週末の懐メロ⑲:マーチ・オブ・ザ・ブラッククイーン/クイーン

 

僕にとってクイーンの最高傑作アルバムは間違いなく

1973年リリースの「クイーンⅡ」である。

「マーチ・オブ・ザ・ブラッククイーン」は

その劇的な構成美のクライマックスを飾る

クイーン・オブ・クイーンズとでも呼びたくなる曲だ。

 

デビューアルバムは大半が前身のバンド・

スマイル時代にやっていた曲か、

それを焼き直したものだったので、

「Ⅱ」が本格的なクイーンのスタート、

そして、フレディ・マーキュリーの才能が

爆発した作品でもある。

 

このアルバムは光と闇の世界の対比を描いた

コンセプトアルバムになっており、

アナログ盤ではA面がホワイトサイド、

B面がブラックサイドになっている。

 

英国のダークファンタジーに素材を取ったブラックサイドでは、

悪鬼や妖精が跳梁跋扈する曲がメドレーでつながっている。

4曲目に登場する「マーチ・オブ・ザ・ブラッククイーン」は

その世界観を集約した最高の聞かせどころだ。

 

スリリングな曲展開とドラマチックな構成は、

当初、ツェッペリンのパクリだの、

イエスの物まねなどと、

イギリスの音楽評論家にけなされていたが、

日本のファン(評論家ではない)は、

この頃からすでにクイーンの音楽を高く評価していた。

 

おそらく今でも日本では、世界的なバンドになった後期よりも

この時代の“ブリティッシュ・クイーン”のほうが

人気が高いのでがないかと思う。

 

2018年の映画「ボヘミアン・ラプソディ」では開始早々、

フレディ・マーキュリーが

ブライアン・メイとロジャー・テイラーのバンド

「スマイル」に出逢い、

脱退したヴォーカリストに替わってメンバーになる。

 

その後、バンド名を「クイーン」にして

ライブハウスに登場するのだが、

そこで「炎のロックンロール」を勝手に歌詞を替えて

歌ってしまうシーンが最高に面白かった。

 

そのシーン、その歌詞は、映画のテーマでもある

彼の生き方・不安定なアイデンティティの問題にも

関わっている。

 

映画自体は人間の掘り下げが非常に甘く、

むかし音楽雑誌で読んだクイーンのエピソードを

つぎはぎしただけのストーリーで

まったくの期待外れだった。

 

ただ、マーキュリーが抱えていた問題は伝わった。

 

イギリスという国でマイノリティとして生きる

自分とはいったい何者なのか?

 

このブラッククイーンにはマーキュリー自身が投影されている。

彼は自分が何者なのかを知るために、

英国の闇の女王・ブラッククイーンとなって

自分の心の中にある闇の部分を

洗いざらい表出しようとしたのだ。

 

楽曲の美しさ・カッコよさもさることながら、

そうした視点から聴いても面白いのではないかと思う。

 

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223実験未来都市「ウーブン・シティ」の日本情緒

 

昨日-ー2月23日、富士山を望む静岡県裾野市に

トヨタの実験未来都市「ウーブン・シティ」の建設が

いよいよ始まった。

2020年末に閉鎖したトヨタ自動車東日本の

東富士工場(静岡県裾野市)の跡地がその場所。

 

パナソニックと組んで

「脱・20世紀型自動車メーカー」を進める

トヨタの未来構想は壮大。

 

テクノロジーを駆使して、

地球環境と今後の人間の暮らしに配慮した

まちづくりは世界の注目を浴びるだろう。

 

一応、4年後の2025年に完成させ、

子育て世代や高齢者、「発明家」が実際に暮らしてみて、

問題点を吸い上げ、どんどんアップデートしていくという。

 

「20世紀脳」はこうした未来都市に憧れを抱く一方で、

AI・ロボットに管理されるシステムに怖れと嫌悪を感じていた。

 

僕も10年前だったら拒否反応のほうが強かったかも知れない。

けど、このニュースを見て思うのは、

これから先、高齢化したとき、

何年でもいいからこうしたウーブン・シティみたいな街に

住んでみたいということ。

やっぱ、ここまで来たら「未来を見て死にたい」

ということだろうか。

 

それにしてもこのウーブン・シティ、

霊峰・富士のお膝元というだけでなく、

わざわざ富士山のごろ合わせのである

223(ふ・じ・さん)の日に鍬入れをして縁起を担ぎ、

ちゃんと地鎮祭を行って神様に祈願する、といったところは、

いかにも日本らしくて思わす笑みが漏れる。

 

あんまりクール過ぎず、エッジを立たせず、

まぁるくほっこり、あったかさを感じる未来であることは

喜ばしい。

 

 

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再評価してほしいドラマ「わたしを離さないで」

 

昨日はAmazon Primeで5年前にTBSで放送されたドラマ

「わたしを離さないで」にはまり、

午後から深夜までかけて10話イッキ観してしまった。

 

原作はノーベル賞作家・カズオ・イシグロの同名小説。

ドラマは原作の文学性をきちんと踏まえつつ、

後半は独自のドラマチックな展開も作っていて

ものすごく高質なドラマに仕上がっている。

 

3人の男女の過酷な運命の果て、

綾瀬はるか演じる主人公が海から戻ってくる

ラストシーンは、最近観た映画やドラマの中でも

最も美しいラストだった。

 

水川あさみがタイトルの言葉を叫ぶシーンも

脳裏に貼りついたまま、引き剥がせない。

 

ストーリーの骨格となる

臓器移植とかクローン人間という題材は

平和な日常生活からはかけ離れたもの。

自分も含めて当事者にならなければ目を瞑りたいものだが、

この物語の本当のテーマは、そことは違ったところにある。

 

人間は自分の運命とどう向き合い、

どう生きていけばいいのか。

 

社会に自分の何かを提供し、貢献することと

自分の幸福を追求することとを

どう両立させればいいのか。

 

そのうえで愛や友情やどう育て、

人間同士の絆を作っていけばいいのか。

 

そうしたことを問いかけ、心の深部に響いてきて、

見終わった後もなかなか日常に戻れなくなるくらいの

インパクトがあった。

 

ただ、明るく描きようがない題材なだけに、

(美しいけれども)暗く重いトーンが敬遠されたのか、

放送当時の視聴率は相当ひどかったようである。

 

確かに仕事や家事や子育てで疲れて

1日終えた心身で観るには

ちょっとヘヴィすぎるのかもしれない。

 

けれども今はAmazon Primなどの

動画配信が充実しており、

ほぼ無料に近い低料金で楽しめる。

その意味ではとても恵まれた時代になっている。

 

視聴率だけがすべてではない。

放送当時の人気は芳しくなくても、

面白い作品、優れた内容の作品、

そしてそのとき限りでなく、

この先も永い生命力を持ち得るであろう作品を

自分が好きな時間・好きな場所で

くり返し何度でも楽しむことができるのは嬉しい限り。

 

これからは作り手も視聴率ありきでなく、

そうした意識を持って制作するべきだろう。

 

「わたしを離さないで」は

脚本・演出・俳優、どれも高いレベルにあって

原作への愛とリスペクト、

ドラマ作りに対するチャレンジ精神と誇りと良心を感じさせる。

ぜひ再評価されてほしいと願っている。

 

それにしても主演のひとり、三浦春馬は、

生命の価値を問いかける、

こんな素晴らしい作品で好演しながら、

どうしてあの若さで自殺などしてしまったのか。

今さらながら、とてもとても残念でならない。

 

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2021年=令和3年=昭和96年になった今でも、僕たちは昭和の物語から離れられない。

海を埋めたて、山を切り開き、明日へ向かって進んだ果てに見つけたものは何だったのか?

