週末の懐メロ28:残酷な天使のテーゼ/高橋洋子

 

「エヴァンゲリオン」がここまで人の心に食い込んだのは、

作品の内容はもちろんだが、テーマ曲の存在も大きい。

「残酷な天使のテーゼ」の歌詞は、

とてつもなく美しくドラマチックだ。

 

作詞の及川眠子がこの曲を書く際に与えられたオーダーは

「哲学的であること」「難解であること」。

それに対し、萩尾望都の漫画「残酷な神が支配する」を

元ネタにして2時間で書き上げたという。

 

そうして生まれたこの曲はエヴァ人気とあいまって

前世紀から常に人気カラオケ曲のトップ10に入る名曲となった。

アニメを観たことない人でも、

この歌は知っているという人は多いのではないか。

 

カヴァーもやたらと多い。

外国語バージョンも英語はもとより、10か国はくだらない。

 

それでもやはり高橋洋子のオリジナル版がいい。

このビデオは歌に合わせて、

テレビ版と旧劇場版、

つまり20世紀の旧シリーズのストーリーを

曲の尺4分に編集している。

 

新シリーズの完結編である「シン・エヴァ」を観た後だと、

絵もちょっと懐メロっぽい。

でも、そこがまたいい。

 

そして曲名どおり、

旧シリーズは本当に残酷だったなぁと感じる。

そう感じるのは、苛烈で凄惨なシーンが多いせいもあるが、

一番の要因は、女性の登場人物の運命があまりに過酷だからだ。

 

かつて映画の世界では、

劇中であっても女と子どもは殺してはならないという

不文律があった。

半世紀以上前の話で「女は守られるべき存在」という

一種の差別の表れでもあるのだけど。

 

しかし、自分が男のせいか、たとえ虚構の中とはいえ、

女が死んだり殺されたりするところを見るのは、

心が切り裂かれるような痛みを感じる。

 

旧シリーズでは、レイもアスカもミサトもリツコも、

主要な女キャラがみんな死んでしまった。

それもかなり無残で惨い死に方だった。

 

物語自体も最終的に狂気の世界に突っ込んでいき、

通常のロボットアニメ、

ヒロイックファンタジーとはかけ離れた、

前衛的なアート作品のようなエンディングになった。

 

そして、エヴァ人気が一種の社会現象としても扱われた。

1990年代の世紀末観、オカルトじみた事件の数々、

従来の社会常識の液状化、

人間の心の暗黒面の発見といったことも

影響してたのだろう、

 

それに比べて、新シリーズが

とても優しく温もりのある終焉に感じられたのは、

彼女らの命が無残に潰えることなく、救われたからだと思う。

ただ一人の死も崇高な「英雄死」だった。

 

庵野監督が新シリーズを旧シリーズほど

残酷な物語にしなかったのは、

齢を取って丸くなったせいもあるが、

女を殺し過ぎたことに対する

罪ほろぼしの意識があったからだろうと推測する。

男の心には必ずそういう贖罪の季節が訪れる。

 

この曲とこのアニメは、ある世代、

具体的には1995年から97年の

テレビアニメ放映~旧劇場版上映の時期に

ティーンエージャーだった人たち(現在の40代)にとって、

一つの原風景になった。

 

巨大なトラウマであり、一生消えない感動と傷跡。

幸か不幸か、僕は大人になってから出逢ったので、

適度な距離を置いて見ることができたけど、

耽溺した人を少し羨ましく思う時もある。

 

エヴァの素晴らしいところは、

自分の想像力でストーリーを補完し、

ひとりひとりの心の中に

「マイ・エヴァンゲリオン」をつくれるところにある。

 

エヴァンゲリオン補完計画発動。

四半世紀にわたった新旧シリーズが完結し、

「残酷な天使のテーゼ」が懐メロになった今、

世界中で無数の新たなマイ・エヴァが起動する。

 

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昭和96年の思い出ピクニック

 


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大人になったちびまる子ちゃんと 還暦を超えて高齢化したサザエさんの「昭和の日」

 

今日は昭和の日である。

昭和生まれ祖たちの僕などは、いまだに

4月29日=天皇誕生日と、つい口走ってしまうのだが、

もちろん天皇誕生日は平成になってから12月23日に、

そして現在の2月23日に移行した。

 

昭和の日は2007(平成18)年から始まった。

じゃあその前の平成の17年間は何の日だったのか? 

と言えば、現在5月4日の「みどりの日」だった。

勝手に5日後にコンバートされてしまった

「みどりの日」っていったい・・・

という感じだが、要は大型連休を構成する一要素だから

名称は何でもいい、

というのが、国民の偽りない心情だろう。

 

祝日法によると、昭和の日は

「激動の日々を経て、復興を遂げた昭和の時代を顧み、

国の将来に思いをいたす」と定められている。

 

一応ちゃんと意味はある。

 

二度の世界大戦。

連合軍(実質的には)アメリカにより占領時代もあった。

奇跡のような戦後復興と高度経済成長。

東京オリンピックも大阪万博もあった。

 

家電が普及し、生活が便利で快適なった。

テレビも普及し、みんなが娯楽と情報を得られるようになった。

マンガもアイドルも音楽も芸能ゴシップも、

楽しいことがいっぱい増えた。

 

その気になれば、確かに昭和は今を知り、

未来を考える素材・資産の宝庫だ。

 

いわば僕ら日本人のビッグデータの塊であり、

毎日ディープラーニングして、

いかに有効活用できるか、考える時代になっている。

それが未来をつくる仕事であり、

「国の将来に思いをいたす」ことでもある。

 

「いつまで続くのか?」という議論もあるようだが、

今の天皇陛下は昭和の真っただ中のお生まれということもあり、

おそらく令和の間は「昭和の日」はなくならない気がする。

 

それにしても、それまでの「みどりの日」を5月4日に移し、

4月29日は「昭和の日」にするという案が、

なんで生まれたのか?

