東寺の密教世界と観瀾斎アート

 

どこに行っても観光客だらけの京都だが、

不思議と東寺はいつ行っても空いている感じがする。

空海ゆかりの東寺は、京都駅から徒歩15~20分。

(中途半端なロケーションなので

歩ける人は歩いた方がいい。

足が悪ければタクシーで1~2メーター。)

 

平安京の遺構であり、日本最古の密教寺であり、

もちろん世界遺産の一つ。

800円で巨大な薬師如来が鎮座する金堂(こんどう)、

立体曼陀羅のある講堂(こうどう)、

そして五重の塔を見て回れる。

どれも圧巻。

こういう寺が1200年も存続しつづけていることが、

月並みだけど日本の素晴らしいところ。

 

空いている感がするのは、

単にタイミングがいいだけなのか。

境内がだだっ広いので人口密度が低いからか。

けどそれよりも、

他の観光地から離れ小島のような場所にあり、

周囲に食べ歩き用の飲食店や

土産物屋がないおかげで俗化されず、

観光公害を免れているのが大きいのだろう。

今回も修学旅行生はあちこちから来ていたが、

うるさい外国人は少なく、快適に見て回れた。

 

今回、3つの建物のほかに、食堂(じきどう)で

観瀾斎(かんらんさい)という画家の展覧会をやっていた。

こちらは入場無料なので、さりげに覗いてみると

「棟方志功?」

「ピカソ?」

「マティス?」

「シャガール?」

といった作品がずらり。

それらの巨匠のタッチで仏様の世界を描いている。

悪く言えばパクリなのだが、

この人の描くテーマ「祈り、癒し」――

人間と仏様の世界が、

それらの巨匠に近いタッチで描かれているを見るのは

とても楽しいし、こころ動かされる。

そしてどれもアート一直線でなく、

少しずつポップでマンガっぽくて、庶民的なのもいい。

 

デジタルテクノロジーが広がり、

人間の社会・感情生活が大きく変わる一方で、

100年前と何ら変わることなく

各地の戦争で不安に脅かされる現代の世界。

こうした状況に触れて、

もし、かの20世紀アートの巨匠たちが生きていたら

どんな絵を描くのだろうと思わず考えてしまった。

観瀾斎氏には今は亡き志功やピカソに替わって、

「祈り、癒し」の絵を描いてほしいと思った。

 

この展覧会では来年の干支である

龍の作品も多数展示されており、

ポップでユーモラスな龍の絵は縁起がよさそうだ。

小さなパネルの絵なら2000円~3000円で買える。

12月24日まで。

あとひと月間、開催されているので、

これから京都に行く人はぜひ東寺に立ち寄り、

仏像と観瀾斎の絵を見るのがおすすめ。