがいるらしい。

しかも今でも。

本当だったら探索して鳴き声だけでも聞きたいものだ。

ホーホー。

 

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韓国映画「OLD BOY」

 

コロナ禍は当分続くと覚悟して、夜早く帰ったら、

あるいは終日在宅仕事の息抜きプラスアルファで

この際、思い切り本を読んだり、映画を見たりしてはどうか。

 

今日はAmazonPrimで韓国映画「オールドボーイ」を視聴。

2004年のカンヌ国際映画祭グランプリ作品。

原作は日本のマンガらしい。

 

冒頭出てくるのは、人のいい家族思いの、

でもちょっと酒癖の悪いおっさん。

このおっさなんが突如、何者かに監禁され、

その監禁生活が15年も続く。

 

いったいなぜ自分は15年もの間、自由を奪われたのか?

復讐の鬼と化した男がその謎を解くサスペンス劇。

 

ドラマ的にもビジュアル的にもかなり残酷だが、

めちゃくちゃ面白い。

メンタルの弱い人やハッピーエンドが好きな人には

お薦めしないけど、

人間が人間を愛することの悲しさ・残酷さ、

人生の苦さが胸の奥底まで響く物語。

AmazonPrimでの配信は1月20日まで。

 

自由に出歩くのが憚られる時期だけど、

家で大したお金もかけずに映画が楽しめるのだから

恵まれた良い時代だと思う。

 

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「ポップミュージックをこよなく愛した僕らの時代の妄想力」

 

ビートルズをきっかけにロックが劇的に進化し、ポップミュージックが世界を覆った時代.僕たちのイマジネーションは 音楽からどれだけの影響を受け、どんな変態を遂げたのか。心の財産となったあの時代の夢と歌を考察する、おりべまことの音楽エッセイ集。ブログ「DAIHON屋のネタ帳」より33編を厳選・リライト。

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週末の懐メロ⑫:クレア/フェアーグランド・アトラクション

 

1988年にデビューして、たった1枚のアルバム

「The First Kiss of a Million Kisses(邦題:ファースト・キッス)を遺して消え去ったスコットランド出身のバンド、

フェアーグランド・アトラクション。

 

彼らの音楽は1930~50年代のスウィングジャズや

古いアメリカやイギリスのフォークソングのエッセンスを

たっぷり取り入れた、当時からすでに懐メロ。

それでありながら超斬新で、たまらない切れ味があって

僕はしびれまくっていた。

 

「パーフェクト」という曲が大ヒットしたが、

いちばん好きだったのは、この「クレア」。

歌い手のエディ・リーダーと、クラリネットおじさんとの

丁々発止のやり取りが楽しくてイカしてる。

 

ちなみに「フェアーグランド・アトラクション」とは

移動遊園地のこと。

 

僕が過ごした1980年代のロンドンでは、

中心にある繁華街のレスタースクエア

(東京で言えば新宿みたいなところ)に、

ある夜、ピカピカ光を放つ遊園地が忽然と現れ、

子どもよりも、むしろ大人が嬌声を上げて

アトラクションを楽しんでいた。

 

安っぽくロマンチックで、懐かしいぬくもりがあって、

ちょっと退廃的な香りも混じる

大人のメルヘン、ファンタジー。

フェアーグランド・アトラクションの音楽には

そんなテイストがある。

 

たった1枚のアルバムは永遠の遊園地となって

21世紀もピカピカ光り続けている。

 

1月11日(月) 発売決定

AmazonKindle電子書籍・おりべまことエッセイ集

「ポップミュージックをこよなく愛した

僕らの時代の妄想力」

 

ビートルズをきっかけにロックが劇的に進化し、ポップミュージックが世界を覆った時代.

僕たちのイマジネーションは 音楽からどれだけの影響を受け、どんな変態を遂げたのか。

心の財産となったあの時代の夢と歌を考察する、おりべまことの音楽エッセイ集。

ブログ「DAIHON屋のネタ帳」より33編を厳選・リライト。

 

 ♪勝手にビートルズ・ベストテン

♪純情ストーカー男と純心DV願望女の昭和歌謡

いちご畑で抱きしめて

ダイヤモンドをつけたルーシーとの別れと心の修復作業

♪冨士森公園のスローバラード駐車場で、ポップミュージックをこよなく愛した僕らの時代の妄想力について考える  ほか

 


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鬼滅の刃と眠りの剣士

 

今さらながらだけど、

正月休みは「鬼滅の刃」のビデオを見ていた。

(まだ全部観終わってないけど)

 

基本はチャンバラアクションのダークファンタジー。

そこに現代の日本人が失ってしまったもの――

家族の絆、人情、音やにおいで心を察知するセンスなどが

思う存分盛り込めていて、うまいなぁと思った。

 

そしてビジュアル的には、伝統的な和物と

モダンレトロが絶妙にブレンドされている。

時代を大正時代に設定した勝利。

これは外国でもウケるだろう。

だけどたった100年前ってこんな生活環境、

こんなマインドの世界だったんだね。

 

敵は鬼である。

鬼と言っても角をはやしておらず、

虎皮のパンツもはいてないので、

ビジュアル的にはそう言われなくては鬼とは認識しづらい。

妖怪でも怪獣でも悪魔でも宇宙人でもない、

この「鬼」の最大の特徴は

「もともとは人間だった」というところ。

そこにドラマがある。

 

そのため、鬼の過去、

そしてその鬼を退治する鬼殺隊のメンバーの過去も、

いったい彼らはどこからやってきて、闘いの場にいるのかという

回想シーンがやたら多いのもこの作品の特徴だ。

鬼については長くなるのでまた改めて書く。

 

僕がこの作品で一番好きなキャラは黄色い髪で、

主人公の少年・炭治郎の同期生で

お笑い担当の吾妻善逸である。

 

一応、美少年だけど、登場シーンの7割くらいはギャグ顔だ。

女好きで絶えずギャーギャーわめいていて、

とても鬼殺隊の剣士とは思えない泣き虫で

臆病な腰抜け野郎なのだが、

眠っているとき、あるいは意識を失っているときは、

めちゃくちゃ強い剣の達人になる。

 

また、嗅覚が優れている炭治郎に対して、

彼は聴覚が異常に発達しており、

人間の血流や心の動きまでもサウンドとして聴くことができる。

そんな繊細さが彼の優しさ・善良さにつながっている。

 

眠って視覚が効かず、聴覚だけを頼りに

居合切りで戦うさまは座頭市のようだ。

普段はギャグりまくりなのに、

この振り幅がたまらなく面白くてかっこいい。

 

なぜ彼が無意識の領域ではこれほど強いのに、

意識があるとてんでダメなのか?

恐怖心と自信のなさに心を支配されてしまうからだ。

 

恐怖心さえ克服すれば人間なんでもできると言うが、

そう簡単に克服できれば苦労しない。

人格者で努力家の炭治郎もいいが、

僕らにより近く、おまえは意識の世界では駄目でも、

無意識の領域では無敵なはずなのだ、

と夢を与えてくれるのは善逸のほうだ。

 

そういえば、鬼になった禰豆子(ねずこ)も眠ることによって

回復したり、強化したりした。

意識・無意識といった心理世界を描く物語でもある。

やっと見たけど「鬼滅の刃」は

いろいろ深掘りできそうで面白い。

 

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週末の懐メロ⑪:スキャットマンズワールド/スキャットマン・ジョン

 

ジャズピアニストだったジョン・ポール・ラーキンは、

スキャットをヒップホップにリズムに乗せるという

アイデアを実行した。

1995年。52歳のときだ。

彼は音楽の才能はあったが、ずっと吃音で悩み続けていた。

 

彼のスキャットはハンディキャップである吃音症を

逆に活かした独特の唱法だ。

そのユニークな「スキャット・ヒップホップ」は

世界中で大ブレイクし、ジョン・ポール・ラーキンは、

「スキャットマン」「スキャットおじさん」として

一躍大スターとなった。

日本でも90年代後半、数々のコマーシャルに出ていたので、

憶えている人も多いだろう。

 

コミックミュージシャンと思ってる人も多いだろうが、

彼のデビューアルバムは、

未来を生きる子どもたちへの温かい愛にあふれている。

 

オープニングナンバー

「スキャットマンズワールド」で彼はこう語る。

 

ぼくはスキャットランドから呼びかけている

もし君が自由になりたいなら

ぼくの声を聴くと良い

君の中にあるファンタジーを学べるようになるよ

 

みんながひどくショッキングなことばかり話すから

きみは心の声から耳を閉ざし続けている

 

でも兄弟たち、聞いてほしい

歩き続けるんだ

君もぼくも姉妹たちも

隠すものなんて何もないんだ

 

このアルバムでスキャットマン・ジョンは、

社会における理想郷 「スキャットランド」について歌っている。 

 

「遠くを見る必要はない。

 それは君の心の奥深く 

一番大きな夢と一番暖かな願いの間に見つかることだろう」

というのがジャケット裏に書かれたメッセージだ。

 

すい星のごとく現れて人気を博したスキャットマンは、

わずか数年活躍したのち、

ガンのため、21世紀を迎える前に、

これまたすい星のごとく、この世を去った。

 

2021年になった今、

スキャットマン・ジョンのメッセージが

ふたたび僕たちの心に届く。

 

 

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天晴新年2021+おりべまこと年越しキャンペーン

 

謹賀新年。

おめでた晴れの元旦の朝。

あまりに気持ちよくて朝から2回も散歩してしまった。

めでたいタカも、かわいいメジロも、

モズも、シジュカラも、

おいしそうにまるまる太ったカモたちも

木の上、水の上でにぎやかに歌っている。

下流の方角にお宮があるので、

そちらへ向かって今年は橋の上から初詣。

自分と周りの人たちを信じること。

自分なりの成長を一歩ずつでも続けること。

いつでも笑いを忘れないこと。

3つのことをお願い、というか誓いました。

コロナに心折れることなく、

楽しいお正月、良い1年を送りましょう。

 

 

 

おりべまこと電子書籍2020➡2021年越し

4日間連続無料キャンペーン。

第1クールは大みそか夕方から2日夕方まで。

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天国で「いたちのいのち」をもらったフェレットと、おとなになりかけの女の子との暮らしを描く長編童話。

表紙は動物マンガ・イラストの第一人者・麻乃真純が担当。

 

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認知症の寅平老人が、人々を脅かす妖怪「むりかべ」に立ち向かうざしきわらしのために勇気の出る歌を歌うお話。

 

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廃棄された少年ロボットが、出逢った路上のダンサーからダンスを習い、やがてスターに。しかし、その先に待っていたものは・・・人間とロボットの未来を描くSF長編小説。

 

●オナラよ永遠に  ASIN: B085BZF8VZ

学校でオナラを漏らしてしまった女の子をかばった少年は、未来からやってきたオナラ男とともに、人々を洗脳する謎のウィルスと戦う。抱腹SFラブコメディ。

 

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老女の夢とも現とも知れぬ物語に振り回されて金の林檎を探索する私立探偵が見つけたのは・・・人間の心の不思議を描くミステリアスコメディ。

 

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失業した男が、町はずれにある魚のいない水族館で仕事を得ると、思ってもみなかった現実が展開する。ちょっとシュールな短編小説。

 

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年越しキャンペーンその①:おとなも楽しい少年少女小説6タイトル

 

今年もお疲れ様でした。

お待たせしました。

第1クールは大みそか夕方から2日夕方まで。

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週末の懐メロ⑩:翼をください/山本潤子(赤い鳥)

 

赤い鳥というフォークロックバンドが歌う

「翼をください」を聴いたのは、

中学生どころか、まだ小学生だったかも知れない。

 

その時はまさかこれほどの名曲として成長し、

世代を超えて歌い継がれるとは思ってもみなかった。

 

息子の合唱コンクールでも歌ったし、

卒業式で歌った人もいるだろう。

音楽の学校の教科書にも載っているらしい。

 

エヴァンゲリオンの映画では、

神話的クライマックスの映像とともに

ドラマチックな聖歌のように響いた。

 

フォークでもあり、ロックでもある。

ジャズにもなるし、クラシックにもなる。

変幻自在でありながら、どんなアレンジをしても、

誰が歌っても、楽曲の良さが損なわれない。

 

改めて原曲を聴いてみた。

いろんなアレンジを聴いたので、

もともとは優しいバラードだったはずと、

勝手に思い込んでいた。

 

ところが、意外とアグレッシブでアップテンポ。

途中で拍子が変わるなど、

1970年代初頭――50年前!の日本のポップス としては、

かなり斬新な楽曲だったと思う。

赤い鳥はプログレバンドだったのだ。

 

そして、今では聴き取りづらくなってしまったけど、

この歌詞とメロデイの奥には、

既存のシステムや価値観に抗うようなメッセージも

含まれていたはずだ。

 

最近は大合唱やオーケストラで神々しく

盛り上げるバージョンを聴く機会が多かったが、

このバージョンは、アトリエのようなアットホームな場所で

赤い鳥オリジナルメンバーの山本潤子さんが

ギター、ベース、ピアノのシンプルな編成で

しっとりと、けれども明るく突き抜けるように歌い上げる。

 

半世紀の年月を経た歌声と旋律は、

原曲よりもさらに原点に回帰したかのような深い響きがあり、

この名曲の神髄に触れたような気持ちになる。

 

今年の年越しはこの曲で決まりだなぁ。

 

 

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嵐が丘への旅の記憶

 

エミリー・ブロンテの「嵐が丘」の舞台は、

イングランド北部のヨークシャー州にある

ハワース (Haworth) という小さな村である。

 

僕は1980年代から90年代にかけてここに3~4度くらい訪れた。

今はどうだか知らないが(最後に行ったのはもう25年前だ)、

ロンドンから半日バスに乗り、途中でSLに乗り換え、

やっとのことでたどり着く。

 

そのアクセスの過程も含め、

ストラトアフォード・エイボン(シェイクスピアの生地)や

湖水地方(ピーターラビットゆかりの土地)と並んで、

イギリスの地方で最も印象深い場所だ。

 

一応、有名観光地ではあるが、

僕がよく訪れていた時代は、いつ行っても観光客はまばらで、

B&B(民宿)もパブものどかな雰囲気で楽しかった。

 

エミリーは3姉妹の真ん中で、

姉のシャ―ロットは「ジェーン・エア」

(これも来年再読予定)、

妹の「アグネス・グレイ」(これは読んだことない)の作者。

ブロンテ姉妹の資料館もあり、お土産も売っている。

 

毎回、嵐が丘(アーンショウ家の屋敷)のモデルとなった

トップウィンゼンという廃屋を目標に、

ほぼ1日かけて丘歩きをするのだが、

ヒースの花咲くムーアの大地を踏みしめ、

次々と雲が流れていく空を見上げると、

何か大きなものに抱かれているような気分になる。

 

そしてしばしば、文字通り、嵐に見舞われた。

丘を吹き抜ける風は強烈で、

傘などあっという間に吹っ飛ばされて、

全く役に立たない。

レインコートとウォーキングシューズは必需品だ。

 

トップウィンゼンでは休んでいると

羊たちがメエメエ寄ってきて、

最初は人なつっこくて可愛いなと思うのだが、

いつの間にか、結構ごっつい羊の大群に囲まれてしまって、

ちょっと怖い目にも遭う。

 

いずれにしても他の土地では到底味わえない、

嵐が丘の特別な旅がそこにはあった。

 

最近は湖水地方などは、ピーターラビットを目当てにした

海外からの観光客があふれて大変だ、

という話を聞いたことがあるが、

嵐が丘の物語の舞台はどうなっているのだろうか?

 

ハワースに行って昔ながらのイングリッシュブレックファーストや

シェファーズパイなどのパブランチを食べたいなと時々思う。

最近のロンドンではめっきりお目にかからなくなった、

おしゃれじゃない、、どんくさくて、あんまり“おいしくない”

悪評たらたらのイギリス料理が似合う、

グルメなどとは無縁の土地なのだ。

 

そういえば「嵐が丘」の物語の中では、

アーンショウ家でも、リントン家でも、

豪華な肉料理やスイーツなどは全然食卓に上らなくて、

穀類のおかゆとか、正体不明の煮込み料理みたいなのを

食べていた。

 

野うさぎの話がところどころ出てくるので、

うさぎのシチューなんかは食べていたのだと思う。

それと乳製品。

グルメなど笑い飛ばすようなが、

味のある旅ができるかもしれない。

 

 

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続・再読「嵐が丘」: 呪われた家族・愛情関係から解き放たれる少女の物語

 

掴みどころのない、漠然とした抽象的な前半のドラマと比べて、

キャサリン2世を主軸とする後半の人間ドラマは

実に鮮明でリアリティがある。

 

エミリー・ブロンテはたぶん

前半はシェイクスピア劇などをなぞって書いていたが、

キャサリン2世が生まれてから感情移入情して

物語を書けるようになった。

そして最後まで書き上げた後で

前半をリライトしたのではないか。

愛すべき若きキャサリンは、執筆時、

まだ20代だったエミリーそのままではないかと思える。

 

キャサリン、

リントン・ヒースクリフ(ヒースクリフとイザベラの息子)、

ヘアトン・アーンショウ(ヒンドリーとフランシスの息子)

という3人の子ども世代のキャラクターが繰り広げる

人間ドラマはとても緻密で、その関係性は興味深い。

それぞれの心理がとても巧みに、丁寧に描かれている。

 

父ヒースクリフの手駒にされ、

キャサリン2世と結婚して死ぬ

リントン・ヒースクリフの卑劣で狡猾で、

情けないキャラクターは、

父親よりもはるかに悪役として面白い。

 

ヘアトンは子どもの頃にマインドコントロールされてしまって、

ヒースクリフの舎弟みたいな形で生活している。

けれども、リントンとの結婚によって嵐が丘に幽閉された

キャサリン2世と恋に落ち、

洗脳が解けて眠っていた知性がめざめる。

そして二人で力を合わせて暴君に立ち向かい、

結果的にヒースクリフを滅ぼすという下りは、

とてもドラマチックだ。

 

自分を虐げた嵐が丘(アーンショウ家)と

鶫の辻(リントン家)をわがものにし、

復讐を成し遂げたと思ったヒースクリフは、

最後に両家の血を引く子どもたちから

大どんでん返しを喰らい、滅ぼされるのだ。

 

これはキャサリン2世が、そしてヘアトン・アーンショウが、

先代がつくった過酷な運命を克服し、

自分たちの人生を切り開いていく物語なのである。

 