 

施行が2007年からだから、

決まったのは2006年である。

2006年に、この改変にまつわることが何かあったのだろうか?

 

調べてみて思い当たったことがあった。

2006年はマンガ「ちびまる子ちゃん」の生誕20年、

「サザエさん」の生誕60年にあたる年だった。

 

成人を迎えたちびまる子ちゃん、

還暦を迎えたサザエさんが「昭和の日」を産んだ。

 

そんなわけない?

でも、あながちそうともいえない。

 

令和の日本は、大人になったちびまる子ちゃんたちと

還暦を超えて高齢化したサザエさんたちが

人口の大半を占め、動かしている。

ちびまる子ちゃんやサザエさんがまだまだ元気なうちは

「昭和の日」は終わらないだろう。

 

いずれにしても年に1日くらいは、

ノスタルジーに浸りたい人もいっぱいいると思うので、

年に1度のこの日くらいは思う存分、昭和を懐かしんで

「昔はよかった」だの、

「昔はああだった。こうだった」と

ゴタクを並べてもいいかもしれない。

 

ただし、そのノリで若い衆に説教なんぞすると

間違いなく馬鹿にされ、嫌われますよ。

 

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アイドル、マンガ、オカルト、オリンピック、新聞配達、家族、そして戦争――昭和には愛すべきもの、憎むべきもののすべてがあった。

2021年=令和3年=昭和96年になった今でも、僕たちは昭和の物語から離れられない。海を埋めたて、山を切り開き、明日へ向かって進んだ果てに見つけたものは何だったのか?

みんなが愛して憎んで生きた時代を1960(昭和35)年生まれの著者が探検する面白まじめエッセイ集。ブログ「DAIHON屋のネタ帳」から30篇を厳選・リライト。

 

もくじ

・西城秀樹さんのお葬式:青春の同窓会

・ちびまる子ちゃんとサザエさんはいつまで続くのか?

・昭和オカルト大百科

・新聞少年絶滅?物語

・死者との対話:父の昭和物語

・社会全体の児童虐待と「晴れた空」

・東京ブラックホールⅡ:「老いた東京」は美しいか?

・さらばショーケン:カッコ悪いカッコよさを体現した1970年代のヒーロー

・さらば平成――みんなが昭和に帰りたがった30年

・永遠の昭和 明日のための1960年代・70年代   ほか

 

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超高れい蔵庫 成仏す

 

先週、夏日が2,3日続いた時に冷蔵庫の中が少々匂った。

取り出してみると開けて3~4日経ったヨーグルト、

4~5日経った缶のホールトマトの残り、

ほったらかしておいた糠床などにカビが生えている。

まだ賞味期限前の豆腐もチーズ化している。

 

冷凍庫に入れておいた食品もイマイチフリーズしてないし、

アイスクリームは数時間入れておいたら柔らかくなっている。

 

どうやら冷蔵庫が命尽きつつあると判断した。

じつはとっくに寿命が来ていたのだが、

寒かったから気が付かなかったのだ。

 

この冷蔵庫をいつ購入したのか思い返してみた。

カミさんとは結婚する1年前から一緒に暮らし始めた。

その年からだから・・・と勘定すると、

なんと27年!

20世紀の遺物だったのだ。

 

その上に乗っかっていたオーブントースターは

カミさんが一人暮らしを始めたお祝いに

友だちからもらったものだというから、

さらにその上を行く30年以上!

 

だいぶ汚れてたけど、ちゃんと使えるので

結婚しても、子どもが生まれて成人しても

取り替えなかった。

 

さすがに冷蔵庫は健康にかかわるものなので、

ケチってなどおれず、夏になる前に

近所のコジマで新品を購入。

ついでにオーブントースターも買い替えた。

 

人生の半分近い年月、お世話になった冷蔵庫に

感謝の心を込めて手を合わせた。

「成仏してくれよ」と祈りつつ

土曜日に配送されてきた新品と引き換えに

お引き取り戴いた。

南無阿弥陀仏。

 

ピカピカのヤング冷蔵庫はよく冷える。

今までいかにちゃんと冷えてなかったかがよくわかった。

なんだか新生活スタート!の気分。

 

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もくじ

・西城秀樹さんのお葬式:青春の同窓会

・ちびまる子ちゃんとサザエさんはいつまで続くのか?

・昭和オカルト大百科

・新聞少年絶滅?物語

・死者との対話:父の昭和物語

・社会全体の児童虐待と「晴れた空」

・東京ブラックホールⅡ:「老いた東京」は美しいか?

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・さらば平成――みんなが昭和に帰りたがった30年

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週末の懐メロ27:レディラック/ロッド・スチュワート

 

幸運の女神」と題された1995年リリースの歌。

明るさと切なさの入り混じった印象的なメロディーを

リズミカルに、独特のハスキーヴォイスで歌っていく

ロッド・スチュワートの佳作だ。

 

この曲はフジテレビで放送されていた

「沙粧妙子 最後の事件」の

エンディングテーマだった。

 

主演の浅野温子、佐野史郎、升毅をはじめ、

当時のスター級俳優やアイドルたちが顔をそろえた

とんでもなくヘヴィで陰惨でオカルト風味満載の

心理サスペンスドラマ。

 

ベストセラーになり、プロファイリングという言葉を広めた

ノンフィクション「FBI心理捜査官」や

サイコスリラーの原点となった

映画「羊たちの沈黙」の影響は明らかで、

毎回おそるべき異常でミステリアスな殺人事件が起きていた。

 

夜9時というゴールデンタイムに公共の電波で

よくあんなとんでもない話をやっていたものだ。

 

