週末の懐メロ58:イッツ・ア・ミステリー/トーヤ

 

1981年。トーヤのセカンドアルバム「聖歌」の挿入歌。

世界の神秘を歌う詩人のようなトーヤの歌と

2本のアコースティックギターの響き。

5年ほど前にイギリスの新設ラジオ局で

収録されたものらしい。

 

トーヤ(TOHA)はバンド名であり、

彼女の名前(トーヤ・ウィルコックス)でもある。

1980年代のパンク・ニューウェーブの流れでデビューした

イギリスのアーティストで、俳優としても活躍している。

 

イメージ的にはケイト・ブッシュのフォロワー、

日本で言えば戸川純というところか。

 

非日常の世界に引っ張り込んでくれる

エキセントリックな女性アーティストが好きだったので、

彼女の音楽もよく聴いてた。

アルバムも5枚持っていた。

 

バリバリにロックしていた頃のトーヤは、

髪をオレンジ色に染め上げたり、突っ立てたり、

メイクも衣裳も、とにかく奇抜さを追求。

今ならゲームのキャラクターにでもなりそうな

妖精かSFヒロインみたいな恰好で、

神話やファンタジーから題材をとった楽曲を

パンク仕立て、ニューウェーブ仕立て

時にはプログレのスパイスを加えつつ

ステージで暴れまくりながら歌っていた。

 

「イッツ・ア・ミステリー」は、

その親しみやすいメロディで、

彼女の代表曲ともいえる楽曲だが、

原曲はシンセサイザーがビンビン響き、

リフレインでどんどん盛り上がっていく

テンション上がりまくりの曲だった。

 

もちろん僕は大好きだったのだが、

先日、このアコースティックバージョンに

巡り会って再びハートを射ぬかれた。

 

だてに40年歌い込んできたわけではない。

昔やっていた突き抜けるようなシャウトは

もうできないのだろうが、

その分、丁寧に思いを織り込むように歌うトーヤの声は、

若い頃よりも深く、優しく、可愛く、

不思議な色気に溢れている。

まるでケルト神話の森に誘い込まれるかのようだ。

 

後から調べてみたら、2015年に

「アコースティック・アルバム」を出していて、

他にピアノバージョンや、

弦楽四重奏バージョンまでやっていて、どれも素敵だ。

 

若い頃はエキセントリックな面しか見えていなかったが、

改めて本当にいい曲だなと思う。

アコースティックにしたことで、

むしろ21世紀の音楽として昇華したという感じがする。

すごく新鮮に響く。

 

さて、80年代のトーヤを知る人は少ないと思うが、

彼女は最近、YouTubeでちょっと話題になっている。

それはキング・クリムゾンの総帥ロバート・フリップと

コンビでやっているロック漫才である。

彼女はかのプログレの巨匠のカミさんなのだ。

 

厳格な求道者と見られていた夫のイメージを

お笑い芸人か? と思えるところまで

完膚なきまでに叩き潰した功績は大きい。

 

二人の結婚生活は結構長く、

もう30年以上に及ぶはずだ。

 

フリップ(クリムゾン)とトーヤの音楽からは、

愛情とか結婚とか家庭とか、

一般的な幸福感といったものは

微塵も感じられないけど、

とても仲睦まじいようだ。

人間はいろんな矛盾した面を

併せ持っているからこそ面白い。

 

以前からイギリスのテレビ番組などには

「おもろい夫婦」として出演していて、

暖かく幸福そうな笑顔を振りまいていたようだ。

 

だからYouTubeEでのお笑いパフォーマンスも

そう唐突なことでもないのかもしれない。

 

それにしてもフリップをここまで改造してしまった

女の力はまさしくミステリー。

 

夫婦漫才を始めた動機は、

コロナ禍でステイホームを余儀なくされた人たちを

少しでも楽しませたい、というもの。

かつてのエキセントリックなニューウェーブガールは

包容力と慈愛の深い女性に成熟したのだ。

 

そんなことを考えあわせると、

この「イッツ・ア・ミステリー」の

アコースティックバージョンも

より味わい深く響いてくる。

 

 

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週末の懐メロ57:暗黒(スターレス)/キング・クリムゾン

 

1974年発表、アルバム「レッド」の最終曲。

計ったことはないが、キング・クリムゾンは、

おそらく僕がこれまで最も長い時間、

その演奏を聴いたミュージシャンである。

 

アルバムも1980年に発表されたものまでは

ライブ盤、ベスト盤を含めてすべて持っていた。

 

なぜそれほどハマったのか?

ほとんどビョーキだったとしか思えない。

今でいう「中二病」というやつだろうか。

 

紅王との遭遇

 

「レッド」と出会った時は中三のだった。

忘れもしない、初めて買った音楽雑誌

「ミュージックライフ」のレコードレビュー欄に

新譜としてこのアルバムが紹介されていた。

 

そこにある情報はジャケット写真と曲名と、

100~200字程度の短いレビュー。

ツイッターで書ける程度の分量だったと思う。

 

脳髄に入り込んだのは 収録された全5曲の曲名の並び。

表題作のほかはすべて漢字で、

「堕落天使」「再び赤い悪夢」「神の導き」「暗黒」。

全部合わせてもわずか16文字。

カタカナ名の「レッド」を入れても19文字。

 

語彙の少ない当時の中学生が、

まだあまり目にすることのなかった

ダークで宇宙の深淵を感じさせるような

言葉の並びに

それまで持っていたロック、ポップスの概念が

破壊されるようなインパクトを受けた。

 

それと合わせて、暗闇にメンバー3人の顔が

浮がび上がるジャケ写真。

それだけで迷わず小遣いをはたいてレコードを買った。

 

レコードから出てきたのは、

これまで聴いたことのない「異様」としか

表現できないような音楽だった。

その時の感触は今でもよく憶えている。

 

特にメロディアスな部分を多く含む

「堕落天使」と「暗黒」には

完璧に心を支配された。

 

クリムゾンの音楽のすごさと魅力は

その過激なメリハリにある。

むき出しの暴力性と、

それを取りなすような優しさ・切なさ・美しさ。

地獄と天国、悪魔と天使との矛盾を

ギリギリのところで抱え込んだ圧倒的存在感が、

まさしくプログレの中のプログレ。

キング・オブ・プログレッシブロックだ。

 

僕が読んだ「ミュージックライフ」のレビューでは

5点満点で星4つ。

「そこそこいいよ」といったレベルだった。

 

そして1974年から75年頃、クリムゾン自体も、

プログレッシブバンドとしての人気は、

ELP、イエス、ピンク・フロイドの後塵を拝していた。

 

ところが半世紀近く経った今、

キング・クリムゾンはその名の通り、

依然としてプログレのキングとして君臨。

70年代最後のアルバム「レッド」は、

1969年のデビュー盤「クリムゾンキングの宮殿」と並ぶ

深紅の王の最高傑作として、

また、ロック史に輝く名盤として

世界中の人たちに評価され、寵愛されている。

 

そして曲名は日本人の英語力のレベルアップ?)に伴って、

「堕落天使➡フォールン・エンジェル」、

「再び赤い悪夢➡ワンモア・レッドナイトメア」

「神の導き➡プロヴィデンス」

「暗黒➡スターレス」

といった具合に、そのまんま原題のカタカナ名に、

たぶんアナログレコードからCDへの変わり目の時に

改名された。

 

ついでに言うと、

「21世紀の精神異常者」は「21世紀のスキッツォイドマン」に、

「放浪者」は「エグザイルㇲ」に、

「夜を支配する人」は「ザ・ナイトウォッチ」になった。

 

なんだかプロレス技の「岩石落とし」が「バックドロップ」に、

「人間風車」が「ダブルアーム・スープレックス」に、

いつの間にか変わったのと似ている。

 

1960~70年代と80年代以降の間に流れる深い河、

昭和と平成の間の感性のギャップを感じる。

 

●燃え尽きた紅王

 

 

僕が初めてクリムゾンの音楽に遭遇したアルバム「レッド」は、

彼らのラストアルバムだった。

その半年後に「U.S.A」というライブ盤が出たが、

収録は「レッド」のほうが後なので、

実質的にはこちらが最後と言っていいだろう。

その時、1960~70年代のクリムゾンの歴史は

いったん幕を下ろしたのだ。

 

「暗黒(スターレス)」はその有終の美を飾る大曲で、

集大成、燃え尽きるクリムゾン、などとも評された。

 

実際はこの曲はアルバムの他の曲よりも先にできていて、

1973~74年のヨーロッパやアメリカのツアーで

たびたび演奏されていた。

ライブ盤「U.S.A」にもアナログでは入っていなかったが、

CD化された時に収録されていた。

 

この映像で演奏されているのは、

その頃の、いわゆるアーリーバージョンで、

まだデヴィッド・クロス(バイオリン/キーボード)が

脱退する前の、4人の時に演奏されている。

 

「レッド」製作の際には、

これにイアン・マクドナルドやメル・コリンズなど、

初期の旧メンバーの管楽器群が加わって完成された。

 

この4人だけでもすごいのに、

マクドナルドらが参戦して、

後半は各楽器の圧倒的なバトルロワイヤルになって展開。

クライマックスでメインテーマに戻ってきて

エンディングに向かって激走する最後の1分間は、

まさしく集大成・燃え尽きる感じがして、

クリムゾンの音楽のすごさが凝縮されている。

 

●神秘のベールに包まれた紅王

 

10代から20代前半の頃は、どちらかというと、

「宮殿」に代表される初期のサウンドが好きだった。

 

最初のクリムゾンは、イアン・マクドナルドと

作詞家ピート・シンフィールドの個性が強く出た

まるでシェイクスピア劇のような荘厳な世界だった。

 

けれども齢を経るとともに、

「太陽と戦慄」から「レッド」にいたる

この頃のクリムゾンサウンドが好きになった。

その思いは今も変わらない。

 

クリムゾン史上最強のメンバー。

 

ロバート・フリップ(ギター/メロトロン)

ジョン・ウェットン(ベース/ヴォーカル)

ビル・ブラッフォード(ドラムス/パーカッション)

デヴィッド・クロス(バイオリン/メロトロン)

 

アルバム「太陽と戦慄」(これもすごい邦題!)で

集結したこの四人は、1973~74年にかけて

ヨーロッパ・アメリカで

長期のライブツアーを行い、膨大な音源を残した、

 