こうやってキャサリン2世を

「嵐が丘」の真の主人公として見ると、

前半のヒースクリフと母キャサリンの恋愛ドラマは、

彼女のトラウマであり、背負わされた宿命である事がわかる。

 

ヒースクリフと母キャサリンは、

リアルな登場人物というより、

一種のメタファー(暗喩)のような存在で、

この嵐が丘の荒々しい自然、

荒ぶる神のようなものを具現化しているのかも知れない。

 

また、鶫の辻(リントン家)を理性や日常、社会、

顕在意識の象徴とするなら、

嵐が丘(アーンショウ家)は感情や非日常、人間の本質、

潜在意識の象徴と言えるのかも知れない。

 

両者は普段はバランスを保っているが、そこへ人生にたびたび起こる災厄、

今でいえばコロナ禍などが入り込んでくると、

そのバランスは崩されてしまう。

ヒースクリフという人物は、それを表現した形なのではないかと思える。

 

また、訳者である鴻巣友季子さんもあとがきで書いているが、

母娘2代のキャサリンをひとつながりと捉えると、

キャサリン・アーンショウは、

エドガーと結婚してキャサリン・リントンとなり、

新しく生まれた娘のキャサリン・リントンは、

リントン・ヒースクリフとの結婚によって、

キャサリン・ヒースクリフとなるが、

最後にヘアトン・アーンショウと結ばれて、

キャサリン・アーンショウに戻る。

そうした女性の転身のダイナミズムも感じられて、

この物語を読み応えあるものにしている。

 

他にもナレーターのスタイルと構成の巧みさ、

ジョウゼフといった名脇役の面白さ、

ゴシックホラーっぽい要素など、読みどころは満載だ。

 

「呪われた家族・愛情関係から解き放たれる少女の物語」という

僕の読み方が正しいのかどうかはわからない。

でも正しいとか、間違っているかはどうでもいい。

その人なりの読み方・楽しみ方ができるところが、

古典文学の奥深さ、世界名作の偉大さである。

 

再読してみてよかった。

新しい発見があり、

人生の課題が一つクリアされたような気分になった。

若い人もお齢の人も、

死ぬまでにぜひ一度は読んでみてください。

 

 

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再読「嵐が丘」:呪われた家族・愛情関係から解き放たれる少女の物語

 

何十年かぶりに「嵐が丘」を再読してみた。

1847年。19世紀半ばに発表された

エミリー・ブロンテ唯一の小説。

それが世界文学史上屈指の名作として読み継がれてきた。

 

世間一般の評価は稀代の恋愛小説、悲恋物語となっている。

しかし。

ぜんぜん違う。そんな話じゃない。

 

これは少女(キャサリン・リントン=キャサリン2世)が、

呪われた家族関係・歪んだ愛情関係の鎖から

みずからを解き放つ物語である。

そう感じた。

 

中学生の時にダイジェスト版を読んで、

20代の時に完全版(旧訳)を読んで、

ロンドンで暮らしていた時に英語版(これもダイジェスト)も

読んだ。

映画も芝居も観たし、

ケイト・ブッシュの歌は40年間愛聴している。

(日本では明石家さんまのTV番組

「恋のから騒ぎ」のテーマ曲として有名)

 

だけど、なんだかよくわからなかった。

どうしてこの話が名作として後世にまで残されているんだろう?

キャサリンとヒースクリフの大恋愛、大悲恋もの?

僕もその頭で読んでいたのだが、全然ピンと来ない。

 

よほど恋愛音痴なのだろうか?

女の心がわからないのだろうか?

そういうセンスはあまりないほうだと思うが、

それにしても・・・と、数十年間モヤモヤしていた。

 

しかし今回、「新世紀決定版」と称する

鴻巣友季子さんの新訳(新潮文庫)で読んでみて、

そのモヤモヤが霧散した。

 

主題を、一見主人公と思えるヒースクリフでなく、

彼と恋に落ちる

キャサリン・アーンショウ(母キャサリン)でもなく、

キャサリン・リントン(娘キャサリン=キャサリン2世)に

置くと、すごく面白い人間ドラマの傑作として読める。

 

この物語の本当の主人公は少女のキャサリン2世であり、

彼女が登場するまでの前半のヒースクリフと

母キャサリンとの恋愛などは

バックストーリーに過ぎない。

 

「嵐が丘」が恋愛小説として評価されたのは、

発表から100年余りの間、

女も男もまだ自由に恋愛が出来ない時代だったからだと思う。

 

だから女性は、

現実的にはエドガー・リントンのような理性的で、

それなりの社会的地位を持った男(だけどつまらない男)を

結婚相手に選びながら、

“愛しちゃいけないと分かっているのに”

ヒースクリフのような破天荒で悪魔的な男の魅力に

ひかれただろう。

 

とは言え、僕にはこのヒースクリフという男の

どこがそんなに魅力的なのか、さっぱりわからない。

 

魅力的な悪役というのは古今東西いろいろいて、

どうやら作者はシェイクスピアが好きらしく、

オセロとかリチャード3世をモデルに

この人物を造形したのだと推察する。

 

だけどぶっちゃけ、あんまりちゃんと描けていない。

ずいぶんと雑で散漫なキャラクターになっているのだ。

 

リバプールで拾われた孤児という設定だが、

そもそも生い立ちがわからないし、

なんで大金持ちになって嵐が丘へ戻ってくるのかもわからない。

 

戻ってきてから事業主として何か仕事をしている様子もない。

ロンドンへ行って博打で大儲けしたとか、

何か犯罪に手を染めたとか、

そういう類のことなのだろうか?

ミステリアスと言えば聞こえがいいが、

単なる作者の書き込み不足としか思えない。

 

この物語をヒースクリフの復讐譚とする解釈もあるようだ。

確かに子ども時代、

アーンショウ家の人々からいじめられたり

差別されたりはするが、

彼を拾ったオールド・アーンショウ(キャサリンの父親)は、

彼を実の子どもたちよりかわいがっており、

ヒースクリフ自身もそれを利用して狡猾に行動しているので、

同情するに値しない。

 

後半にいたってはほとんどDV男、

子どもを虐待する家庭内暴力の元締めとなっており、

その暴力や残忍さの裏にある奥深さなど

まったく感じられないのだ。

 

どうもこの作者のエミリーさんという人は、

文学者としては天才だったかもしれないが、

男とは一度も関係を持つことがなかったのではないか。

(彼女は嵐が丘を書き終えた後、30歳で死んでいる)

 

ヒースクリフは、19世紀のイギリスの片田舎に住む、

抑圧された若い女性の妄想の産物だという気がする。

 

キャサリンも単なる気性の激しいわかがまま女と言う感じ。

ヒースクリフと幼馴染で仲がいいというのはわかるが、

そんな大恋愛に発展するような要素が、

どう読んでも見当たらない。

 

彼女自身もまったく魅力的でないし、共感もできない。

むしろ僕は彼女の夫となり、家族の行く末に悩むエドガーに

同情と共感を感じる。

 

エドガーとイザベラの兄妹は、

ヒースクリフとキャサリンよりも

人物造型が具体的でよくできているし、

イザベラがヒースクリフに惚れてしまう

過程のほうがよくわかる。

彼女は結婚してDVの餌食になってしまうのだが。

 

今回読んで驚いたのは、

キャサリンが死ぬのと引き換えに

子ども(キャサリン2世)を産むところ。

いや、正確に言えば、知らぬ間に娘は“生まれていた”。

 

母キャサリンはお産ではなく、精神病のような形で死ぬのだが、

彼女がお腹に子どもを宿していたという描写は、

生きている間、かけらもない。

 

この作者は女なのに、どうすれば子どもを身ごもるのか、

産み落とすのか、知っていたのだろうか? 

という疑念さえ湧く。

 

べつにベッドシーンや官能的なシーンを描く

必要はないにしても、

ちょっとはそういうニュアンスを匂わせる言動がないと、

あまりに唐突だ。

現代のドラマなら「リアリティがなさすぎる」の一言で

アウトになる。

 

しかし、この物語の本番はここからだ。

母の命と引き換えに産まれたキャサリン2世のキャラクターは

親世代とは見違えるほど魅力的で愛らしい。

 

そして彼女はおそるべき暴君ヒースクリフに立ち向かう

凛々しいプリンセスとして描かれる。

世界名作「嵐が丘」の真価はこの後半にある。

 

長くなったので明日へ続く。

 

 

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ジブリ映画と著作権

 

臨済宗青年僧の会のオンライン講座

「ジブリと禅の生き方問答」の原稿を書き上げた。

ジブリのプロデューサー・鈴木敏夫氏と、

世田谷区の龍雲寺の住職で禅僧、

そして、ジブリ映画の大ファンである細川晋輔師の対談である。

 

この和尚さんはもう40過ぎだが、ちょうど彼が子どものときからジブリの歴史が始まっている。子どもの時からジブリ映画を観て育ってきた人も、すでに中年なのだ。

そうしたことを意識してか、鈴木氏は

長くいろんな人に見てもらいたい、

作品をのちの時代に残していきたい――

という思いを込めて「常識の範囲内で」

というコメントをつけて、

静止画の無償提供を始めた。

 

最初は「千と千尋の神隠し」など5作品だったが、

今日ジブリのサイトを見たらどどっと増えていて、

「トトロ」「魔女の宅急便」「もののけ姫」など、

大半の作品が対象になっている。

なってないのは「ナウシカ」「ラピュタ」

「火垂るの墓」ぐらいか。

鈴木氏は書作権でガチガチに固めてしまったら、

いずれ作品は忘れられてしまうかも知れないと危惧している。

未来永劫、不動の人気を保っていくかに見えるジブリ映画とて、

そうならないとは限らない。

もちろん、ヒット作を連発し、

十分な資産を持っているからこそ

できることなのかも知れないが。

 

こうしたジブリの英断は今後、いろんなコンテンツの

著作権と作品の永続性に関する考え方に

一石を投じることになるだろう。

 

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週末の懐メロ⑧:ボール・アンド・チェーン/ジャニス・ジョプリン

 

中学生の一時期、ジャニス・ジョプリンは憧れの女性だった。

 

「サマータイム」も「ムーヴオーバー」も大好きだが、

1曲だけ選ぶとしたら、やっぱり世界中に衝撃を与え、

遥か未来の世代にまでその名を知らしめた

1967年、モンタレーポップフェスティバルでの

「ボール・アンド・チェーン」のパフォーマンス。

いま聴いても圧巻の一言だ。

 

インターネットもホームビデオもない時代、

僕はこの映像をNHKの「ヤングミュージックショー」で観た。

その時、14の小僧にとって、

ジョプリンは世界で最高にかっこいい女だった。

そして僕は彼女がすごく美人で可愛いと思っていた。

 

ジョプリンの歌に出逢ったのは、ラジオの深夜放送だ。

いまや伝説の「糸居五郎のオールナイトニッポン」。

糸居五郎さんのディスクジョッキーを聴いたのは、

それが最初で最後だったが、強烈に記憶に残っている。

 

いま思えば、糸居五郎さんは、僕の出逢った

まともに英語をしゃべる初めての日本人だった。

そこでかかったのが、

ジョプリンの「サマータイム」だったのだ。

 

DJの紹介に続いてトランペットのメロウなイントロが流れ、

最初の1フレーズが耳に入ったときの衝撃は忘れられない。

ジャニス・ジョプリン、「サマータイム」。

しかし僕が彼女のことを知ったとき、

彼女はもうこの世の人ではなかった。

 

1970年、クスリのやりすぎで、

27歳の若さでジョプリンは死んでしまった。

現代の感覚で言えば、不道徳で愚かな死にざまだ。

 

けれども「30以上は信じるな」と若い連中が叫び、

カウンターカルチャーをかまして熱くなっていた時代のこと。

ロックに魂を捧げたかのような歌いっぷりを見せた、

その生きざま・死にざまは、一つの理想であり、

彼女の存在は神格化され、神聖な物語のように語り継がれた。

 

それは半世紀が過ぎた今でも生き続けている。

ジョプリンの人気の高さは、

僕らが若いころからほとんど変わっていないのではないか。

今の若い連中の間でも伝説化されているらしい。

 

彼女を超える女性ロックシンガーは、もう現れないだろう。

テクニック的にうまい歌手はいくらでもいるが、

それを聴くオーディエンス、リスナーの

耳とマインドがもうすっかり変わってしまった。

「音楽で世界を変えられる」と信じていた若者が大勢いたから、

ジョプリンはあれだけの歌唱ができた。

類まれな音楽の才能と、

それを求めた時代精神との幸福な結婚がそこにあった。

 

僕は彼女の歌はもちろん好きで、

初めての出逢いから折に触れて聴き続けているが、

それ以上に顔が好きである。

 

歌っているとき、若い女から年季の入ったおばさん、

ばあさんまで

人生をタイムトラベルするかのような表情の変化。

 

それと対照的に、音楽雑誌のグラビア写真や、

レコードに付録としてついていたフォットブックの中では、

当時のヒッピー御用達のトンボメガネをかけて、

きょとんとした顔や、ちょっとはにかんだ表情で映っているのが、

とても印象的でかわいいなと思った。

 

1960年代の思想やら文化やらのベールに覆われて、

自由や社会運動や女性解放の象徴みたいに

扱われることもあったが、

実際の彼女は、そうした思想や政治的こととは無関係の、

ただ純粋に歌うのが大好きな女の子だったのではないかと思う。

 

YouTubeにアップされた、このモンタレーポップの

「ボール・アンド・チェーン」の最後を見て、

その思いを強くした。

 

歌い終わり、熱狂的な観客の拍手を浴びて

小躍りしながら舞台袖に引っ込んでいく彼女の後姿は、

まるで6歳児のようだ。

「キャーッ、じょうずに歌えちゃった~!」

なんてセリフが聞こえてきそうな、

かわいくてユーモラスなジャニス・ジョプリンだ。

 

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「2020年の挑戦」への挑戦が終わる

 

コロナ、コロナに明け暮れた2020年が終わろうとしている。

日本はの感染者数、重症者数、死亡者数、

どれをとってもアメリカやヨーロッパなどとは桁違いに低い。

にも拘わらず医療機関はひっ迫し、危機的状況にあるという。

これでは病気になっても怪我をしても

診てもらえない可能性がある。

コロナよりも急病や事故の方がよっぽど怖いともいえる。

 

なんでこんなことになってしまうのか?

日本なんて及びもつかないほど患者数が爆発している他の国では

医療はいったい今どうなっているのだろう?

ネットでちょこちょこ調べてみたが、

最近の状況はよくわからない。

 

春先はあちこちから医療崩壊、葬儀崩壊、

遺体をスケートリンクに収納とか、

冷凍トラックに積み込んでいるとか、

ショッキングなニュースがどんどん飛び込んできたが、

この冬はそういう話は聞かない。

 

一説によれば他国では医療崩壊を

とっくに超えてしまったという。

お金を出せば重症になっても治療を受けられるが、

貧乏人はもうほったらかしだという。

 

そんなアホな、と思いつつも、

あの数を見れば、それでも納得せざるを得なくなる。

諦めろ、神に祈れ、自分の幸運を信じろ、ということか。

 

それしてもいったいなんで他国の情報はないのか?

もう皆慣れっこになってニュースバリューがないから?

それとも「これ以上、悪いニュースで

人々を心配させてはいけない」

という報道側の良心的配慮? から?

 

片や、経済への影響が甚大で、

自殺者数の増加は、確実にコロナの影響による倒産・解雇が

原因になっているという指摘もある。

 

GOTOトラベル、GOTOイートの経済効果は絶大で、

観光業、飲食業の人たちの多くがおかげで一息つけたのも事実。

自殺者の増加が抑えられた面もあると思う。

 

何が良くて何が悪いのか、頭が混乱してくる。

いったいこのコロナ禍の真実はどこにあるのか?

渦中にいる限りはわからない。

たぶん過ぎて何年かしてから、やっと気づくことなのだろう。

 

2020年はこれまでの時代の終焉であり、始まりである――とは

以前からよく聞いていた。

価値観の変換――使い古され、手垢にまみれた言葉だが、

ようやくそれが現実になるときが来たようだ。

 

そういえば3年半前にブログで

「2020年の挑戦への挑戦」というエッセイを書いていた。

自分でいうのもなんだが、読み返してみると、なかなか面白い。

 

あの怪奇な「ウルトラQ」のドラマが放映された1965年、

日本の人口はまだ1億人に届かず、平均寿命も70歳だった。

あれから人も社会も激変した。

 

ケムール人ならぬ新型コロナウイルスの侵略に遭遇した人々は、

今、新しい価値観を持った人類と社会に

孵化している最中である。

 

来年、コロナは収まるかもしれないが、

その孵化活動はまだ数年間は続くだろう。

古い殻を破って外に出てきたとき、

世界はどうなっているだろう?

