大退職・大辞職・大離職時代VS大量解雇・ハードワーク指令

 

9月から執筆に当たっているリモートワークの本が

あと一歩ということころまで来た。

そんな折、アメリカのIT業界で解雇の嵐。

 

ツイッターのCEOになったイーロン・マスク氏は、

取締役などの高給取りをはじめ、

社員の半数近くをレイオフした後、

「出社して週40時間以上働けない者は

明日から来なくていい」というお達しを出した。

 

まるで30年前の日本の「24時間働けますか」を

再現するかのような世界。

 

結局、ツイッターは

全体で3分の2が解雇されることになった。

これぞアメリカのダイナミズム!

とも言えるが、さすがにおっかない国だ。

 

ただ、「解雇された」というとかわいそうに聴こえるが、

「だったらこっちから辞めてやる」と、

うまうまと退職金をがめていった人が

多いのではないだろうか。

 

システムエンジニアをはじめ、ある程度優秀な社員なら

「ツイッターで働いていました」と言えば、

どんな職種でもそう職探しに苦労しないだろう。

給料が多少下がったとしても、

新しいクレイジーなCEOが要求するような

ハードワークはごめんだと思う人が大半ではないかと思う。

 

本の取材で先月お会いした某有名日系企業の

アメリカ支社の社長の話では、

コロナ以降、

すっかりリモートワークがスタンダードになり、

オフィス勤務者の間ではワークフロムホームーー—

在宅勤務の人が激増した。

そして、家でゆったりマイペースで仕事できる

リモートワーク、ワークフロムホームは

彼らの人生観をも変えたという。

 

家庭も自分も省みず、ガツガツ休みなく働いて、

カネばっかり稼いでもハッピーではない。

そう考える人の増加で「大退職(大辞職・大離職)時代」――The Great Resignation が到来したと

世間で話題になったのはつい1年程前のことだ。

 

「企業にこき使われるのはごめんだ。

人間らしく生きたい」という労働者の声に、

多くの大企業の経営者は

不愉快な思いを抱いているということだろう。

 

マスク氏ほどではないかもしれないが、

ウォール街の金融エリート企業のお偉いさんたちも、

特に高給取りの社員に対しては、

何か特別な理由がない限り、リモートワークを許さず、

「ちゃんとスーツを着て毎日出社しろ」と

ゲキを飛ばしているらしい。

 

イーロン・マスクもあれだけの天才経営者なのだから、

最近の労働者の心理ぐらいわかっていたはず。

いきなりあんな発信をすれば、

反発が来るのはわかっていたはずだが、

あえてやったのはそれだけの自信があるからか?

 

先日は冗談めかして書いたが、

やはりそれだけAIが整備されたのか?

自分の側近は皆ロボットで固めたりして。

 

それにしても、そんな状況からここにきて、

アメリカITの大量解雇。

そして、カウンターパンチのようなハードワーク指令。

 

アメリカで発生した波は時間差で日本にも波及する。

大退職(大辞職・大離職)の波が来るのか?

大量解雇とマスク流ハードワークの波が来るのか?

いずれにしても来年は何かしらの波乱があるだろう。

人間と労働をめぐる問題は、いつの時代も面白い。