みんなが愛して憎んで生きた時代を1960(昭和35)年生まれの著者が探検する面白まじめエッセイ集。ブログ「DAIHON屋のネタ帳」から30篇を厳選・リライト。

 もくじ

・西城秀樹さんのお葬式:青春の同窓会

・ちびまる子ちゃんとサザエさんはいつまで続くのか?

・昭和オカルト大百科

・新聞少年絶滅?物語

・死者との対話:父の昭和物語

・社会全体の児童虐待と「晴れた空」

・東京ブラックホールⅡ:「老いた東京」は美しいか?

・さらばショーケン:カッコ悪いカッコよさを体現した1970年代のヒーロー

・さらば平成――みんなが昭和に帰りたがった30年

・永遠の昭和 明日のための1960年代・70年代   ほか

 

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週末の懐メロ⑱:トムズ・ダイナー/スザンヌ・ヴェガ

 

静寂の中に響くクールな歌声と呼吸。

きっとどこかで楽器が入ってくるのだろうと思っていたら、

耳に届くのは最後までそのまま彼女の声と呼吸だけだった。

 

描かれるのは、ニューヨークの雨の朝。

トムの店でコーヒーを飲んでいた主人公は、

むかしむかし――雨が降り出す前の、

真夜中のピクニックのことを思い出し、

コーヒーを飲み干して電車に乗るために立ち上がる。

 

2分ちょっとの短い物語が不意に終わったとき、

背中がぞくぞくっとしたのを思い出す。

 

スザンヌ・ヴェガ、1984年の傑作アルバム

「孤独(ひとり)」の冒頭を飾る鮮烈なアカペラ。

 

都会の片隅の、奇妙に居心地よい孤独。

思い思いに生きる人たちの

それぞれの呼吸が聞こえてくる。

 

世間はとやかく言うけど、

ひとりぼっちもそう悪いものじゃない。

 

いくつになっても孤独な姿でステージに立つヴェガの

優しいメッセージが、

この曲に込められているような気がする。

 

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もくじ

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昭和プロレタリアートの「出会いそして旅立ち」

 

「行くぜ、小田急で」

「え、オバQ?」

「ちゃうねん。小田急線で小田原まで」

「まあ、わたし、ロマンスカーで箱根まで行きたいわ」

 

20世紀レトロ感の漂うプロレタリアート風の男と女を描いた

巨大壁画レリーフ。

洋画家の宮永岳彦さん(1919~1987)の原画を

基に構成されたという。

この画家は小田急の特急ロマンスカー・SE(3000形)のカラーデザイン、

バーミリオンオレンジに白とグレーの塗装を考案した人でもある。

ロマンスカーの登場は1957年=昭和32年4月のこと。

 

それから62年後の一昨年3月末、小田急線の複々線化完成を記念して

下北沢の小田急線・井の頭線連絡通路に作られた。

 

久しぶりのリアル取材で小田原へ行ったのだが、

乗り換えで下北沢を利用したので

2年たって初めて気が付いたというわけ。

タイトルは「出会いそして旅立ち」。

 

作業着っぽい服を着た男と、スカーフを被った女の姿は、

何となく1957年=昭和32年当時の映画に出てくる、

ヒーロー・ヒロインを連想させるから?

戦後の復興の時代は

こういう若者たちが労働現場で日本を支えていたのだ。

ちょっとソ連とか、社会主義国っぽい?

 

「ロマンスカーは小田原には停まらないぜ」

「それに特急料金も払えないんでしょ」

「じゃあ小田原に行ったら名物・焼き蒲鉾を買ってやる」

「いや、わたし、箱根の温泉まんじゅうが食べたいの」

 

小田原にも箱根の温泉まんじゅうは売ってます。

はい、おみやげ。

 

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育てよ令和 新しい時代の精神

 

今回、昭和をテーマにしたエッセイ集

「昭和96年の思い出ピクニック」を出したが、

編集・リライトしていて、

昭和が確実に遠ざかりつつあることを感じた。

 

「新しい元号になって3年くらいでその時代のトーンが決まる」

自分でそう書いていたが、

令和3年の今年、早めに昭和エッセイの本を出したのは

そうした思いと関連している。

 

平成時代はまだまだ昭和の影を愛しみ、

引きずりながら日本人は生活していた。

けれども、もうそこから抜け出そうという気配が

社会にひたひたと満ちてきたような気がする。

 

老齢の政治家や社会の上層部の人たちの頭の中は、

昭和前期の「(明治から続く)富国強兵国家思想」

「帝国主義・植民地政策思考」に偏っている。

 

世の中全体からみると、明らかにそれらの考え方が

陳腐化し、力を失っているのがわかる。

「鬼滅の刃」の鬼のように、

日の光に晒されてボロボロになって

消滅していくかのようだ。

 

少しずつではあるが前進している。

ジェンダー問題をはじめ、障がい者や外国人など、

マイノリティの人権に対する意識が遅れている日本だが、

令和のどこか、

たぶんひとケタのうちに必ず劇的に変わると思う。

そして人々のマインドと社会の常識が変わる。

テクノロジーやビジネスの変化よりそちらの方が重要だ。

 

昭和カルチャーは面白く愛おしいが、

それは時々、体を温める焚火とか暖炉とか囲炉のようなものだ。

それらのことをまとめて、また3年ほどしたら

「昭和99年の思い出ピクニック」を出そうかと思っている。

それまでに令和の時代の精神が

大きく成長しているといいなと願う。

 

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誰でも電子書籍で自分の本が出せる

 

こういっちゃ何だけど、

電子書籍では誰でも本が出せる。

極端かも知れないけど、

スマホで撮った写真を適当に数十枚集めて載せて、

「〇〇特選写真集」として出したっていいわけだ。

 

AmazonKindleから内容の質を問われることはない。

問われるのは著作権。

要するに文章にしても写真にしても絵にしても、

どっかからパクってきたものじゃないかどうか。

これはちゃんと審査される。

 

僕のエッセイ集はブログに書いたものを

リライト・編集して出している。

 

ネット上でいったん公開したものなので、

昨年はアップしてから必ず一日、審査期間があり、

僕が本の著者と同一人物かどうか証明せよという

メールが来ていた。

 

それでブログのURLと掲載原稿の初出一覧を提出して

本人ですよと証明していたのだが、

今年になってから黙ってパスできるようになった。

 

昨年10冊出したので信用ができたということだろうか。

今回はアップしてから3時間程度で発行になった。

 

売れるか売れないかはともかく、

どんどん自分のコンテンツが増えていくのは

気分がいいものです。

文章でも写真でもイラストでもいいので、

あなたもぜひ自分の本づくりにチャレンジしてみてください。

意外と簡単にできますよ。

 

エッセイ集

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コロナの後遺症に鍼治療の可能性

 

子どもや若者は感染しても

重篤化することは少ないというコロナ。

しかし、やっかいなのが後遺症で

味覚障害・嗅覚障害が起こるということ。

つまり舌や鼻の神経系統がやられるのだが、

これがけっこう多いらしい。

 

鍼灸師をやっているうちのカミさんによると、

もし舌や鼻の末しょう神経の障害ならば、

鍼で治療できる可能性があるという。

 

要するに鍼で刺激を送って血流を良くし、

やられた末しょう神経を再生させるのだ。

ただし、脳内の中枢神経がウイルスにやられていたら、

回復の見込みはほとんどない、とのこと。

 