 

期待と不安を抱きつつ、日々、マスクして手を洗い、

劇場や映画館やお店などにもなるべく行かず、

密室っぽいところや混雑や賑やかな場所を避けて、

大人しくして過ごしている。

たぶんクリスマスも正月も。

 

この齢だからそれほど苦にならないけど、

10代、20代の頃だったら耐えられなかったかもしれない。

 

自分を見失わないよう、

がんばって凌いでくれ、若者たち。

 

 

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ペットの遺骨を真珠に育てる真珠葬 「虹の守珠(もりだま)」

 

 11月に開かれたエンディング産業展2020の出展ブースの中で、で印象に残ったのものが「真珠葬」だった。

 ペットの遺骨を真珠にする真珠葬「虹の守珠(もりだま)」は、2018年11月に事業として開始された。

 真珠になるまで1年~1年半かかるため、2019年末、初めての遺骨の真珠が依頼主(犬や猫の飼い主)の手もとに返された。

 

 8㎜以下の遺骨を8個預かり、個体識別用のICチップとともに樹脂でコーティングした後、アコヤガイに入れ、10㎜前後の真珠に育てる。

場所は長崎県の奈留島(五島市)にある「多賀真珠」という養殖場で、その養殖業者、長崎大大学院水産・環境科学の教授、そして、化粧品・健康食品など、女性のための企画商品を開発しているウービィー株式会社のの社長の3者が共同開発した。

 

 このサ-ビスの素晴らしいところは、単に遺骨を1年間預かって真珠にします、というだけでなく、その「過程」を大事にすることだ。

 コーティングした遺骨を核入れした後、真珠の生育状況を写真や動画で撮影してコメントをつけたレポートを随時、依頼者ひとりひとりにネット配信している。こうしたやりとりを通して丁寧に気持ちをつなぐことが、高質な付加価値になっている。

 つまり、ストーリーがあるのだ。

 

 結果だけポンと渡されても感動は生まれない。

 誰もが結果ばかりを重視し、早く結果を知りたがる世の中だから、逆に時間と手間暇をかけた、こうしたサービスが貴重に思えるのかも知れない。

 

 やさしく丁寧なイメージを大事にしているので、積極的な広告は打たず、人から人へ口コミなどで自然に伝わり、心に留まるのが相応しいと考えている。

 とは言え、事業である以上、世の中に存在をアピールしたい、ペットの葬儀や仏具を扱う人にも知ってほしいという思いがあって出展したという。

 

 少し意地悪く「それじゃ、こうやってアピールして、いっぱい引き合いが来たらどうするんですか?」と質問してみたら「予約待ちしていただきます」という返事だった。実際、生前から亡くなったら真珠葬をしたいという予約問い合わせが少なくない。

 

 今、ペットの遺骨はお墓に埋葬するか、庭に埋めるか、自宅で保管するか、という3択だという。する・しないは別にして、そこに虹の守珠が加わればそれだけでいい。

飼い主の人たちの心の中に真珠葬というもう一つの選択肢があることが大事なのだ、というお話だった。

 

 預けた人が「子どもを留学に出しているような気持ちになる」という真珠葬。

 亡くなったのに成長を見守ることができ、「行ってらっしゃい」「おかえり」と言葉を掛けられる。

 

 ペットの飼い主は、いずれは看取りをしなくてはならず、ペットロス症候群を覚悟する必要もあるが、そうした人たちにとってのグリーフケアの一つになると思う。

 

 

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●あらすじ

カナコは10歳。小学4年生。

一人娘の子育てに悩まされながら、生活を支えるのに忙しい母親のマヨと二人暮らしをしている。

しかしもう一人、というか一匹、いっしょに暮らす同居者がいる。その名は「イタチ」。ペットのフェレットだ。学校でも家でも口をきかないカナコにとって、イタチは唯一、心を開いて話ができる親友であり家族だ。

 

国語の授業で、その大好きなイタチのことを作文に書いたら、

担任のあかり先生が目にとめ、

「すごくいいので、コンクールに出しましょう」と言ってきた。

そんなつもりじゃなかったのにと、内気なカナコは困惑し、

先生に激しく抵抗する。

 

しかし、母と先生と関わる中で、カナコはだんだん変わり始める。それをイタチは察知していた。彼女が3歳の時からずっと一緒に暮らしてきたイタチは、地球に生まれて間もないころから、自分がカナコに必要な存在だとわかっていた。

 

彼は天国にいた時の記憶を持っている。

天使だったイタチは、もともと人間として地球に生まれることを望んでいたのだが、生き物としての命を与え、地球に送る〈地球いきもの派遣センター〉の手続き上のミスによって

人間になるのを諦めた。

その代わりにフェレットとして

ワンサイクルの命をまっとうすることになったのだ。

 

子どもからちょっとおとなに変わっていくカナコと、

そのそばで天使の目を持ったまま生きるフェレットのイタチ。

それぞれの視点から代わる代わる、日常生活とその中で起こる事件の数々、そして、ふたりの別れまでのストーリーを描く。

 

なお、表紙イラストは

漫画家・イラストレーターの麻乃真純さんが制作。

「パートナー 進め!ソラ」「ほっと・ペットクリニック」「あしたはハッピードッグ」「母のバッカス」「いぬの先生」など、動物ものの作品を多数発表している。

 


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●あらすじ

カナコは10歳。小学4年生。

一人娘の子育てに悩まされながら、生活を支えるのに忙しい母親のマヨと二人暮らしをしている。

しかしもう一人、というか一匹、いっしょに暮らす同居者がいる。その名は「イタチ」。ペットのフェレットだ。学校でも家でも口をきかないカナコにとって、イタチは唯一、心を開いて話ができる親友であり家族だ。

 

国語の授業で、その大好きなイタチのことを作文に書いたら、

担任のあかり先生が目にとめ、

「すごくいいので、コンクールに出しましょう」と言ってきた。

そんなつもりじゃなかったのにと、内気なカナコは困惑し、

先生に激しく抵抗する。

 

しかし、母と先生と関わる中で、カナコはだんだん変わり始める。それをイタチは察知していた。彼女が3歳の時からずっと一緒に暮らしてきたイタチは、地球に生まれて間もないころから、自分がカナコに必要な存在だとわかっていた。

 

彼は天国にいた時の記憶を持っている。

天使だったイタチは、もともと人間として地球に生まれることを望んでいたのだが、生き物としての命を与え、地球に送る〈地球いきもの派遣センター〉の手続き上のミスによって

人間になるのを諦めた。

その代わりにフェレットとして

ワンサイクルの命をまっとうすることになったのだ。

 

子どもからちょっとおとなに変わっていくカナコと、

そのそばで天使の目を持ったまま生きるフェレットのイタチ。

それぞれの視点から代わる代わる、日常生活とその中で起こる事件の数々、そして、ふたりの別れまでのストーリーを描く。

 

なお、表紙イラストは

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「パートナー 進め!ソラ」「ほっと・ペットクリニック」「あしたはハッピードッグ」「母のバッカス」「いぬの先生」など、動物ものの作品を多数発表している。

 

目次

1.カナコ、イタチに起こされる

2.イタチ、マヨさんは起こさない

3.カナコ、朝からあかり先生に呼び出される

4.イタチ、カナコと出会ったときの話をする

5.カナコ、あかり先生に作文を読まれる

6.イタチ、自分がほんとうはどこから来たかを話す

7.カナコ、虹を超えてイタチの秘密を知る

8.イタチ、フェレットの習性について研究する

9.カナコ、あかり先生に長い宿題を出される

10.イタチ、全自動洗濯機の中でグルグル回る

11.カナコ、自分のことを作文に書く

12.イタチ、動物病院で天日干しの夢を見る

13.カナコ、雨ふりのことについて考える

14.イタチ、公園でカラスとネコに出会う

15.カナコ、イタチとはぐれたことをマヨに電話する

16.イタチ、あかり先生に拾われる

17.カナコ、帰ってきたイタチを抱きしめる

18.イタチ、どうして自分が帰ってこられたのか振り返る

21.カナコ、これから先のことで心配になる

22.イタチ、おフロ場の冒険に出かける

23.カナコ、イタチ救出作戦を実行する

24.イタチ、カナコといっしょに生きることをちかう

25.カナコ、あかり先生にラブレターを書く

26.イタチ、悪い病気にかかる

27.カナコ、イタチとお別れする

28.イタチ、空へ帰る

29.カナコ、イタチのいない暮らしをする

30.イタチ、〈いたちのいのち〉を抱きしめる

 


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日本にも思い出ベンチ

 

一昨年(2018年)、ロンドンを旅したとき、

ケンジントン地区にあるホーランドパークで

メモリアルベンチを見て回り、記事を書いた。

 

これは故人や遺族の意志で、

故人の言葉や遺族の思いをベンチの背もたれに

刻んだり、プレートを付けたりして

公園に寄贈するというものだ。

 

いつから始まったかは知らないが、

僕がロンドンで暮らしていた35年ほど前にはすでにあった。

 

美しい公園に静かに佇み、

疲れた人を休ませてくれる

メモリアルベンチにはなぜか心に響くものがあった。

 

今まで何度も通り過ぎていたのに気が付かなかったが、

先日、近所の善福寺緑地で同様のものを発見した。

ちゃんとプレートも付けられている。

 

お墓の代わりに、なのかどうかは不明だが、

この世から去っても、ここにいて後の世代を、

べつに自分の家族でなくても、やさしく見守り、

ちょっとでも役に立つのは素敵なことだと思う。

 

 

予告「いたちのいのち」

12月4日(金)17:00~

12月7日(月)16:59

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おりべまこと電子書籍第10作:長編小説「いたちのいのち」発売

 

カナコは10歳。小学4年生。

一人娘の子育てに悩まされながら、生活を支えるのに忙しい母親のマヨと二人暮らしをしている。

しかしもう一人、というか一匹、いっしょに暮らす同居者がいる。その名は「イタチ」。ペットのフェレットだ。学校でも家でも口をきかないカナコにとって、イタチは唯一、心を開いて話ができる親友であり家族だ。

 

国語の授業で、その大好きなイタチのことを作文に書いたら、

担任のあかり先生が目にとめ、

「すごくいいので、コンクールに出しましょう」と言ってきた。

そんなつもりじゃなかったのにと、内気なカナコは困惑し、

先生に激しく抵抗する。

 

しかし、母と先生と関わる中で、カナコはだんだん変わり始める。それをイタチは察知していた。彼女が3歳の時からずっと一緒に暮らしてきたイタチは、地球に生まれて間もないころから、自分がカナコに必要な存在だとわかっていた。

 

彼は天国にいた時の記憶を持っている。

天使だったイタチは、もともと人間として地球に生まれることを望んでいたのだが、生き物としての命を与え、地球に送る〈地球いきもの派遣センター〉の手続き上のミスによって

人間になるのを諦めた。

その代わりにフェレットとして

ワンサイクルの命をまっとうすることになったのだ。

 

子どもからちょっとおとなに変わっていくカナコと、

そのそばで天使の目を持ったまま生きるフェレットのイタチ。

それぞれの視点から代わる代わる、日常生活とその中で起こる事件の数々、そして、ふたりの別れまでのストーリーを描く。

 

なお、表紙イラストは

漫画家・イラストレーターの麻乃真純さんが制作。

「パートナー 進め!ソラ」「ほっと・ペットクリニック」「あしたはハッピードッグ」「母のバッカス」「いぬの先生」など、動物ものの作品を多数発表している。

 

目次

1.カナコ、イタチに起こされる

2.イタチ、マヨさんは起こさない

3.カナコ、朝からあかり先生に呼び出される

4.イタチ、カナコと出会ったときの話をする

5.カナコ、あかり先生に作文を読まれる

6.イタチ、自分がほんとうはどこから来たかを話す

7.カナコ、虹を超えてイタチの秘密を知る

8.イタチ、フェレットの習性について研究する

9.カナコ、あかり先生に長い宿題を出される

10.イタチ、全自動洗濯機の中でグルグル回る

11.カナコ、自分のことを作文に書く

12.イタチ、動物病院で天日干しの夢を見る

13.カナコ、雨ふりのことについて考える

14.イタチ、公園でカラスとネコに出会う

15.カナコ、イタチとはぐれたことをマヨに電話する

16.イタチ、あかり先生に拾われる

17.カナコ、帰ってきたイタチを抱きしめる

18.イタチ、どうして自分が帰ってこられたのか振り返る

21.カナコ、これから先のことで心配になる

22.イタチ、おフロ場の冒険に出かける

23.カナコ、イタチ救出作戦を実行する

24.イタチ、カナコといっしょに生きることをちかう

25.カナコ、あかり先生にラブレターを書く

26.イタチ、悪い病気にかかる

27.カナコ、イタチとお別れする

28.イタチ、空へ帰る

29.カナコ、イタチのいない暮らしをする

30.イタチ、〈いたちのいのち〉を抱きしめる

 

 

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週末の懐メロ⑥:スワロウテイル~あいのうた~/¥タウンバンド

 

1996年は息子が生まれた年だった。

それなのにこの歌は、

中学生か高校生の時に出逢ったような錯覚にとらわれる。

それくらいの威力を持って肌に食い込んで、

消えない痣をつくった。

 

今でも耳にすると、架空の街「¥TOWN(エンタウン)」の

荒廃した風景と人々の群像が浮かび上がり、胸が疼き出す。

そして繰り返し聴かずにいられなくなる。

 

¥TOWN(エンタウン)は

バブル経済崩壊後の日本の心象風景だった。

岩井俊二監督はそれを終戦後の焼け野原・闇市のような

イメージを重ね合わせて描き出した。

 

経済戦争のThe DAY After。

僕たちはいまだその後遺症に悩んでいる。

 

その映画「スワロウテイル」を

僕は仕事帰りに渋谷の映画館で観た。

子どもが生まれたばかりだったので、

早く家に帰ってカミさんを手伝わんと・・・と、

ちょっと罪悪感を抱きながら。

 

およそ四半世紀が過ぎたいま、

この歌が頭の中で鮮明によみがえってきたのは、

コロナ禍に巻き込まれて世界が変わっていくのを

目の当たりにしているからだろうか。

 

名曲はそれまでの価値観が崩壊した荒野から生まれる。

 

 

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動物ストーリー「いたちのいのち」

11月30日(月)、Amazon Kindleより発売予定

 

子どもからちょっとおとなに変わっていく小学4年生のカナコ。そして、天使の目を持ったまま生きるフェレット「イタチ」。

飼い主とペット、それぞれの視点から代わる代わる、日常生活とその中で起こる事件の数々、そして別れを描く長編小説。

「ほっとペット・クリニック」「いぬの先生」などの作品でおなじみ、日本の動物マンガの第一人者、麻乃真純さんが表紙イラストを制作。お楽しみに。

 


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飼い主にはペットを看取る使命がある

人間の場合は

「(子どもが)親より先に死んではいけません」と教えられるが、

動物の場合は

「親(飼い主)が子ども(ペット)より先に死んではいけません」となる。

動物を飼う以上、

飼い主は彼ら・彼女らの看取りをする使命がある。

 

そういう意識が浸透してきたのか、

ペットの葬儀供養関係事業は

この数年でかなり質が上がってきていると聞く。

 

エンディング産業展も毎年、

いろいろペット葬儀関連の業者がブースを出している。

こういうものは業界人だけでなく、

一般の人にもちゃんと見てもらっておいたほうがいいと思う。

 

今年の月刊仏事の取材では、ブース紹介も数を絞って、

わりときっちりコメントするという編集方針。

 

なので受け持ったな中で3つをペット関係にして、

グッドワークの「段ボール棺」、

フランスベッドの「ペット仏壇」、

ウーヴィーの「真珠葬」を取材した。

 

グッドワークは段ボールケースを作っている会社で、

昨年からこのペット用の段ボール棺を

Amazonで販売しているという。

簡易な棺だが、お花などを入れてあげて

そのまま火葬できるのはいいなと思った。

 (ただし、自治体によってはできないとこるもあるようなので、

お問い合わせください)

 

フランスベッドは最初、リストだけ見た時は

最近、CMなどで見かける介護用ベッドを

展示しているのかなと思ったら、

なんとペット仏壇がメイン展示だった。

 

担当に人に聞いたら「フランスペット」というシリーズを作って

ペット用のソファやベッドも開発・販売しているという。

高級なベッドメーカーのイメージがあるが、

なかなかダ洒落が効いている。

 

「仏壇」というのは便宜上の呼称で、

要は亡くなったペットをちゃんと供養するための

インテリア用品を、ということで開発したのだそうだ。

さすがに一流メーカーらしい、

シックで上品な趣のある家具になっている。

 

ウーヴィーの「真珠葬」については詳しい説明を要するので、

また後日。

 

 

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おとなも楽しい少年少女小説4タイトルの

無料キャンペーンを行います。この機会にぜひどうぞ。

 

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ダンサーとして生きる運命を背負ったロボット少年の物語。

 

●オナラよ永遠に ASIN: B085BZF8VZ

人類を変貌させる謎のウイルスとオナラで戦う屁こき少年の物語。

 

●茶トラのネコマタと金の林檎 ASIN: B084HJW6PG

山に埋められた金の林檎を探す探偵コンビと謎の老婦人の物語。

 

●魚のいない水族館  ASIN: B08473JL9F 

魚のいない水族館で仕事を見つけた男の夏から秋にかけての物語。

  

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21世紀からそう遠くない未来社会。

人間は労働力のみならず、エンターテインメントや精神面のケアなど、暮らしのあらゆる分野でロボットの力に頼って人生を送っていた。子どもや恋人を貸し出すレンタルロボットビジネスも盛んだ。

12歳の少年の姿をしたロボットもいろいろな人間のためにレンタルされて働いてきたが、酷い虐待を受けて故障し、喋ることができなくなっていた。

廃棄処分にされることを怖れて逃げ出した少年ロボットは旅の末、街の広場で年老いたダンサーと出会う。彼を〈かけがえのない友だち〉と呼ぶダンサーと一緒に暮らし始め、ダンスを学んだロボットは、踊ることで自己や世界を表現する喜びを発見し、過去の傷を癒していく。

その特異な才能に気付いたダンサーは「こころの医師」になることを薦め、彼を下町の小さな劇場の舞台に立たせる。

病み荒んだ観客たちに交じって、その劇場にやってきたのは、美しい若い女のレンタルロボット。彼女との出会いによって、神業的なスピリットダンスとして昇華した少年ロボットの演技はたちまち評判となり、大劇場の興行に招聘されるようになる。

しかし、師匠のダンサーは「自分のすべきことを見失わないように」と言い残し、彼のもとを去っていく。同じ頃、戦争が勃発し、世界は瞬く間に戦火に包み込まれた。

争を厭う人々は、スターになったロボットのダンスに希望と癒しと救済を見出そうとするが・・・。人間とロボットとの間で明滅する光と闇を描くSF長編ファンタジー小説。

 

オナラをテーマに展開する、愛と笑いとメッセージを載せたSF+ファンタジーテイストの少年少女小説。

小学5年生の小松救太郎は、ぬきうちテストの最中にオナラをもらし、クラス中からいじめられる。

じつはそのオナラの真犯人は隣の席の水城ユリカ。。彼は憧れの女の子の失敗をかばっていたのだ。

しかし、ユリカはお礼を言うどころか、よけいなおせっかいだと救太郎をきびしく攻める。

その日、家に帰った救太郎は奇妙な白昼夢を見る。

そこに登場するのは、26世紀から来た、オナラで音楽を奏でるプータローというキテレツな男。

この男の話 によると、500年後の世界では人間はオナラをしない生き物に進化しており、そのせいでストレスがたまり、心の病が蔓延しているという。

そして救太郎こそが、失われたオナラを取り戻すための救世主であり、ユリカとラブラブになることで人類がオナラを取り戻し、不幸な歴史をやり直せると伝える。

救太郎は、潔癖症でオナラを軽蔑するステージママである母親のプレッシャーにユリカが苦しんでいること、また、人類からオナラを奪おうとする謎のヘビ魔女が彼女に取りついていることを知る。

ヘビ魔女との対決や、秘密警察から逃走するプータローとの交信を通じて、ついに自分の力で未来を変えることを決意する救太郎。

その方法はユリカのオナラをかばった日にタイムスリップして戻り、二人のよじれてしまった関係を修復するということだった。

はたして彼はユリカの気持ちを変え、オナラを失った未来の人類を救うことができるのだろうか?

