1975年、ロック音楽雑誌「ミュージックライフ」で
グループ部門堂々第1位。
キーボードプレイヤー部門はキース・エマーソン、
ベーシストはグレッグ・レイク、
ドラマーはカール・パーマーと、
すべて第1位を総ナメ。
「ELP(エマーソン・レイク&パーマー)を聴かない奴は
若者じゃないぜ」
とまで言われるほどの圧倒的な人気を誇った伝説のバンドだ。
当時はロックミュージックの急成長時代。
「古い価値観・古い権威をぶっとばせ!」の心意気で、
クラシック音楽をロックにしちゃうというのが一時期流行した。
そこでELPはムソルグスキーの組曲「展覧会の絵」を
めちゃくちゃアグレッシブなロックに変えて
ライブ録音でアルバムをリリース。
それが大ヒットとなり、
「クラシック音楽ロック」の代名詞となった。
もちろんで今も名盤として聴き継がれている。
また、男子だけでなく、女子にも人気があり、
少女マンガの青池保子氏の名作「イブの息子たち」に登場する
3人の主人公は、ELPをモデルにしている。
この1974年の「カリフォルニアジャム」というライブにおける
「展覧会の絵」のクライマックス「キエフの大門」の演奏では、
曲の中盤で、エマーソンがオルガンを弾き倒し=引き倒して
ギュワンギュワン唸らせた後、
今度はグランドピアノに飛び移って弾き出すと
それがみるみる宙に浮かび、
エマーソンはピアノとともに空中で
グルングルン何度も回転する。
そして最後はダイヤルとケーブルを全身にまとった
電子楽器の巨神兵・ムーグシンセサイザーに飛び掛かり、
ヒュイーンヒュイーンと泣かせて完全制圧する。
いま見ると大笑いの超絶パフォーマンスだが、
あの頃はこれがすごかった。カッコよかった。
エマーソンはまるで機械文明に打ち勝った
人類代表のヒーローのようだった。
みんなが興奮して泣いていた。
けれども僕らの胸を熱くした
エマーソンもレイクもこの世を去っていった。
「キエフの大門」の歌詞の末尾、
「Death is Life」が胸を刺す。
今ではもう多くの人から忘れられているかも知れないが、
ELPこそロック黄金時代の夜空を焦がした
巨大な打ち上げ花火だった。
This is ELP!
20世紀の夢の歴史を見よ。
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もくじ
●八王子・冨士森公園のスローバラード駐車場で、ポップミュージックをこよなく愛した僕らの時代の妄想力について考える
●アーティストたちの前に扉が開いていた
●21世紀のビートルズ伝説
●キング・クリムゾンの伝説と21世紀版「風に語りて」
●プログレッシヴ・ロックスターの死①:ジョン・ウエットンの訃報、そしてロンドンの寿司
●プログレッシヴ・ロックスターの死②:キース・エマーソンの尊厳死(1周忌に捧ぐ)
●ヘイ・ジュード:ジョンとポールの別れの歌 ほか
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