週末の懐メロ161:限りなき戦い/ペイジ&プラント

 

英国のファンタジー作家・トールキンの

「指輪物語~王の帰還~」から

材を取ったと言われるこの曲は、

レッド・ツェッペリン1971年リリースの

「Ⅳ(フォアシンボルス)」の収録曲。

 

20世紀ロックの必聴版として名高い

「レッド・ツェッペリンⅣ」の

アナログ盤A面は、ブラックドッグ、ロックンロールと、

ZEP史上最強のロックナンバー2曲を

立て続けにかました後、一転して、

アコースティックなこの曲をブリッジにして

史上最高のバラードとロックの融合曲

「天国への階段」へつながるという完璧な構成だった。

 

そんなわけで何となく「天国への階段」へのつなぎ、

前座と見なされることが多かった「限りなき戦い」だが、

エスニックで印象的なメロディラインは

ヘヴィメタバンドとして分類されていた

ZEPのイメージを大きく変えた。

世界中のさまざまな伝統音楽のエキスを

ロックの文脈に取り入れた

ワールドミュージックバンドのZEPが

このあたりで開花したと言ってもいだろう。

 

ZEP時代、この曲をライブで演奏することは

ほとんどなかったようだが、

解散から10年あまりの月日を経て、

ギターのジミー・ペイジと

ヴォーカルのロバート・プラントが

再びタッグを組んで発表したアルバム

『ノー・クォーター』(1994年)では

民俗音楽色が3倍濃厚になった

リメイク版「限りなき戦い」が登場。

ZEPとは一味ちがうペイジ&プラントがめざす

音楽の方向性を示した。

 

また、この曲はレッド・ツェッペリンの楽曲の中でも唯一、

女性のゲストヴォーカリストが登場することでも

知られている。

 

オリジナルは60年代から活躍していた

イギリスのフォークバンド

「フェアポート・コンベンション」のサンディ・デニー。

神秘性を帯びた声で

プラントとの素晴らしいハモリを聴かせていたが、

このペイジ&プラントでは

インド系イギリス人のナジマ・アフタールが参加。

ペイジの弦楽器とエジプト人の

ジミューシャンたちをバックに、

エスニック感満点のデュエットで

古代の叙事詩のような世界を描き出す。