 

20代半ばで独立起業し、6畳一間のアパートの自分の部屋で探偵事務所を開いた私立探偵・飛田健太(とびた・けんた)。

その健太のもとにホームページ経由で、開業以来、最高のギャラが発生する難事件の依頼が飛び込んだ。

山中に埋められた、時価数億円に上る金の林檎の捜索。

 

健太は相棒である便利屋の中年男・六郎を連れ、“なんちゃってホームズ”のいでたちで現場に飛ぶ。

そこに現れたのは茶トラのネコみたいなオレンジ色の髪をし、魔女のような真っ黒な服に身を包んだミステリアスな高齢女性。

健太はその依頼人に“茶トラのネコマタ”というあだ名をつける。

 

ネコマタの目撃談によれば、10月の第3日曜日の夕暮れ時、黒服・黒メガネの4人組の男たちがこの山にやってきて、どこかから盗み出してきた大量の金の林檎を埋めていったという。

しかし、明らかに彼女の話はおかしい。

これはかつて女優だったという女の空想か?幻想か?妄想か?

 

健太と六郎は、その話を信じたふりをして、山中の雑木林に入ってスコップを振るい、肉体労働に精を出すことになった。

はたしてこの難事件はどんな“解決”に至るのか?

それぞれ心に傷を負った若者、中年、年寄りが織りなす、コミカルでファンタジックな探偵小説。

 

失業中の主人公が足を踏み入れた、街のはずれにある水族館。

そこには魚が一匹もいなかった。彼のまえに現れたのは半魚人かと見間違えるような、魚のような容貌の館長だった。

「魚はみんな海に返しました」と言う館長は、彼に水槽に入ってみたら、と勧める。

空っぽの水槽に入って魚の気持ちになってみた彼はその体験を自分のブログに綴ってみた。

すると驚くことに、そのブログが大きな反響を呼び、拡散され、魚のいない水族館はその夏の大人気スポットに。

瞑想の場になったり、人魚のファッションショーが開かれたりするようになる。

そして季節が変わるころ、館長は彼に声をかける。

「もしよければ、ここで仕事をしませんか?」

夏から秋にかけて、その小さな水族館で起きる奇妙な出来事を描くファンタジックな、おとなも楽しい少年少女小説。

 


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カフカの寓話②「小さな寓話」

 

「やれやれ」

と鼠がいった。

「この世は日ごとにちぢんでいく。

はじめは途方もなく広くて恐いほどだった。

一目散に走り続けていると、そのうち、かなたの右と左に壁が見えてきてホッとした。

ところがこの長い壁がみる間に合わさってきて、いまはもう最後の仕切りで、どんづまりの隅に罠が待ち構えている。走りこむしかないざまだ」

「方向を変えな」

と猫はいって、パクリと鼠に食いついた。

 

(カフカ寓話集:池内紀:編訳/新潮文庫より)

 

ちょうど100年前、1920年に書いた作品。

たったこれだけの文章の中にフランツ・カフカの世界観が収められている。

「変身」に通じる絶望と恐怖とユーモア。

 

そういえばコロナに見舞われた今年はネズミ年だった。

生きていてこの鼠のような気持ちを抱く時がある。

この世が縮みきる前に、生き方を変えていこう。

猫に食われないように。

 

 

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カフカの寓話「ロビンソン・クルーソー」

 

ロビンソン・クルーソーが島の中のもっとも高い一点、

より正確には、もっとも見晴らしのきく一点にとどまりつづけていたとしたら

ーー慰めから、恐怖から、無知から、憧れから、その理由はともかくも

――そのとき彼はいち早く、くたばっていただろう。

ロビンソン・クルーソーは沖合いを通りかかるかもしれない船や、

性能の悪い望遠鏡のことは考えず、島の調査にとりかかり、

また、それをたのしんだ。

そのため、いのちを永らえたし、理性的に当然の結果として、

その身を発見されたのである。

 

(カフカ寓話集:池内紀:編訳/新潮文庫より)

 

ある朝、目が覚めたら強大な虫になっていた・・・。

シュールな不条理小説「変身」でおなじみ、フランツ・カフカ。

そのカフカの寓話が面白い。

 

上記「ロビンソン・クルーソー」をどう解釈するかはあなた次第。

けれども、ここで示唆することが

十分に現代的なことは間違いない。

 

へんな自己啓発セミナーに通ったり、

その手の本を読んだりするより、

みんな、100年前の小説を読んだ方がいいかもね。

 

 

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週末の懐メロ:嘆きの天使/ケイト・ブッシュ

ケイト・ブッシュとほぼ同世代であり、

彼女の歌をリアルタイムで聴き続けられてきたことは、

自分の幸運の一つのように感じる。

 

その出逢いが、デビューアルバムのトップナンバー

「嘆きの天使(Mooving)」だった。

クジラの歌声と神秘的な海鳴りの音から始まるこの曲は、

のちの彼女のとてつもなく

綿密で深遠な音楽世界のイントロダクションでもあった。

 

彼女に“Mooving”を教えた

英国のダンサー、リンゼイ・ケンプのことを歌った歌。

ケイト・ブッシュの歌世界は、

ケンプのイマジネーションあふれる創造的舞台ともリンクしていた。

 

それにしてもよくこんな映像が残っていた。

1978年の第7回東京音楽祭。

彼女は銀賞を受賞した。

 

東京音楽祭がどんな音楽祭だったのか調べてみたら、

TBS系の団体が1972~92年まで20年間開催された国際音楽祭だったらしい。

どの程度、権威があったのかわからないが、

受賞者のリストを見ると、ナタリー・コール、ライオネル・リッチー、

オリビア・ニュートン・ジョンなどの名も見られるので、

当時はそれなりのものだったのだろう。

 

けど、僕の中ではケイト・ブッシュがこの時、

ただ一度きり日本に来た、ということで記憶にとどまっている。

ついでに言うと、この時に撮影したらしい

「ローリン・ザ・ボール」のセイコーのコマーシャルも憶えている。

 

他のライブ映像やミュージックビデオではお目にかからない

いかにもアイドルと言った感じのピンクのフリフリを着ているのも

日本人の嗜好に合わせてのことだろうか?

 

それにしても曲名が解せない。

どうして「Mooving」が「嘆きの天使」になるのか?

これは1930年のマリーネ・ディートリッヒ主演の映画と同じタイトルだが、

ケイト・ブッシュとディートリッヒはどうも結びつかない。

 

ただ、この曲はかの「嵐が丘(Wuthring Heights)」と

カップリングしてシングル化された。

「嵐が丘/嘆きの天使」。

アイドルの歌でありながら、文学的な香り漂う邦題マジックは、

日本でこの天才少女を売り出すのに一役買ったのかもしれない。

 

その天才ぶりはこの後40年以上ずっと続いている。

始まりはアイドルだったが、音楽家・表現者として超一流だった。

ミステリアスでエキセントリックでプログレッシブ。

かと思えば、叙情的でユーモラスでドラマチック。

1曲1曲に音楽の神が宿っているかのような充実度・完成度。

生きててよかったと思わせる音楽。

ケイト・ブッシュを聴き続けてきて本当に良かったと思う。

 

 

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ハリウッドストーリーがロックスターに勝った日

 

もしや、ロックスター的カリスマ力を持ったトランプ大統領が

再選されるのではないか?

 

そんな嫌な予感が外れてよかった。

とりあえず一安心。

 

しかし、まだ訴訟を起こす気でいるし、

任期だってあと2か月余り残っている。

いったい何をしでかすか、油断できない。

 

こんな怪物を相手にバイデン氏は勝利した。

まじめで誠実そうには見えるが、

カリスマ性という面でははるかにトランプに劣る。

 

大した政策もありそうになく、

キャラも立っておらず、なによりもう若くない。

(何といっても史上最高齢の大統領になる!)

 

そんなバイデン氏が勝てたのはなぜか?

 

多くの盟友と後輩たちが、そして亡き家族の思い出が

彼を支えていたからだ。

 

勝利が確定した時、ハリス副大統領候補は

「アメリカを“尊敬される国に”」と語った。

トランプ大統領の“偉大な国に”に対抗する言葉はこれかと、

ひどく感心した。

「アメリカを尊敬される国に」

次期大統領は、まるで彼女のようだ。

 

実際、そういう噂はもう常識レベル。

バイデンは傀儡、バイデンはハリスへのつなぎ、

バイデンの役目は選挙で終わりで、4年どころか、

2年後、80歳になったらハリスと交代するのではないかと

マスコミも報じている。

有権者もそれを承知で投票したのだろう。

バイデンでなく、民主党に。

 

けれども唯一、バイデン氏は人の心に訴えるものを持っている。

老齢ならではのストーリー。

詳しくはしらないが、エリートでありながら次々と家族を失い、

幸福とはほど遠いであろう人生を歩みながら、

ついにトップの座にたどり着いた。

 

トランプという、1体1で戦ったら絶対に勝てない大敵と

チームを組んで立ち向かい、勝利し、おそらくはその後を

若い世代に譲って去っていくであろう老兵のストーリーは、

まるでハリウッド映画のようだ。

 

ハリウッドがロックスターに打ち勝ったということか。

いずれにしても、まともな政治に戻りそうで良かった。

傀儡でもいい、次の時代への下準備のためにも、

バイデンさんには力の限り、がんばってほしい。

 

 

 

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週末の懐メロ:ドント・レット・ミー・ダウン/ザ・ビートルズ

 

「浄心ハイツにビートルズが来るんだって。行こか?」

と友だちに誘われたのは、中2か中3、1973年か74年のことだ。

 

浄心ハイツとは、名古屋市西区の浄心町にあった映画館である。

もちろん、そんなところにビートルズが来るわきゃない。

ビートルズの映画が来たのである。

 

45年も昔のことなので栄や名駅などの繁華街に出なくても、

映画が娯楽の王様だった時代の名残で、

うちの近くにもけっこう映画館がたくさんあった。

 

小学生の時は、浄心ハイツで、それぞれの休みになるたびに

「東宝チャンピオンまつり」

(ゴジラなどの怪獣映画にアニメなどを付け足した5~6本立て)を見ていた。

 

ちなみに黒川日劇で「ガメラ」や「大魔神」や「妖怪百物語」などの大映映画を、

志賀東映で「東映まんがまつり」を見ていた。

どこも現代の感覚では信じられないほどボロくて汚なかったけど、

あったかくて楽しいところだった。

 

その浄心ハイツでビートルズ映画の3本立て

「ビートルズがやってくる ヤァ!ヤァ!ヤァ!」

「ヘルプ!」「レット・イット・ビー」をやったのだ。

 

時はビートルズが解散して3~4年経った頃だ。

僕はハードロックやプログレッシブロックに

のめり込んでいたので、

当時、ビートルズにはさして関心がなかった。

先輩たちにロックスピリット(?)を叩き込まれていたせいもあって、

「ビートルズなんて歌謡曲とおんなじ」とまで思っていた。

 

僕だけではなくて、1970年代は次々と新しい音楽が生まれていた時代だったので、

「ビートルズなんてもう時代遅れ」という風潮もあった。

 

けれども当時の中学生にとってビートルズ映画を見るというのは、

やはり一つのビッグイベントだった。

 

なんといってもインターネットはおろか、

ホームビデオさえない時代なので、

ミュージシャンの映像を見るということは、

めちゃくちゃ貴重で、しかもカッコいいことだったのだ。

 

というわけで友だち3人と見た3本立て。

他の2本はアイドル時代のもので、

「なんじゃ、このガキっぽい映画は?」という感想だったが、

ドキュメンタリーの「レット・イット・ビー」は一味も二味も違った。

なんというか、大人の音楽家の世界と言う感じがしてカッコよかった。

 

リアルタイムでビートルズを聴いていたファンは、

スタジオに当然のように4人といるオノ・ヨーコを

毛嫌いしていたようだが、

僕はそれまで全然知らなかったので、

「この女の人は一体何なんだろう?」と不思議でしょうがなかった。

 

なので映画「レット・イット・ビー」には4人と同時に

長い黒髪のオノ・ヨーコの神秘的なイメージが鮮烈に貼りついている。

 

この頃のビートルズはすでに崩壊状態で、

メンバー間の感情もあまりよくなったそうだ。

 

しかし、セッション音源を聴くと、

いざ楽器を持って音を奏でだすと彼らの心が一つになり、

まるでモスラが糸を吐き出すように音楽が紡ぎ出されてくる。

その様はさすがとしか言いようがない。

 

割とだらだらとスタジオ内のドキュメントが続いた後のクライマックスは、

アップルレコードビル屋上でのゲリラ演奏である。

この通称「ルーフトップライブ」は彼らのラストライブとなった。

 

その演奏曲の中でも一番好きだったのが、

「ドント・レット・ミー・ダウン」だ。

 

ジョン・レノンの書いた楽曲の中で5本の指に入る。

ノリもメロディも演奏スタイルもすごくユニークで、

いまだにこれに類する曲を聴いたことがない。

最高にカッコいい、まさしくレノン独自の世界。

 

ジョン・レノンは短い人生の間に、

ビートルズのメンバーやロックミュージシャンとしてだけでなく、

思想家、哲学者、社会運動家、家庭人、父親など、

実にさまざまな人間的な顔を見せた人だ。

 

それゆえ、伝説になっているのだが、

僕の中ではこのルーフトップライブで

「ドント・レット・ミー・ダウン」を歌う姿が

レノンの基本イメージになっている。

 

そういえば今年はレノンの没後40年だ。

 

 

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週末の懐メロ:愛にさよならを/カーペンターズ

 

カーペンターズを聴くと、中学生の頃、

好きだった女の子を思い出す。

彼女とは結構イイ線いってて、

よく話をしていたのだが、

音楽の話になって

「わたし、カーペンターズが好きなんだけど、

フクシマ君はどう?」

と言われたので、

「おれはロックだから、カーペンターズなんて聴かないよ。

レッド・ツェッペリンとか、エマーソン・レイク・アンド・パーマーとか・・・」

「何それ?」

「うわー、わかってねえなぁ」とかなんとか。

 

なんだかそれから気まずくなって話をしなくなった。

後悔することしきりだった。

くだらん自己主張なんぞせずに

「うん、カーペンターズも好きだけど、

よく聴くのはロックでさ、レッドツェッペリンとか知らないかな・・・」

とかなんとか言っていれば展開は違っていた。

今でいう「中2病」にかかっていたんだろう。

 

まさしく中2の1973~4年、カーペンターズは人気絶頂だった。

僕たちの世代の洋楽入門編という感じだった。

ラジオ音楽番組でも、洋楽ヒットチャートの1位は

いつもカーペンターズの曲が占めていた。

 

しかしその一方で、ロックを聴く男子たちは

「英語の歌謡曲」「女・子どもの聴くもの」

と言ってバカにしていた。

 

 

事情は中学生の世界だけでなく、

アメリカの音楽評論家なども

「甘ったるいお菓子のようなポップス」と酷評していた。

 

リチャードとカレンの、

大人に褒められる優等生的な若者ぶりも

不良っぽいロックンローラーが持て囃される時代では

嫌われる要因だったのだろう。

 

「いい子ちゃんしやがって」

みたいな感じで。

 

そんな中、当時読んでいた日本の音楽雑誌の中で

とある評論家(日本人)が

「〈イエスタディ・ワンス・モア〉1曲を書いただけでも、

もっとリチャード・カーペンターが評価されるべき」

と書いているのを見て、ちょっと心を動かされた。

(今思えば馬鹿げているが)

じつは僕は隠れカーペンターズファンだったのだ。

 

あれから50年近くの歳月がたち、

かの評論家氏が正しかったことを改めて実感せずにはいられない。

カーペンターズの音楽は素晴らしい。

 

僕だけでなく、当時のロック中学生も

じつはカーペンターズの音楽の質の高さを認めていたのだ。

恥ずかしくて言えなかったけど。(ほんとに馬鹿げている)

 

しかし、あれだけのヒットメーカーでありながら、

リチャードもカレンも世間の悪口を気にしていたようで、

なんとかロックのテイストを盛り込んだ

オリジナル曲を作ろうとしていた。

 

そして生まれたのが、

間奏とエンディングの派手なギターソロが異彩を放つ

「愛にさよならを(Goodbye to Love)」。

 

当人のギタリスト氏は、

「カーペンターズの曲でこんなにやっちゃっていいの?」と

内心ビビってたそうだが、

リチャードは「いいんだ、もっとやってくれ」と鼓舞したらしい。

 

「わたしはひとりで生きていく」と

凛として歌い上げるカレンの歌唱と

ドラマチックなエンディングのコーラス、

そして、めっちゃカッコいいギターソロで、

名曲揃いのカーペンターズのレパートリーの中でも

燦然と輝く1曲になった。

その輝きはもちろん半世紀を経た今でもまったく色あせない。

 

1974年の日本公演。

絶頂期のカーペンターズは、

2週間ほどの間に全国銃弾ツアーを行った。

 

そして、ここから10年も経たないうちに

カレン・カーペンターは33歳の若さでこの世を去った。

彼女の死因「拒食症」という病気があることを知ったのも、

その時が初めてだった。

 

中学の同級生だった彼女は

まだ元気でいて、カーペンターズを聴いているのかなぁ。

 

 

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幸せの歌と認知症の女

 

義母は歌が好きで、デイサービスに行ってもしょっちゅう

自発的に歌っているらしい。

 

スタッフの人から「コーラス部とかに入っていたんですか?」

と聞かれるが、娘であるカミさん曰く、

少なくとも自分が生まれてからは、

そんなことは一度もないし、

若い頃もそんなことをやってたなんて聞いてないという。

 

コーラス部どころか、家族でカラオケに行っても

一度も歌ったことがないという。

 

義父が関白亭主だったので、

目立つようなことをしてはいけないという

気持ちが働いて抑えていたのではないか、

というのがカミさんの意見である。

 

家でもフンフンいつも鼻歌みたいなのを歌ったり、

CDを聴きながら歌っているが、

そういえば、僕と散歩に行くと歌わない。

 

代わりに僕が歌うと笑う。

秋なので「もみじ」と「どんぐりころころ」を歌うとウケる。

 

べつに夫婦仲が悪ったわけではないけど、

義母が我慢することで家庭のバランスが

成り立っていた部分が多いのかなとは思う。

 

これは特別なケースではない。

現在の高齢者=戦前生まれの女たちの標準的な生き方だったのだろう。

昭和の時代は現代との比ではなく、

男尊女卑が蔓延していた。

 

いま、高齢の認知症患者に女性が多いのも、

そうした自分の欲望とか、望んだことを抑圧し続けた結果

なのかもしれない。

もちろん、因果関係はわからないけど。

 

認知症になって第2の人生を送る義母は、

第1の人生と同様、とても人を気遣う優しい人である。

 

けれども歌うことについては遠慮することはなくなったようだ。

それは幸せなことだと思う。

 

みんな自分は認知症になったらどうしようと

びくびくしているみたいだが、

認知症になって、部分的にかもしれないけど、

幸福を手にする場合もあるのではないか。

 

人に迷惑をかけちゃいけないと、

最後の最後まで自分を抑圧して、遠慮し続けて、

葬式で「よい人でした」と言ってもらって、おしまい。

それは幸せなんだろうか?