うちのカミさんは鍼灸師で

小児鍼(子ども用の鍼治療)も

やっているが、現在、お仲間の鍼灸師が

後遺症に悩む子ども(小学生)を診ているという。

 

末しょう神経がやられて起こる味覚障害・嗅覚障害が

放っておいて自然治癒することはあまり期待できない。

そして時間が経てばたつほど、

回復の見込みが少なくなる。

 

コロナとは関係ないが、

10年以上前、僕は一度、突発性難聴という病気になり、

一時的に難聴になったことがある。

 

すぐに耳鼻科で診てもらったが、

それも耳の中の末しょう神経がやられて起こる病気だ。

これも放置してくとそのまま神経が死に絶え、

聴こえづらいままになてしまうと医者に言われた。

 

味覚障害・嗅覚障害も人によって深刻度は違うと思うが、

放っとかず、近所の鍼灸院で相談してみたほうがいい。

 

命に別状ないし、当面、生活に不自由は生じないだろうが、

子どもや若者にとって、

味がわからない、匂いがわからないということは

感性が確実に鈍化するし、

この先長い人生が楽しめない事につながる。

 

いくら勉強や仕事ができても、

生きてて面白くないのではまるで意味がない。

今は大したことと思わなくても、

将来的に恐ろしいダメージになり、

メンタルの健康にも影響を及ぼすかも知れない。

 

もちろん中枢神経の損害と言うこともあり得るので、

確実に治るとは言えないが、

自分の未来のために、治療の努力はしたほうがいい。

 

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おりべまことエッセイ集5タイトルを

10日間連続無料でお届けします。

★15日(月)17:00~17日(水)16:59

ロンドンのハムカツ 

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「食」こそ、すべての文化のみなもと。

その大鍋には経済も産業も、科学も宗教も、

日々の生活も深遠な思想・哲学も、

すべてがスープのように溶け込んでいる。

「食べる」を学び、遊び、語る面白エッセイ集。

ブログから33編を厳選・リライト。

 

もくじ

・お米と田んぼとお母ちゃんのニッポン!

・お米を研ぐ理由と人間の味と匂いの話 

・永遠の現物支給 : 2018年3月15日

・フツーのおにぎりでも日本のコメなら800円!?

・ロンドンのハムカツ

・インヴァネスのベーコンエッグ ほか

 

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トノサマラーメンと名古屋インスタントラーメン戦国史

 

むかし名古屋に「トノサマラーメン」という

インスタントラーメンがあった。

「殿さま」ではなく、

トノサマガエル、トノサマバッタなどと同様、

カタカナであるところに昭和のレトロモダンを感じる。

なんとなく、シン・ゴジラとか、

シン・ウルトラマンと通じるものがある。

 

日本における(=世界における)

インスタントラーメンの歴史は、

1958年(昭和33年)に発売された

日清食品のチキンラーメンから始まるとされている。

このチキンラーメンの大ヒットに追随して、

当時、日本各地でいろいろな

インスタントラーメンが作られ、発売されたらしい。

 

「こりゃうみゃーな」

 

その中でトノサマラーメンは名古屋地域において

まさしく殿様の座を有していた。

名古屋で生まれ育った僕にとって、

インスタントラーメンの原体験は、

チキンラーメンではなく、トノサマラーメンだ。

初めてチキンラーメンを食べた時、

「おっ、トノサマラーメンと同じラーメンだがや」

と思ったような気がする。

 

このトノサマラーメンを作っていたのは、

松永食品という会社だ。

現在、愛知県の春日井市(隣接市で、ほとんどの名古屋人は、名古屋の一部だと思っている)に

「しるこサンド」という、

あんこペーストを挟んだビスケットで有名な

松永製菓というお菓子メーカーがある。

松永食品はそこの同族会社だったらしい。

 

その松永食品の社長の息子が

小学1・2年の時の同級生だった。

特に親しい友だちというわけではなかったが、

出席番号が近く、席が近かったり、

同じ班になることが多かったせいもあって。

「松永くん(下の名前は憶えてない)」のことは、

割と今でもはっきりと思い出せる。

 

満月みたいなまんまるい顔をしていて

おっとりとした喋り方をする。

子ども、それもまだ7、8歳の頃だったのに

なんだかおっさんくさい雰囲気を漂わせていた。

けっこう大柄でクラスの男子で2、3番目に背が高く。

よく紺色のセーターを着ていた。

勉強や運動がどうだったかはさっぱり思い出せない。

 

彼の家、つまり松永食品の本社は

学校のすぐ近く(名古屋市北区)の住宅地にあった。

白っぽい大きな建物――たぶんラーメン工場――

が建ってたのをなんとなく思い出せる。

ただ、子どもの目から見れば“大きな”だったが、

たぶん町工場レベルだったのだろうと思う。

 

トノサマラーメンがどれくらいの期間、

発売されていたのか知らないが、

松永食品は1968(昭和43年)に倒産した――

とネット情報にあった。

1968年は僕が2年生か3年生の時である。

松永くんのことはクラスが分かれて以来、

どうなったのか全然知らない。

あの学校には卒業まではいなかったような気がする。

会社がつぶれておそらく一家で引っ越すことになって

転校したのだろう。

工場もいつなくなったのか憶えてない。

 

今振り返れば、名古屋地域における

松永食品・トノサマラーメンが、その名の通り、

殿様としてナンバーワンの座にいたのは、

明智光秀の三日天下に等しかった。

 

あんなに売れていた(ように思えた)のに、

なぜ潰れてしまったしまったのだろうか?

 

一つの仮説として考えられるのは

「すがきや」の市場進出・攻勢である。

尾張名古屋においてトノサマラーメンを

殿様の座から追い落とし、

インスタントラーメン市場の天下を取ったのは、

全国区のチキンラーメンでもチャルメラでも

出前一丁でもサッポロ一番でもなく、

地元ローカルの「すがきやラーメン」だった。

 

すがきやラーメンの颯爽たる登場は、

まさしく光秀を討った秀吉の中国大返しのごとく

華やかで衝撃的だった。

 

「どえりゃあうみゃー」

 

名古屋人の舌は完全に洗脳ならぬ“洗舌”されたのだ。

このすがきやについてはまた明日。

 

それにしても小学校低学年にして

商売の栄枯盛衰・諸行無常を味わった

松永くんは今ごろどうしているのだろう?

僕は50年以上たっても、

ちゃんと君とトノサマラーメンのことを

憶えてとるでよう。

 

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ロンドンのハムカツ 

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「食」こそ、すべての文化のみなもと。

その大鍋には経済も産業も、科学も宗教も、

日々の生活も深遠な思想・哲学も、

すべてがスープのように溶け込んでいる。

「食べる」を学び、遊び、語る面白エッセイ集。

ブログから33編を厳選・リライト。

 

もくじ

・お米と田んぼとお母ちゃんのニッポン!

・お米を研ぐ理由と人間の味と匂いの話 

・永遠の現物支給 : 2018年3月15日

・フツーのおにぎりでも日本のコメなら800円!?