思うにあの1990年代、

多くの人が、人の心の奥に計り知れない闇があることを発見し、

そこに鬼とか悪魔が生息することを認識し、

それを覗き見ることに興奮と快感を覚えてしまったのだろう。

僕はその一人である。

 

あの頃、異常だの狂気だのと騒がれたような事件や事象は、

いまや日常茶飯事的に起こっている。

人間と社会の、一つの進化だったのかも知れないと思う。

 

いずれにしても「沙粧妙子 最後の事件」は

めちゃくちゃ面白かった。

毎回、次はどうなるんだろうと盛り上がったところで

この歌が入ってきてエンディングとなる。

 

ドラマの濃厚な後味をクリーンにしてくれる

スチュワートの、軽くカマしているような、心地よい歌声。

何度聴いてもナイスだ。

 

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 ビートルズをきっかけにロックが劇的に進化し、ポップミュージックが世界を覆った時代.僕たちのイマジネーションは 音楽からどれだけの影響を受け、どんな変態を遂げたのか。心の財産となったあの時代の夢と歌を考察する、音楽エッセイ集。ブログより33編を厳選・リライト。

 

もくじ

●八王子・冨士森公園のスローバラード駐車場で、ポップミュージックをこよなく愛した僕らの時代の妄想力について考える

●アーティストたちの前に扉が開いていた

●21世紀のビートルズ伝説

●藤圭子と宇多田ヒカルの歌う力の遺伝子について ほか

 

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人生百年時代の浦島伝説

 

のろまなカメがマッハのスピードで空を飛ぶ、

という大きなギャップは、かつての少年たちの夢を育んだ。

 

ゴジラと人気を二分した大映映画の怪獣ガメラは、

ひっこめた手足の穴からジェット噴射を出して

クルクル回転しながら空を飛ぶという離れ技、

さらにそのまま敵の怪獣に体当たりするという

神風特攻隊みたいな荒技で子どもたちを驚愕させた。

 

一方、昨日ご紹介したウルトラQ「育てよカメ」の

大亀ガメロンはそんな技など使わず、

ウルトラマンみたいに、というかオバQみたいに

背中に少年をひょいっと乗せて空を飛ぶ。

 

この「育てよカメ」は早い話、浦島太郎のパクリなのだが、

なぜか竜宮城は雲の上にあり、そこには乙姫らしき女の子が

ごく普通のワンピースを着てブランコに乗っている。

 

いったいどういう発想であんなシーンが出てきたのだろう?

お前が夢みる竜宮城なんて、じつはこんなもんだよ

――というアイロニーなのか?

 

人生百年という超高齢社会において、

浦島太郎の物語は、日本人、いや、世界中の人たちにとって

さまざまな示唆に富み、考察をするに値する重要な物語だ。

 

物語のラストは浦島太郎が玉手箱をあけたら

もくもくと煙が出てじいさんになって終わるが、

それをどうとらえるのかで、意味は変わってくる。

 

そもそもこの物語が今の形になったのはまだ明治時代のことだ。

これは僕の憶測だが、何と言っても富国強兵の時代。

いじめられているカメを助けるという人徳ある若者が、

一度、遊び惚けて飲んだくれて、

女に腑抜けにされてしまったら、

一生を棒に振ることになる。

そんな“ありがたーい人生訓”を盛り込んで、

日本男児たる者、そんな堕落の道に落ちぬよう自己を戒めよ――

という訓示に繋げようとしたのかも知れない。

 

しかし自己を戒めてどんないいことがあるのか?

それで幸福になるのか?

 

今の時代感覚から見ると、

カメを救うというちょっとした福祉をして感謝され、

飲んで食って楽しんで美人に愛されて一生過ごすなんて

こんなハッピーでサクセスフルな人生はない。

 

最後にじいさんになるのは人間、当たりまえの定めなのだから、

まさしく浦島太郎は人生の成功者と言えるではないか。

 

それにしても竜宮城にずっといればいいものを、

なんでまた浦島は故郷に帰りたいなんて思いに駆られたのか?

家族のことや村のことなど

放っておいて楽しみ続けることはできなかったのか?

 

玉手箱で太郎をじいさんにしてしまうのは、

裏切られた乙姫の復讐だったのか?

何もかも変わってしまった世界に絶望した

太郎に対する救済だったのか?

 

ところで浦島太郎がその後、どうなったのかは描かれていない。

明治から昭和にかけてはそれでおしまいだったかもしれないが、

人生百年時代のこれからは、じいさんになっても

ポジティブに生きていく浦島太郎の後日談が加わってもいい。

 

「昔はよかった」とか

「昔はこんなじゃなかった」なんてぼやくことなく、

浦島は荒野を目指して旅に出る。

 

まったく変わってしまった世界を

この目で見てやろうと世界の果てまで放浪する。

 

もしかしたらどこかの街で

人々に竜宮城の話をして喜ばれるかもしれない。

仙人や高僧だと持ち上げられて敬われるかもしれない。

また恋をして、

若い娘に惚れられてねんごろになることだってあり得る。

 

令和の世はそんなふうに浦島太郎の話を

つくり替えたってOKなのではがないだろうか。

 

それでは明日はこの続編で、

カメはなぜ浦島に助けられたのかと、

乙姫様が仕組んだ、女の陰謀のお話を一席。

 

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カネゴンは鳥を見た

 

現在、毎週月湯深夜にNHK-BSプレミアムで

「ウルトラQ」を放送している。

「ウルトラQ」は1966(昭和40)年にTBS系で放送された

円谷プロ制作の特撮ドラマで、

ウルトラシリーズの元祖となる作品だ。

 

日曜夜7時からの番組で、当時のファミリーが視聴対象。

怪獣が出てくるのでもちろん子供も大喜びだが、

中身は完全におとな向けのSF、ミステリー、ファンタジー。

僕は当時6歳で、

ものすごく怖くてとても一人では見られなかった。

 