 

 

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脂ののったカルガモを狙う野生のブラックプリンセス

 

善福寺川で暮らしているカルガモさんたちは皆、

秋が深まるとともに脂がのってきた。

まさしく天高く、カモ肥ゆる秋である。

ガァガァ。

 

ジビエグルメの方によると、

マガモよりは味が落ちるものの、

なかなかの美味だそうである。

やはりネギと煮て鴨鍋だろうか。

寒い冬はごちそうである。

けど、このあたりでは取って食うわけにはいかない。

 

しかし、そのカモたちを毎日、

虎視眈々と狙っている肉食系女子がいる。

わが友クロネコちゃんである。

 

どこへ行ったのか探すと、最近は

たいてい川べりに降りて茂みの中に隠れたり、

ウロウロ歩き回ったりしている。

なんだか狩りの練習をしている

トラやライオンの子どもみたいである。

 

彼女はふだん、美しい尻尾をくねらせて

フェロモン発散しながら、

人間にゴロゴロすり寄って

おなかを見せてなで回してもらっている、

けっこうお色気満点のお姫様だ。

 

それなのに野性味に富んでいて、

この辺の人の情報によると、

小鳥やネズミなど捕まえて食べているという。

 

かと思うと狩りがうまくいかなかったのか、

ネコ使いのおばさんが他のネコたちに

餌をあげていたりすると、自分もちゃっかりもらいにくる。

 

人間は自分を愛してくれていることをちゃんと知っていて、

このあたりの野良猫のなかではいちばん堂々としている。

でもボスという感じではなく、あくまで気ままに生きているのだ。

なかなかしたたかで自由なブラックプリンセスななのである。

 

しかし、ヒナならともかく、自分と同じくらいの体格の

おとなのカモなんて狩れるのだろうか?

かなりリスキーではないかと思うが、

野生の声に突き上げられて、

いつか脂ののったカモを食う夢を見ている。

それこそが彼女のニャン生の目標なのだろう。

 

カルガモもクロネコもどちらも愛でる僕としては、

なかなか複雑な心境である。

 

 

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偉大なるアメリカの物語を体現するロックスターは、大統領選に勝つのか、負けるのか?

 

4年前、トランプ大統領が当選したとき、

どこの州の人だったか忘れたが、

農業経営者らしき人がテレビのインタビューに答えて

「やっと本当に大統領らしい人が大統領になった」

と感慨深げに語っていたのが、妙に印象的だった。

 

トランプが大統領らしい大統領?

 

その時、僕はアメリカ人の念頭にあるトップ像が

日本人のそれとはひどく違うのだなぁと感じた。

 

もちろん、それはその人特有の考え方だったのかも知れないが、

なぜか僕にはそれが大半のアメリカ人の代表的な考えのように思えたのだ。

 

首相ではなくて大統領と言うところがミソなのかも知れない。

アメリカ人は大統領にヒーローのイメージを重ねている。

 

トランプがヒーロー?

 

日本人や、おそらく他国の人には奇異に映る。

おそらくアメリカ人の半分もそうなのだろうと思うが、

半分は(特に白人は)違う感覚を持っている。

 

「偉大なるアメリカ」

「強きアメリカ」

 

そうした言葉の響きにアメリカのマジョリティは

胸が震える思いがするらしい。

 

日本だったらどうだろう?

「偉大なる日本」「強い日本」なんて言われて、

その政治家に陶酔する日本人なんているだろうか?

 

内に流れる物語が違うのだ。

 

過去1世紀、世界の中心に座り、人類の正義であり続けた歴史――

偉大なアメリカの物語を、人々はそう簡単には手放せない。

 

その偉大なアメリカの物語を体現し、未来につなげるのは、

トランプなのか、バイデンなのか? 

大統領選はそういう問いかけなのだろう。

 

人種差別やコロナ対策などをはじめ、

まともに、理論的に考えれば、

明らかにバイデンの民主党の主張のほうが正しい。

 

けれども正しければ魅力的かと言えば、そうでもない。

 

バイデンがボスになって中国やロシアに勝てるのか?

世界の中心であり続けられるのか?

偉大なるアメリカのプライドが保てるののか?

 

そういう方向に思考が働き、シーソーは傾く。

要は理論よりも感情なのである。

人は理論よりも感情で動く。

何でもそうだが、理論・理屈は

感情で行動した後の後付け・言い訳に過ぎない。

 

僕はロックが好きだが、今思うと、

1960年代・70年代のロックは半ば宗教のようだった。

だから当時の若者たちは本気で

「音楽で世界を変えられる」と信じていた。

(比喩的・間接的な意味では、今でも信じられるけど)

 

その50年後のロックスターの姿を

トランプは体現しているのではないか。

支持者の多くは、かつて

「ラブ&ピース」や「30以上は信じるな」と叫んでいた、

シニアになった若者たちである。

 

ロックスターなのだから、みんなのカリスマなのだから、

ちょっとやそっとのスキャンダルはご愛敬、むしろ勲章である。

 

今のところ、バイデン候補が優勢らしいが、

アメリカ人の潜在意識は違うところにあるのではないか。

 

正論好きの、つまらないいい子ちゃんのバイデン民主党よりも、

コロナを克服し、中国や不法移民に立ち向かう“偉大な”トランプが

またもや選ばれるのではないかという気がしてならない。

 

こんな予想は外れてほしいのだけど。

 

 

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週末の懐メロ:5年間/デビッド・ボウイ

 

1972年。若きボウイの雄姿。

曲は代表作「ジギースターダスト」のオープニングナンバー。

地球滅亡5年前の歌だ。

 

あと5年で地球が滅ぶ、世界が終わるという時に

ロックスター「ジギースターダスト」が空から舞い降りる。

この頃、デビッド・ボウイはジギー・スターダストだった。

 

そんなSFな物語が当時は説得力を持って、

広く若者たちに受け入れられた。

みんな、どこかでこんな世界は終わると思っていた。

けれどもそれは押し寄せる機械文明や管理社会に

抗いたいという精神の表れだったのだろう。

 

いま、誰も「ジギースターダスト」の物語は受け入れない。

もう抗えないところまで来てしまったと諦めた。

それは賢明なことであり、憂うべきことでもあると思う。

 

 

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人は神秘なき世界では生きられない

 

缶コーヒーを買おうと思ったら「鬼滅の刃」。

スーパーマーケットへ行っても鬼滅の刃。

最近、どこへ行っても鬼滅の刃。

映画はもはや向かうところ敵なしの大ヒットを記録しているという。

 

2年前、息子からこの漫画の話を聞いたときは

「ふーん」という感じで流していた。

「ONE PIECE」より人気があるのはすごいなと思ったが、

まさかここまで売れるとは予想だにしなかった。

 

唯一、最初に聞いた時に感心したのは、

時代設定だった。

大正時代をもってきて、そこから世界観を構築するセンスは、

素晴らしいなと思った。

 

江戸時代じゃ鬼が物語に出てくるのは当たり前。

昭和の初めの方でもいいかなという気はするが、

ちょっと戦争の影が濃すぎる嫌いがある。

戦後の世界では無理がある。

 

明治の後半から大正は面白い。

とりわけ大正はデモクラシーの時代で、

大衆が自由な生き方があることに気づき、

それを模索し始めた時代だ。

 

そして何よりも科学と合理主義の現代世界と

伝統的な古い世界とがせめぎ合っていた。

 

鬼なんて非科学的で非合理で、神秘的な存在は

公的機関は認めない。

社会にそんなものはあり得ない。

 

だからこの世のいないはずの鬼を退治しようなんて

鬼滅隊は闇の存在である。

そして、そこにこそドラマがあるのだ。

光の中では安全に、安心して暮らせるけど、

そこにドラマは起こらない。

 

「鬼滅の刃」から100年後の現代世界に生きていて思うのは、

人は神秘なき世界では生きられないということ。

 

どんなに光に満ち溢れた、

科学と合理性と客観性が支配する世界になっても、

人は神秘的なものを求め、暗闇の奥を覗きたがるだろう。

人間らしく、感情を動かし、呼吸をするために。

 

 

 

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半沢歌舞伎の「ど~もぉ~、すみまぁせん、でぇしたぁ~」

 

称、半沢歌舞伎のドラマ「半沢直樹」で、

大和田氏(香川照之)の「おしまいDeath」が評判になったが、

僕がいちばん好きだったのは、伊佐山氏(市川猿之助)の

「ど~もぉ~、すみまぁせん、でぇしたぁ~」である。

(文字で表現すると、こんな感じ? 見た人はあの口調と顔を想像してください)

 

腹の底から湧き上がる悔しさを抑えつけ、

半沢を睨みつけながら唸るように謝罪する

あのセリフには、めちゃくちゃ笑って感心した。

 

失言したり、粗相して一般市民やマスコミに糾弾され、

やむなく謝らなくてはならなくなった政治家や企業のお偉いさんは、

まさしくこの通り。

 

紙に書いた謝罪文を、感情を殺して読み上げながら、

腹の底では伊佐山部長のようにこう唸っているに違いないと思う。

 

「ど~もぉ~、すみまぁせん、でぇしたぁ~」

 

子どもは「ごめんなさい」と謝る。

幼稚園や保育園でケンカになると、

たいてい、どっちか悪い方(あるいは双方)が

「ごめんなさい」と謝り、

謝られた方が「いいよ(許すよ)」と答える。

 

そうしないとことが収まらない。

そうしないとそこにいる大人が納得しない。

 

「ごめんなさい」と言われて

「いやだ」とか「許さない」とか言い出すと、

今度はそっちが叱られる。

 

というわけで、子どもは自然とその“型”を覚える。

 

とりあえず口だけ・形だけ謝っとけ。

そうすりゃなんとか許される。

それが生きる知恵となる。

 

大人になるとともに、家族や親しい間柄、

つまりプライベートなシーンでは

やっぱり「ごめんなさい」なのだが、

大人の社会人同士、ソーシャルシーンでは

「すみません」「申しわけない」になる。

 

「ごめんなさい」の後には言外に

「でも許してくれるでしょ」というセリフがついてるし、

「すみません」や「申しわけない」の後には、

「でも俺、本当は悪くなんかねえし」というセリフがついてる。

 

心から、魂からの謝罪というのはなかなか難しいが、

本気で「悪かった」という気持ちを相手に伝えたいなら、

少なくとも子どもやプライベート用の「ごめんなさい」の方が

まだしも「すみません」より伝わりやすいかも知れない。

 

自分で伊佐山部長風のセリフにしてみるとわかるが、

「ど~もぉ~、ごぉめんなさ~い」では、

なかなか悔しさの感情がにじみ出にくい。

 

あなたも仕事でミスったりして謝る時、

「すみません」や「申しわけありません」でなく、

「ごめんなさい」にしてみたら、

相手の心象は違ってくるかもしれない。

 

余談だけど、このコラム用の画像を探して

「ごめんなさい」や「すみません」のキーワードで検索したら

土下座のイラストや写真がごまんと出てきた。

しかもその多くのはサラリーマンの人たち。

 

ちょっとなまなましいかなと思ったので、

ネコちゃんの「ごめんニャさい」にしたけど、

こんなに土下座画像のニーズが大きいとは・・・

皆さん、ほんとうにお疲れさまです。

 

 

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どうして赤ちゃんはかわいいのか?

 

どうして赤ちゃんはかわいいのか?

 

そりゃ親の母性本能をくすぐって、守ってあげなきゃ、

育ててあげなきゃ、という気にさせるためだ。

 

と、動物学だか心理学だかの先生は、

クールにパシッと答えるだろう。

 

けど、それは唯一の正解なのだろうか?

 

それはあなたがたがSEXという罪深い行いをしたから、

神様がその贖罪のために天使を遣わしたのです。

天使も姿を見ることで、あなたはたは救われます。アーメン・

――と、昔の敬虔なキリスト教徒の人なら、

そう言うかも知れない。

 

僕はこれはべつにキリスト教徒ではないが、

あながち悪くない回答のように思える。

 

人は子どもに救われる。

 

高校演劇で「薔薇のベビィ」という芝居をやったことがある。

泥棒の三人組が捨て子の赤ん坊を拾い、育てることにする。

大の男たちが小さな赤ん坊に翻弄され、ドタバタを繰り広げるが、

最後に赤ん坊はバラの花に変わってしまう――という話。

なんとなくチャップリンの映画っぽいコメディだ。

 

泥棒だから犯罪者ではあるのだが、

殺人犯やレイプ犯のような凶悪な奴らではない。

それどころか揃ってマヌケで(だからコメディになるのだが)、

女にモテそうもなく、事実、話の中ではいっさい女の影はない。

(高校演劇用の台本なので、あまりセクシャルなことはできない)

 

赤ちゃんはバラに変わるには、

ドラマ的にいろいろ紆余曲折があったはずだが、

残念ながら、今となってはあらすじしか思い出せない。

 

勝手に想像してみると、

 

赤ん坊かわいさに高価なおもちゃを買ってやろうと

お金持ちに家に空き巣に入り、一人が警察につかまってしまう。

それをきっかけに改心して泥棒をやめ、真面目に働き出した。

そして捕まっていた一人が帰ってきて、

改めてこの子を育てようとした翌朝、赤ちゃんは――という感じ。

 

女の子育てはナチュラルで、

時に涙をともなう感動ストーリーだが、

男の子育ては基本的にコメディで笑いを誘う。

 

赤ちゃんを見て「かわいい」と思っても、

それを口に出して表現するのは、

(とくに昔の男にとっては)男の沽券に関わること

なので、「人として、男として見捨てておけない」と

正義の言葉を吐いて、

男は赤ん坊を拾いあげたのだ。

 

そういう意味では昔の男は大変だったし、気の毒だった。

けれども、女の人、お母さんには申し訳ないが、

物語の主人公として魅力的なのは、男、お父さんのほうだ。

 

それはやっぱり子どもが、

男にとって「救い」になるからだと思う。

 

性行為も経済活動も、もちろん悪いことだとは思わないけど、

やっぱりどこかで罪のにおいが漂う。

 

一つ一つは些細なものだが、

それらが積み重なると、自己をゆがめていく。

 

子ども――赤ちゃんのかわいさというのは、

それを矯正し、治癒してくれるものなのだと思う。

 

遺伝子工学が発達すると、

「子どもは欲しいけど、男(父親)はいらない」

という女の人が増えるかも。

 

実際、子どもを虐待する男が少なくないようなので、

そういう考えにたどり着くのもしかたないけど、

それはちょっと寂しいなぁという気がする。

 

 

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寅平じいさんのこと

 

寅平とは、じつは僕の祖父の名前である。

生きていれば、今年でちょうど130歳になる。

僕は彼が70歳の時にできた孫で、6年余りを同じ家で暮らした。

ずいぶん可愛がってくれたそうだが、ほとんど記憶にない。

けれども「トラヘイ」という響きには妙に親近感があって、

今回、主人公の名前にしてみた。

キャラクターはもちろん完全な創作なのだが、

書いてみると、もしかしたらこういう人だったのかもね、

という気がしてくる。

そのうち、寅平を主人公に、

明治・大正を舞台にした話を書きたいと思う。

 

 

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ネコのお遍路さんと笑劇の人生

 

ミニミニ四国八十八ヶ所巡りをする白装束のネコを見ていたら、

なぜか喜劇王チャップリンの名言を思い出した。

「人生は近くで見ると悲劇だが、遠くから眺めると喜劇である」

ほとんどの人生は、終わってみれば、

きっと笑い話にすぎないのだろう。

でも、笑い話にしてやろうと思って生きている人はいない。

みんななんとかいいものにしようと一生懸命やっている。

でもでも、ときどき、自分を分離させて、

悩んだり、しゃかりきになっている今の姿を

「ニャハハハ」と笑ってみるのもいいかもね。

 

 

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幸せの青い鳥はすぐそこにいた

 

美しき青きカワセミのラブラブカップル。

並んでじっと魚を待つ。

 

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ストーブとライター代わりの電熱器

 

森田童子の「ぼくたちの失敗」の歌詞の中に

「ストーブ代わりの電熱器」というのが出てくる。

僕がこの曲から離れられないのは

この電熱器の思い出があるからかも知れない。

 

高校生の時、演劇部をやっていた。

部室は実習室(工業高校だった)が集まる校舎の

屋上に繋がる踊り場のような不思議な場所にあった。

 

トイレと隣りあった3畳間くらいの小さな部屋だった。

たぶん以前は物置に使っていたのだろうと思う。

 

歴代の上演台本や発表会のプログラムなど、

いろんな資料が壁の棚にゴタゴタぶち込まれ、

稽古の時に使うテーブルと椅子がガタガタ放り込まれた

闇鍋みたいな部屋だった。

その闇鍋の中にくだんの「電熱器」があったのだ。

 

コンセントを入れると

ぐるぐる蚊取り線香みたいに渦を巻いたコイルが、

みるみる発熱して赤くなった。

まさしく“赤く燃えていた”。

 

1970年代半ばの公立高校のクラブの部室には

エアコンはもちろんのこと、ストーブだってありゃしないので、

冬の間、僕たちはぶるぶる震えながら

その電熱器に手をかざし、ストーブ代わりにして暖まっていた。

 

セキュリティの厳しい現代では考えられないし、

当時もどうしてそんなことができたのか不思議だが、

2~3度、夏休みや冬休みの夜に

友だちとこっそり校舎に忍び込んで、

その部室の中で煙草を吸っていた。

 

電熱器をつけると、赤くなったコイルはライター代わりになる。

そんなことを2~3度やった。

ガキの分際で紫の煙をくゆらしながら

友だちや演劇部の仲間と一生懸命何かを話していた。

 

今となってはいったい何を話ていたのか、さっぱり憶えてないが、

妙に楽しくてわくわくしていたことと、

電熱器の温もりだけは忘れられない。

 