じつはこの時、

日本公演もスケジュールに組まれていたらしいが、

あまりのタフさにクロスが音を上げてバンドを脱退。

そして、フリップが限界を感じて解散を決めた。

そのために残念ながら来日公演は実現しなかった。

 

70年代のクリムゾンは音源は膨大にあるが、

映像はほとんどなく、後から加工されているとはいえ、

このスタジオでの収録風景の映像は

かなり貴重なものである。

 

ちなみに高校生の時、

行きつけのレコード屋のマスターからプレゼントされた

ワーナーパイオニア(レコード会社)のカレンダーに

各月それぞれ12組のロックバンドが載っていて、

確か9月だか10月だかがキング・クリムゾンだった。

そこで使っていた写真が、

このスタジオでの演奏シーンだった。

 

何と言っても、

まだ20代半ばの若きメンバーらの風貌がいい。

今は亡きジョン・ウェットンは

まるで映画俳優のような顔立ち。

デヴィッド・クロスも、とてもハンサムだ。

ビル・ブラッフォードのエキセントリックな表情もいい。

ちなみにビル・ブラッフォードは、

今は「ブルーフォード」と呼ぶらしい。

 

この当時は今と比べると情報量に

天と地ほどの開きがある。

 

特にクリムゾンの音楽活動に関しての情報は非常に乏しく、

音源以外の情報といえば、

レコードについているライナーノーツと

雑誌のわずかな論評のみ。

動画はおろか、カラー写真もないし、ステージ写真もない。

ビジュアルがほとんどない。

しかし、それが却って他のミュージシャンにはない、

神秘感を醸し出していた。

 

ライナーノーツや雑誌に載る

モノクロ写真のメンバーの姿は、

ロックミュージシャンというよりも

世界史の本に載っている

思想家とか哲学者・文学者を想起させた。

それもまた、僕の中でキング・クリムゾンが

別格の存在になった要因でもある。

 

そういえばレコードについている帯には

「神秘のベールに包まれた・・・」

といったカッコいいフレーズが謳われていた。

要するに情報が少なかっただけなのだが。

 

●1980年の来日公演

 

1974年のラストアルバムで罹患したクリムゾン病は

その後、どんどん進行していったが、

それと反比例するかのように、

70年代半ばをピークにプログレの人気は急降下し、

代わってパンク、続いてニューウェーブが台頭していく。

まるでクリムゾンの終焉が

プログレの時代の終わりを暗示していたかのように。

 

ところが80年代に入った途端、

なんと死んだはずのキング・クリムゾンは

「ディシプリン」というアルバㇺを出して生き返る。

 

これはロバート・フリップが、

ビル・ブラッフォードと再び組み、

ギター、ヴォーカルのエイドリアン・ブリュー、

ベースのトニー・レヴィンを入れて結成した

新しいバンドだった。

 

当初のバンド名は「ディシプリン」だったのだが、

フリップはこのバンドに再び

「キング・クリムゾン」の名を冠した。

 

フリップの意思だったのか、

マネージメント側やレコード会社の意向だったのか、

わからないが、

この時から「キング・クリムゾン」は

バンド名であるとともに、

音楽ビジネスのためのブランド名になった。

 

驚きと不安の中で聴いた「ディシプリン」。

それはかつてキング・クリムゾンとは

まったく別の音世界だった。

僕は混乱した。

 

それでも初の来日公演を行うというので、

チケットを手に入れないわけにはいかなかった。

 

来日公演について宣伝をしたり、

熱く語った覚えはないのだが、

なぜかプログレなんてほとんど聴いたこともない友だちが

「おれもいく」「あたしも行きたい」とか言い出し、

5、6人くらいで連れ立って会場へ向かった。

 

東京の会場は、今はなき浅草国際劇場。

「なんで浅草?」という違和感と

実際のステージを見た時の違和感は忘れらない。

 

ああ、やっぱり。

このキング・クリムゾンは、

僕が知っている、ぼくを病気にした

キング・クリムゾンではない。

 

「レッド」と「太陽と戦慄パート2」はやってくれたが、

暗黒も、堕落天使も、21世紀も、宮殿も、放浪者もない。

 

ディスコやニューウェーブの影響を受けた

「デイシプリン」のサウンドに、

60~70年代のクリムゾンのイメージに支配されていた

僕は脳も体もついていけなかった。

 

唯一、日本のあいさつを勉強してきたロバート・フリップが

お坊さんみたいに手と手を合わせて「アリガト」と

観客にお辞儀していたのが心に残った。

 

浅草からの帰り道、

本当にプログレッシブロックの時代は

終わってしまったんだとしみじみ感じた。

でも、その頃からロックとは、

音楽とはこういうものがいいんだ

という思い込みから解き放たれ、

より幅広い音楽を自由に楽しめるようになった気がする。

 

振り返ると、プログレのカテゴリーからは外れるが、

「ディシプリン」は今聴いても面白い、

時代の先端を先取りしていた、優れたアルバムだと思う。

ただし、僕がクリムゾンのレコードを買ったのは

ここまでだ。

 

●永遠の暗黒

 

その後、クリムゾンは何度か解散・再結成を繰り返し、

90年代以降はヘヴィメタみたいになってしまい。

6人編成になったり、8人編成になったりした。

オールドファンの要望に応えてか、

最近は60~70年代の曲もよくやっている。

そういえば今年もこれから来日公演をやるらしい。

 

おそらく御大ロバート・フリップが生きている限り、

活動を続けるのだと思うが、

僕はそんなに興味を避けなくなってしまった。

 

ただ、フリップ師には最近、ちょっとまた注目している。

 

独自の道を行くプログレ王であり、

厳格な求道者というイメージだったフリップ師は、

最近、キャラが激変。

 

奥さんのトーヤにそそのかされたのか、

コロナ禍でステイホームしている人たちを楽しませようと、

YouTubeでお笑いコスプレや、

ロック夫婦漫才みたいなことをやっているのだ。

 

まさかあのクリムゾンの総帥が、

お茶目で可愛いじいさんぶりをご披露してくれるとは

夢にも思わなかった。

時代は変わる、人間は変わる、人生は変わる。

 

しかし、これも長きにわたるクリムゾンの活動で、

自分が追求する音楽を成し遂げたという

余裕がなせる業なのかもしれない。

 

今やフリップが従来のイメージを自ら破壊しようとも、

キング・クリムゾンは

微動だにしない圧倒的な世界と物語を構築した。

もうこうなると古いとか新しいとかいった論評は

意味をなさない。

 

普遍的なロッククラック。

プログレッシブロックという名の孤高の文化。

「暗黒」――「スターレス」はそのバイブルとして、

永遠の生命力を持って聴き継がれ、

語り継がれると信じてやまない。

 


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週末の懐メロ56:ホワット・ア・フィーリン/アイリーン・キャラ

 

1983年。

アイリーン・キャラは、自分も出演してしていた

映画「フェーム」(1980年)と

この「フラッシュダンス」で。

続けざまに主題歌をヒットさせ、大スターになった。

 

この曲が流れてくるとともに、自転車に乗った主人公が

朝焼けの街を疾駆する「フラッシュダンス」の冒頭3分は、

これまでに観た映画の中で、最も希望に溢れた

オープニングシーンだ。

 

みどころは、もちろんダンスシーンなのだが、

僕はそれ以上に、ジェニファー・ビールス演じる

主人公アレックスの、昼間はガテンな溶接工、

夜はセクシーバーで金を稼ぐ、という

大都会で夢を追いながら生きる

タフなサバイバーぶりが好きだった。

 

夢見る少女ダンサーの物語に

こんな設定を加えて映画にすることができたのは、

やはり女性が自由にふるまえるようになり、

ライフスタイルが変わった80年代だったからではないかと思う。

 

今では女性も当たり前にガテンな仕事をするようになったが、

この頃の日本じゃ工場や倉庫や建築現場で

若い女の子が働くなんて、とても考えられなかった。

アメリカだって女性溶接工なんて、

まだそんなにいなかったと思う。

 

それでいてアレックスは可愛い女の子で、

自分の夢にまっすぐで、

ちょっとエッチなところもあって、

成功に向かってがんばって、

予定調和的なシンデレラストーリーを

実現させちゃう。

 

なんだかおいしところてんこ盛りで、

斬新でありながら、意外と古典的なヒロインの、

今考えるとよくできた話だった。

 

時代は変わっても、齢を取っても

やっぱり自然と希望が胸に溢れ出してくるような

音楽と映画に親しんでいたい。

 


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週末の懐メロ55:アローン・アゲイン/ギルバート・オサリヴァン

 

秋風に吹かれると口ずさみたくなる曲の一つ。

アイルランド生まれのイギリス人シンガーソングライター、

ギルバート・オサリヴァンが1971年にリリース。

 

その時は小学生なので、

たぶん初めて聴いたのは中学生になってから。

ラジオの深夜放送で、

たぶん秋が深まって来た今ごろの季節だと思う。

(脳内で記憶を捏造している可能性はあるが)

 

20歳くらいの頃、友だちが

僕が住んでいたアパートのそばの

ゴミ置き場に捨ててあった、

小さなシングル盤レコード専用の

ポータブルプレーヤーを拾ってきて

僕の部屋でこの曲のレコードを

えんえん繰り返し聴いていたことを憶えている。

 

そいつはもう死んでしまったが、

そんなくだらないことばっかりよく思い出す。

 

ちょっぴり切なさはあるけど、

乾いた明るさを持った覚えやすく、歌いやすい

ミディアムテンポの心地よいメロディ。

 

好きな女の子に振られた男が、

「またひとりになっちゃたよ、当たりまえみたいにね」

と、ヒューッと口笛吹きながらつぶやいて、

もうあの子のことは忘れちゃおう、

でも忘れられないなーー

そんなふうに歌っていると、ずっと勝手に思っていた。

 

ところが最近、ちゃんとした歌詞・訳詞を知ってびっくり。

あまりにシリアスで重い内容なのだ。

ちょっとダイジェスト版でご紹介。

 

少し経っても この気分が晴れなければと

自分に約束したんだ

近くの塔に登って身を投げるのだ 

打ちのめされた人間が

どんなことになるか

きみに知らせてあげるために

 

教会に佇んでいると 周りの人たちが言う

「もう充分だ 彼は婚約者に見捨てられ

 私たちがここに残る理由は無い」と

僕らは家に帰ることになるだろう

自分から仕掛けたように

僕はまた一人になった 当り前のように

 

