働くシングルマザーと、生活保護のシングルマザーの価値観について

 

 シングルマザーしている友だちと話していて、「生活保護リッチ」の話になった。

 どうも彼女の知人で同じくシングルマザーしている人の中にそういう人がいるらしい。

 

 その生活保護の彼女には、結婚していない彼氏がいて、その彼氏には稼ぎがあるので、ダブルインカムになるという。

 

 そういうわけで、お金があるので、結構優雅に旅行したり、いい服買ってお洒落したり遊んだりもできちゃう、それってむちゃくちゃ不公平じゃん――と、要約するとそういう話。

 

 片や、シングルマザーの中には貧困にあえいでいる人が大勢いて、にも関わらず、いろいろ制度の問題で生活保護を利用できない、という話も聞いています。

 

 いったいどうなっているのか?

 

 この問題は深入りすると、ズブズブ底なし沼に沈んでいきそうなので、とりあえずここでは、朝から晩までダブルワーク、トリプルワークで働いて食っている人と、ズルして(ズルでなくてもうまいこと手管を下して)生活保護を受けて、結構優雅な生活を送っている人との対立をどうするか?――ということに話を絞ります。

 

 日本経済が長期低落状態に陥って以来、たびたび耳にする話だけど、簡単に僕の見解を記すと、僕のお友だちみたいに、ちゃんと働いて稼ぐということに意義なり、価値なりを認めている人は、生活保護リッチ(あえてそう呼んでみる)の人の暮らしと自分の暮らしを比べて嫉妬したりするのはやめたほうがいいと思います。

 

 そういう人は「じゃあ私も」と真似してみたところで、罪悪感とか、恥ずかしさとか、世の中に対する申し訳なさが勝ってしまい、絶対幸せな生活は送れない。

 

 おそらく子供にもそうした親の罪悪感やら、恥ずかしさやら、申し訳ない気持ちが伝染して、歪んで育ってしまうと思います。

 

 生活保護リッチの人は、たぶん人から後ろ指刺されても負けないで通せる度胸と、自分なりの生き方を持った人なのです。もちろん罪悪感も遠慮もないでしょう。

 そういう意味ではかなり強靭な精神の持ち主と言えます。

 

 子どもを育てるには安定した経済環境が必要です。

 口でいくら「お金じゃ幸せは買えないよ」なんて言っても、今日明日の食事も心配だったり、精神的にも追い詰められるような状態では、まともな子育てなんかできません。

 

 生活保護リッチのシングルマザーは、シングルマザーになった時点で、そうしたもろもろを考え合わせ、子どものために、自分のために、ええい!と開き直ったのでしょう。

 

 また、生活保護でリッチな暮らしなんかして、いつか報いが来るよ・・・とも思いません。

 でも、どこかで顧みなくちゃならない時は来るでしょう。

 子どもだっていつか自立する。

 自分もずっと生活保護で暮らせばいいや・・・と考える子はあまりいないと思います。

 その時に親として胸を張って送り出せるか、お互いに別々の大人としてちゃんと歩き出せるかどうか、だと思います。

 そしてもしかしたら、僕たちも巡りめぐって、成長したその子供に救われることがあるかも知れません。

 

 願わくば、そうした人には、子供のために、自分のために、お金にはならないけれど、大切な仕事――たとえばPTAでも地域ボランティア活動でもやってほしい。

 一種懸命やっていれば、きっと周囲は応援してくれるから。

 

 生活保護、いいと思います。

 なんとか不備な制度を改善して、貧困にあえぐシングルマザーが罪悪感を抱くことなく、気軽に利用できるようにしてほしい。

 先にも書いたように、今日明日の食事も心配だったり、精神的にも追い詰められるような状態では、まともな子育てなんかできないんです。

 

 お金がなければ、働けなければ、もう死ぬしかない――

 そこまで追い詰められなくてもいい国なんです、日本は。

 いろいろ問題はいっぱいあるとは言え、恵まれた国であることは間違いありません。

 そういう国で、貧困のせいで子供やお母さんに死んでほしくない。

 

 というわけで生活保護賛成。

 だから多少、ズルした生活保護リッチみたいな人が出てくるのはやむを得ないとも言えます。

 われながら、ちょっとお人よし過ぎるかなぁ・・・とは思うけど。

 

 でも僕は、お金のこと心配しつつ、子どもの将来だいじょうぶかな?と考えつつ、朝から晩まで頑張って働いて、子供に愛情を注いでいる彼女のことをとても好ましく思っています。

 

 彼女の価値観はとてもまっとうだと思うし、愚痴をこぼしても、なぜか人を明るい気持ちにさせるキャラクターは、きっと子供にも良い影響を及ぼすでしょう。

 

 なんとか応援したいなぁ。

 カネのないやつがそんなこと言ってもしゃーないんだけど。