同じように昭和の子供たちは、

毎週「ウルトラQ」によって

恐怖のどん底に落とされていただろう。

 

いま振り返ると、そこには子どもが

家族といっしょに怖いものを楽しめる

安心感・幸福感があった。

そういう意味でファミリー向けだったのだ。

 

ほとんどが大人っぽい内容だが、

3本だけ子どもが主人公のファンタジー物語があった。

それが「育てよカメ」「鳥を見た」「カネゴンの繭」である。

この3本のオープニング(エンディング)は、

あのこわーいテーマ曲でなく、

わんぱくマーチみたいな曲が使われていた。

 

「育てよカメ」は少年が飼っていた亀が突然巨大化して、

そいつに雲の上にある竜宮城みたいなところに

連れて行ってもらうというおとぎ話。

確かゆめ落ちだったのではないかと思う。

 

雲上の竜宮城にはブランコしかなくて、

乙姫様らしき女の子がやたらおきゃんで、小悪魔っぽかった。

 

「鳥を見た」も、少年が飼っていた小鳥が巨大化する物語。

こちらはコミカルではなく、芸術的な短編映画のようで、

「鳥を見た」というセリフがキーワードとして使われていた。

 

古代の怪鳥に変貌した友だちの鳥が

夕空の彼方へ去って行くのを見送る少年。

その後姿をバックにエンドロールが流れる。

話の内容は憶えてないが、

そんな詩情あふれる美しいラストシーンを見たのは

生まれて初めてだった。

 

「カネゴンの繭」はおなじみ人気怪獣カネゴンが

出てくる回である。

カネゴンはおカネ大好きなカネオ君という少年がある日、

不思議な繭に取り込まれ、

出てきたらカネゴンになっていたという話で、

言ってみればカフカの「変身」のパクリである。

 

そのカネゴンを人間に戻すために

友だちがあの手この手で知恵を絞ってがんばる。

表現はシュールでコミカルで現代批評だが、

基本構造は友情物語なのだ。

 

 

わが散歩道・善福寺川周辺にはカメも鳥もカネゴンもいる。

カメは基本的にこの先にある和田堀公園の池にお住まいだが、

ときどき川を上って出張してくる。

 

鳥はいっぱいいる。

春から夏にかけてはカワウやアオサギまでやってくる。

こいつらはなかなかの迫力で、

面構えはまさしく怪鳥だ。

 

そして今やこのあたりの名物となったオオタカも子育て中だ。

本当に時々だが、木の陰に白い体がちらっと見える。

 

そしてカネゴンがぞろぞろ歩いている。

僕を含めて「オオタカを見た」「カワウを見た」

「アオサギを見た」と騒いでいる。

 

人間の皮を被っているけど実はカネゴン。

カネゴンはいつもおカネを食べてないと生きていけない。

胸につけてるカウンターがゼロになったら死ぬ。

僕らも預金残高がゼロになったら・・・

いや、死なないで笑って生きよう。

カネはないけど心配するな、と。

 

庵野監督、ウルトラマンと仮面ライダーが終わったら、

今度は「シン・ウルトラQ]をお願いします。

 

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週末の懐メロ26:LOCH SENU/LANPA

 

LAMPA(ランパ)の[LOCH SENU(ロッホ・セヌ―)」は

1990年5月、イカ天で歌われた。

 

通称イカ天、「いかすバンド天国」はTBS系で

1989年2月から1990年12月まで放送された

バンド勝ち抜き合戦の番組である。

 

始まった頃、出場バンドのクオリティは結構高く、

当時、こりゃすごい、カッケー、楽しい、

テレビ的に面白いと思ったのがいっぱいあった。

 

しかし、30年あまりたった今。なおも新鮮に響き、

こころ傾けて聴けるのは、LANPAだけである。

 

ハイトーンで清涼な女声ヴォーカルと

ファンタスティックに響きわたるギター。

リズムセクションを含めた

アンサンブルの素晴らしさ。

 

そして、光や水、木や土や月など、

自然の事象と人の心情を重ね合わせて表現する

独特の美しさを持った音楽世界。

 

時に民俗音楽のようであり、

時にプログレッシブロックのようであり、

時にフォークっぽいニューミュージックのようでもある

変幻自在な楽曲は、どこかにありそうだけど

どこにもないユニークさを放っていた。

 

メジャーデビューも果たし、

CDも買って聴いていたが、この曲以外にも、

「水の上のペディストリアン」「記憶の森」

「ムーンライトマッドネス」「大地に雨」など、

バラエティ豊かな名曲ぞろいだ。

 

イカ天はその週にチャンピオンとなった「イカ天キング」が

5週連続で勝ち抜くと「グランドイカ天キング」になるという

仕組みだった。

 

LAMPAは4週勝ち抜くも最後の5週目で敗れ、

グランドにはなれなかった。

 

LANPAが去って以降のイカ天は全体的にクオリティが落ち、

ブランキージェットシティ以外、ほとんど憶えていない。

最後の3か月はつまらなくなって見なくなっていた。

 

審査員の好みか、番組の趣向なのか、

ルーツのはっきりしたロックらしいロック、

アクの強い強烈なキャラクター、イロモノ、

テレビ的に面白いといったバンドが

優遇されていたような気がする。

 

それらの基準のどれにも当てはまらず、

音楽性だけで勝負していたLANPAはちょっと不利で、

イカ天バンドらしくなかったのかもしれない。

 

けれども今となっては、そんなことはどうでもいい。

あれから30年。彼女らの遺した楽曲が

またとない生命力を持って輝いていることが

確認できれば、それで十分だ。

 