この世界にはまだ他にも

救われない心がたくさんあって

誰にも治してもらえないまま

忘れ去られていく

僕らはどうすればいいのだろう

何をしてあげられるのだろう

また一人になってしまった 当り前のように

 

何年も前のことを振り返る

前にもこんなことがあったなと

思い出したよ 父が亡くなったとき

僕は泣き明かして 涙もろくに拭わなかった

そして母は65歳で死んだ

僕は理解できなかった 

なぜ彼女が愛した唯一の人を奪われて

傷ついたまま生きていかなければならなかったのか

 

母はだんだん喋らなくなっていった

僕が励ましたのにも関わらず

そして 彼女が死んだとき

僕は一日中 泣き続けた

そしてひとりぼっちになったんだ 当然のように

また一人になるんだ 当たり前のように

 

曲と詞とのギャップに驚くが、それ以上に

こんな歌を世に送り出してヒットさせた

ギルバート・オサリヴァンの才能と、

この曲の持つ芸術性に高さに

50年後の今、改めて感心する。

 

この時代、60年代・70年代の

ポップミュージックは、

若者たちがこれからの人生を思い描き、

愛も自由も、生も死も好きなように

想いを奏でられる時代だった。

 

だから聴く人たちは、こんな絶望的な歌からでも

自由に自分を表現し、自由に生きていいんだという

希望のメッセージを感じとることができた。

芸術性を見出し、世界を広げることができた。

そこに「アローン・アゲイン」の世界的大ヒットの、

そして後世に残る名曲になり得た秘密があるように思える。

 


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週末の懐メロ54:ロックバルーンは99/ネーナ

 

1983年、ドイツで生まれたロックナンバーが

翌年、アメリカをはじめ、日本やイギリスなど、

世界中を席巻した。

 

わたしに時間をくれたなら

あなたのために歌ってあげるよ 

地平線の彼方へ飛んで行った

99個の風船の歌よ

 

抜群にノリがよく、

メロデイーもサウンドも歌声もキュート。

明るくポップでパワフルな、

まさしく1980年代屈指の世界的大ヒットだが、

内容は反戦の意思を志を秘めた寓話の世界の歌だ。

 

風に乗って飛んで行った風船を

敵国の爆弾と勘違いして、

軍人や政治家が大騒ぎして

攻撃を仕掛けるさまを

ちょっとコミカルなメルヘンのように歌う。

 

99年間の戦争の果て、勝者なんて誰もいない

国もない 大臣たちももういない 

戦闘機の影もない

 

いつもの道を歩いて行ったら

瓦礫の街の片隅に 1個の風船を見つけたの

そしてあなたのこと思いながら 空へ飛ばしたの

 

「ネーナ」はこの曲を世に送り出したバンドの名前であり、

ヴォーカリスト・ネーナ・ケルナーの名前でもある。

もともとはスペイン語で

「ちっちゃな女の子」という意味らしい。

 

最初にドイツと書いたが、正確には1983~84年は

「西ドイツ」だった。

当時はまだベルリンの壁が存在し、

ドイツは西と東に分断されていたのだ。

 

その壁が崩壊したのは、この曲のヒットから

5年後の1989年11月9日。

32年前のことである。

 

ベルリンの壁の崩壊は、

アメリカとソ連の冷戦終結を意味していた。

対立と分断の時代が終わり、世界中の人々が手を取り合い、

より良い世界が訪れる――

多くの人がそんな、限りなくリアルな夢を抱いた。

 

けれども現実はそんなに単純なものではなかった。

世界は新たな混乱と暴力と分断の時代に

入ってしまった。

32年経ったけど、

いまはまだ夢の途中なのだろうか?

 

ふたたびネーナの話。

バンドは解散し、ヴォーカルのネーナは一時引退し、

5人の子どもの母となり、そして歌の世界に帰って来た。

この「ちっちゃな女の子」は僕と同い年である。

 

3年前の映像だが、アラカンでこの若さと元気さ。

親子世代がいっしょに歌う、今なお新鮮なポップロック。

21世紀のロックバルーンに

驚きと感動を抑えることができない。

 

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週末の懐メロ53:スリラー/マイケル・ジャクソン

 

ハロウィーン近しと言うことで、ちょっとベタだけど、

何の説明もいらない、1982年発表の同名アルバムの

超ヒット曲。

 

マイケル・ジャクソンは10歳の頃から

ジャクソン5の一員として活躍しており、

全米のアイドルだったが、

このソロ第2作のアルバム「スリラー」で、

他の追随を許さない世界のビッグスターに駆け上がった。

 

めちゃくちゃ久しぶりにミュージックビデオの

フルバージョンを見た。

40年前は画期的なビデオだったが

映像技術が発達した現代の視点からは、

割とチープなつくりに見えてしまう。

そこがまた面白かったりもする。

 

チープなのは映像技術だけでなく、

マイケル・ジャクソンの芝居もだ。

裏とダンスはこの頃から超一流的だったが、

芝居はチープでへたくそで、そこがまた楽しい。

 

そして何と言っても、まだ若くて、と言うかガキっぽくて、

そのへんにいる女の子とイチャつくのが大浮きな

おにーちゃんという感じが、たまらなく良い。

 

彼がすでにこの世から旅立って10年以上経つ今、見ると、

こうしてオバケごっこをやっていた時代が、

マイケル・ジャクソンにとっても最も幸福で、

ミュージシャンとしても頂点だったんじゃないか

という気がしてくる。

 

この「スリラー」をきっかけに超大物になった彼は、

その後も歌とダンスに磨きをかけ、

世界一のエンターテイナーになった。

それはいい。

 

けれども黒い肌が白く変わり、

整形を繰り返していくさまは

とても痛々しくてまともに見ていられなかった。

 

当時、彼は白人になろうとしているなどと言われたが、

どうも肌が白くなるのは一種の病気だったらしい。

また、ステージや撮影中のケガなどによって

整形も余儀なくされていたようだ。

 

彼としては音楽の仕事に集中し、

持ち得る技をより高みに引き上げることが

唯一、自分自身を救う手段だったのではないか。

 

1990年代以降のマイケル・ジャクソンは、

つねに世界の人々の熱狂の渦の中にいて、

「キング・オブ・ポップ」の称号を手に入れた。

けれども、それと引き換えに

何かとても大切なものを失ってしまった。

 

いろんな事象が絡み合い、

自分ひとりでは抗えない、何か大きな世界の力、

ポップスターの神を求める人々の想念の渦みたいなものに

取り込まれてしまった。

そんな感じがする。

 

僕にはマイケル・ジャクソンを死へ追い詰めていった

世界の力、神を求める大衆の想念のほうが

「スリラー」に思える。

 

 

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ハロウィーンの原型となったメキシコの「死者の日」をはじめ、伝統的な風習から現代の各国のエンディング事情まで。

鎌倉新書発行の葬儀・供養の業界誌「月刊仏事」の連載をまとめたエッセイ集。

もくじ

・わたしを忘れないで(メキシコ)

・ラストドライブ 最後の旅(ドイツ)

 

・メモリアルベンチ(イギリス)

・安楽死できる国は幸福か?(オランダ)

・巣式ストリップショーに禁止令(中国)

ほか全23篇


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週末の懐メロ52:ノーモア“アイ・ラブ・ユーズ”/アニー・レノックス

 

1995年リリース。「メドゥサ」のトップナンバー。

もともとは「ザ・ラヴァ―スピークス」という

イギリスのバンドが1986年に発表した曲である。

 

それはそれでななかなかいいのだが、

これをカヴァーしたレノックスのバージョンが凄すぎた。

 

おそらくほとんどの人は、

彼女のオリジナル曲だと思っている。

かくいう僕もつい最近までその一人だった。

 

圧倒的な歌唱力に加え、

ひと睨みで男を石にする蛇魔女メドゥサの魔性。

 

悪魔の館か、倒錯趣味の変態秘密クラブか、

奇怪な世界を描いた演劇風のミュージックビデオは、

そこはかとなく楽しくユーモラスでもある。

 

これは現在も世界中を巡演している

男性だけのバレエ団

「トロカデロ・デ・モンテカルロバレエ」への

オマージュとして制作したらしい。

 

愛を囁く人たちは怪物たちの話をする。

 

「No more "I love you's"」とともに 

歌詞の中で繰り返される「モンスター」とは、

誰もの心の中にいる、もう一人の自分の姿だ。

 

だって人はこぞってハロウィーンに

オバケになりたがる。

年に一度、自分の中のモンスターを解放するのは、

健康の秘訣なのかもしれない。

 

レノックスはこの曲で第38回グラミー賞(1996年)の

「最優秀女性ポップ・ボーカル・パフォーマンス賞」を

受賞した。

 

ちなみに「メドゥサ」ではチークダンスでおなじみ、

プロコルハルムの「蒼い影」なども歌っている。

これまた圧倒的なレノックス節で素晴らしい。

 


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週末の懐メロ51:サンシャイン・ラブ/クリーム

 

ハードロックの元祖クリーム。

1968年11月、ロンドンの古式ゆかしい

ロイヤルアルバートホールを

ぶち壊すかのような壮絶なラストライブ。

 

バンドの活動期間はわずか2年半ほどだったが、

エリッククラプトン(ギター)、

ジャック・ブルース(ベース/ヴォーカル)、

ジンジャー・ベイカー(ドラム)の

最強トリオの凄まじい演奏は、

ロック史に巨大な足跡を残した。

 

「サンシャイン・ラブ(Sunshine of Your Love)」は

1967年リリースのアルバム「カラフル・クリーム」に

収録された、大好きなヒットナンバーだ。

初めて聴いたのはその10年後だったけど。

 

僕が高校生の頃は

「レッド・ツェッペリン? 

ディープ・パープル?

ブラック・サバス?