ときどき、こういうちっぽけでくだらない、

本当にどうでもいい思い出が、

自分を温め、支えてくれているのではないかという気がする。

 

その高校時代――1976年の森田童子のライブ。

ラジオの公開録音だったらしい。

わずか20分余りだけど、ほとんど彼女のベスト7とも言える7曲を歌っている。

4曲目が「ぼくたちの失敗」。

ギター1本の弾き語りで聴けるのは、たぶんこれだけだと思う。

 

ドラマ「高校教師」の脚本家も彼女の歌が好きで、

テーマ曲だけでなく、セリフやナレーションの中で

歌詞や合間の語りを隠し味的に取り入れている。

 

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高校教師とぼくたちの失敗

 

ふとしたはずみから「高校教師」を全編観た。

1993年1月~3月のTBS金曜ドラマ。

真田広之と桜井幸子主演のオリジナル版全11話。

 

舞台の女子高は井の頭公園駅から歩いて〇分だ。

出てくる場所は、ほとんどわが京王井の頭線沿線で、

それも吉祥寺~下北沢間。

ヒロインの自宅は浜田山だというから、

うちのご近所さんやないか。

 

今までこのドラマをほとんど見たことがなかった。

当時は忙しくて夜の9時に家にいたことは

あまりなかったからだ。

 

1回だけちらっと見たが「これはアカン」と思って

ビデオ録画もしなかった。

 

その後、評判になったのは知ってたが、

「教師の生徒へのレイプ」と「近親相姦」が

キーワードになっていて、

怖いというか嫌悪感みたいなものが先に立って観られなかった。

(1回観て「これはアカン」と思ったのもそれが原因)

 

ただ正直なところ、心の中でずっと興味を抱いていた。

だけど結婚して、子どもが出来たりすると

こういう引きずり込まれそうな世界に

近づかないほうがいいと思ってた。

たかがテレビドラマなんだけどね。

 

で、27年の時を経てやっと観てみて、

世間の評価が正しいことを確認した。

 

あらを探し出したらきりがないが、

そんなものはどうでもいいと言えるほど、

物語として圧倒的な迫力がある。

脚本と俳優の賜物だ。

 

恥ずかしながら、桜井幸子(というか繭という少女)の

可愛さと明るさと美しさに完全にイカれてしまった。

そして、その裏側にある地獄と悲しみに震えてしまった。

 

「お母さんが死ぬ時に見せた、強い憎しみの目。

怖かった。とても怖くて・・・それはそのまま

わたしがしていることの怖さに変わって・・・」

 

すごいセリフを書く。想像するだけで恐怖。

それを絶妙のトーンで語れる桜井幸子のすごさ。

 

真田広之演じる教師・羽村の情けなさ、

ダメさ加減にも心底共感した。

やっぱりグレートな役者やなと改めて感心。

 

物語の中で羽村は繭を救うために行動するが、

男の立場から見ると、実は自分を救うために動いている。

 

婚約者に裏切られても

「何も見なかった、何も聞かなかった」ことにして、

自分の人生を鋳型にはめようとする男は、

少女の前でそれ以上、嘘がつけなくなる。

 

そしてついに人のため、カネのため、地位や名誉のために

がんじがらめになり、ねじ曲がってしまった自己を解放する。

 

ストーリー上、羽村に救われる繭は、

実は歪んだ人生の牢獄から彼を救い出す天使なのである。

 

ラストは(ドラマの中の)現実としては悲劇に向かうが、

僕には救われた魂同士のハッピーエンドに見える。

 

この時代はまだインターネットも携帯電話も普及していない。

それらが行きわたり、

ネット上で自由に意見を発信できるようになった今、

性暴力とその二次被害に対する制度や心遣いは

このドラマの時代より

いささかでもましになっている感じはする。

 

けれどもその一方でネットによる誹謗・中傷の恐怖は

拡大するばかり。

結局、何も変わっていないのだろうか?

 

「禁断の愛」というキャッチフレーズのもと、

センセーショナルな話題が先行していたが、

いろいろなメッセージが含まれており、

社会的な問題や人間存在の不条理について

考えさせられるドラマなのだ。

 

 

「高校教師」を観なかった理由はもう一つある。

それはテーマ曲に森田童子の「ぼくたちの失敗」が

使われていたからだ。

 

この曲がかなり好き、というか、

自分にとってとても特別な曲だったので、

このドラマのイメージにまみれるのに反感を感じたのである。

 

と言ってみたところでどうにもならないが、

バカげたこだわりにずっと囚われていた。

 

けれども2年前に歌い手が他界してからは、

そのこだわりも抜けた。

 

いざ観てみると、あまりに美しい旋律が醸し出す心象風景は、

物語にぴったり重なる。

 

いまは、このドラマのおかげで、

多くの人たちの心に深く刻まれる名曲になり、

永遠の命を持ち得たことをうれしく思う。

 

井の頭公園のあたりはドラマから27年経った今でも

ほとんど変わっていない。

それどころか、僕が東京で暮らし始めた42年前から

ほぼそのままだ。

歌詞の中の「春の木漏れ日」もここにある。

ゆっくりと流れる時間の中で季節が繰り返す。

 

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食欲の秋:ごちそうを前に笑うカオナシ

 

スタジオジブリの画像400枚(50枚×8作品)が、

“常識の範囲内でご自由に”使えるというので、

ときどき利用させてもらっている。

 

提供されているものの中では、何と言っても

「千と千尋の神隠し」の神様だか妖怪だかが

圧倒的に好きだ。

 

ちなみにまだ来月の話だが、

禅僧とジブリの鈴木プロデューサーとの対談を

取材させて頂くことになった。

楽しみである。

 

 

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奥には妖怪の国が広がっていた。

子どもの正体はざしきわらし。

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寅平はこれぞ自分の使命と思い、

戦うざしきわらしのために勇気の出る歌を歌う。

 

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発売! ざしきわらしに勇気の歌を

 

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サルビアの花を聴いた

 

 

公園の花壇に赤いサルビアが咲いているのを見て、

「サルビアの花」という歌があったのを思い出した。

 

なんとなく、こっそり家で聴いてみる。

1972年、昭和47年の歌。

記憶ではかなりヒットし、

当時のフォーク歌手の何人かがカバーしたり、

歌謡曲の歌手も自分のアルバムの挿入歌にしていた。

 

オリジナルは「もとまろ」という女性3人のグループ。

その後のことは全然知らないので、

たぶんこれ1曲しか売れなかったのだろう。

 

しかし、そのたった1曲が永遠の名曲になった。

 

当時、ぼくは子どもだったので、

この歌の世界のことがよくわからなかったが、

改めて聴くととても映像的でドラマチック。

 

ただ、現代の感覚だと、

この歌詞って、カン違い妄想ストーカー男の歌?

と聴けなくもない。

 

けれどもこの哀愁を帯びた旋律は現代からは生まれにくい。

1970年代独特の、美しく透き通ったメロデイーライン。

森田童子や、デビューした頃の中島みゆきの曲に通じる感傷。

どこからか、あの時代の風が吹いてくるようだ。

 

 

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9月30日(水)Amazon Kindkeより発売決定。

 


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日本の秋 妖怪の秋 ざしきわらしの秋

 

秋風吹いて妖怪の季節到来?

中野ブロードウェイでは口裂け女用「女帝・百合子さんマスク」も好評販売中。

 

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第9弾:短編小説「ざしきわらしに勇気の歌を]

9月30日(水)0:00よりAmazon Kindkeにて発売予定。

 

 

 

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おとなも楽しい少年少女小説最新作。お楽しみに!

 

 


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令和の妖怪・人面木

 

「あらぁ、人の顔みたいねぇ」

怖がりの義母が妙に明るい声を上げる。

 

言われてふと見ると、恐るべきものが!

人面木(ジンメンボク)。

イヌの顔とか、クマの顔にも見える。

精霊はいたるところに。

明日は彼岸の入りです。

 

 

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ホラー日本むかしばなし「若水」

 

日本の各地に「若水」という民話がある。

若水とは若返りの水だ。

ある村におじいさんんとおばあさんが住んでいて、

ある日、おじいさんが山のふもとで湧き水を発見して飲む。

すると白髪が黒くなり、肌のしわが取れてつやつやしてきた。

その湧き水は若返りの水だったのだ。

 

それを見て仰天したおばあさんは自分も若返りたくて、

一緒に若水が湧き出るところに行って、ごくごくと飲む。

すると、やはり同じように髪は黒々、お肌もつやつや。

 

ふたりして曲がっていた腰もしゃんとして、

これでまた元気に働けると喜んでいたが、

おばあさんは欲が出てしまった。

 

おじいさんに隠れて、こっそりと毎日、若水を飲みに行く。

どんどん若返り、まるで若い娘のようになってしまう。

 

それでおじいさんはこれでまた若い女を抱けると大喜び――

というのは僕の勝手な創作で、

原作では、もうそれ以上、若水を飲むのはやめろと言う。

 

元おばあさんは一応、おじいさんのいうことを聞くが、

一度火が付いた欲望はもう止められず、またもや若水のところへ。

 

その日、おばあさんは家に帰ってこない。

おじいさんはもしやと思って若水のところに行くと、

木々の合間から赤ん坊の泣き声がする。

 

あわてて駆け寄ってみると、

水を飲み過ぎたおばあさんは、

かわいい赤ちゃんに還ってしまっていた。

おじいさんはやむをえず、

おばあさんだった赤ちゃんを家に連れて帰り、

自分で育てることにする。

 

「若返りたい」という欲望、不老不死の欲望は、

もちろん男にもあるが、情熱と言うか執着心は、

やはり女のほうが何倍も強い。

それはたぶん、

女は自分の身体の変化を顕著に体験するからだろう。

 

子どもを産まない体から、産める体になり、

やがてもう産めない身体に変化するというのは、

どんなに身近にいても、男にはとうていわからない神秘だ。

 

現代は閉経以降も女性に活躍の場がたくさん用意されているので、

精神的にそうこたえないかもしれない。

しかし、人間も自然の摂理に従って生きていた近代以前は、

かなりリアルに自分の衰え、存在の危うさを

感じざるを得なかっただろう。

そういうところからこんな話が生まれてきたのではないかと思う。

 

若返っていくというのは自然の摂理に反することだから、

一種の恐怖であり、老いること以上に残酷であり、

したがってこの若水の話はホラーでもある。

 

このおばあさんは不思議な体験をし、平常心を失い、

欲にかられて若返ること自体が目的となってしまった

愚かな女である。

 

何のために若返るのか?

若返って自分は何をしたいのかよく考えよ。

 

そう言うのは正論だが、こうした愚かで弱いところが

人間らしいと言えば人間らしくて、すこぶる可愛い。

 

ぼくがこのおじいさんだったら、

若い娘も飛び越して、赤ちゃんに還ってしまった妻を

育てようとするだろうか?

あなたはどうですか?

 

 

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人間はひとりで生まれてこれないし、ひとりで死ねない

 

「生まれてきたときも、死んでいくときも、

しょせん人間はひとりなんだぜ」

BGMにジャズが流れるアンティークなバーで、

彼は煙草の煙をくゆらせながら遠い目をして語った。

 

「人間ひとりで生まれてきて、ひとりで死んでいくのよ」

小さなクラブでブルースを歌い終え、

ぐいっとフォアロゼのオンザロックを流し込んで一息ついた

彼女がため息交じりに言った。

 

僕が若者の頃に身を浸していた昭和の時代には、

人生の先輩方からよくそういう話を聞かされた。

 

カッコいいな。

わりと素直にそう思った。

おれも齢とってシブくなったら、

若いモン相手ににそんなセリフを吐きたいもんだぜ。

そう考えていた。

 

で、実際に、当時のその諸先輩方の年齢を超えた今、

彼らの件のセリフは単なるカッコづけだとわかった。

現実は歌や物語と違って、

もっとバタバタしてて、もっと全然みっともなくて、

孤独な男や孤高の女などやっていられない。

 

人間は一人ではこの世に生まれてこれない。

カミさんが息子を出産する時に立ち会ったが、

医者とか看護婦さんとか大勢の人が関わって、

はじめて子どもはこの世界の空気を吸える。

(僕はただデクノボーみたいに突っ立ていて、

出てきた息子を「ほれ」と抱かされただけだったけど)

 

文明社会の外だったらどうか?

森の中なり、砂漠なり、野生動物と同じように生まれ出たら?

これだって産院と同様、周囲に守ってくれる人たちが必要だ。

 

もしに誰もおらず、母親がそのまま死んでしまったら、

子どもは何日も生き延びられないだろう。

他の動物に食われるか、飢え死にするか、

暑くて死ぬか、寒さで死ぬかのどれかである。

 

死ぬときはどうか?

孤独死が社会問題になっているが、

ひとりで死んだとしても実際はそれで終わらない。

 

遺体を処理しなくてはならない。

自分の魂は抜けて、この世界のしきたりから解放されても、

遺体をそのまま放置して

腐らせるままにしておくことは許されない。

しかし、自分で自分の遺体の始末をすることは不可能なのだ。

 

「自分の葬式は必要ない」と言ってても、

必ず面倒を見る人がいる。

火葬してお骨を集めて手を合わせるぐらいのことは

“されなくては”ならない。

 

普通は肉親――遺族がそれをするが、

誰もいなければ行政の人とか、何らかの形で代理人になった人が

その仕事を引き受ける必要がある。

 

雪山や樹海に入ってそのまま消える。

おれの遺体は山犬に食わせてやる。

あるいは海に流してホオジロザメの餌になってもいい――

 

そういう夢見るユメオさんや夢子さんや

豪傑さんたちにも逢ったが、

こういう人こそ社会の大迷惑。

大変な騒ぎになって捜索隊とか出さなくてはならなくなり、

無数の人に面倒をかけることになる。

 

だから本当の意味での孤独死というものは存在しない。

生まれるときも死ぬときも人間はひとりではない。

少なくとも、こうしてパソコンやスマホで

インターネットを見られるような文明社会で

人生を送っている限りは。

 

 

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義母が歌う自分への子守歌とザ・ピーナッツの「村祭り」

 

毎晩と言うわけではないが、

夜、義母の部屋から歌声が聞こえてくる。

大声で歌っているわけではなく、

鼻歌程度の音量なので特に問題ない。

 

レパートリーは、いわゆる昭和歌謡

(昭和30年代から40年代初め頃)と、

童謡・小学唱歌などだ。

 

寝つきが悪いと、つい口をついて出てくるようで、

長いときは1時間以上歌っている。

まるで自分に子守唄を歌っているようだ。

 

べつに聞き惚れるというほどのものではないが、

ぼくはそれを聴くのが結構好きだ。

 

なんというか、ちょっと心が洗われるような気分になる。

そして、人間が結局落ち着くべきところに

案内してもらっているような気分になる。

 

最近よく歌っているのは「村祭り」。

ぼくが小学校の頃は音楽の教科書に載っていたが、

今はたぶんもうないだろう。

このメロディもちょっとユニークで美しく、

わりと好きだったことを思い出した。

 

それでYou Tubeで聴いてみようと思ったら、

なんと! ザ・ピーナッツが歌っている。

 

昭和歌謡の代表選手。

ポップスはもとより、ジャズやボサノバ、

モスラの歌まで何でも歌いこなす天才双子デュエット。

 

ユーライア・ヒープの「対自核」や

キング・クリムゾンの「エピタフ」を歌っていたのにも

びっくりしたが、こんな小学唱歌まで歌っていたとは!

 

彼女らが〽ドンドンヒャララ ドンヒャララ~

と歌うと、山奥から守護神の怪獣が目を覚ましそうだ。

 

今年はコロナ禍で秋のお祭りも中止なので、

ザ・ピーナッツを聞いて、

日本のお祭りの精神を愛でたいと思います。

 

 

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50年前の高校生たちのイキイキ「未知との遭遇」

 

UFO(未確認飛行物体=空飛ぶ円盤)は、

1960年代から頻繁に地球を訪れるようになった。

彼らは地球人に夢と希望を与えるために飛来するようになった。

あるいは「もっと賢くなれ」と警告するために?

 

きょうはテレビのミステリー番組で、

50年前、オーストラリアで起こったUFO目撃騒ぎを取り上げていた。

当時はかなり大きな話題になったようだが、すぐに忘れ去られた。

なんと言ってもUFOなんて“不要不急”の最たるものである。

 

UFO出現地点のすぐそばの高校にいた

高校生たちには緘口まで出たらしい。

「UFOを見たあんて言ってはダメ」というわけだ。

 

当時は(たぶん今でも?)教育上よろしくないとか、

反社会的だという道徳的理由があったのか、

それとも、未知の宇宙ウイルスとかがばらまかれるとか、

最悪の場合、誘拐されるかも・・・という噂が広がったのかもしれない。

 

その時のUFOを見たという高校生たちが

番組の求めに応じて集まっていた。

50年前の高校生だから、すでに全員、60代後半だ。

 

同窓会ムードも相まって、

みんな、なんだか楽しそうで、ちょっと興奮気味に

自分のUFO目撃談を話していた。

 

学校から飛び出してひとりでUFが着陸しているところまで

見に行ったという女性は、まるで17~8歳に若返ったかのように、

番組スタッフに熱意ある説明をしていた。

 

みんな50年の間に人生いろいろあったのだろうと思うが、

そのtのしそうな様子を見ていると、

「わたしはUFOを見た」という体験は、

苦しいときも哀しいときも

気づかないうちに彼ら・彼女らの心の支えになったかもしれない。

 

もしかしたらUFOとの遭遇は、就職や結婚や出産などよりも

大きな人生のイベントだったのかも知れない。

 

まじめなことや、まともなことばたかりだと人間、息切れする。

こうした傍から見たらバカげたことのほうが

人生を生き抜くエネルギーになるのではないかと思う。

 

 

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こなきじじい と ねこなきじじい

 

●こなきじじいの出世

こなきじじじいはかなり知名度の高い妖怪である。

カッパ、天狗、のっぺらぼう、ざしきわらしなどには及ばずとも、

知名度ランキングではベスト10に入るかどうかというところまで行くのではないだろうか?

