週末の懐メロ133:さよなら人類/たま

 

むかし、友だちの家に遊びに行くと、

まだチビだった彼の息子たちが

「きょうー、じんるいがはじめて木星についたよー」と、

調子よく歌っていたのを思い出す。

 

1990年リリース。

その友だちはとっくに木星ならぬ、あの世に行ってしまい、

「たま」が大好きだったあのちびっ子たちも、

もう40近い齢になる。

 

「さよなら人類」は、

子どもも歌えるリズミカルで楽しい歌だが、

よく聴くと、歌詞の内容はかなりシュールな

怪奇SFの世界。

深読みすれば、戦争論、文明論、人類存亡論にもなり得る。

それをこんな童謡っぽく、

誰でも楽しめる歌にしてしまう表現力が、

この「たま」という、

ミュータントみたいなバンドのすごさ。

 

「たま」は一般的には

「イカ天(平成が始まった頃に放送していた

テレビのバンドオーディション番組

「イカす!バンド天国」)

出身の色物バンドという印象が強いが、

その音楽的クオリティは、

この半世紀余りの日本の

ロック・フォーク・ポップミュージック界で

トップレベルに入るだろう。

オリジナリティという点でも群を抜いている。

 

もともと4人のバンドとしてやっていたわけではなく、

ライブハウスやミニシアターなどで活動していた

ソロのシンガーソングライターたちが集まって

できたユニット。

4人がそれぞれ、自分で曲を作り、

リードヴォーカルを取り、持ち歌がある。

それがどれも個性的で面白く、

しかも4人が一体化した時のアンサンブルが素晴らしい。

 

彼らは一般受けする音楽をやろうという気はさらさらなく、

「イカ天」に出たのも、メンバーに断りなく、

関係者が勝手に応募してしまったのだという。

 

それが結局、あれよあれよという間に5週勝ち抜いて

グランドキングになってしまい、

メジャーデビューとして出したこの曲が大ヒットした。

 

その後もメンバーはゴーイング・マイ・ウェイで

2003年までバンドして活動。

解散後も、それぞれ自分の好きな音楽活動をしている。

 

いま改めて聴くと、むかし以上にシュールでコミカルで

ドラマチックに響き、ますますすごい「さよなら人類」。

こうした怪奇SFから珍妙なファンタジー、

童謡やわらべ歌、昭和のアングラ演劇を想起させる曲、

チンドン屋っぽい旋律、

サーカスや見世物小屋をモチーフにしたような

ダークでコミカルな幻想曲まで、

日本古来の独自の音階を活かし、

特別ユニークで、

イメージ豊かな音楽世界を創り上げた「たま」。

 

これほどの個性と実力を併せ持った楽団が

表舞台に現れるのは、これからの時代、かなり難しそうだ。

昭和と平成のはざまに生まれた、

オンリーワンの奇跡の音楽として

ずっと語り継がれるのかもしれない。

 

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