だっせ~。おれはクリーム聴いてるんだよ」

と言えば、なんだか自慢できた(笑)。

アホみたいだけど、要はそれくらい偉大なバンドとして

認識されていたのだ。

 

何と言っても、当時からすでに“神”の称号を受けていた

世界最高峰のレジェンドギタリスト、

エリック・クラプトンが若々しく、

バリバリにロックしていたということが大きい。

 

しかし、聴けばお分かりのように、

ブルースのベースも、ベイカーのドラムも、

クラプトンを圧倒するほどの

凄いエネルギーを放っている。

 

曲の中盤以降はチームワークなどまるで無視して、

ほとんど3人のバトルロワイヤル状態。

最後までこの曲を続けられるのか、

途中で崩壊してしまうんじゃないかと

ハラハラするほどだ。

 

そしてクリーム以上に凄まじいというか、

面白いのが観客。

この頃の客は会場で

平気でタバコ(マリファナか?)を

ふかしながらタテノリしまくっている。

この人たちは今、ほとんどが70代だろう。

 

ハチャメチャな1960年代。

見方を変えれば、思う存分、音楽を楽しみ、

それだけで世界を変えられると、

みんなが信じていた牧歌的な時代。

 

そんな時代の空気を満喫できるこんなライブを、

普通に家にいて観られるとは、

今もまた、それなりにいい時代なんだよな。

 


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週末の懐メロ50:エニウェア・イズ/エンヤ

 

1995年末のリリースのサードアルバム

「メモリー・オブ・トゥリーズ」の代表曲。

エンヤという稀有なミュージシャンの

代表曲とも言えるかもしれない。

 

このアルバムはちょうど息子が生まれた頃よく聴いていた。

中世を思わせるケルトの民族ドレスをまとった

エンヤのジャケットがとても神秘的で美しかった。

 

エンヤは1980年代の終わりごろから

アイルランドの歌姫として

世界のミュージックシーンで知られるようになった。

 

その登場は衝撃と言うよりも、

当時のワールドミュージックの潮流に乗って、

まるでひたひたと潮が満ちるように、

いつの間にかそこに存在していたという感じがする。

 

ワールドミュージックは

ごく大雑把に言えば、

現代文明が構築される以前の人間が

どう時間を捉え、どう人生を捉えていたかを

歌と音で伝えるツールである。

 

「エニウェア・イズ」は

人生の謎について問いかけ、答える歌だが、

ポップでありながら宇宙の律動のような響きを持っている。

 

いろいろな人の和訳を拾ってみると

最後のほうではこんな内容のことを歌っている。

 

 

何度やり直しても、どの道を選んでも

また新たな始まりが始まる。

ずっと答を探し求めてきたけど

終わりを見つけることはできない

今ここにあるこの道、

そして、向こうに広がるあの道

どっちを選んでもいい

今、わたしが選んだこの道も

あの頃のわたしが選んだあの道も

みんな始まりに過ぎないのかもしれないし

終わりはすぐそこなのかもしれない

 

 

人間ひとりの脳の中には

さまざまな次元の時間が流れている。

 

親子であっても、夫婦であっても

共有できるのは、そのほんの一部に過ぎない。

広い社会の中ではなおのこと。

 

若い頃は単一方向にしか流れていなかった時間が、

齢を取ってくると、放射状にあらゆる方向に伸び始める。

 

細かく切り刻まれた

現代社会における時間とは対照的な、

山上からな海へ向かって流れ続ける大河のような時。

 

個人の過去。

日本という国・地域の文化に包まれ過去。

ヒトという地球に生きる種族の過去。

 

個人の未来。

日本という文化の未来。

ヒトという種族の未来。

 

それらすべてを孕んで僕たちの現在(いま)がある。

 

始まりもなく終わりもない道をどう歩いてゆくのか。

きっとEnywhere、どこへでも歩いてゆける。

エンヤの歌を聴くと、いつもそんなことを考える。

 

音楽エッセイ集

ポップミュージックをこよなく愛した

僕らの時代の妄想力

4週連続無料キャンペーン

第4回:10月2日(土)17:00~3日(日)16:59

収録33編

●八王子・冨士森公園のスローバラード駐車場で、ポップミュージックをこよなく愛した僕らの時代の妄想力について考える

●アーティストたちの前に扉が開いていた

●21世紀のビートルズ伝説

●藤圭子と宇多田ヒカルの歌う力の遺伝子について

●ヘイ・ジュード:ジョンとポールの別れの歌

●阿久悠の作詞入門

●余命9ヵ月のピアニスト

●ローリング・ストーンズと新選組の相似点について

●キング・クリムゾンの伝説と21世紀版「風に語りて」

●プログレッシヴ・ロックスターの死①:ジョン・ウエットンの訃報、そしてロンドンの寿司

●プログレッシヴ・ロックスターの死②:キース・エマーソンの尊厳死(1周忌に捧ぐ) 

●勝手にビートルズ・ベストテン

●中学生時代の「エリナ・リグビー」の衝撃と和訳演奏

●純情ストーカー男と純心DV願望女の昭和歌謡

●人間は幸せに慣れると、幸せであることを忘れてしまう

●義弟のアナログレコードと帰ってきたカレン・カーペンター

●いちご畑で抱きしめて

●ダイヤモンドをつけたルーシーとの別れとジュリアンの心の修復作業

●抹消された20世紀パンクと想像力の中で生きる19世紀型スチームパンク

●悲しいことなんてぶっとばすロックンロールバンドのモンキービジネス

●オノ・ヨーコさん「NHKファミリー・ヒストリー」とYESの3文字の秘密

●オノ・ヨーコさん「NHKファミリー・ヒストリー」と「イマジン」の秘密

●いろいろな人が弾くから、心に響くロンドンのピアノ

●ストリートミュージックが商品になった街ロンドン

●アナログレコードとの再会

●見捨てられた恋人のようだったアナログレコードが、 なぜ絶滅の淵から回帰したのか?

●さすらいのレコード・コレクター:男のバカバカしくて痛快な生きザマ

●クリスマスにちょっとだけ世界と自分を変える

●森田童子の思い出:僕らの時代の子守唄

●自分をリライトする

●よみがえる死者・よみがえる歌:AIの音楽

●20世紀の愛と平和のロックなんて忘れてしまっていた

●だいじょうぶです、なすがままになさい

 


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週末の懐メロ49:永遠の調べ/キャメル

 

今週は美しい月に心奪われた。

そこで“ロック界のアンデルセン”こと、

イギリスのプログレバンド・キャメルの

1976年リリースの名盤

「ムーンマッドネス:月夜の幻想曲(ファンタジア)」から

メインナンバー「永遠(とわ)の調べ」をご紹介。

 

フルートの音色が形づくる、やさしく神秘的な前半部と、

リズミカルな高揚感に溢れたクライマックスとの

コントラストが美しい、This is Camelと呼ぶのに

ふさわしい名曲だ。

 

二人のムーンチャイルドが肩を寄せ合って月を見つめる。

絵本のようなアルバムジャケットも好きだった。

この絵がキャメルの音楽全般のイメージを

端的に描き出している。

 

叙情と幻想、寓話・神話のイメージは、

プログレッシブロックの大きな特徴の一つだが、

キャメルの音楽は、

それらをとても親しみやすい形で表現しており、

誰にも聴きやすく、

それでいて刺激的なサウンドになっている。

 

フルートの演奏が入るのもプログレならではだが、

キャメルもこの曲をはじめ、随所でフルートを使い、

彼らの世界観を印象付けていた。

 

絶頂期はこのアルバムを出した70年代後半だが、

この頃の映像はあまり残っていない。

 

80年代以降、長きにわたってバンドを存続させてきた

唯一のオリジナルメンバー、

ギタリストのアンディ・ラティマーが

こんなふうにフルートを奏でる姿を見たのは、

この2018年のライブが初めてだ。

 

長髪とサングラスがトレードマークだったラティマーも

すっかりじいさんになってしまったが、

演奏力と音楽の感性は衰えていない。

 

そして何より自分たちの創り上げた楽曲に

変わらぬ愛情を注いで、

とても大切にしていることが伝わってくる。

 

70年代の遺産で食っている

ーーといった悪口も聞こえてくるが、

それから50年近くたってもこれだけ元気で

ライブができるのは、

演奏者にとっても聴衆にとっても幸福なことだ。

 

キャメルの弱点はヴォーカルだった。

 

イエスのジョン・アンダーソン、

ジェネシスのピーター・ガブリエル、

ELPのグレッグ・レイク

キング・クリムゾンのジョン・ウェットンといった

プログレ特有の、華のある、

個性的でエキセントリックな

リードヴォーカリストが不在だった。

 

そのため、ラティマ―はじめ、各楽器の奏者が

掛け持ち・交替で、ヴォーカルをやっていた。

そこが他のバンドに比べて、

いま一つ評価の低い要因かも知れない。

 

けれどもそれはキャメルらしさでもある。

 

もともとインストゥルメンタル中心のバンドで、

「白雁(スノーグース)」という

児童文学のストーリーを組曲化したアルバムなどは、

一切ヴォーカルなし・全編インストのみだったが、

それでも十分聴きごたえがあった。

 

この「ムーンマッドネス」のアルバムでも

「転移」「月の海(ルナ・シー)」といった

フュージョンっぽいインストの名曲が入っている。

 

テクニシャンぞろいのキャメルのインストナンバーは

耳に心地よく響き、仕事中のBGMにも適しているのだ。

 

それを考えると、プログレバンドの中でも

最近いちばん長時間聴いているのはキャメルかも知れない。

 

“ロック界のアンデルセン”とは

僕が勝手につけたキャッチフレーズだが、

キャメルの楽曲は、アンデルセン童話のごとく、

新しい世代のリスナーを獲得しながら、

長く愛され続けるのではないかと思う。

 

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●森田童子の思い出:僕らの時代の子守唄

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●よみがえる死者・よみがえる歌:AIの音楽

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●だいじょうぶです、なすがままになさい

 


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週末の懐メロ48:今夜はブギ・ウギ・ウギ/ テイスト・オブ・ハニー

 

1978年リリースの全米ナンバー1ディスコソング。

そして女ベースと女ギターの最高峰。

 

いわゆるディスコミュージックって踊ってなんぼ。

音楽としてはそんなに熱心に聴いてなかった.