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ポップミュージックをこよなく愛した僕らの時代の妄想力

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 ビートルズをきっかけにロックが劇的に進化し、ポップミュージックが世界を覆った時代.僕たちのイマジネーションは 音楽からどれだけの影響を受け、どんな変態を遂げたのか。心の財産となったあの時代の夢と歌を考察する、音楽エッセイ集。ブログより33編を厳選・リライト。

 

もくじ

●八王子・冨士森公園のスローバラード駐車場で、ポップミュージックをこよなく愛した僕らの時代の妄想力について考える

●アーティストたちの前に扉が開いていた

●21世紀のビートルズ伝説

●藤圭子と宇多田ヒカルの歌う力の遺伝子について ほか

 

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やよいの花とみどりの寿司と魚が苦手な寿司屋の娘

 

26年前。1995年の4月15日に結婚式を挙げた。

本日と同じく、大雨の翌日の

しゃっきり晴れ上がった日。

 

オウム真理教が「何かが起こる日」と予言したため、

東京は最初のコロナ緊急事態宣言発令日みたいになっていた。

 

というわけで、きょうは結婚記念日だった。

特別なことはしないが、一応、「ハレの日」だし、

部屋に花を飾って、寿司でも食おうということになった。

 

花は永福町の南口にある「YAYOI」という花屋に買いに行った。

引っ越してからも年に数回、

ちょっとアニバーサリーな時はここの花を買い求める。

値段が安くて質がいいし、長持ちする。

アレンジのセンスも悪くない。

 

いつもは乙女チック少女マンガの主人公が

そのまんま齢を取ったような女主人のやよいさん

(たぶん自分の名前を店名にしたのだと思う)と、

ネズミ番のやたら恰幅の良い去勢ネコ

(ネズミが花を食べに来るらしい)がいるのだが、

今日は旦那さんだった。

 

いや、実際はどうだかわからないので、

花やラップやリボンを選んだあと、

「僕はここでやよいさんと猫さんにしか

会ったことがないのですが、あの、旦那さんですよね?

」と聞こうとした。

 

ついでにあの女性は本当に「やよいさん」なのかどうかも

確認しようとしたのだが、

ラッピング作業に移った瞬間、立て続けに4人もお客さんが来た。

(実は僕はけっこう福の神体質で、

黙ってお客を呼び寄せることができる)

それで忙しくなったので、とうとう聞けずじまいだった。

 

 

寿司は久しぶりに美登利寿司を食べた。

昔、梅が丘で初めてカミさんと美登利寿司を食べた当時は、

今のように寿司チェーンなんてほとんどなかったこともあって、

その旨さと安さに衝撃を受けた。

 

その後、美登利寿司もチェーン化し、

梅が丘以外にもあちこちに店が出来たが、

遠かったり混んでたりで、あまり食べる機会がなかった。

 

それが昨年10月、七夕祭りで知られる

阿佐ヶ谷パール商店街の真ん中に

テイクアウト専門店ができたのである。

阿佐ヶ谷はチャリを飛ばせば家から15分。

永福町と変わらない距離だ。

 

昼すぎに予約しておいて、夕方取りに行く。

行列も混雑もなくすんなり受け取り、

ついでに店内のお寿司の時計が面白かったので

写真も撮らせてもらった。

 

にぎりの盛り込みと、カリフォルニアロールと、

いなりずしだったが、

義母はあんまり生魚が好きじゃないので、

いなりと玉子ばっかり食べていた。

安上がりな人である。

 

食後、YAYOIのことがあったせいか、

美登利寿司の美登利さんは、すし屋の奥さんだったのか、

娘さんだったのか、ちょっと気になった。

 

小学校の同級生に好美という女の子がいて、

彼女はすし屋の娘で、お父さんは

店の名前に「すし好(よし)」とつけていた。

 

そういえば彼女も寿司屋の娘のくせに魚が苦手で、

助六や玉子が好きだと言っていた。

 

どうでもいいことをいっぱい思い出して楽しかった。

 


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オバマのタカハシさんちの娘は人魚の肉を喰った

 

人魚はメルヘンであり、ファンタジーであり、

ホラーであり、モンスターである。

ついでにかなりセクシーでもある。

 

アンデルセンの「人魚姫」の下半身が魚から

人間の脚に変わるのは、

女性の性的成長を表すメタファーである、という解説を

ある本で読んだときは、

まさしく目から魚のウロコが落ちた。

 

というわけで古今東西、人魚に恋する者は後を絶たず、

世界各地に人魚伝説が残されることになった。

 

ヨーロッパには、人魚姫のイメージを覆す

人魚が船乗りの男どもをおびき寄せて

食っちゃうという話がある。

(というか、逆にアンデルセンがこの怖いイメージを覆して、

可愛く、美しいイメージを創り上げたんだけど)

 

対して日本では人魚を食べちゃった、という話がある。

 

オバマ大統領の時、大いに盛り上がった福井県小浜市。

そのオバマの地に伝えられている「八百比丘尼」の話は

日本の民話の中でも異常に人気が高い。

 

昔、若狭国小浜(わかさのくにおばま)に

高橋権太夫という長者が住んでいた。

ある日、舟を出して遊んでいると嵐が起こり、

見知らぬ島に流されてしまった。

そこで彼は思わぬもてなしを受けることになる・・・

 

という感じで始まるこの話、このタカハシさんはこの土地の

お偉いさん、お金持ちで、彼が贅沢な会食をするのは

いろんなバージョンがある。

しかし、その後はどのバージョンも共通している。

 

その贅沢な会食の食卓に上るのは人魚の肉なのである。

(タカハシさんが厨房で人魚がさばかれるのを

目撃してしまうというバージョンもある)

 

タカハシさんは金持ちのくせにセコいのか、

少年のように好奇心旺盛なのか、

この人形の肉をこっそりテイクアウトして、

家の戸棚に隠しておく。

 