・ロンドンのハムカツ

・インヴァネスのベーコンエッグ ほか

 

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週末の懐メロ⑰:ジュニアズ・ファーム/ ポール・マッカートニー&ウィングス

 

ジョン・レノンとポール・マッカートニー。

ビートルズ解散後、ソロ活動になった二人の天才。

1970年代当時、自分のバンド・ウィングスを率いて

次々とアルバムをリリースし、

ヒット曲を連発していたマッカートニーは

完全にレノンを凌駕していた――

そんな印象があった。

 

けれども年月が経ち、それぞれの曲を聴いてみると、

「イマジン」「ラブ」「マザー」「マインドゲームス」など、

レノンの遺した曲は数は少ないものの、

永遠の生命力を持ったかのように深く体の芯まで染みてきて、

何度でも繰り返し聴きたくなる。

 

対してマッカートニーの曲、特にバラード系は、

正直、どうも深いところまで響いて来ない。

もちろん美しくて口当たりが良く、親しみやすいのだが、

ビートルズ時代と比べて何かが足りないのだ。

 

ポップミュージック史上最強の作曲コンビ、

レノン・マッカートニーがどういうふうに

ソングライティングしていたのか、詳しいことはわからない。

 

現在ではごく初期の頃を除いて、

ほとんどが共作ではなく、

それぞれの単独曲ということが定説になっている。

けれども彼らの曲作りはそう単純ではなかったと思う。

 

どちらか一方が作った曲だとしても、

スタジオでレコーディングする段階でセッションするうち、

さまざまなインスピレーションがやってきて、

こうしよう、ああしようと二人の間で

丁々発止のやりとりがあって

あの奇跡としか思えないビートルズの楽曲群が

出来上がっていった。

 

マッカートニーの憎いほどツボを心得たメロディーメイキングも、

レノンが一言アドバイスしたり、

プラスアルファのアイディアを付加するなど、

仕上げのスパイスを一振りすることで、

あそこまでの神業になり得たのだろう。

 

ソロのマッカートニーに何が足りないのかと言えば、

レノンの持っていた「思想性」みたいなものだろうか。

音楽の天才職人は、音楽が好きすぎて、

音楽を中心にしてしか世界のことを

考えられなかったのかもしれない。

 

なんだかポール・マッカートニーをディスってしまったが、

彼が今に至るまで超一流のミュージシャンで

あり続けていることは

ほとんど驚異的であり、尊敬すべきことに間違いない。

まさに彼の人生は音楽のためにあった。

 

1974年発表の「ジュニアズ・ファーム」は

生き生きしたロックナンバーで、

ラジオで初めて聴いてしびれた僕は、次の日、

レコード屋にシングル盤を買いに走った。

 

今は亡き奥さんのリンダも参加していたウィングス最盛期の

脂がギンギンのった演奏は

本当に元気でカッコよくて楽しくて、

彼自身もめちゃくちゃエンジョイしているのが伝わってくる。

 

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だれの心のなかにも「子ども」がいる。

自分のなかにいる子どもにアクセスしてみれば、

何が本当に大切なのか、何が必要なのか、

幸せになるために何をすればいいのか、どう生きるのか。

自分にとっての正解がきっとわかる。

〈少年時代の思い出〉×〈子育て体験〉×〈内なる子どもの物語〉で

こね上げた 面白エッセイ集。ブログから40編を厳選・リライト。

もくじ

・大人のなかの子ども、子どもの中のおとな

・ちびちびリンゴとでかでかスイカ  

・天才クラゲ切り:海を駆けるクラゲ 

・子ども時間の深呼吸 

・親子の絆をはぐくむ立ちション教育 ほか

 

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ファミリーストーリー100年史の制作

 

縁あって在日コリアンの方の

ファミリーストーリーを書くことになった。

先祖は100年ほど前、大正時代、鬼滅の刃の時代に

日本へ渡ってきたのだという。

当初は関西のほうにいたというから、

釜山か済州島から船で九州とか大阪に渡航したのだろうか。

 

ご本人は3世で両親からはルーツについて

何も聞かされていない。

唯一、ある程度、事情をご存じだろうという叔父さんが

高齢でご病気でもあるので、今のうちに

子どもたちに伝えるために形にしておきたいということ。

あくまで私家製の本なので、世の中に出回ることはない。

 

その叔父さんが東京近郊におられるので、

来週、取材に行くのだが、

基礎的なことは知っておかなくては、と思って

本やサイトで歴史をいろいろ勉強している。

 

案の定、ネット上では日韓両国の関係にまつわる

さまざまな意見が入れ乱れ、

悪意ある差別的な記事もかなり溢れている。

おそらくこういう記事には一定の需要があるのだろう。

 

1世、2世の方たちは大変な思いをしただろうな、

というのが、まず正直な感想。

 

概して3世以降は比較的、社会情勢が落ち着いた頃に

生まれ育っているので、以前の世代ほど

ひどい差別などは受けていないように思われる。

 

在日の方に限らず、親や祖父母の世代が

子どもに何も伝えてこなかったということは多い。

断片的でもいいから誰か周りの人に取材をして

形にしておくのはいいことだと思う。

 

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ネズミやネコやイヌは夕焼け空に叙情を感じるか?

 

♪夕日が沈むよ ポコ・ア・ポコ

と、トッポジージョがギターを持って歌っていた。

 

トッポジージョは僕が子どもの頃、

テレビで人形劇として放送されており、

終わるときに必ずこの歌が流れるのだ。

 

当時の子ども番組、それも動物が主人公の番組には

似つかわしくないメランコリックなメロデイで

トッポジージョは

ミッキーマウスとかジェリー(トムとジェリー)とは

ひと味ちがう、ちょっと大人っぽいイメージのネズミだった。

 

振り返ってみると、スパゲティ以外では

はじめてのイタリア体験だったかもしれない。

 

人形劇の内容はさっぱり憶えてないが、

僕の中では勝手に海に沈む夕日に向かって

ギターを弾いているトッポジージョの姿が形成されていた。

 

ナポリタンスパゲティのイメージも絡まって、

すっかりナポリのネズミだと思っていた。

 

昭和40年代はスパゲティと言えば一般的には、

赤いウインナーの乗っかったケチャップ和えのナポリタンか、

ミートソース(今でいうならボネーゼ)しかなかったので。

 

でも、つい最近知ったことだが、

トッポジージョはナポリでなく、ミラノのネズミらしい。

 

ちなみに「ポコ・ア・ポコ」というのは

イタリア語で「少しずつ」という意味で、

イタリア料理店、パン屋さん、お菓子屋さんなどの

店名としてよく使われているようだ。

かわいくて憶えやすい語感だからね。

 

トッポジージョは僕の中で、いたずら野郎でなく、

そういうメランコリックなネズミなのだが、

当たり前のことながら、夕空を見て叙情的になるネズミはいない。

基本的に夜行性なので、

夕方になれば活動開始!と思うだけである。

 

いつも散歩する公園では夕刻になると、

僕が「ネコ林」と呼んでいる場所に野良猫たちが集まってくる。

日が暮れる頃になると、ネコ使いのおばさんがやってきて

ごはんをくれるのを知っているからだ。

 

ネズミもネコもイヌも、人間のように夕日を見て

何か物思うことなんてしない。

そもそも彼らは四つ足で地面に近いところで生きているので

空なんて見上げない。

見るとしたら、上空から猛禽類が襲ってくるかも知れない、

という危険を感じた時だけだ。

 

でも人間も都市に暮らし、引きこもって生活していると

空を見上げなくなる。

朝でも夜でもいいから1日に何回か空を見上げないと、

だんだん人間から四つ足動物の感性になっていく、

ような気がする。

 

さて、と書いてきたことは僕の勝手な思い込みで、

空を見上げるのは実は人間の特権ではないのかもしれない。

 

もしかかして、あなたが一緒に暮らしている

イヌやネコやネズミは

遠い空の彼方に思いを馳せたり、

夕焼け空に叙情を感じたり、

「見上げてごらん夜の星を」を心の中で歌い、

UFOを発見し、ETとコンタクトできるのかもしれない。

もしそんなイヌやネコやネズミがいたら教えてほしい。

ポコ・ア・ポコ。

 

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神ってるナマケモノ (動物エッセイ)

 

僕たちはこの星の上で137万種類を超す動物たちといっしょに暮らしている。

イマジネーションを掻き立て、人間の世界観の大きな領域をつくってきた仲間たちについてのエピソードや、あれこれ考えたことを編み上げた、おりべまことの面白エッセイ集。

自身のブログから36編を厳選・リライト。

 

目次 

・ネコのふりかけ

・おしりを拭いてもらうイヌの幸せと人面犬の増殖について

・なぜ日本ではカエルはかわいいキャラなのか?