ところが、この曲は別格。

レコード買って聴きまくっていた。

 

女だてらに、なんて言っちゃ怒られるが、

演奏に秀でた女性ミュージシャンが

まだ少なかったこの時代、

このジャニス・マリー・ジョンソンのベースと、

ヘイゼル・ペインのギターの腕前は圧巻だった。

 

もちろん40年以上たった今聴いても

エッジ立ちまくりで超ヤバい。

 

ジャニスのベースは熱いため息。

エロチックにからむヘイゼルのギター。

そして二人の歌声は

甘く切ない蜜の味のよう。

 

なんて、昭和おやじが書くようなコピーが

レコードジャケットに刷り込まれていたが、

(実際、レコード会社の昭和おやじが

書いていたんだろうけど)

確かにエロっぽさとうねりまくりのグルーヴ感は

ハンパなくカッコいい。

 

バックのドラムとキーボードもキレまくってて、

ジャズ、ソウル、ファンクのエッセンスが

見事にミックスアップ。

数多のディスコソングと一線を画す

不死身のダンスナンバーだ。

 

そして、わが胸にはまだ10代だった

70年代終わりのゆらめく夜が鮮烈によみがえる。

 

音楽エッセイ集

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第2回:9月18日(土)16:00~20日(月)15:59

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週末の懐メロ47:ああ青春/中村雅俊+ゴーイング・アンダーグラウンド

 

作詞・松本隆、作曲・吉田拓郎というレアな取り合わせ。

1975年に歌ったのは「トランザム」というグループだった。

 

それにしても。またもや松本隆のマジカルワードワールド。

聴けばわかるが、この曲は数え歌になっている。

1970年代の若者の心情を

1から10までの数を使って見事に歌に仕立て上げた。

この歌詞のユニークさと完成度はどうだ。

 

じつはこの「ああ青春」は

最初、インストゥルメンタルで

ドラマのオープニング曲に使われていた。

 

僕が高校生の時にやっていた

そのドラマ「俺たちの勲章」は、

革ジャン・グラサンの松田優作と

スリーピース・バギーパンツの中村雅俊の

対照的なコンビが主人公の刑事ドラマだった。

 

「バカヤロー、コノヤロー」と、

容疑者の胸ぐらをつかんでぶん殴る

松田ハードボイルド刑事を、

中村ソフト刑事が「まぁまぁ」となだめる。

そんな感じで犯罪捜査と青春を

掛け合わせたような話だった。

 

原曲はフォークっぽくて、

トランザムとは別に中村雅俊もその後、

自分のアルバムの中で歌い、持ち歌の一つにしていた。

 

ゴーイング・アンダーグラウンドは

1990年代から活動しているバンドで、

中村にオリジナル曲を提供したこともある。

 

青春ロックを売りにしていたので、

この曲をロックアレンジにして

中村と共演することになったらしい。

 

こうしてロック調で聴くと新鮮で、

懐かしい原曲とはまた違った味わいがある。

ほんとうに良い曲だ。

 

一時期、「青春」なんて口走るのは恥ずかしかったが、

この齢になると、もうべつに恥ずかしくも怖くもない。

この曲も今でもそらで口ずさめてしまう。

10代の頃からまったく成長していない

ってことなのかもしれない。

 

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第1回:9月11日(土)16:00~12日(日)15:59

 

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週末の懐メロ46:イエローサブマリン音頭/金沢明子

 

原曲はもちろんビートルズの「イエローサブマリン」。

レノン=マッカートニーの作詞・作曲で、

リンゴ・スターがトボけた歌を聴かせていた。

 

ノイジーな効果音とブラスバンドの音が楽しく賑やかで、

ビートルズナンバーの中でも異彩を放つ、

面白メルヘンソング。

 

当時(1966年)のロック・ポップスの常識から外れた、

実験的で、いわば、プログレッシブロックの源流うぃ

創った楽曲の一つでもある。

 

そのイエローサブマリンを音頭にして歌ったのが、

民謡の女王・金沢明子。

そして、その背後にいたのは、

日本のシティポップの王・大滝詠一だ。

 

大滝詠一プロデュースで1982年にリリースされたこの曲に、

作者であるポール・マッカートニーも

ぶっ飛んで笑いころげたという伝説も伝えられている。

 

訳詞は大滝の盟友、そして日本の作詞王でもある松本隆。

原曲のストーリーを大切に、

日本語でここまで愉快なファンタジックワールドを

構築してしまうのだから、舌を巻く。

 

それを歌い上げる金沢明子のコブシ回しも最高だ。

 

そして編曲の萩原哲生(てっしょう)は、

「スーダラ節」をはじめ、

クレージーキャッツの数々のコミックソングを産み落とした

昭和のレジェンド。

これは彼が晩年に手掛け、ほぼ最後の名作となった。

 

つまりこの「イエローサブマリン音頭」は、

ビートルズ×はっぴいえんど(大滝・松本)×

クレージーキャッツ×日本民謡の

超絶コラボレーションなのだ。

 

今年もコロナで、日本のいたるところで

夏祭り・秋祭りが中止になってしまった。

 

ちょっとでいいから黄色い潜水艦に乗り込んで、

笑ってお祭り気分を楽しもう。

 

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全33編 収録


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週末の懐メロ45:Summer/久石 譲

 

テレビのコマーシャルやBGMでよく耳にするこの曲は、

1999年に公開された北野武監督の映画「菊次郎の夏」のテーマ曲。

 

「遠く離れて暮らすお母さんに会いに行きたい」

「よし、おじさんが連れてってやる」

 

ちょっとどんくさい感じの少年マサオを、

たけし演じる寅さんみたいなヤクザ男・菊次郎が

小さな旅に連れ出す。

 

ただそれだけの話なのだが、

ふさけてて笑えて、

かわいくて切なくて、

少年の心と中年男の心が重なり合う。

僕の心の地図の中で最高峰に位置する映画である。

 

歌詞のないインストゥルメンタル曲だが、

メロディラインの中に映画で描かれる

夏、旅、海、花火、お祭り、無垢で不器用な少年、

アホでこころやさしい大人、笑い、涙。

そして昭和から平成初期にかけての近過去の日本。

そのすべてのエッセンスが盛り込まれている。

まさしく懐メロの中の懐メロだ。

 

YouTubeにはこの映画と音楽に関する

北野監督のインタビューが投稿されている。

 

Q「『菊次郎の夏』では、作曲家の久石譲との協力が

いつにもなく強調されており、

そこから尊敬と称賛の意を受け取ることができます。

あなたがた二人がどのように作品を作っていくのか、

より詳しく教えていただけますか?」

 

監督「いつもは編集したものを見せて、

さあ、これにつけろとぜんぶ任せてたんだけど、

今回だけは、こういったメロディラインでって、

音楽の内容にまでかなり言ったので、

こんなような音楽が出来てくるだろうなって

思って撮っていったので当たったんだろうね」

 

この曲はたけし監督の想いを

見事に反映した曲でもあるのだと思う。

 

けれども、近所のどこの馬の骨とも知らぬおっさんが

熱中症も気にすることなく、

ヤバイ場所、うさんくさい場所も含めて

子どもをあちこち連れ回すことはもうできないし、

心を重ね合わせることもできない。

 

菊次郎や僕たちが体験した「昭和の夏」

「日本ならではの夏」は、

時代が変わり、社会が変わり、環境が変わった今、

洗練され、加工され、

アク抜き処理をされたパッケージ商品のようになっていく。

 

この先もナチュラルな形で残していくのは、

もう難しいのかもしれない。

 

その代わりと言っていいのかどうかわからないが、

ジブリ映画などの音楽も手掛ける久石譲は、

いまや現代の日本人の心の原風景を作っているかのようだ。

 

「日本ならではの夏」を伝えていくためにも

懐メロ映画や懐メロ音楽を愛し続けたい。

 

電子書籍新刊「1日3分の地球人」

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忙しくて目の前のことしか見えない。考えられない。

でも1日3分でいいから、空に浮かんで地球を見つめてみる。

脳だけ旅人にして世界を歩いてみる。

せっかくこの星に生まれたのなら、

自分が芥子粒のように思える広い空間と長い時間こ手足を伸ばして寝そべりたい。

そんな思いを抱いて綴った地球・世界についてのエッセイ集。

ブログ「DAIHON屋ネタ帳」より30編を厳選・リライト。

●もくじ

他者に不寛容だから幸福度低い?ニッポン

1月21日のルイ16世とマリー・アントワネット

アムステルダムのナシゴレンとコロッケとアンネ・フランク

孤独担当相の誕生

ヒトラーの人間力

 「GACHI」という言葉を外国人に説明すると

 未来のことは子どもに学ぶ

 人新世(アントロポセン)を生きる ほか

 


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週末の懐メロ44:少年ヴィーナス/ビョーク

 

アイスランドで初の世界的ミュージシャンとして

羽ばたいたビョークが

1993年にリリースした必殺の1曲。

 

未来チックでありながら

懐かしい子守歌のような音色とリズムは

浮遊感たっぷりで

どこかべつの宇宙へつれていかれそうだ。

 

かつてのケイト・ブッシュを彷彿とさせる

サウンドとパフォーマンスだが、

ビョークは顔立ちが東洋系のせいか、

妖精というよりかわいい妖怪といった感じ。

影ふみをして遊ぶざしきわらしのように見えてしまう。

 

「彼は美を信じる少年ヴィーナス」という歌詞は

けっこうエロいニュアンスがあるけど、

少女のように見える彼女、

じつはこの頃、すでに母親だった。

 

なのでこの歌は、もしかしたら

息子への愛情を歌ったものなのかもしれない。

なんとなく子守歌っぽく聞こえるのはそのせいかも。

 

ジャン・レノ主演・リュック・ベッソン監督の

映画「レオン」の挿入歌として憶えている人も多い。

「やさしい殺し屋のララバイ」というところか。

 

彼女自身もこの後、映画女優として活躍。

 

2000年には「ダンサー・イン・ザ・ダーク」という

かなりヤバい映画に主演し、

第53回カンヌ国際映画祭でパルム・ドール、

そして主演女優賞を獲得した。

 

北の果ての国から生まれた特異な才能。

月光のなかでゆらゆら揺らぎながら歌うビョークは、

むし暑い夏の夜をひんやりクールにしてくれる。

 

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ロックが劇的に進化し、ポップミュージックが世界を覆った時代。僕たちのイマジネーションは 音楽からどれだけの影響を受け、どんな変態を遂げたのか。心の財産となったあの時代の夢と歌を考察する音楽エッセイ集33篇。

もくじ

●アーティストたちの前に扉が開いていた

●21世紀のビートルズ伝説

●藤圭子と宇多田ヒカルの歌う力の遺伝子について

●ローリング・ストーンズと新選組の相似点について

●キング・クリムゾンの伝説と21世紀版「風に語りて」 ほか

 


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週末の懐メロ43:ラヴ・ラヴ・ラヴ/ザ・タイガース

 

映画情報に触れて、ふと沢田研二のことを思い出し、

聴いていたら何曲目かに出てきた「ラヴ・ラヴ・ラヴ」。

 