お刺身だったのか、塩焼きだったのか、ムニエルだったのか

わからないが、いずれにしても

冷蔵庫のない時代、そんなところに入れておいて

腐らないのかと心配になるが、

腐る前に家族の者が見つけて食べてしまった。

 

そのつまみ食いの犯人が、

みめ麗しい年ごろのタカハシさんちの娘だったのである。

 

肌の白い美しいその娘は、

それ以後、まったく齢を取らなくなった。

人形の肉を食べたせいで不老不死の体になったのである。

 

夫も家族も友人も死に絶え、時代が変わっていっても、

彼女は若いまま生き続ける。

 

やがて彼女はその長い生に倦み、村を出て、

尼さんとなって全国を遍路する。

 

そして人々を助け神仏への信仰を説き、

行く先々で白い椿を植えたという。

(杉の木を植えたなど、違うバージョンもある)

ちなみに八百比丘尼は正確には不死だったわけでなく、

800歳でこの世を去ったということだ。

だけど十分過ぎるほど生きた。

 

魚食文化を持つ日本人にとって、

そう遠くない過去--昭和の貧しい時代まで、

魚は不老長寿の薬、とまではいかないにせよ、

病気を治し、健康を保つ薬だった。

 

そういえば僕も子どもの頃に、

産後の肥立ちが悪い母親とか、病気の大人に、

タイやコイを食わせろーーという話を聞いたことがある。

 

この間、取材した島根県の坊さんは、

このあたりでは戦前まではオオサンショウウオ

(現在、特別天然記念物の地球最大の両棲類)を

捕まえて食っていた。

 

オオサンショウウオは半分に裂いても死なないほど

生命力が強いことから「ハンザキ」の異名がある。

おそらく滋養強壮剤として食べられていたのだと想像する。

 

これも実際は両棲類だが「山椒魚」というくらいだから、

昔の人は魚の一種だと考えていたのだろう。

オオサンショウウオを食べて不老長寿を獲得する―ー

そういう人がただの一人もいなかった、とは言い切れない。

 

それにしても、八百比丘尼の話は、

人魚を殺して肉にする。

それを若い娘が喰う。

不老不死になる。

旅に出て、花や木を植える。

 

モンスター、ホラー、ファンタジー、メルヘン、

そして考えようによってはセクシーも。

 

すべての要素を一つの物語に凝縮したかのようだ。

そのおかかげで現代のマンガや映画、小説、アートなど、

いろいろなカルチャーのモチーフになっている。

そういえばコロナ退散祈願のアマビエも人魚っぽい。

 

僕は800歳になった八百比丘尼は死んだのではなく、

人魚になって海に帰っていったのではないかと思うのだが、

いかがだろうか?

 


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週末の懐メロ25:タワー/エンジェル

 

高校に入ってしばらく経った1975年のある日。

当時よく通ってたロック・フォーク専門のレコ―ド店を

覗きに行ったら、店のマスターが僕の顔を見るなり、

「おっ、フクシマくん、今度すごいバンドが出たんだよ」

と言って聴かせてくれたのがエンジェルのデビューアルバム

「天使の美学」だった。

 

試聴用のプレイヤーのターンテーブルに

レコードを乗せて針を落とすや、

いきなりシンセサイザーの電子音がギュンギュン唸って、

ド派手なドラムがドカドカと響いたかと思ったら、

哀愁を帯びた美しいメロディーが流れだす。

オープニング曲「タワー」は、確かに劇的・衝撃的だった。

 

プログレ風味のハードロックと言うか、

ハードロックっぽいプログレと言うか、

とにかくそんな感じ。

 

ただし、日本でのエンジェルの扱いは

「アメリカ版クイーン」という感じだった。

人気爆発のクイーンをフォローして

女子ウケ狙っているのがミエミエで、

メンバー全員、中性っぽいメイクで

天使の白いヒラヒラの衣裳を着ていた。

 

レコードジャケットやステージを彩る

トレードマークの仮面のような像は

天使をモチーフにしているのだと思うが、

これはどう見ても天使と言うより、

エヴァンゲリオンに出てくる「使徒」である。

 

結局、僕は「天使の美学」しか聴かなかったが、

このアルバムは結構いい出来でクオリティの高い良い曲・

好きな曲が揃っていた。

中でもやっぱりトップにぶちかまされる

この「タワー」が最高である。

 

メロディラインの美しく、陰影に富んだ繊細な楽曲。

それに対して力まかせ、若さまかせの荒っぽい演奏。

そしていかにもアイドル然としたルックスとステージアクション。

 

いかにも1970年代のロックっぽくて

今ではとても貴重な存在、そして面白い個性に思える。

 

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もくじ

●八王子・冨士森公園のスローバラード駐車場で、ポップミュージックをこよなく愛した僕らの時代の妄想力について考える

●アーティストたちの前に扉が開いていた

●21世紀のビートルズ伝説

●藤圭子と宇多田ヒカルの歌う力の遺伝子について ほか

 

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帰ってきたE.T.