・ウーパールーパーな女子・男子

・ヌード犬・ファッション犬

・いやしの肉球

・金魚の集中力は人間以上 ほか

 

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中国製ネコ型ロボットが食事をお届け

 

日本でネコ型ロボットといえばドラえもん。

便利な機械を出してくれるわけではないが、

韓国や中国ではコロナ禍の中で、

ネコ型配膳ロボットが大活躍している。

 

人への感染が特徴であるコロナウイルスの特性から、

非接触配送の需要が世界中の病院で高まり、

現在、韓国のソウルや中国の北京、武漢など数百の病院で

中国のロボットメーカー、Pudu Roboticsの製品

「BellaBot」が利用されている。

 

このネコ型ロボット、配膳にかかる工程を

すべて自動で行うため、

感染の拡大を効果的に防止することができる。

 

また大容量のトレイを搭載しているので

食事、医薬品、その他の物資を一度に患者に

届けることができる。

 

病院だけでなく、昨年からレストランや

オフィスなどでも利用され、

現在では2000社以上の国際企業で

非接触配膳サービスとして

採用されているとのこと。

 

コロナ禍の間隙を縫って中国では

AI・ロボットが大発展しているようだニャー。

 

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神ってるナマケモノ (動物エッセイ)

 

 

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目次 

・ネコのふりかけ

・おしりを拭いてもらうイヌの幸せと人面犬の増殖について

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・金魚の集中力は人間以上 ほか

 

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オリンピックの「選手ファースト」は選手自身がつくる

 

今までオリンピックの問題について

批判的なことを書く時は、

「選手の方には申しわけないけど・・」と言ってきた。

 

その気持ちは嘘ではないけど、

若い選手の人たちは次々に起こる

大人たちのゴタゴタをどう思っているのだろうか?

とても気になる。

 

森会長の件だけではない。

東京2020のオリンピックは開催が決まってから、

競技場やエンブレムの問題をはじめ、

各競技の連盟・協会のトラブル

(ボクシング、体操、柔道、テコンドーなど)が続出。

 

こういうことって、どこの国でも起こることなんだろうか?

日本は特別?

 

そのへんはよくわからないけど、

利権まみれ、大人の事情まみれの中で

選手が金メダルを追求する意味って何なのか?

 

「毎日勝つために必死でトレーニングしているのに、

そんなヒマねーよ」

と言われるだろうが、

この際、選手も監督とかコーチとか、

組織の人たちや、いろいろお世話してくれてる人たちに

任せていないで、

自分で自問自答してみてはどうだろう?

そして、いっそのこと自分が運営に関わってみてはどうだろう?

 

現銀実的じゃないかもしれないけど、

利権ファーストじゃなく、

選手ファーストのオリンピックにするには、

それくらいのことが必要なんじゃないかと思う。

 

今のままでは、なんだか選手たちが

利権ゲームの手ゴマにされているようにさえ思えてくる。

 

アスリートの人たちは

生まれた時からオリンピックがあり、

最初からオリンピックありきで考えるから、

その舞台が夢になり、目標になる。

才能がある人ほどそうなる。

 

だけど、それが自分の人生にどういう意味があるのかを

ちゃんと考えて取り組んでもいいと思う。

 

選手生命は短い。

競技を辞めた後は長いセカンドライフが待っている。

スポットを浴び、人々の記憶に残るのは

一握りのメダリストだけ。

それでもいいというなら、それでいい。

 

でも、自分の未来をつくるうえでも、

オリンピックの勝ち負けだけで

燃え尽きてしまってはいけないと思う。

 

どんな方法があるか、具体的には示せないけど、

選手ファーストは選手自身がつくるべきではないか。

 

 

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★9日(火)17:00~11日(木)16:59

どうして僕はロボットじゃないんだろう? (AI・ロボット エッセイ)

 

社会のニーズに応え、生活に入り込み、世界を変革していくAI・ロボット。はたしてやつらは人間の敵か味方か? 上司か部下か? ライバルか友だちか? ただの機械に過ぎないのか、それとも人類の子どもなのか?

2016年夏から2020年夏まで、AI・ロボット・インターネット・DXにまつわる4年間の考察を読み物にした、おりべまことの面白まじめエッセイ集。ブログから33編を厳選・リライト。

 

●もくじ

・介護士・看護師は人間か、ロボットか?

・インターネットがつくるフォークロア

・こちとら機械だのロボットだのじゃねえ。人間でぃ!

・聖書から始まった「人間VS機械」

 

・子どもはどうしてロボットが好きなのか? ほか

 

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理念を失ったオリンピック 変わるためには3年かかる

 

森会長の男女差別発言。

関係者はみんな甘く考えていて、

ここまで大問題になるとは思わなかった。

僕も思わなかった。

インターネット社会の在り方を改めて思い知らされた。

 

もう駄目だと思う。

ボランティアスタッフも大量に辞退した。

選手の人たちは気の毒だが、

今年の開催は諦めた方がいい。

コロナと今回の騒ぎでバタバタやって

慌てて間に合わせようとするとロクなことがない。

政治家がいくら「やるやる」と言っても無理だ。

 

この際、今年はやめて3年後の2024年に開催する。

フランス(2024パリ)だって、

その後のアメリカ(2028ロス)だって

コロナ禍ですべてが狂ってしまっているから、

準備に時間があったほうがいい。

 

問題は森会長が辞めるか、

続投するかといったことだけじゃない。

皆でオリンピックの理念、オリンピック憲章について

徹底的に議論し、考え直したほうがいい。

 

森会長やJOCよりひどいのはIOCだと思う。

森会長があの発言の謝罪・撤回の記者会見をしたあと、

IOCは「これで問題はおしまい」という声明を出した。

 

森会長の発言が女性蔑視、つまり

オリンピック憲章に抵触するとされているのに、

その精神を守るべき当のIOCが

「これでおしまい」とは、どういうこと?

