週末の懐メロ170:ラヴィン・ユー/ミニー・リパートン

 

ここで毎週紹介している懐メロは、

たいていどれも記憶に残る出会いがあるのだが、

この曲だけはいつ・どのように出会ったのか、

ラジオで聴いたのか、テレビで見たのか、

コマーシャルだったのか、街のどこかで流れていたのか、

「ラヴィン・ユー」は10代後半の頃から

いつの間にか耳に住み着いていたという感じの曲だ。

 

ラブソングのプロフェッショナルなら

誰でも一度は歌ってみたいと思うような

美しい旋律の純粋なラブバラード。

それに自分の個性に合わせて

アレンジの自由度が高いこともあり、

世代を超えて、世界中でカヴァーは数限りないが、

オリジナルは1975年のミニー・リパートン。

 

彼女は黒人のシンガーだが、

歌はブルージーでもソウルフルでもない。

黒人だからと、そうした歌い方を求められることに

反感を覚えていたという。

 

もともとはオペラ歌手志望だったが、

ポップミュージックの世界へ。

既に大スターだったスティービー・ワンダーの

バックヴォーカルを務めたことで

メジャーなミュージシャンとしての道が開けた。

 

ワンダーはプロデューサーとして、

驚異の5オクターブの声域を持つ

彼女の歌唱の魅力を開花させた。

初のソロアルバムにつけた名前は

「パーフェクト・エンジェル」だ。

 

彼女自身は僕がまだ10代だった1979年に、

31歳の若さでこの世を去っている。

けれども子供の誕生を祝って夫と作ったという

「ラヴィン・ユー」はおそらくいつの時代も、

ほとんどの人が愛さずにはいられない

普遍的な名曲として、

この先も永く生き続けるのではないかと思う。