 

先日、「中学生におすすめの映画」を30本ほど挙げてみた。

その中の1本に「E.T.」を入れたが、

一昨年、37年ぶりに続編が出ていたのを知ってびっくり。

 

ただし、これはインターネット会社の

コマーシャルとして作られらたショートムービー。

 

タイトルは「A Holiday Reunion」。

4分ちょっとで観られるので、

興味のある人は見てみてね。

 

なんと、あの時の主人公・エリオット少年を演じた俳優、

ヘンリー・トーマスが出演している。

もちろん彼は無事に大人になっていて、この時点で48歳。

作品の中ではパパとなっている。

 

「E.T.」の公開は1982年。

世界中で大ヒットした

スティーブン・スピルバーグ監督の作品である。

 

思えば80年代はハリウッド映画の黄金期で、

「スターウォーズ」「エイリアン」「ターミネーター」などの

SFアクションをはじめ、現代に繋がるエンタメ大作が

続々と作られ、ガンガンヒットを飛ばしていた。

 

その後、シリーズ化された作品も多く、

「E.T.」も人気に乗じて続編が作られても

おかしくないはずだった。

 

実際、そういう企画は上がっていたと思う。

けれどもスピルバーグ監督がやろうとしなかったのだろう。

僕もこれは彼の最高傑作だと思っている。

 

だからこそ、このショートムービーを観て思ってしまった。

スピルバーグ監督、失礼だけど、

きっとあなたの時間は残り少ない。

あなた自身の手でやったらどうですか、100分の続編を。

 

こんな世界が分断される時代だからこそ、

1982年とはまったく違った、

けれども人々が納得し共感できる「続E.T.」を。

あなたの手で作る価値があるのではないか?

そう僕は待望している。

 


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中学生におすすめの映画

 

フェイスブックで「中学生におすすめの映画を教えて下さい」

とあったので、いろいろ好きなのを書き出してみたら、

残念ながら半分くらいはR15だった。

 

でも、リュック・ベッソン監督の映画「ニキータ」「レオン」はR15だろうと思ってたらセーフ。

逆に同じベッソン監督でも「グランブルー」はNG。

バイオレンスよりエロスに厳しい。

 

グランブルーはきれいな濡れ場だったという印象があるけど、

とにかくやってるところや丸ハダカが出てきちゃダメってことだ。

サイコホラーの元祖みたいな「羊たちの沈黙」なんて

子供が見たら人間が怖くなりそうな映画だけどOKなんだね。

 

というわけで、中学生だからと言って教育上好ましい映画、

感動しますよ映画ばかり見せてちゃいけない。

怖い世界、醜い世界、残酷な世界、変な世界にも

なるべく若いうちから触れておいたほうがいいということで

オススメを出してみました。

 

●トミー:70年代ロックオペラ。幼少期のトラウマを克服していく青年の物語。当時のロックスターが集結する絢爛豪華な世界。

 

●ジーザス・クライスト・スーパースター:70年代ミュージカルの金字塔。舞台っぽい、メイキングオブ丸出しのつくりも面白い。

 

●レ・ミゼラブル:原作も名作。ミュージカルとしても、音楽としても名作。舞台を完全映画化。

 

●オペラ座の怪人:同上。舞台を見られない少年少女たちにぜひ映画で体験してほしい世界。

 

●ブレードランナー:これからの社会でAI、ロボットと共生する人間が見ておくべきSFを超えたリアル。

 

●マイ・ライフ・アズ・ア・ドッグ:詩情あふれる少年の成長物語。スウェーデン映画。

 

●ビッグ:大人になりたい子どもが一夜にして夢をかなえて活躍するファンタジックコメディ。若きトム・ハンクスの名演。

 

●はじまりへの旅:現代文明の中で生きる人たちの内なる希望を発見させる寓意と哲学性あるコ三カルなロードムービー。

 

●帰って来たヒトラー:独裁者であり大悪党とされているヒトラーだが、彼を産んだのは何だったのか?という話。現代批評を交えた物語でありながら、かなりのエンタメ。

 

●わたしを離さないで:原作もドラマも映画も傑作。これまた未来の社会を生きる人間が見ておくべきSFを超えたリアル。

 

●田園に死す:70年代アングラ演劇の帝王にして詩人・思想家の寺山修司の前衛幻想劇。中学生になったら、これくらい異様な世界に迷い込む体験をしておいた方がいい。

 

●その日の前に:人生を考える終活映画。宮沢賢治の詩を基調とした大林亘彦監督ならではのファンタジーワールド。

 

●鉄道員(ぽっぽや):詩情あふれる鉄道員のヒューマンドラマ。消えゆく日本の心を一度は堪能してほしい。高倉健さんも志村けんさんも今はもういない。

 

●花とアリス:かわいい女の子の恋愛話。確か原作は少女漫画。アニメ化もされた。

 

●万引き家族:是枝監督のおもしろ悲しい傑作。犯罪と裁判の舞台裏を描く「三度目の殺人」もおすすめ。

 

●実録連合赤軍・あさま山荘への道程:中学生のいじめと変わらなかった、堕した学生運動の理想と末路。日本の黒い歴史の一つとして見てほしい。フィクションなのにドキュメンタリーのよう。

 

●この世界の片隅で:今や戦争のことは映画で知るしかないかも知れない。これはアニメだし、入門編として最適&素晴らしい高質のドラマ。

 

●シザーハンズ:ジョニー・ディップの出世作。モンスターのメルヘンストーリーと映像美。

 

●あの頃ペニーレインと:70年代ロックをテーマに、グルーピーの女の子に恋してしまう少年の青春物語。

 

●街の灯:一度は見ておくべきチャップリンの名作クラシック。

 

●おくりびと:中学生も死を見つめる時間を持つと良い。その入門編としても面白い。

 

●深呼吸の必要:沖縄を舞台にした青春もので、とても癒され、さわやかになる。

 

●トゥルーマンショー:バーチャルワールドを生きる現代人必見の“恐怖”コメディ。ジム・キャリーの代表作。

 

●レインマン:自閉症の兄を助ける弟の物語。ヒューマンドラマ。ダスティン・ホフマンとトム・クルーズの共演。

 

●太陽がいっぱい:アラン・ドロン主演。いまだ最高のサスペンスドラマに思える。フランス映画の金字塔。

 

●ET:宇宙人の子どもを助ける少年たちの話。思い出しただけで胸躍り、脳が宇宙に舞い上がるスピルバーグの最高作。

 