リリースは1969年末。

他のグループのメンバーも夜中にスタジオに集まってきて、

レコーディングに参加した、という逸話もあるくらい、

かなり気合を入れて作られたらしい。

が、その割にはあまりヒットしなかった。

 

熱狂的だったブームは瞬く間に過ぎ去り、

ザ・タイガースをはじめとする

日本のGS(グループサウンズ)の時代は

もう終わろうとしていた。

 

僕もまだ子どもだったので、

リアルタイムでこの曲を聴いたことは、

ほとんどなかった。

 

テレビで観た憶えもないし、

いつ、どこで、どう耳にしたのかわからない。

けれども、このメロディはずっと脳のどこかに

こびりついていた。

 

そして、おそらく50年ぶりに聴いて衝撃を受けた。

 

明らかにビートルズの

「愛こそはずべて(All you need is LOVE)」に

インスパイアされた曲だ。

 

だけどこれ、ビートルズよりうんといいやんか。

めっちゃ素晴らしい曲やんか。

 

 

沢田研二は先日公開された

山田洋次監督の「キネマの神様」で、

昨年コロナで亡くなった志村けんの代役を務めている。

 

エロチックでデカダンで

ファンタジック。

日本人離れしたな魅惑のパフォーマンスで

1970年代の日本のポップス界をリードした沢田研二。

 

あの頃の若い女と男を魅了しまくった

スーパースター“ジュリー”が、

「寅さん」に代表される山田人情映画で、

人生を破綻させた老人役を演じるなんて

誰も夢にも思わなかっただろう。

 

けれども年齢を重ね、

いろいろな経験を重ねた彼にとっては

そんなに特別なことではなかったのかもしれない。

 

 

僕らが抱くかつてのジュリーの幻想から離れて数十年、

沢田研二はずっとコンサートを開き、

歌い続け、音楽とともに生きてきた。

 

この曲も自分のソロコンサートで、

そしてタイガースの復活コンサートで、

ずっと大事に歌い継いできた。

 

映像は復活タイガースの2013年のコンサート。

GSの中でもトップだった人気バンドは、

ただのアイドルではなかった。

ヴォーカルも演奏力も一流だった。

 

5人ともすっかりじいさんになってしまったが、

サポートを受けずとも素晴らしい演奏を繰りひろげていく。

 

ドラマ・映画の名わき役として知られる

岸部一徳(旧名・修造、愛称サリー)の唸るベース。

 

ハートビートを打ち続け、

クライマックスに炸裂する瞳みのる(愛称ピー)のドラム。

このカッコよさはどうだ。

 

そして沢田研二のヴォーカルも

若い頃からけっして衰えていない。

むしろ齢を取って深みを増しているように感じる。

 

本当に時はあまりにも早く過ぎてゆく。

喜びも悲しみもすべてつかの間だ。

 

「ラヴ・ラヴ・ラヴ」の歌詞は、

いま歌ってこそ、いま聴いてこそ、

深く心に染みる。

 

ラヴ・ラヴ・ラヴ 愛こそすべて

 

映画観に行くよ。

まだまだ終わらない。

がんばれジュリー!

 

 

 

 

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週末の懐メロ42:秘密の花園/松田聖子

 

ミステリアスなランデブーからたおやかに広がっていく

夜の海の情景。

イメージ豊かな旋律が魅惑的な松田聖子1983年のヒット曲。

 

特にファンというわけではないのだが、

なぜか唯一この曲だけは完全にツボにはまってしまった、

 

愛らしい少女と

セクシーなおとなの女性の混じり合った神秘感と、

月や星の光に照らし出された海のファンタジー感が

重なり合う聖子ワールドの頂点、とでも言えばいいのか。

今でも聴くとゾクゾクする。

 

作詞は松本隆、作曲は呉田軽穂。

 

松田聖子のシングルの楽曲は

1981年の「白いパラソル」から

84年の「ハートのイアリング」まで3年間、

松本隆が作詞を一手に引き受けていた。

 

その絡みなのか、松本隆と縁の深いアーティストたちが、

次々と楽曲を提供するようになり、

不滅の聖子ワールドが構築されていく。

 

中でも多いのが財津和夫(チェリーブラッサム、夏の扉、白いパラソル、野ばらのエチュード)と

呉田軽穂(赤いスイートピー、瞳はダイアモンド、渚のバルコニー、小麦色のマーメイド)。

 

呉田軽穂ってだれ?と当時は謎だったが、

後年。松任谷由実(ユーミン)のペンネームと知って納得。

 

彼女は自分の名前を出さず、

純粋に作曲家として他の歌手(特に若手の女性)に

曲を提供する場合に限って、

このペンネームを使っていたようだ。

 

原田知世の「時をかける少女」、

薬師丸ひろ子の「Woman(Wの悲劇)」など

呉田軽穂の作曲。

女優のグレタ・ガルボをもじった名前らしい。

 

実はこの「秘密の花園」は最初、財津和夫作曲の歌だった。

財津バージョンというのは

デモ(試作品)のレベルかと思ってたけど、

つい最近、YouTubeに上がっていたのを聴いたら、

しっかり編曲もされて完成している。

 

正式tリリースされた呉田バージョンに比べて

アップテンポで、ポップで元気で明るい歌になっている。

 

財津和夫はもちろん当時のビッグネーム。

そしてまた当時の聖子人気からすれば、

これでもたぶん№1ヒットになっただろう。

 

しかしプロデューサー氏はじめ、

この時代の聖子プロジェクトのスタッフは妥協しないで

さらなる高みを目指していた。

 

正直、どこかこれまでの歌に似ている。

弾んだ感じはいいかが、歌詞まで軽い感じがする。

もっと新しい聖子ワールドを開きたい・・・・

たぶん、そんな思いに駆られたのだろう。

作りなおしを決断した。

 

作詞の松本隆も乗り出して、

ツアー中の松任谷由実を捕まえた。

時間がないと断る彼女を、そこを何とかと口説き落とした。

 

ツアーの合間に松任谷から呉田へスイッチして

かなり短時間で書き上げたらしい。

 

しかし、そこは彼女の才能とキャリアをもってすれば

驚くには当たらない。

30分で傑作が生まれることもあれば、

30年かけても駄作しかできないことがある。

創作の神は愛する者のもとに一周運のうちに舞い降りる。

 

とにかくそんないわくつきで「秘密の花園」は生まれた。

スタッフの判断は大正解だった。

財津さんにはたいへん申し訳ないが、

この曲に限ってはユーミンの完勝。

 

彼女の紡ぎ出すたおやかで繊細なメロディは

歌詞の奥に秘められた物語を存分に引き出した。

ここまでドラマチックに、ファンタジックに昇華し、

まさしく「秘密の花園」までたどり着けたのは

ユーミンマジック、そして、

編曲の松任谷正隆(ユーミンの旦那)のセンスの

賜物である。

 

僕は長らく「秘密の花園」は夏の歌だと思っていたが、シングルが出たのは1983年1月。真冬である。

 

そう思っていたのは「ユートピア」という

夏と海をテーマにしたアルバムに入っていたからだ。

 

「秘密の花園」「天国のキッス」という

2枚のヒットシングルを収めた「ユートピア」は、

呉田と財津をはじめ、

当時のニューミュージックのトップレベルの

ミュージシャンたちが集結して楽曲を提供した。

 

アルバム曲ならではの名作「マイアミ午前5時」や

「セイシェルの夕陽」などもここから生まれた。

 

アイドルポップスをはるかに超えた、

1980年代のJ-POP(という言葉はまだなかったが)の

金字塔ともいえる名盤だと思う。

 

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もくじ

●アーティストたちの前に扉が開いていた

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●キング・クリムゾンの伝説と21世紀版「風に語りて」 ほか

 


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週末の懐メロ41:カナリア諸島にて/大滝詠一

 

あなたはカナリア諸島に行ったことがあるか?

僕はない。

でもこの40年間、毎年のようにこの季節、

脳みそだけは永遠の夏に遊びに行く。

 

大滝詠一の不朽の名盤「ロングバケーション」が

リリースされたのは1981年。

「カナリア諸島にて」は、その3曲目、

シングル盤では「君は天然色」のB面だったが、

僕にとってはこの曲こそが「ロンバケ」を象徴する曲だ。

 

日本人が戦後の貧しさから抜け出し、

豊かさを実感し始めた80年代前半、

この曲に代表される大滝の音楽は

現代日本人の心に、現実とは別の心象風景をつくった。

 

南の島のパラダイス。

天国に一番近い島のリゾート。

 

それは豊かになった日本人が次に目指したい、

辿り着きたい場所だった。

 

少し前の時代はハワイが「夢の島」だった。

しかし、グァムもハワイも一般庶民が行けるようになってきて、

なんだか俗っぽくなってきた。

 

もっと新しい夢に相応しい南の島はないか?

でもまだ戦後36年(今年は76年)。

忌まわしい太平洋癒戦争の記憶がまだ残っている。

そんな残滓があるような島を選ぶわけにはいかない。

 

そこでアフリカ北西部にある

スペイン領カナリア諸島が選ばれたのかもしれない。

 

海が美しいのはもちろん、

日本からはるかに遠く、手あかがついていない聖地。

「カナリア」という言葉の響きも明るかった。

 

しかし、大瀧詠一も、作詞の松本隆も、

この頃、まだカナリア諸島には行ったことはなく、

詞も曲も完全に彼らの幻想・妄想から出来上がった。

 

いや、幻想・妄想だったからこそ

名曲になり得たし、僕たちの心に

「永遠の夏」を植え付けられたと言っていいだろう。

 

後年、松本隆は実際にカナリア諸島に行き、

その現実の風景をを目の当たりにして冷や汗をかいたーー

という話を聞いた。

 

大瀧詠一は生前、旅したことがあったのだろうか?