 

こなきじじじいの名を世に知らしめたのは、

なんといっても妖怪マンガの巨匠・水木しげる先生の

「ゲゲゲの鬼太郎」のおかげである。

 

こなきじじいという妖怪がいることなんて、

ぼくたちの親の世代以上の日本人はほとんど知らなかった。

鬼太郎の友だち、ファミリーの一員となったことで

こなきじじいは日本でも指折りの妖怪に昇格・出世したのだ。

 

●柳田國男が発見した「こなきじじい伝説」

なぜ、それまでほとんど知られていなかったというと、

あまりにローカルな妖怪だったからである。

 

こなきじじいは阿波の国(徳島県)の山奥の出身だ。

この妖怪を“発見”したのは、民俗学者の柳田國男である。

 

阿波の山分の村々で、山奥にいるといふ妖怪。

形は爺だといふが赤児の啼声をする。

或は赤児の形に化けて山中で啼いてゐるともいふのは

こしらへ話らしい。

人が哀れに思って抱き上げると俄かに重く放そうとしてもしがみついて離れず、しまひにはその人の命を取るなどゝ、ウ

ブメやウバリオンと近い話になって居る。

木屋平の村でゴキヤ啼きが来るといつて子供を嚇すのも、

この児啼爺のことをいふらしい。(後略)

柳田國男『妖怪談義』1956

 

この記述から、水木しげるがあの金太郎の腹掛けをした

こなきじじいの姿を描き出した。

 

僕たちはこうした妖怪の話は大昔から地域の伝説として伝わっていると思い込んでいるが、じつはそうでもなくて、

このこなきじじいの話などは割と最近のことらしい。

 

●こなきじじいの正体は実在の徘徊じいさん

以下は妖怪小説の大家・京極夏彦氏の「妖怪の理 妖怪の檻」

(角川書店/平成19年)の記載事項(を僕なりにアレンジ)。

 

上記の柳田國男の記事を読んで、

本当にこんな妖怪がいるのだろうか?

と疑問を抱いた地元・徳島の郷土研究家が

詳細な現地調査を行ったそうだ。

 

柳田國男もまたある文献をもとに記事を書いたので、

そのネタ元をもとにあちこち調べまくったというから、

すごい情熱・執念である。

 

その結果、本当にこなきじじいがいた、

❝実在していた❞〝ということが判明した。

大昔の伝説でもファンタジーでもなく、リアルな事実。

 

その正体は、赤ん坊の泣き真似が得意で、

泣き真似をしながら山の中を徘徊していた、

実在の爺さんだったのだ。

 

ある家で子どもが悪さをしたり、言うことを聞かなかったりすると

「山からじじいが来るよ」と、嚇しのネタに使っていたという。

それが妖怪こなきじじいの出生の秘密だったのだ。

まさしく驚愕の事実。

 

●年寄りなんてそんなもの

柳田國男が収集したそのネタ元が、

いったいいつの時代のものかわからないが、

話の成り行きから察するにそう大昔のものとは思えない。

昭和初期くらいの話なのではないかと思える。

こなきじじいの歴史は100年に満たないのでないか。

 

それにしても赤ちゃんお鳴きまねをして

山中を徘徊している爺さんって・・・

いまの時代ならとても放っておいてもらえないだろう。

 

変質者として通報され、警察に保護されるか、

認知症患者として病院に連れていかれるに違いない。

 

昔はよく言えばおおらか、悪く言えばいい加減だったので、

こうしたこなきじじいも自由にしていられた。

 

そもそも年寄りはそんなもの、

齢を取れば大半の人間は、生産的な現実世界とは異なる、

妖怪的な世界の住人になっていく。

そんな暗黙の了解というか、

こころやさしい認識があったのかも知れない。

 

●ねこなきじじいは令和の妖怪?

そう考えて、ふと自分のことに思い至った。

そういえば昨日も義母と散歩の途中でネコに逢い、

にゃーにゃ―ネコの鳴きまねをしていた。

 

これは僕の得意技で、

いつもこれでネコを手なづけようとしている。

(が、ほとんど効果がない)

これはもう「ねこなきじじい」ではないか。

 

将来、認知症になって、ねこなきじじいとして妖怪伝説となる———

そういう未来が待っているのかも知れないニャー。

そうしたら、ネコ娘はなかよくしてくれるだろうか?

 

 

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ざしきわらしを追いかけて

 

ぼくがバイバイと子どもたち手を振ったら、

満面の笑みをたたえて手を振り返す3歳くらいの女の子がいた。

何度も振り返って手を振り、ひとりで林の中に入っていく。

 

かわいいなぁと思ってずっと見送っていたのだが、

ちょっと変なことに気が付いた。

その子の親とか保護者らしき大人が見当たらない。

面倒を見るきょうだいもいない。

あんな小さな子がこんな広い公園にひとりで遊び見来ているなんて不自然だ。

 

気になってぼくはその子の後を追い駆けた。

どんどんひとりで林の奥に入っていき、

一本の古い大きなクスノキのところで立ち止まった。

 

と思ったら、頭から木の中へダイブした。

まるでネコのように。

 

慌てて駆け寄って見ると、太い幹の真ん中に大きな穴があいている。

そこで、ははんと勘づいた。

 

あの子はざしきわらしである。

 

ネコとネズミは頭が入るところならどこにでも潜り込めるというが、

ざしきわらしもそうなのだ。

 

木の穴の中は真っ暗で何も見えない。

その奥には妖怪の国が広がっているに違いない。

 

そういえば、時おり、妖怪が現代の日本の都市に観光旅行に来ている

という話を聞いたことがある。

 

妖怪の国——妖怪の故郷は、

古き良き懐かしき日本である。

森があり、林があり、田んぼがあり、畑があり、

藁ぶきや木造で土間のある家があり、

木造りの学校がある。

祝いがあり、呪いがあり、婚礼の行列があり、葬列がある。

 

便利で豊かな暮らしには不要とされる様々なもの、

失われてしまったものがたくさんある幻の故郷。

100年前、200年前に、人間になることなく死んでしまった子どもたちが、

ざしきわらしとなって遊んでいるところ———

それはぼくたちの記憶にある故郷でもあった。

 

京極夏彦氏の妖怪規約。

妖怪とは、前近代的で、民俗学的で、通俗的である

——それはすなわち、日本人によって懐かしいものである。

 

妖怪のいるなつかしい日本にもう一度帰りたいとは思わないが、

ときどき観光旅行には出かけたいと思う。

ざしきわらしは連れてってくれるばろうか?

 


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その特異な才能に気付いたダンサーは「こころの医師」になることを薦め、彼を下町の小さな劇場の舞台に立たせる。

病み荒んだ観客たちに交じって、その劇場にやってきたのは、美しい若い女のレンタルロボット。彼女との出会いによって、神業的なスピリットダンスとして昇華した少年ロボットの演技はたちまち評判となり、大劇場の興行に招聘されるようになる。

しかし、師匠のダンサーは「自分のすべきことを見失わないように」と言い残し、彼のもとを去っていく。同じ頃、戦争が勃発し、世界は瞬く間に戦火に包み込まれた。

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【あらすじ】

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人間は労働力のみならず、エンターテインメントや精神面のケアなど、暮らしのあらゆる分野でロボットの力に頼って人生を送っていた。子どもや恋人を貸し出すレンタルロボットビジネスも盛んだ。

 

12歳の少年の姿をしたロボットもいろいろな人間のためにレンタルされて働いてきたが、酷い虐待を受けて故障し、喋ることができなくなっていた。

 

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読み出したら愛も笑いも、ついでにオナラも止まらない面白さ。

あなたの心にクールな癒しとホットな旋風を。

スマホやタブレットでも読めるよ。

 

【あらすじ】

小学5年生の小松救太郎は、ぬきうちテストの最中にオナラをもらし、クラス中からいじめられる。じつはそのオナラの真犯人は隣の席の水城ユリカ。彼は憧れの女の子の失敗をかばっていたのだ。しかし、ユリカはお礼を言うどころか、よけいなおせっかいだと救太郎をきびしく攻める。

その日、家に帰った救太郎は奇妙な白昼夢を見る。そこに登場するのは、26世紀から来た、オナラで音楽を奏でるプータローというキテレツな男。この男の話によると、500年後の世界では人間はオナラをしない生き物に進化しており、そのせいでストレスがたまり、心の病が蔓延しているという。そして救太郎こそが、失われたオナラを取り戻すための救世主であり、ユリカとラブラブになることで人類がオナラを取り戻し、不幸な歴史をやり直せると伝える。

救太郎は、潔癖症でオナラを軽蔑するステージママである母親のプレッシャーにユリカが苦しんでいること、また、人類からオナラを奪おうとする謎のヘビ魔女が彼女に取りついていることを知る。

ヘビ魔女との対決や、秘密警察から逃走するプータローとの交信を通じて、ついに自分の力で未来を変えることを決意する救太郎。

その方法はユリカのオナラをかばった日にタイムスリップして戻り、二人のよじれてしまった関係を修復するということだった。

はたして彼はユリカの気持ちを変え、オナラを失った未来の人類を救うことができるのだろうか?

 

 

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または著者名「おりべまこと」、

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猛暑もコロナもブォーン!とぶっ飛ばせ! 「オナラよ 永遠に」無料キャンペーン

 

おりべまことSF長編2編無料キャンペーン第1弾!

8月20日(木)16:00~22日(土)15:59まで

「オナラよ 永遠に」を無料でお届けします。

 

プータローはリズミカルにお尻を振って、オナラブラスバンドとともにドレミファソラシドを奏でた。みごとな音楽になっているけど、やっぱりちょっとくさい。

鼻をつまみながら、ぼくはしばらくの間、と言ってもほんの十秒間だが、考えた。

未来。

親も先生も、テレビに出てくるいろんなおとなたちも、みんな大好きな〈未来〉だけど、それがオナラのない世界になってしまっているとは・・・いったいどうしてそんなことになったのだろう?

「愛を忘れたからだよ」

そのシリアスな低音のセリフが目の前のプータローの口から出たものだと気がつくまでにちょっと時間がかかった。

さっきまで陽気な、というか、ふざけたヒップホップを歌っていた人とはまったく別人のようだ。まるで人類誕生の頃からこの惑星で暮らしている、秘境の部族の酋長のような語り口になって話を続ける。

「愛とはオナラをやさしく許せることだ。自由とはオナラをあたたかく笑いあえることだ。けれども人間はそのことを忘れて、便利なだけの生活を追求し、うわべだけの美しい街、かたちだけの美しい国を作ろうとした・・・」

 

読み出したら愛も笑いも、ついでにオナラも止まらない面白さ。

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【あらすじ】

小学5年生の小松救太郎は、ぬきうちテストの最中にオナラをもらし、クラス中からいじめられる。じつはそのオナラの真犯人は隣の席の水城ユリカ。彼は憧れの女の子の失敗をかばっていたのだ。しかし、ユリカはお礼を言うどころか、よけいなおせっかいだと救太郎をきびしく攻める。

その日、家に帰った救太郎は奇妙な白昼夢を見る。そこに登場するのは、26世紀から来た、オナラで音楽を奏でるプータローというキテレツな男。この男の話によると、500年後の世界では人間はオナラをしない生き物に進化しており、そのせいでストレスがたまり、心の病が蔓延しているという。そして救太郎こそが、失われたオナラを取り戻すための救世主であり、ユリカとラブラブになることで人類がオナラを取り戻し、不幸な歴史をやり直せると伝える。

救太郎は、潔癖症でオナラを軽蔑するステージママである母親のプレッシャーにユリカが苦しんでいること、また、人類からオナラを奪おうとする謎のヘビ魔女が彼女に取りついていることを知る。

ヘビ魔女との対決や、秘密警察から逃走するプータローとの交信を通じて、ついに自分の力で未来を変えることを決意する救太郎。

その方法はユリカのオナラをかばった日にタイムスリップして戻り、二人のよじれてしまった関係を修復するということだった。

はたして彼はユリカの気持ちを変え、オナラを失った未来の人類を救うことができるのだろうか?

 

 


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ロボットとの対話は、より純粋なコミュニケーション?

 

いずれロボットと対話してみたいと思っている。

 

大阪大学・石黒浩教授が主催する

「JST ERATO 石黒共生ヒューマンロボットインタラクションプロジェクト」の

シンポジウムが8月6日にオンラインで開催された。

 

人間と親しく対話することができる自律型ロボット。

その実現は着々と進んでいる。

 

大人になった綾波レイを思わせる顔のERICAが

対話している様子を見ていると、

面接、インタビー、カウンセリングなどで

ロボットが活躍する時代がすぐそこに来ているようだ。

 

人間が相手から嘘やごまかしを言えても、

ロボットには言えるだろうか?

 

もしかしたらロボットの目に見つめらたほうが

純粋に自分の内面をさらけ出せるかもしれない。

 

さて、あなたはロボットと対話したいと思うだろうか?

 

 

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父のメガネを借りて終戦を見る

 

お盆。終戦記念日。

とりあえず、父の話の最終回。

 

5月14日の菜穂や大空襲の日、ほんの僅かなすれ違いのお陰で、

戦時を無傷で潜り抜けることの出来た16歳の父。

 

彼がその後、どのような思いで3か月後に終戦を迎えたのか、

そして復興期を過ごしたのかは生前、

殆ど聞くことが出来なかった。

 

今だったら食いついてでも聞き出すのに・・・

と歯噛みする思いだが、後の祭りである。

 

身内から話を聞くのは意外と難しい。

いつまでもあると思うな、親とカネ。

いつでも聞けると思うな、親のものがたり、である。

 

幸い、家族で戦死した者・被災して命を落とした者はいない。

そのせいか、ひどく戦争を憎んでいたわけでもないようだ。

 

終戦は父を大人にした。

当時の16歳は、現代のように「まだ子ども」では済まされない。

若い世代の男が少なくなっていたから、

早く大人にならなくてはならなかった。

 

それに明日の見えない焼け野原の中では、

子ども時代の感傷などに浸っていたら飢え死にしてしまう。

今日の食い扶持を確保し、

とにかく一日一日生き延びなくてはならない。

そんな戦時以上に過酷な季節を迎えた時の思いは

どんなものだったのだろうか。

 

僕が子どもの頃、家の中には

やたら戦争に関する書物や写真集などがあった。

また、テレビで戦記映画などをやっていると

父は熱心に、ときに食い入るように見ていた。

 

おそらく自分の子ども時代をほぼ全編にわたって

覆いつくした戦争という災厄から、

終生離れられなかったのだろう。

 

それは一つの原風景として、

ずっと心の中に宿り続けていたに違いない。

だから、あの戦争についてもっと知りたいという

欲求に駆られるのは当然のことなのかも知れない。

 

父にメガネを借りて終戦の日を見ると、

いつもと違う日本が見えてくる。

 

75年たってすっかり変わったと思っていたこの国も、

根っこのところでは、

ちっとも変わっていないものがたくさんあるように思える。

 

 

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名古屋大空襲:金のしゃちほこも燃えてまったがや

 

お盆なので亡父をしのぶ思い出話。

第3回は名古屋大空襲についての記録を少し書いておこうと思う。

 

昭和初期から名古屋は東京、大阪に次ぐ日本で三番目に人口の多い大都市であり、工場もたくさんあった。いわゆる中京工業地帯の中心地である。そしてこの時代、多くが軍需工場として稼動していた。

 

中でも地元でよく知られているのが現在、名古屋ドームがある北区の大曽根近辺で、ここは軍用飛行機の発動機(エンジン)や部品を作っていた日本最大級の飛行機工場があった。父が勤めていた工場は、そこから数キロ離れた西区の浄心町近辺にあり、これまたかなり大きな規模だったようだ。

 

こうした軍需施設は当然、米軍の爆撃目標となる。「空襲」と言えば、一般的には昭和20年(1945年)3月10日、一夜で9万人を超える人が死んだと言われる東京大空襲が有名だが、黒い猛禽B29は、もちろん東京だけでなく、日本全国の都市に繰り返し飛来し、焼夷弾や爆弾を雨あられのように浴びせかけた。

 

話を名古屋に限って言えば、昭和17年から何度か小規模なものがあったようだが、本格化したのは昭和19年(1944年)12月から。以降、翌年の終戦の前まで大規模な空襲が執拗に繰り返された。

 

記録によると特に激しかったのは、東京大空襲の2日後の3月12日、同・19日、5月14日、「熱田大空襲」と呼ばれる6月9日の4回。これらの空襲によって軍需工場はもとより、民家も含めた市街地はほぼ丸焼けの状態となり、街のシンボルである名古屋城も焼失した。

 

軍需工場で働いていたのは女性も含め、10代の若者が圧倒的に多く、学徒も相当数含まれていたという。

当然被害者もそういう若い人たちが主だった。

東京大空襲や広島・長崎の原爆投下時と同じような惨劇の舞台が、75年という年月の間に再構築されたこの街の下に眠っているのだ。

 

 

 

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父の話:ラッパ要員を兼ねて軍需工場に就職

 

昨日の続き。お盆なので父をしのぶパート2。

 

父が生まれた昭和3年には、のちにB29を日本の空に送り込む米国から

世界的アイドル・ミッキーマウスが生まれ、

そのアニメ映画第1号「蒸気船ウィリー」が公開された。

 

この年の東京市の死亡者は3万人弱だが、そのうちの約3分の1である1万人強が0歳から5歳までの乳幼児とのことだ。当時の子どもの死亡率がいかに高かったか分かる。 

 

父は戸籍上は次男だが、兄が幼くして病気で亡くなってしまったため、事実上の長男として成長した。

姉が2人、弟が3人、妹が1人。この時代には珍しくない〈貧乏人の子だくさん〉で、ごく当たり前のように生活は苦しかった。

 

学校では一番上の姉と並んでかなりの優等生だったそうで、読書好きなことでも知られていた。

しかし、食べることに精一杯だった家には本など買うお金はなく、専ら新聞小説を何度も繰り返し読んでいたという。

家計を助けるため、いろいろ内職(今で言うアルバイト)もやっていたようで、雇い主のおとなからよく「一銭を笑う者は一銭に泣く」という教訓(?)を聞かされた、と話していた。昭和前期のつましい庶民の暮らしが垣間見えるようである。

 

成績がいいので、今どきの親なら「ぜがひでも上のいい学校へ」「お金がなければ奨学金制度を使ってでも」となるところだが、この時代はそんな常識などなく、最初から諦めモード。

生前聞き損ねてしまったので、本人が上の学校、つまり今で言う高校・大学に行きたいと思っていたかどうかは不明だ。

 

そういうわけで尋常高等小学校を卒業後は素直に就職。

昭和18年。時代が戦争一色に染まっていたこともあり、

父は件の軍需工場の工員となった。

 

その際のエピソードが面白い。

単に就職するだけでなく、その会社の吹奏楽団に入ってほしい、と要望されたというのだ。しかも、パレードの先頭でラッパ(トランペットか?)を吹くことを要請されたらしい。軍需に関わる会社として士気を上げるため、独自に楽隊を組織していたというのも興味深いことだが、それ以上に父が音楽活動をしていたというのは意外だった。

