渋谷の100番地で未来を覗き見る

 

「100BANCHI」は

「未来を創る実験区」「100年先を豊かにする」

といったコンセプトを掲げた実験アート工房。

そんな呼び名がしっくりくる。

 

ホームページを覗き、実際のギャラリーを覗いたが、

何やら僕たちの日常生活やビジネスなどとは無縁な、

浮世離れした若い連中の

アバンギャルドなアートの世界が展開している。

 

のだが、この施設・組織の母体は、

あのパナソニックと聴くと、

インパクトとともに頭のなかに???の花火が上がる。

 

この施設は、パナソニック(松下電器)の創業100年を機に

2017年7月にオープン。

これからの時代を担う若い世代とともに、

次の100年につながる新しい価値創造に取り組む

プロジェクトだという。

 

ぱっと見、そんな企業臭さはまったく匂わず、

もちろんパナソニックの宣伝、および、

それにつながるようなものは微塵も見当たらない。

 

アートスクールのようなノリ?という印象が強く、

いろんな若者が多種多様なアート(のようなもの)を

作っている仕事場(あるいは遊び場)というイメージで、

その実態は不明。

 

しかし、松下幸之助氏が始めた松下電器の仕事場は、

100年前の一般人・常識人から見たら

おんなじように奇異に見えたに違いない。

つまり、ここは未来の暮らしとビジネスのための

基礎研究を行う場所なのだろう。

 

昨夜はここで「死をリ・デザインする」という

トークイベントが行われた。

例によって「月刊終活」の取材だが、

めっちゃ面白く、仕事抜きで楽しめ、考えさせられた。

 

記事化するので内容は明かせないが、

単純化して言うと「死」を隠蔽するのでなく、

もっとオープンに、明るく楽しく語り合えるために、

何か形あるものを創っていこう、という趣旨の話。

 

この100BANCHIが輩出した若い女性のプロジェクト集団が

そのためのツールを開発したり、

エンディング関係の会社とコラボした活動をしている。

ディスカッションを聴いて、

ちょっとだけ未来を覗いた気分になった。

 

とは言え、そんな僕の気分を笑い飛ばすかのように

すでに渋谷は一気に未来モード。

 

この「100BANCHI」がある

JR渋谷駅・新南口の界隈の渋谷3丁目は、

LEDでライトアップされた渋谷川のリバーサイドだ。

 

100年前はさらさら流れる小川だった渋谷川は

戦後の渋谷の大都市化によってデッドなドブ川になり、

それがまた近年の再開発で、お洒落なシティリバーに。

(本質的にドブ川であることは変わらないが…)

 

コロナ禍のせいもあって、渋谷の街を歩いたのは

ほぼ5年振りくらいだが、

未来感あふれるデジタルな「SHIBUYA」への

変貌ぶりにびっくり仰天した。

 

かつてのドブ川に似つかわしい、

汚ない雑多なアナログ裏渋谷にノスタルジーを抱きつつ、

この未来世界で、おれはいつまで生きているのだろう?と

思わずシティリバーの畔で佇んでしまった。