●ALWAYS三丁目の夕日:高度成長期は現代と地続きであり、歴史の1頁でもある。おとなのノスタルジーだけにしないで中学生にも見てほしい。

 

●ラジオの時間:稀代の喜劇作家・三谷幸喜のエッセンスが詰まっている。「12人のやさしい日本人」もおすすめ。

 

●ニキータ:泣き虫の殺し屋の大活劇。女の子が無中になる。

 

●レオン:やさしい殺し屋の悲劇。男の子が夢中になる。ジャン・レノが最高。

 

●羊たちの沈黙:「人間とはなんと恐ろしい生き物だ」と思わせる史上最恐のサスペンスにして、サイコホラーの原点。現代の異常心理を描くサイコドラマはここから始まった。

 

スターウォーズ、ターミネーター、エイリアン、ハリーポッター、ロード・オブ・ザ・リングなどのシリーズものは敢えて外して単独で観られるものだけにした。

 

こうやって書き出してみると、中学生におすすめすると同時に、自分がもう一度観たい映画ばかりだ。

死ぬまでに観られるか?

 


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週末の懐メロ24:悲しき鉄道員/ショッキング・ブルー

 

僕の脳内ジュークボックスの中で

すっかり廃盤になっていたショッキング・ブルー。

今年になってからたまたまYouTubeさんにご紹介いただいて

半世紀ぶりに聴いてみたら、まさしくショッキング。

すっかりイカれてしまった。

なんじゃ、この新鮮さ、このカッコよさは!

 

なにせまだ小学生だったので、

ラジオでなのか、テレビでなのか、

街中のどこかのお店でなのか、

どこで耳にしたのか、さっぱり憶えていない。

 

1969年「ヴィーナス」、1970年「悲しき鉄道員」と

大ヒットを連発したので、

けっこうよく聴いていたはずではある。

 

けれども中学生になってロック好きになってからは

「昔流行ったポップスグループ」として、

すでに過去の存在になっていた。

 

なんかその頃も耳にしたことがあったかも知れないけど、

古臭くて全然興味がわかなかった。

しかし、50年の歳月がそんなイメージをひっくり返した。

 

オランダのバンドで、

ヴォーカルのマリスカ・ヴェレスは

ジプシーの血をひく60年代型エキゾチック美人。

ーーということも初めて知った。

こんなちゃんとしたプロモビデオが残っているのも驚きだ。

 

世界的な大ヒットになったのは「ヴィーナス」の方だが、

僕はちょっとメランコリックなメロディーラインと

「No No No」という印象的なフレーズがリフレインされる

この曲の方がお気に入りだ。

 

「悲しき鉄道員」という邦題も

文学感、レトロ感が漂ってかえって新鮮で魅力的。

 

運転士なのか、機関士なのか、車掌なのか、駅員なのか、

はたまた開発者なのかーー

世界各地で特急列車が次々と開通し、

鉄道という産業・交通機関が花形だった時代には

「鉄道員」が一つの職業世界を表していた。

 

そういえば浅田次郎の小説を、

高倉健さん主演で映画化した「鉄道員(ぽっぽや)」

という20世紀の鎮魂歌のような名作もあった。

 

この歌のように、女よりも新列車の開発に夢中だった

レイルロードマンも大勢いたに違いない。

いまや絶滅寸前の「男のロマン」という言葉が通用した

最後の時代の名曲ともいえそうだ。

 

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ビートルズをきっかけにロックが劇的に進化し、ポップミュージックが世界を覆った時代.僕たちのイマジネーションは 音楽からどれだけの影響を受け、どんな変態を遂げたのか。心の財産となったあの時代の夢と歌を考察する、音楽エッセイ集。ブログより33編を厳選・リライト。

もくじ

●八王子・冨士森公園のスローバラード駐車場で、ポップミュージックをこよなく愛した僕らの時代の妄想力について考える

●アーティストたちの前に扉が開いていた

●21世紀のビートルズ伝説

●藤圭子と宇多田ヒカルの歌う力の遺伝子について ほか

 

●アクセス

https://www.amazon.co.jp/ から上記コードナンバー、

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40年目の「4月のある晴れた朝に100パーセントの女の子に出会うことについて」について

 

今年も4月になったので、村上春樹の

「4月のある晴れた朝に100パーセントの

女の子に出会うことについて」を読んだ。

 

別にルーティン化しているわけではないのだが、

つい決まりごとのようにページを開いてしまう。

クリスマスにクリスマスケーキを食べたり、

お正月にお餅を食べるのと同じである。

 

いまや老練な大作家になった村上春樹氏だが、

この短編の文章には、そのみずみずしい萌芽が詰まっている。

懐かしさよりも新鮮さ。

何度読んでも、そのたびにいろいろな感情が

湧き水のようになって体を巡る。

 

この物語はちょうど40年前、

1981年の4月という設定になっている。

 

1981年の4月、僕は練馬区の江古田駅近くの

4畳半に住んで、自分の劇団のための芝居を書いていた。

何もなくて、まったく自由で、毎日楽しかった。

ただ、100%の女の子はいなかった。

 

そこでふと考えたのが、今のカミさんは

僕にとって100%の女の子だろうか? ということである。

 

昔はそんなこと考えもしなかったけど、

今、振り返るとそうだったのかも・・・と思える。

そうだったことにしようとしているのかもしれない。

 

みんな「成功」というものに憧れているけど、

良い恋愛、良い結婚、好きな仕事をしていれば、

それで人生は成功、100%である。

それ以上のことはみんなオマケだ。

オマケをたくさんつけようと追いかけて、

本体を台無しにしたら0%になってしまう。

 

4月はまだ始まったばかりなので、

ほかにも感じるところを言語化できれば書こうと思う。

 


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