 

「そんなことどうでもいいから、

とにかく早いとこ準備を進めて開催しろ」

と言っているのと同じである。

 

「皆さんを幸せにするのがわたしたちの使命です」

といった美しい企業理念を掲げている会社が、

実際は利益のみ追求して

ネズミ講的な商売をしているのといっしょである。

 

オリンピックの精神などとっくの昔に失ってしまった、

利益追求のIOCがトップにいるだから、

日本をはじめ、各国の関係組織も

オリンピックを利権ビジネスの視点からしか考えられない。

 

今年はやめて、このあと開催国となる国も集めて協議して、

オリンピックの開催のしかたそのものを変えるべき。

 

日本のことを言うなら、森会長が変わるのは無理だ。

森会長だけでなく、昭和の男尊女卑文化が身体の芯まで

染み込んでしまっている人は、今後の社会の要職にはつけない。

 

そういうこともこの際、徹底的に議論して

組織内の人事を一からやり直した方がいい。

今回の問題はそういうチャンス。

スルー出来ない壁。

 

何のためにオリンピックをやるのか、

世界中で話し合う最適な機会が訪れた。

3年かけてそれをやってほしい。

 

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★9日(火)17:00~11日(木)16:59

どうして僕はロボットじゃないんだろう? (AI・ロボット エッセイ)

 

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神ってるナマケモノ (動物エッセイ)

 

★13日(木)17:00~15日(土)16:59

子ども時間の深呼吸 (子どもエッセイ)

 

★15日(土)17:00~17日(月)16:59

ロンドンのハムカツ (食べるエッセイ)

 

18日(火)新刊「昭和96年の思い出ピクニック」発売予定

 


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メイキング・オブ・ブログ・SNS➡電子書籍

 

この5年ほどの間に、やっとコンスタントに

ブログとSNSに雑文を書けるようになった。

年間250本程度。

 

それ以前にもアップしていたが、

書く時期と書かない時期とかなりムラがあった。

残しているものを全部合わせると

1,500本くらいになっている。

 

そのうち自分で納得できるもの、

人が読んでも面白いかなと思うものは3割強。

500あるかないかぐらい。

それらをテーマごとに編集し、

リライトして電子書籍にしている。

 

ちなみに使えない7割弱は、

自分の創作のネタ用、仕事に関するメモ、

時事問題で後から読んでもピンとこないもの、

プライベート色の強い日記、自分で面白くないもの、

品質が悪いものなど。

 

リライトしていると、

誤字脱字をいっぱい発見して愕然とする。

 

基本的に写真メインの短文以外は、

スマホでなくパソコンで書くので、

原稿をいったんメモ帳ソフト(プレーンテキスト)で書いて、

それをコピペしてSNSに貼り付け、

さらにそれを直してブロブに貼り付ける。

その3段階を踏むうちにかなり書き換えることもある。

 

そしてブログでとりあえずの完成形をつくると、

またSNSに戻って書き直すこともよくやっている。

 

その過程で誤字脱字は一応チェックするのだが、

まだまだ甘いようだ。

だけど一日中こればっかりやっていられないので、

ま、いいかと、そのまま見過ごすこともしばしば。

 

ただ書籍にするときは本当のフィニッシュにしたいので、

けっこう集中して綿密にやる。

最初に書いた時から時間が経っていると、

情報を更新しなくてはならない場合、

その後どうなったのか調べなくてはならないこともある。

 

もちろん、そのままでいい場合もある。

しかし、そのままににしておこうと思っていても、

チェックしているうちに

ここの言い回しが気に入らない、

ここはもっと別の表現があるんじゃないか、

こっちの文を前にして、こっちを後ろにした方が

わかりやすいし、面白くなるんじゃないか・・・

と、あれこれ気になりだして、

いつの間にか半分以上、

文章が変わっていたということもよくある。

 

でもまた、そうして完成させたものも

後から読むと、ああすりゃよかった、

こうできなかったかと考えてキリがない。

よほどのことがなくては再出版はしない。

人生同様、文章は永遠に完成しない。

 

若い頃、一度書いたものを推敲するのは

ただただ機械的な作業で、面倒くさくて苦痛だった。

ところが最近は、むしろこっちのほうが楽しめる。

あっちをコリコリ、こっちをコリコリやっていると

いつの間にかトランス状態になっている。

 

最初に書く作業は料理の下ごしらえであり、

調理のメインはリライトにある。

 

ということが、電子書籍を作り始めた昨年からやっとわかった。

 

ただし、ネタを仕込んだら早くパパっと勢いよく書かないと

駄目な場合もある。

こねくり回して手垢をベタベタつけてしまったら。

まずくなってしまう文章もある。

 

いずれにしても文章は生き物である。

生き物相手だから、

どう展開するかわからなくて面白い。

 

でもやっぱり時間がかかるし、面倒くさいし、疲れる。

だから最近、いろいろ発信したい人、

トーク力に自信がある人は、

ブログやfacebookから

YouTubeやclubhouseに流れるんだろうね。

 

clubhouseはちょっと覗いてみたい気もするけど、

首を突っ込むと時間がいくらあっても

足りなくなりそうなので、今はやめときます。

 

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★7日(日)17:00~9日(火)16:59

ポップミュージックをこよなく愛した

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週末の懐メロ⑯:少女/五輪真弓

 

子どもの頃、僕が暮らしていた小さな家には縁側があって、

柿と柘榴と無花果の木が生えていた。

猫の額ほどの小さな庭だったが、

子どもの目にはずいぶんと広く見えた。

 

縁側では祖父や祖母といっしょに

みかんやお菓子などを食べていた記憶がある。

真冬に白い雪が積もっていたこともあった。

 

中学生の頃、出逢ったこの歌は

そんな情景を思い出させてくれる。

 

そして、いつもこの歌の主人公の少女は

いくつなのだろう? と考えてきた。

 

歌詞の1番の少女は9歳じゃないかと思う。

2番の少女は19歳だろうか。

 

9歳の少女は夢が崩れるのを見ても

縁側に座っているしかなかった。

けれど、19歳の少女は色あせた夢を捨てて

垣根の向こうへ旅立つことができた。

 

だけども最近、もしかしかしたらどちらも

本当は90歳のばあちゃんなのかもしれない

と考えるようになった。

 

叶えた夢も、叶えられなかった夢も、

いずれは手放さなくてはならない。

老いた時、人はそのことを知る。

 

そして9歳でも、19歳でも、90歳でも、

どの女にもその内側に少女がいるのだ。

 

人間は経験しなくても、勉強しなくても

生まれながらに生きる知恵と勇気を携えている。

その人ならではの知見もたくさんある。

 

五輪真弓はそんな普遍的な人間存在への思いを

美しい旋律に乗せた。

男の中にも少女がいることを伝えた。

一生の伴侶となる歌に出逢えたのは、

とても幸福なことだと思う。

 

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お寺の詐欺事件とレ・ミゼラブルと宗教者の存在意義について

 

先日、金融詐欺で3000万円を騙し取られた

お坊さんの話を書いたが、

昨日はコロナで失業した男からお金を騙し取られたという

ニュースを見た。

ただし、こちらの金額は1万円である。

 

「コロナで働き先ない 43歳、寺から1万円詐欺容疑」

(朝日新聞デジタル)

https://www.asahi.com/articles/ASP255H22P25UTIL01T.html

 

住所不定無職の43歳の男が、コロナ禍で仕事を失ったうえ、

実家に帰る費用がないと嘘をつき、東京都足立区の寺の

住職の息子から現金1万円をだまし取ったとして、

詐欺容疑で逮捕されたという。

 

住職の息子は「交通費を貸してほしい」と相談されて

貸したが、1カ月が過ぎても返金がないので

警察に相談に行った。

 

警察は都内のほかの寺院に注意喚起し、

借金を頼まれたら警察に通報するよう要請していた。

 

そこへこの男が今月3日に中野区の寺で

借金を頼んだことがわかり、

現場で取り押さえられたという。

 

このニュースを見て、ぱっと頭に浮かんだのは

「レ・ミゼラブル」である。

 

貧しさ故、パンを盗んで牢屋に入れられた

主人公ジャン・バルジャン。

やっと出てきて路頭に迷った末に、

拾ってもらい慈悲を掛けてもらった教会から

恩を仇で返すかのように、高価な銀食器を盗み出した。

 

すぐに警察に捕まって「これはおたくの食器ですね」

と警官に尋ねられた神父様は、

「はい、さようです。しかし、これは私がこの人に譲ったもの。

これだけではない。この教会にある銀食器はすべてこの人に

譲ったのです。

さあ、これも持っていきなさい。これも、これも」と、

持ちきれないほどの銀食器を持たせる。

 

思い出しながら書いているので正確ではないが、

とにかくそんな神父様の慈悲の心に触れ、

こころ動かされたジャン・バルジャンは、

貧しさに負けていた自分を恥じて悔い改め、

まっとうな人間への道を歩み始める。

 

世界名作「レ・ミゼラブル」序盤の

最も感動的なシーンである。

 

で、思った。

どうしてこの足立区の住職の息子をはじめ、

金をだまし取られたという都内のお坊さんたちは、

宗教者でありながら、このレ・ミゼの神父様のような

広い心がないのだろうか? と。

 

そんなの作り話じゃんか、同じことできるわけないだろ!