 

いずれにしても、1981年はもちろん、

それから40年経った今も、

カナリア諸島に行ったことのある日本人は、

せいぜい1~2パーセント程度だろう。

 

これからもそんなに大勢の日本人が

かの地に出かけていくとは思えない。

 

それでいいのだ。

 

そして僕らは薄切りのオレンジを浮かべた

アイスティーを飲みながら,

永遠にたどり着けない

カナリア諸島の夢の風景に自らを癒しつつ、

酷暑の夏、コロナの夏をやり過ごしていく。

 

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週末の懐メロ40:真夏の出来事/平山みき(代官山ミラクルキャバレー)

 

学生の頃、平山三紀の歌声に初めて大人の女性を感じた、

「セクシー」という言葉はその当時

まだ知らなかったと思うが、

そのお洒落で色っぽい声にしびれていた。

「希望の旅」と「真夏の出来事」は

あの時代の歌謡ポップスの中で最も印象深い2曲だ。

 

という思い出が、つい1週間ほど前によみがえった。

ちょうど50年前、1971年の夏の大ヒット

「真夏の出来事」を久しぶりに聴いてみようと検索したら、

オリジナルとともに出てきたのが

この代官山ミラクルキャバレーによる

スウィングジャズバージョン。

 

グループを率いているのは、

なんとご本家の平山みき(芸名をひらがなに改名していた)

なので、超びっくり。

 

お齢は僕より10歳は上のはずだが、

依然として色っぽくて可愛くて、

歌声も歌い方も50年前のまま。

 

美脚・胸元ガン見せの女の子たち、

迫力満点のドラッグクイーンのおねえさんたちとともに

お洒落に楽しく華やかに、かの名曲を歌う。

 

仲間とお遊び感覚でやってみました

といったノリのパフォーマンだが、

思わず感動してしまった。

まさしく「真夏の出来事」として胸に刻みたい。

 

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ポップミュージックをこよなく愛した

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週末の懐メロ39:ダンシング・ウィズ・ミスターD/ザ・ローリング・ストーンズ

 

ヘビが肌にからみつくようなヌメヌメ感。

粘り気たっぷりのグルーブが気持ち悪くて気持ちイイ。

 

「ダンシング・ウィズ・ミスターD」は、

1973年リリースのアルバム「山羊の頭のスープ」の

オープニングナンバー。

ダークで猥雑で退廃的な

ストーンズ流変態ダンスナンバーとでもいえばいいのか、

彼らの楽曲の中でもすごくユニークな曲だ。

 

このビデオでも化粧したミック・ジャガーが

体をくねらせ尻振りダンスを披露していて、

セクシーというより、いやらしくて気味が悪くて面白い。

 

女ものの帽子をかぶってギターを弾く

この時代のリードギタリスト、ミック・テイラーも

無表情にドラムを叩くチャーリー・ワッツの顔もいい。

 

★山羊の頭のスープ1973

 

この年、僕は中学2年生だったが、

「悲しみのアンジー」というラブバラードが大ヒットし、

それが聴きたくてアルバムを買った。

ローリング・ストーンズとまともに出逢ったのは、

このアルバムが初めてだった。

 

薄い布かビニールみたいなものを被ったメンバーの顔が映った

まっ黄色のジャケットもシュールでヘンテコで大好きだった。

だからとても愛着がある。

 

この1973年は彼らの来日公演が、

ミック・ジャガーの麻薬所持が理由で中止になった年でもある。

 

結局、初来日公演はそれから17年後の1990年になった。

僕は1万円のチケットを手に入れて

友だちと大騒ぎして東京ドームまで観に行った。

 

ド派手な超一級のエンターテインメントだったが、

今思うと、やはりこの頃のダークさ・猥雑さと

だいぶ雰囲気が違っていた。

 

★1979年代:ロック王の格闘史

 

ストーンズが名実ともにロックの王者となったのは、

70年代を見事に生き抜いたからだと思う。

 

60年代の終わり、

目の上のたんこぶ的な存在だったビートルズが解散。

初代リーダーのブライアン・ジョーンズが死に、

ミック・ジャガーとキース・リチャーズの双頭体制になった。

(まるで芹沢鴨を追い出して、

近藤・土方主導になった新撰組みたいだ)

 

そして「スティッキー・フィンガース」

「メインストリートのならず者」という

ロック史・ストーンズ史に残る

大傑作アルバムを立て続けに出して天下を取った、

と思われた。

 

しかし、ポップミュージックの可能性が思い切り広がった

70年代の音楽シーンの荒波に

王者の地位はいつも揺るがされていた。

 

イギリス・アメリカでは人気ナンバーワン。

そして音楽通・ロック通の評判は高かったものの、

日本ではどうだったか?

 

人気の面、音楽性の広さ・演奏表現の醍醐味といった面では

レッド・ツェッペリンやディープ・パープルなどの

ハードロック勢、

イエスやELPなどのプログレ勢、

もしくはクイーンやエアロスミスなどの新興勢力の

後塵を拝していた。

 

そういった状況を意識してかどうか、

2大傑作の成功に安住することなく、

「山羊の頭のスープ」では、

この変態ダンスナンバー「ダンシング・ウィズ・ミスターD」や

ストーンズとしては珍しい、

もろバラードの「悲しみのアンジー」、

民俗音楽を取り入れ、

ちょっとプログレにアプローチしたようにも聴こえる

「すべては音楽」など、

いろいろなことに挑戦している。

 

もちろん、「スター・スター」みたいな

This is Stones みたいな曲もやりながら。

 

それまでのワイルド感やラフ感を抑えて、

かなり緻密で来寧な音作りを行っている。

 

評価が低いのは、そのへんが裏目に出て、

なんだか全体の印象が散漫で、

あんまりストーンズらしくないぜ~と映ったからだろう。

 

一貫して、ブルースから発展させた

自分たちのロックンロールを失わなかったストーンズだが、

その一方で、いろいろな音楽のっセンスを取り込むことに

挑戦し続け、

コンスタントにアルバムを作り、

ライブをやり続けたからこそ

激動の70年代ロックシーンを生き抜くことができた。

 

そして80年代になる頃、

他の人気バンドが解散したり衰退したりする中、

ストーンズだけは頭一つ抜けた、

別格のロックバンドになっていた。

 

そんなふうな格闘のヒストリーを考慮すると

「山羊の頭のスープ」はもっと評価されていい。

 

★山羊の頭のスープ2020

 

と思っていたら、じつは昨年、

「山羊の頭のスープ2020」という

アルバムが出ていたのを知った。

 

聴いてみたら、リマスターされたオリジナルの10曲に加え、

デモバージョン、別バージョン、アウトテイク、

未発表曲、この時代のライブパフォーマンスなど

盛りだくさん入っていてすごくいい。

 

僕たちの世代にとってローリング・ストーンズは、

永遠のロックの王者だが、

今の若い世代は、ベロ出しマークは知っていても、

ストーンズというバンドの存在は知らない人が多いらしい。

 

そんな世代にとって、バラエティに富んだ

ストーンズのロック宇宙が楽しめる

「山羊の頭のスープ2020」は超オススメである。

 

★ミスターDとコインロッカーベイビーズ

 

最後に、この「ダンシング・ウィズ・ミスターD」の

ミスターDとは何者なのか?

ちょっと気になるところ。

これはどうやらドラキュラのDらしい。

闇夜に吸血鬼と一緒にヌメヌメ踊ろうぜ、というわけだ。

 

ちなみに村上龍が1980年に発表した傑作小説

「コインロッカーベイビーズ」の中に

“D”という変態音楽プロデューサーが登場する。

このDという人物は、

この曲からイメージして書いたのでないか、

と勝手に僕は思っている。

 

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週末の懐メロ38:ワイルドワン/スージー・クアトロ

 

「キャン・ザ・キャン」「48クラッシュ」

「悪魔とドライブ」に続く真打。

スージー。クアトロ、1974年の大ヒット曲。

 

レザーのジャンプスーツに身を包み、

ベースを弾いてシャウトする

ロックンロールねえちゃんは、ぶちカッコよかった。

 

彼女が弾くベースはやたらでかく見えたが、

べつにベースがでかいわけじゃなくて、

彼女が小柄だったのだ。

 

あんまりグラマーでお色気出しまくりじゃなくて、

ちょっと小さくて可愛いところも、

アイドルチックで日本人にウケた。

 

それまで女性のミュージシャンが弾く楽器といえば、

ギターやピアノ(キーボード)で、

少なくともメジャーになった人で

ベースというのはいなかった。

その点でもクアトロは斬新だった。

 

彼女が人気になって以降、

急にベ-スが女をカッコよく見せるアイテムになり、

実際に弾かなくてもベースを抱えた

女性アイドルがレコードのジャケットや

雑誌のグラビアを飾っていた記憶がある。

 

音楽雑誌で「なぜあなたはベースを弾くんですか?」

というインタビューに対する

彼女の答が忘れられない。

 

「ギターは頭にガンガン響くのよ。

ドラムはお尻にボンボンくるわ。

ベースはね、股間にビンビン来るのよ」

 

ひえー、そうなの!と、

中学生だった僕はそれを読んで、ぶっとんでしまった。

ロックの女王、面目躍如。

この名ゼリフとともにスージー・クアトロは

永遠のアイドルになった。

 

アイドルと言えば、

かつての歌謡アイドル・榊原郁恵の「夏のお嬢さん」

(♪アイスクリーム、ユースクリームと歌う曲)は、

この「ワイルドワン」のパクリだと言われている。

 

試しに聴いてみたら、パクリとまではいわないけど、

おいしいところはいただいてます、という感じ。

興味のある人は聴き比べてみてください。

 

 

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週末の懐メロ 37:紅い月/佐野元春&ザ・コヨーテバンド

 

若い頃より還暦を超えた今のほうが

楽曲も。歌う姿も、断然カッコいい。

 

ビートと歌詞が深く溶け合った表現。

積み重ねた歳月、刻まれた経験知

それでいて不思議と新鮮な息吹を感じさせる音楽。

おとなとして成長するとはこういうことか。

 

「アンジェリーナ」も「ハートビート」も

「サムデイ」も「ビジターズ」も「ヤングブラッズ」も

好きでよく聴いていたけど、

最近はもうあのへんの曲を聴きたいと思うことはない。

 

2015年リリースのアルバム

「BOLLOD MO0N」のタイトル曲の充実した歌と演奏は、

佐野元春が懐メロ歌手ではなく、

いまだ現役バリバリの日本のロックの担い手である証だ。

 

この曲のみならず、2005年から始まった

コヨーテバンドとのセッションで

彼の世界はさらに進化した。

 

80年代から90年代の活躍は、

ここにたどり着くまでの

助走だったのではないかとさえ思える。

 

盟友・忌野清志郎も、大瀧詠一も

この世を去った今、

時代の天気を気にすることなく、

けれども確実に空気を呼吸しながら、

佐野元春はひたすら誠実にロックし続けている。

 

かつて「ガラスのジェネレーション」で

「つまらない大人にはなりたくない」と叫んでいたが、

40年を経て、彼はそれを実現した。

 

自分はどうか?

つまらない大人をしていないか?