 

生前、父が楽器を演奏する様子など見たことがない。

また、そんなイメージなどかけらも見受けられなかった。

おそらく、ちょっとラッパが吹ける程度だったのだろう。

それでも「楽団の先頭に」という要請があったのは、

新卒の中でも優等生として信頼されていたからなのかもしれない。

 

 

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大空襲をすり抜けた父は「生きてるだけでOK」

 

お盆なので亡くなった父を偲ぶ。

 

生前、父は10代の頃のことをよく話していた、

昭和3年生まれの父の10代は戦争とまるかぶりである。

兵役には行かなかったが、名古屋の軍需工場で働いていた。

 

名古屋の軍需工場は昼となく夜となく

大回転で機械を動かしていたが、

昭和19年頃から米軍の空襲が頻繁になり、

警報が発令されるたびに

稼動を止めざるを得なくなっていたようだ。

 

その日も夜十時過ぎ、警報が発令され、

従業員たちは決められた避難所に退避。

しばらくして解かれたが、父は避難中、

うたた寝をしていたため、

ひとり工場に戻るのが遅れてしまった。

 

まだ眠気が残り、身体もだるい。

そこに班長から怒られるだろうなぁ、という心配が加わり、

足取りはますます重くなった。

 

と、その時。

 

ゴオォォォォ……

足が止まった。

まさか。

空襲警報はついさっき解除されたはずなのに……

けれでも、あれは恐怖の感情とともに

耳に焼きついているエンジンの轟音。

漆黒の空を疾駆する猛禽B29のうなり声だ。

 

 

父は直感的に覚ったという。

これ以上あそこに近づいては危ないと。

そして、すぐに離れなくてはいけないと。

ほんの20メートルほど先に見える工場の建物にくるりと背を向け、

いま来たばかりの道を走り出した。

 

そのわずか数秒後。

ヒュルルルル・・・と中空に轟く、

間の抜けたような、尾を引く音。

その瞬間、背中が凍りつくような感触にとらわれた。

 

爆発音が鳴り響く。

振り返ると、工場は生まれてこれまで見たこともない、

巨大な炎に包まれていた。

 

父はそこでまた立ち止まり、呆然とその光景を目にしたという。

炎の中で幾つかの身もだえする人影が見える。

彼の同僚なのか、それとも上司なのか……

目を背けたいのに、そこから視線を離すことが出来ない。

何かが頭を押さえつけ、その惨劇を見続けることを強要していた。

そして、今そこにある事実を記憶に焼き付けるように命じていた。

あと1分か2分、早く到着していれば自分もあの中にいたことを。

 

同じ時間、そこから5キロも離れていない場所で

名古屋城も燃え上がっていた。

天守閣の頂に輝く金の鯱が炎に包まれて咆哮していた。

昭和20年5月14日。名古屋大空襲。

軍需工場の工員だった父はこのとき16歳だった。

 

彼が居眠りしていなければ、

頑張って遅れないよう職場に戻っていれば、

自分の直感を信じていなければ、

僕もこの世に生まれていなかっただろう。

 

ちょっとしたタイミングで人間の運命は変わってしまう。

 

基本的にはまじめな優等生で、

仕事でもそこそこ成功した人だったが、

いつもジョークっぽい生き方を愛し、

あまりまじめになりすぎないようにしていたフシがある。

それは「生きてるだけでOK」と思えるような

原体験があったからかもしれない。

 

 

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夏祭の女の子と大きな梨

 

お盆のお供えの梨。

梨と言うと、子どもの頃のカミさんの顔が思い浮かぶ。

 

といっても幼なじみじゃない。

カミさんと出会ったのは30を過ぎてからだ。

 

わりとよく自分の子どもの頃は

ああだった、こうだったという話をするので、

まったく知らない子ども時代の彼女の映像が

自然と焼き付けられた。

 

その一つに夏祭で山車を引いたご褒美(お土産)に

自分の顔と同じくらいの

でっかい梨をもらって大喜びをした、

というエピソードがある。

 

夕暮れの神社から家に向かって

汗まみれで飛び上がって嬉しがって、

大玉の梨を両手で抱えて走っていく

かわいい女の子の姿が浮かぶ。

 

娘はいないけど、なんだか娘の少女時代を

思い出しているお父ちゃんみたいな気分になる。

 

カミさんに限らず、その人の子ども時代の顔を想像するのが

僕の得意技なのだ。

ほとんど何の役にたたないんだけどね。

 

 

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夏の魔法のネコ時間

 

猛暑日でもわりと涼しい。

たぶん都心のコンクリ・アスファルトだらけのエリアより

2~3度は低いのではないだろうか。

 

なので朝や夕方は義母を連れて散歩する。

夕方は夕涼み中のネコと出くわす。

 

特にこのクロネコは頭の上を飛来するカラスにも、

散歩中のイヌにも、

わいわい寄ってくる人間にも、

まったく動じることなく、

いつも道の真ん中でゴロゴロして

自由気ままに真夏の夕べを満喫している。

 

僕はいつも彼(彼女かもしれない)を

ソーシャルディスタンスを保ってフォローし、

写真を撮らせてもらう。

おかげでスマホの中はクロネコだらけだ。

 

僕の友だちはクロネコだが、

義母の友だちは、この周辺の野良猫たちを

手なづけているネコ使いのばあさんだ。

 

ここんとこ毎日のように会うので、

すっかり顔なじみになって井戸端会議を始める。

はたで見ていても何の違和感もない。

 

ネコ使いのばあさんは、うちの義母が認知症だとは

夢にも思わないだろう。

 

午後6時の♪夕焼け小焼けの歌が流れると、

家路に向かう(といってもここから5分くらいだ)

 

家に帰って夕食時、「きょうもクロネコちゃんと

ネコ使いのばあさんに会えて楽しかったね」と話すと、

「え、ネコ? 何のこと?」と、と、なんにも憶えていない。

夢でも見たんじゃないの?って顔をされてしまう。

 

けれども翌日、あの道を通れば

「ああ、昨日はどうも。また今日も会いましたね」と

記憶がつながるのだろう。

 

けっこう奇妙な日々を送っているような気がするが、

まぁ、今日も無事に楽しく生きられました、ということで合掌。

 

 

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「ピノキオボーイのダンス」盆休み無料キャンペーン

 

おりべまことAmazon Kindle電子書籍

「ピノキオボーイのダンス」

8月8日(土)16:00から10日(月)15:59まで

2日間限定無料キャンペーン。

「おとなも楽しい少年少女小説」この機会にぜひ!

 

 

【あらすじ】

21世紀からそう遠くない未来社会。

人間は労働力のみならず、エンターテインメントや精神面のケアなど、暮らしのあらゆる分野でロボットの力に頼って人生を送っていた。子どもや恋人を貸し出すレンタルロボットビジネスも盛んだ。

 

12歳の少年の姿をしたロボットもいろいろな人間のためにレンタルされて働いてきたが、酷い虐待を受けて故障し、喋ることができなくなっていた。

 

廃棄処分にされることを怖れて逃げ出した少年ロボットは旅の末、街の広場で年老いたダンサーと出会う。彼を〈かけがえのない友だち〉と呼ぶダンサーと一緒に暮らし始め、ダンスを学んだロボットは、踊ることで自己や世界を表現する喜びを発見し、過去の傷を癒していく。

その特異な才能に気付いたダンサーは「こころの医師」になることを薦め、彼を下町の小さな劇場の舞台に立たせる。

 

病み荒んだ観客たちに交じって、その劇場にやってきたのは、美しい若い女のレンタルロボット。彼女との出会いによって、神業的なスピリットダンスとして昇華した少年ロボットの演技はたちまち評判となり、大劇場の興行に招聘されるようになる。

しかし、師匠のダンサーは「自分のすべきことを見失わないように」と言い残し、彼のもとを去っていく。同じ頃、戦争が勃発し、世界は瞬く間に戦火に包み込まれた。

争を厭う人々は、スターになったロボットのダンスに希望と癒しと救済を見出そうとするが・・・。人間とロボットとの間で明滅する光と闇を描くSF長編ファンタジー小説。

 

もくじ】

1  世界が機械仕掛けになる、ほんのちょっと前の話

2  電子頭脳は少しずつ動いていた

3  古い感情のデータがどっとあふれ出す

4   すべてを思い出した

5  子どもの頃、ぼくたちは友だちだった

6  人間はどうして自分たちに似せてロボットをつくったのか?

7  心にささやかな奇跡を起こせるかもしれない

8  ぼくたちのダンスは医術だ

9  人間の女はめんどくさい

10  折りたたまれていた白い翼がみるみるうちに伸びて広がった

11   その営みが始まった

12  いわれなき妬みや嫉みや憎しみも引き受けなくてはならない

13  幸福になったということだろうか?

14  新しい夢を探しに行くときが来た

15   脊椎動物の最高進化形になる

16   自分がやるべきことを見失わないように

17   血も涙も一滴も流されない

18  あなたはどこから来たの?

19   とても小さな素粒子のような種

20  造物主の意志だろうか?

21   生きるの死ぬのとジタバタしたいだけなんだ

22  こんなとき人間はどんな顔をするのだろう?

23   人を殺さない戦争は今だかつてない

24  アウ

25  くちびるだけを動かして堕天使はもう一度つぶやいた

26  でも行かなくてはならない

27  自分を守らなくてはならない

28  それは最後のダンスだった

29  記憶は失くしても身体は覚えていた

30  誰にも気づかれないようにひっそりとうめく

31   ただひたすら破壊と殺戮を繰り返すだけの機械だ

32   あなたといっしょに踊れるかもしれないという夢があるから

33   もうここにはいられないよ

34   そのための長い長い冒険がいま始まった

 

 

●アクセス 

https://www.amazon.co.jp/ から

コードナンバー「ASIN: B08F1ZFLQ6」、 

または著者名「おりべまこと」、

または書籍名「ピノキオボーイのダンス」を入れてアクセス。

 

●Kindle無料アプリをインストールすれば、

今すぐスマホやタブレットで読める!

https://www.amazon.co.jp/gp/digital/fiona/kcp-landing-page

 

●1ヶ月¥980でどんな本も読み放題の

「Kindle unlimited」も利用できる!

https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/hz/subscribe/ku?shoppingPortalEnabled=true&shoppingPortalEnabled=true

 


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ファットマンを地球最後の核兵器にするために

 

長崎に落とされた原爆「ファットマン」は、

今日まで「地球最後の(実戦で使われた)核兵器」とされている。

 

永遠にそうあり続けるよう願うが、

核兵器の開発は終わっていない。

 

75年前、アメリカが示した手本通りに、

それは相手を威嚇する脅しの道具として機能している。

 

そして、75年経った今でも

「強い国」「豊かな国」「進んだ国」の象徴であり続けている。

「我が国は核兵器を持っている」ということに

希望と誇りを感じる人が世界中に大勢いるのだ。

 

アメリカが世界に、未来にバラまいたウイルスは、

いまだに多くの国の子どもや孫やひ孫らの脳を侵し続けている。

 

核兵器の所有は罪悪であり、恥辱である――

そう思える子どもたちを増やすこと。

これからやるべきことは、それ以外には考えられない。

 


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「ピノキオボーイのダンス」真夏の無料キャンペーン2020

 

おりべまことAmazon Kindle電子書籍

「ピノキオボーイのダンス」

 

8月8日(土)16:00から10日(月)15:59まで

2日間限定無料キャンペーン。

「おとなも楽しい少年少女小説」この機会にぜひ!

 

 

【あらすじ】

21世紀からそう遠くない未来社会。

 

人間は労働力のみならず、エンターテインメントや精神面のケアなど、暮らしのあらゆる分野でロボットの力に頼って人生を送っていた。子どもや恋人を貸し出すレンタルロボットビジネスも盛んだ。

12歳の少年の姿をしたロボットもいろいろな人間のためにレンタルされて働いてきたが、酷い虐待を受けて故障し、喋ることができなくなっていた。

 

廃棄処分にされることを怖れて逃げ出した少年ロボットは旅の末、街の広場で年老いたダンサーと出会う。彼を〈かけがえのない友だち〉と呼ぶダンサーと一緒に暮らし始め、ダンスを学んだロボットは、踊ることで自己や世界を表現する喜びを発見し、過去の傷を癒していく。

 

その特異な才能に気付いたダンサーは「こころの医師」になることを薦め、彼を下町の小さな劇場の舞台に立たせる。

病み荒んだ観客たちに交じって、その劇場にやってきたのは、美しい若い女のレンタルロボット。彼女との出会いによって、神業的なスピリットダンスとして昇華した少年ロボットの演技はたちまち評判となり、大劇場の興行に招聘されるようになる。

 

しかし、師匠のダンサーは「自分のすべきことを見失わないように」と言い残し、彼のもとを去っていく。同じ頃、戦争が勃発し、世界は瞬く間に戦火に包み込まれた。

争を厭う人々は、スターになったロボットのダンスに希望と癒しと救済を見出そうとするが・・・。人間とロボットとの間で明滅する光と闇を描くSF長編ファンタジー小説。

 

 

【もくじ】

1  世界が機械仕掛けになる、ほんのちょっと前の話

2  電子頭脳は少しずつ動いていた

3  古い感情のデータがどっとあふれ出す

4   すべてを思い出した

5  子どもの頃、ぼくたちは友だちだった

6  人間はどうして自分たちに似せてロボットをつくったのか?

7  心にささやかな奇跡を起こせるかもしれない

8  ぼくたちのダンスは医術だ

9  人間の女はめんどくさい

10  折りたたまれていた白い翼がみるみるうちに伸びて広がった

11   その営みが始まった

12  いわれなき妬みや嫉みや憎しみも引き受けなくてはならない

13  幸福になったということだろうか?

14  新しい夢を探しに行くときが来た

15   脊椎動物の最高進化形になる

16   自分がやるべきことを見失わないように

17   血も涙も一滴も流されない

18  あなたはどこから来たの?

19   とても小さな素粒子のような種

20  造物主の意志だろうか?

21   生きるの死ぬのとジタバタしたいだけなんだ

22  こんなとき人間はどんな顔をするのだろう?

23   人を殺さない戦争は今だかつてない

24  アウ

25  くちびるだけを動かして堕天使はもう一度つぶやいた

26  でも行かなくてはならない

27  自分を守らなくてはならない

28  それは最後のダンスだった

29  記憶は失くしても身体は覚えていた

30  誰にも気づかれないようにひっそりとうめく

31   ただひたすら破壊と殺戮を繰り返すだけの機械だ

32   あなたといっしょに踊れるかもしれないという夢があるから

33   もうここにはいられないよ

34   そのための長い長い冒険がいま始まった

 

 

●アクセス 

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または著者名「おりべまこと」、

または書籍名「ピノキオボーイのダンス」を入れてアクセス。

 

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SF長編小説 「ピノキオボーイのダンス」真夏の無料キャンペーン

 

8月8日(土)16:00から 10日(月)15:59まで

2日間限定無料キャンペーン。

約80,000字の「おとなも楽しい少年少女小説」。

 この機会にぜひ!

 

あらすじ】

21世紀からそう遠くない未来社会。

人間は労働力のみならず、エンターテインメントや精神面のケアなど、暮らしのあらゆる分野でロボットの力に頼って人生を送っていた。子どもや恋人を貸し出すレンタルロボットビジネスも盛んだ。

 

12歳の少年の姿をしたロボットもいろいろな人間のためにレンタルされて働いてきたが、酷い虐待を受けて故障し、喋ることができなくなっていた。

 

廃棄処分にされることを怖れて逃げ出した少年ロボットは旅の末、街の広場で年老いたダンサーと出会う。彼を〈かけがえのない友だち〉と呼ぶダンサーと一緒に暮らし始め、ダンスを学んだロボットは、踊ることで自己や世界を表現する喜びを発見し、過去の傷を癒していく。

 

その特異な才能に気付いたダンサーは「こころの医師」になることを薦め、彼を下町の小さな劇場の舞台に立たせる。

病み荒んだ観客たちに交じって、その劇場にやってきたのは、美しい若い女のレンタルロボット。彼女との出会いによって、神業的なスピリットダンスとして昇華した少年ロボットの演技はたちまち評判となり、大劇場の興行に招聘されるようになる。

 

しかし、師匠のダンサーは「自分のすべきことを見失わないように」と言い残し、彼のもとを去っていく。同じ頃、戦争が勃発し、世界は瞬く間に戦火に包み込まれた。

争を厭う人々は、スターになったロボットのダンスに希望と癒しと救済を見出そうとするが・・・。人間とロボットとの間で明滅する光と闇を描くSF長編ファンタジー小説。

 

 

【もくじ】

1  世界が機械仕掛けになる、ほんのちょっと前の話

2  電子頭脳は少しずつ動いていた

3  古い感情のデータがどっとあふれ出す

4   すべてを思い出した

5  子どもの頃、ぼくたちは友だちだった

6  人間はどうして自分たちに似せてロボットをつくったのか?

7  心にささやかな奇跡を起こせるかもしれない

8  ぼくたちのダンスは医術だ

9  人間の女はめんどくさい

10  折りたたまれていた白い翼がみるみるうちに伸びて広がった

11   その営みが始まった

12  いわれなき妬みや嫉みや憎しみも引き受けなくてはならない

13  幸福になったということだろうか?

14  新しい夢を探しに行くときが来た

15   脊椎動物の最高進化形になる

16   自分がやるべきことを見失わないように

17   血も涙も一滴も流されない

18  あなたはどこから来たの?

19   とても小さな素粒子のような種

20  造物主の意志だろうか?

21   生きるの死ぬのとジタバタしたいだけなんだ

22  こんなとき人間はどんな顔をするのだろう?

23   人を殺さない戦争は今だかつてない

24  アウ

25  くちびるだけを動かして堕天使はもう一度つぶやいた

26  でも行かなくてはならない

27  自分を守らなくてはならない

28  それは最後のダンスだった

29  記憶は失くしても身体は覚えていた

30  誰にも気づかれないようにひっそりとうめく

31   ただひたすら破壊と殺戮を繰り返すだけの機械だ

32   あなたといっしょに踊れるかもしれないという夢があるから

33   もうここにはいられないよ

34   そのための長い長い冒険がいま始まった

 

 

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コードナンバー「ASIN: B08F1ZFLQ6」、 

または著者名「おりべまこと」、

または書籍名「ピノキオボーイのダンス」を入れてアクセス。

 

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