と言われればそれまでだ。

しかしたとえば、この詐欺男に対して、

 

「それは大変ですね。

1万円ではその場しのぎにしかならないでしょう。

10万円持っていきなさい。いや、それでも足りない。

100万円あれば生活をやり直せるのでは?

わたしの貯金を取り崩しましょう。何ならもっと・・・」

 

とでも言えば、詐欺男も動揺して

「も、申し訳ありません、お坊様。

私は嘘をついておりました。どうかお許しください!」

 

と改心し、生まれ変わる

・・・という展開だってあり得たかもしれない。

半分冗談だけど、半分は本気です。

 

こんな悪事、こんな詐欺を放っちゃおけない、

という正義感で警察に訴えたのかも知れない。

 

だけど、世間一般と同じ論理、同じ善悪の基準でしか

人間に対せないのなら、

宗教者の存在意義って、どこにあるのだろう?

 

宗教者はやっぱりレ・ミゼの神父様のようであってほしい。

少なくともその片鱗くらい見せてほしい。

もちろん、超能力とか霊能力の類は要りません。

 

説教だけでなく、人の心を動かすような

立ち居振る舞いをしてほしい。

 

コロナ禍で困っている人が大勢いる今こそ

存在感を発揮するべきではないか。

 

この男だって最初は騙してやろうというつもりではなく、

本当に困っていたのではないか?

お寺なら何とかしてくれると思ったから来たのではないか?

それで最初は返すつもりだったけど、

なかなかうまくいかず、つい甘えてしまっただけではないのか?

同情し過ぎ、弁護し過ぎだろうか?

 

いずれにしても、

ああ、やっぱり人間には宗教というものが必要なんだ、

神様や仏様を敬わなきゃだめだと、

思い知らせてほしいのだけど、

現代では難しいことなんだろうね、たぶん。

 

 

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どうぞお楽しみに!

 


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「鬼滅の刃」で辿る近代日本の家族主義と個人主義

 

この映画では母の遺言を守り、

命を懸けて無限列車の乗客を守る煉獄杏寿郎の姿に

多くの女性が涙し、杏樹郎人気が爆発したようだが、

僕はその前の、自分の夢と戦う炭治郎のシーンが面白かった。

 

そこには大正時代から現代までの約100年間の

日本人の家族に対する考え方・マインドの変化が

表現されているように読み取れる。

 

僕の親は昭和ひとケタ生まれだが、

この世代の人たちは「今の人は自分勝手」としばしば口にする。

貧しい時代に生まれ育ち、戦争まで経験した彼らは

「和をもって尊し」という教えが身体に染み込んだ世代である。

僕たちのライフスタイル・ふるまい方・考え方を見ていると、

どうしてもそういう思いが口から漏れ出てしまうのだろう。

 

こうした旧・日本人の成り立ち方は、

おそらく明治や大正の人も同じだろう。

とにかく貧しかったので、

家族が身を寄せ合い、いろいろ我慢を重ねて

協力し合って生きなくてはならない。

そうした生き方が大多数だったのだ。

 

国はそこを利用して、日本人は天皇を中心とした家族である、

という夢を見せ、富国強兵を進めて、

アジア随一の軍国国家を創り上げた。

 

けれども戦後、日本人はその夢から醒め、

生まれからその生活スタイルが激変した。

経済成長とともに、それぞれの個性を重んじ、

それぞれが、それぞれの幸福を追求する

個人主義の時代になっていった。

 

これもまた、経済成長という夢に乗っかった結果であり、

その夢もいま、醒めようとしているのだが。

 

いずれにしても昭和の後半、

みんな、それまでの家族の因習、

家族の寄合であるムラの因習から逃げ出すかのように街に出て、

大家族は解体され、核家族になり、

さらに個々バラバラになった。

 

その状況を見て、やっぱり

「昔はよかった。暖かい家庭があった。

いまの日本人は寂しい」という声が出る。

 

おそらくこの大正時代の炭治郎の家族を見て、

これぞあるべき日本人の家族の姿と

感動する人もいるかもしれない。

 

鬼が見せる甘美で幸福な夢の世界。

あの頃の母と弟・妹たちが家にいる。

すべては元通りになっている。

涙の出るような情景。

僕もこのあたりのシーンは泣いた。

 

そして昭和30年代の自分の子どもの頃まで思い出した。

さすがに竈はなかったが。僕の家の台所も土間だった。

煎餅を焼いた覚えはないが、

冬はみんなで火鉢を囲んで餅を焼いて食べた。

おいしかった。楽しかった。

 

けれども現実の世界の時計は進んでいる。

もう後戻りはできない。

 

水面に映った自分自身と対話して

これが夢であることを見破った炭治郎は、

涙ながらに家族に背を向け、走り出す。

そして自分で自分の首を斬ることで

甘い夢の世界から抜け出そうとする。

 

それは、ともすればレトロな夢にすがりたくなる

現代の日本人の心象を表しているようにも見えた。

 

しかし、なおも鬼は夢を見せようとする。

今度は悪夢で、死んだ家族たちが

「なぜおまえだけのうのうと生きている」と呪詛を吐く。

それは炭治郎の胸の奥にある罪悪感を突き刺す。

 

彼は優しい少年なので、炭を売りに出た帰り、

宿を取って一晩過ごしてしまった時に、家族が惨殺されたことに

ひどい罪の意識を抱いているのだ。

 

けれども彼はその悪夢も破る。

自分の大好きだった家族が自分を呪うわけがない。

彼は死んだ母やきょうだいを信じる心を取り戻し、

「俺の家族を侮辱するな!」と叫ぶ。

そのシーンは結構涙腺が崩壊した。

 

家族愛をテーマにした「鬼滅の刃」には、

現代の日本人のトラウマを刺激する要素が詰め込まれ、

さまざまなメタファーがあふれている。

 

それは近代から始まり、江戸時代、戦国時代、

そして原初の鬼・鬼舞辻無残が生まれた平安時代まで遡る。

 

テレビシリーズと今回の映画は

物語全体の第1幕に過ぎず、まだ2幕・3幕とある。

映画まで見てしまうと、この続きが気になって、

原作のマンガが読みたくなる。

うまいビジネスモデルになっている。

 

そして原作が完結しているにも拘わらず、

この先、ネタばれ状態でテレビと映画で

またアニメをやるのかも気になるところ。

 

いずれにしてもコンテンツが優れているからこそ

成り立つビジネスモデル。

今度は原作を読んでいろいろ研究してみようと思う。

 

 

 

 

 

 


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女心に刺さる「鬼滅の刃」

 

節分は過ぎたけど鬼の話。

鬼といえば今や「鬼滅の刃」。

だいぶ遅くなったが、映画を見て来た。

 

節分の日。平日の午前中に行ったので映画館はガラガラ。

そういえば昨年は一度も映画館に来なかった。

 

さすがにAmazonPrimeで配信されるまでは待っていられない。

何といっても興行記録を塗り変えた映画である。

すごい! とまではいかないが面白かった。

 

「強く生まれた者は弱き者を守る使命があります」。

これがこの映画のメッセージであり、

主人公の炭治郎らが鬼と戦う理由である。

 

このセリフを言うのは、もう一人の主人公である

煉獄杏寿郎の母である。

病の床にあった母は、まだ少年だった杏樹郎に

この言葉を残して亡くなる。

鬼との戦いの中で杏樹郎の脳裏にその情景がよみがえるのだ。

 

ここで両隣に座っていた女性が泣き出した。

そのあと、最後までほぼ泣きっぱなし。

見た感じ、中年ぽかったのでお母さんなのかも知れない。

 

「鬼滅の刃」の人気の秘密は、

こうした女心に突き刺さったからである。

女子ウケしなければ、

ここまでの大ヒットにはならなかっただろう。

 

概して女性はそれぞれの技やバトルアクションよりも

登場人物らの過去の物語に関心を寄せる。

なぜ彼らはここで、こうした姿で戦っているのか、

その物語(バックストーリー)に心奪われるのである。

 

それは主人公チームだけでなく、

敵である鬼も同様。

鬼はもともと人間であり、

心を支配した強い思い――怨念、執念、嫉妬、憎悪などが

血肉を得て形になった化け物なのだ。

鬼の中にも泣かせるドラマがあり、

日本人の影の歴史がある。

 

この映画「無限列車編」には、

人間を眠らせ、夢を見させる鬼が登場する。

幸福な夢にどっぷりつからせ、その間に潜在意識の中にある

精神の核を潰して廃人にしてしまう――という恐ろしい術策だ。

 

というわけで眠らされた炭治郎たちは、それぞれの夢を見る。

これによって原作もテレビシリーズも観てなくても、

主人公の炭治郎がどういう運命を背負った少年なのか、

何となくわかるようになっている。

 

これも女子ウケの大きな要因だが、

このマンガの大テーマは「家族愛」である。

敵である鬼もまた家族愛の悲劇から生まれる。

もともと人間だったのに、どうして鬼になったのかという

物語もまたよく描かれている。

 

この映画では母の遺言を守り、

命を懸けて無限列車の乗客を守る煉獄杏寿郎の姿に

多くの女性が涙し、杏寿郎人気が爆発したようだが、

僕はその前の、自分の夢と戦う炭治郎のシーンが面白かった。

 

そこには大正時代から現代までの約100年間の

日本人の家族に対する考え方・マインドの変化が

表現されているように読み取れる。

 

長くなりそうなのでまた明日。

 


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春の声と母の入院

 

春が来るのを知らせに来たかのように、

公園にやたらと鳥が増えた。

冬から春へ移り変わる季節は生の匂いと死の匂いが

入り混じっていて、心惹かれる。

 

名古屋にいる実母は入院したと聞いた。

こちらは義母と逆で、頭は結構しっかりしているが、

足が萎えている。

おそらくこの入院でもう動けなくなるのではないかと思う。

 

このご時世なので、面倒を見ている妹から

お見舞いには行けないと聞いた。

直接病院に電話してゴネたが、

やっぱり緊急事態が出ている間は駄目だと言われた。

この10年ほど、割と頻繁に帰省して

話をしていたので、特に思い残すことはないが、

最期はやっぱりあっておきたいなと思う。

 

緊急事態宣言は2月末で解かれるような気がする。

3月まで生きていてくれたらいいなと思う。

 


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「変革の勇気 観光・サービス業が生まれ変わる方法」:くらしデザインラボの挑戦

 

「変革の勇気 観光・サービス業が生まれ変わる方法」の

著者である佐々木司さんは、

小田原で観光農園「ベリーの森」を成功させ、

岩手で瀕死のリゾート施設を再生させ、

現在、日光・鬼怒川エリアで栃木県地域経済牽引事業として

「商業施設×観光農園×こどもパーク」という

新しいリゾート施設を建設している。

 

先日出たばかりのこの本は、

佐々木さんへのインタビューをもとにして

僕が執筆したものだ。

 

彼がベンチャー企業「くらしデザインラボ」を設立したのは

まだ5年前の2016年。

観光業、農業、レジャー業、いずれに関しても

まったくの初心者だったにも関わらず、

わずかな時間で次々と事業を成功させた。

 

岩手ではすっかり有名人となり、

ローカルメディアが連日取材にやってきたり、

ラジオのDJまでやって人気者になっている。

また、昨年は「じゃらん」で表彰もされた。

 

コロナ禍で観光業は大ダメージを受けたが、

それ以前にこの業界の問題は深刻化していたという。

やはりここでも昭和の時代の記憶が、

ビジネスの変化を妨げていた。

結局、それが今回の局面で自分たちの首を絞めることになった。

特に資本力のない中小の旅館やホテルの多くは

息も絶え絶えの状態に陥っている。

 

期待の高かったインバウンド需要も潰れ、

GoToトラベルが復活したとしても、所詮は一過性のもの。

中小は、付加価値を作らなくては

今後、生き残るのは困難だ――ということで、

佐々木さんはさまざまな提案をしている。

 

その提案を簡単にまとめていえば、

地元で商売する人たちと手を結び、

子どもや年寄りの面倒も見ながら、

その地域と旅行者・訪問者との間を取り持つ、

よろず相談所みたいな存在になろう、ということだ。

 

宿泊にくっつく付加価値。プラスアルファ。

お客にとってはその「おまけ」「ふろく」こそが

その宿を選ぶ基準になるという。

 

地域の人、その地域に興味を持って訪れる旅行者。

双方を幸福にできる業者こそが生き残れる。

 

言ってみれば当たり前のことだが、

誰にとって何が幸福なのか、

きちんと考えて対処できることが

よろず相談所には求められる。

 

佐々木さんはコンサルテイングもやっており、

多くの経営者の声に耳を傾けているが、

手っ取り早く儲けるには? 

という経営者は相手にしないという。

 

観光業の将来を真面目に考えている人とともに

生きたいと言っている。

それは日本の将来を考えることにも繋がる。

この本はそのための入門書となっている。

 


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変革の勇気 観光・サービス業が生まれ変わる方法

 

僕がブックライターを務めた観光業の本が発刊となりました。

政府刊行物としても販売中。

観光業に携わる方は、ぜひご一読ください。

 

★新型コロナ禍に疲弊した観光・サービス業へ

「小さな旅館・ホテルでもこれまでのやり方にとらわれず、

何らかの付加価値を提供すれば、お客様に喜んでいただき、

良いビジネスができるということです。」(本書より)

観光・レジャー事業を営み、人気施設へと育て上げた著者が、

その思考とノウハウを語る。

今、日本の旅館・ホテル・観光施設は変革無しに生き残れない!

 

★付加価値をつくり方を具体例を基に紹介

全国の旅館・ホテルなどの事例や、著者自身の実体験を基に、

収益を上げるための付加価値の作り方を紹介します。

 

★日常に溶け込むインフラとしての観光業へ

地域密着型として、地元に愛される旅館・ホテルや

観光施設の未来について。一歩先の観光・サービス業を

つくり上げるヒントが満載。

 

定価: 1,650円(1,500円+税)

著者名:佐々木司 出版社:金融ブックス

 

 


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