佐野元春の歌を聴くと。

いつもそう問いかけずにはいられない。

それだけでも聴く価値がある。

 

 

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週末の懐メロ㊱:雨音はショパンの調べ/小林麻美withC-POINT

 

 

雨の季節になると思い出さずにはいられない、

小林麻美、1984年の大ヒット曲。

邦題と日本語訳詞を手掛け、

プロデューサー的な役割を果たしたのは松任谷由実。

 

ディスコブームの1980年代、

陽気でイケイケなアメリカとはひと味違う

ユーロ系ディスコが台頭し流行したが、

中でもメロディアスでメランコリックな旋律を

ダンスのリズムに乗せた

イタリア産の「イタロディスコ」はユニークで人気を博した。

 

そのイタロディスコの立役者のひとりが

パウロ・マッツォリーニ。

この原曲「I Like Chopin」を歌ったガゼボだった。

 

ガゼボは自作でありながら

この日本語バージョンに魅了され、

「これは彼女(小林)の歌だ」と言ったという。

 

アレンジも打ち込み音とオーガニックなイメージの

バランスが素晴らしく、

原曲のようなディスコっぽさをあまり感じさせない

とても繊細で丁寧な音作りをしている。

 

「別れたあの人はショパンが好きだった」という、

内容的にはありがちな失恋ソングなのだが、

ユーミンマジックと小林麻美の魔性の歌唱によって

神秘度・エロス度MAXの名曲に昇華した。

 

クールでメランコリックでダンサブル。

8分間のクラブミックスバージョンで展開する

小林麻美の脳内フル女神イリュージョン。

このイリュージョンであなたも僕も

10年長く生きられる。

 

 

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週末の懐メロ㉟:ナッシング・トゥ・ルーズ/U.K.

 

U.K.は1978年に結成された

“最後の”プログレッシブロックバンドである。

プログレッシブロックの歴史の始まりが、

1960年代後半のビートルズの

「リヴォルバー」や「サージェントペパーズ」だとすれば、

終焉はU.K.の3枚目にして最後のアルバム

「ナイト・アフター・ナイト

(U.Kライブ・イン・ジャパン)」だった。

 

僕は1979年のこの日本公演を見た。

東京で2公演が行われ、

5月30日の中野サンプラザのステージに行った。

 

同年発表されたこの曲ももちろん演奏され、

クリスタルに輝くエレクトレックバイオリンを弾きまくる

エディー・ジョブスンの姿が今でも目に浮かぶ。

 

「ナイト・アフター・ナイト

(U.Kライブ・イン・ジャパン)」は演奏修了後、

オーディエンスの「U.K.コール」が鳴り響き、

それがエコーアウトするという

すごくカッコいい終わり方をする。

 

しかし、収録は僕が見た後の6月4日の

日本青年館での公演を録音したものだったので、

レコードを聴いた時、

U.K.コールに参加できなかったことを

地団駄踏んで悔しがった。

 

そのライブアルバムが出たのは

確か同年の終わりごろだったが、

翌年になってU.K解散のニュースが伝えられた。

つまり、プログレッシブロックの歴史は

1970年代とともに終わったのである。

 

――と言うと、異論を唱える人がいるのは知っている。

U.K.を率いていたジョン・ウェットンは解散後、

イエスのスティーヴ・ハウや

ELPのカール・パーマーらと

エイジアを結成し、世界的な大ヒットを飛ばした。

 

メンバーチェンジをして生まれ変わった

イエスやジェネシスも

全米ヒットチャートを賑わせる

超人気グループに駆け上がった。

 

それはそれでいい。

売れたのが悪いわけではない。

けれども、それらはもうプログレッシブロックとは

異なる音楽だった。

 

その後、40年余りにわたってこれらのバンドは

解散しては再結成を繰り返してきたけど、

オーディエンスがリクエストと喝采を送るのは、

全米で売れた80年代のヒットナンバーではなく、

それ以前の70年代に彼らが生み出した、

今思えば奇跡のような、野心と抒情と哲学と、

大いなる世界の幻想に溢れたプログレの名曲群なのである。

 

1978年はパンクロックが音楽界に旋風を巻き起こし、

プログレ人気が凋落の一途を辿っていた時期だった。

 

そこへ舞い込んだビッグニュース。

ジョン・ウェットン(ベース/ヴォーカル)と

ビル・ブラッフォード(ドラム)が新バンドを結成!

しかもバンド名は、

United Kingdamというイギリスの正式国名。

 

これに数多のプログレファンの胸は高鳴った。

何と言っても二人は1975年に一度解散した

キング・クリムゾンのベーシストとドラマーだ。

 

そこにロキシーミュージックの元メンバーで、

クリムゾンのセッションに参加したこともある

キーボード&バイオリンのエディー・ジョブスン、

そして元ソフトマシーンのギタリスト、

アラン・ホールズワースが加わる。

 

U.K.の登場はキング・クリムゾンの再来、再結成と

受け取られた。

しかし、U.K.に対する当時の世間的評価は

あまり芳しくなかった。

 

クリムゾンファンの期待が大きすぎたせいか、

デビューアルバム「憂国の四士」は、

「クリムゾンにしてはスケール小さい」

「いまいちエッジが立ってない」などと言われた。

 

メンバーチェンジしてトリオ編成になって出した

セカンドアルバム「デンジャーマネー」は

「プログレなのにポップ過ぎる」という評価だった。

 

いま改めて聴いてみると、

1枚目は、確かにクリムゾンの影が残っているものの、

アヴァンギャルド的な部分よりも、

メロディアスな部分を強調していて聴きやすい。

 

2枚目は半分プログレ、

半分ポップなハードロックという感じで、

のちのエイジアに繋がる要素が垣間見える。

 

けれどもそれはもちろん、

クリムゾンでもエイジアでもなく、

U.K.というバンドでしか生み出せなかった楽曲群だ。

 

U.K.は活動期間も短く、

遺したアルバムもスタジオ盤2枚、ライブ盤1枚の

3枚のみで、レパートリーも20曲に満たない。

けれどもその充実度はすばらしく、

僕はどの曲も大好きだったし、

初めてプログレを聴く人にも親しみやすいと思う。

 

プログレの頂点に立つのは、一般的には4大バンド

(キング・クリムゾン/ピンク・フロイド/

イエス/エマーソン・レイク&パーマー)、

あるいはこれにジェネシスを加えた

5大バンドと言われているが、

僕はキャメルとU.K.を加えて

7大バンドということにしている。

そして唯一、

リアルタイムでライブを体験できたU.Kに対しては

愛着ひとしおなのだ。

 

あの40年以上前の日本公演で印象に残ったことがもう一つ。

プログレを聴くのは男ばかりと思っていたのだが、

オーディエンスには意外と女の子も多かった。

 

それはたぶん、

表に立つジョン・ウェットンとエディー・ジョブスンが

二人ともかなり美形だったことが大きいと思う。

ちょっとクイーンファンっぽいノリだったのだろう。

 

たしかにウェットンがベースをブンブン鳴らす横で、

ジョブスンが、今でいうならまるで羽生結弦のように

華奢な身をくねらせながらバイオリンをきらめかせ、

ギュンギュン言わせるビジュアルは、

本当に美しく、かっこよかった。

 

女子たちは、周りにいる

「聖域を荒らすミーハー許すまじ」みたいな、

プログレファンの男たちの気位の高さを察してか、

ジョンとかエディーとか呼ぶのではなく、

「ウェットン!」「ジョブスン!」と声をかけていた。

そのおとな対応が、いま思い返すとちょっと面白い。

 

2011年以降、ウェットンとジョブスンはU.Kを再結成し、

日本公演も行った。

映像を見たが、齢を取って二人の美貌は衰えたものの、

演奏は素晴らしく充実しており、

“最後の”プログレッシブロックバンドは

なおも光り輝いていた。

 

けれどもウェットンは2017年にこの世を去り、

ジョブスンも音楽の世界から身を引いたという。

 

さようならU.K.

歴史は永遠に閉じられた。

それでも僕はやっぱり死ぬまで

プログレを聴き続けるだろう。

 

 

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週末の懐メロ㉞:雨のクロール/森田童子

 

森田童子には春や夏を歌った曲が多い。

明るい光の向こう側にある影、孤独、別れ、哀しみ、死。

彼女はそうしたものを歌にしてきた。

1975年のデビューアルバムに収められた

「雨のクロール」はそれを象徴する佳曲である。

 

この音源はライブ

「東京カテドラル聖マリア大聖堂録音盤」から。

 

死去したことが公表されたのは3年前、

2018年のちょうど今頃だ。

それより35年以上も前に

もう森田童子であることをやめ、

一人の主婦として

都内のどこかで静かに暮らしていたらしい。

 

森田童子として遺した特異な歌の数々からは

どうもその暮らしぶりは想像しにくい。

でも、作品とその人の生き方・キャラクターに

整合性を求めるのは間違っていると思う。

 

1980年を過ぎて時代が変わり、

「学生運動をやっていた人たちのアイドル」

に対する関心は薄れ、

もう自分の役割は終わったと感じたのだろう。

 

どんな思いで歌うのをやめたのかわからないが、

もうしがみつくことはなかった。

 

キャリアの後半、

周囲がなんとか“延命”させようと

自分の曲に

当時の流行りだったニューウェーブやテクノポップ風の

アレンジをして売ろうとしたことにも、

すっかり嫌気がさしてしまったのだろう。

 

でもそれ以上に、普通の人になって

普通の幸せを手に入れたかった。

子ども時代に何か普通ではない、

過酷な体験があったのかも知れない。

 

本人はインタビューで

「病気のせいで孤独な生活を送っていた」

とだけ語っている。

 

そんなわけで1990年代になって

「ぼくたちの失敗」がドラマの主題歌となって

大ヒットしたのは、

本人がいちばんびっくりしたにちがいない。

 

けれども、それさえも遠い昔ばなしになってしまった。

 

森田童子はあまりにも学生運動とその時代と

セットで語られ過ぎてきた。

 

時代のベールを剥がして聴くと、彼女の歌の本質が見える。

春や夏の光の向こう側にある、人間の心の影や孤独。

 

時々、若い歌手がカヴァーを歌っているのを聴くが、

若者ほどその本質を理解している。

 

消費されることのない永続性と、

神聖と言ってもいい領域が、森田童子の歌の中にある。

 

 

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ポップミュージックをこよなく愛した僕らの時代の妄想力


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週末の懐メロ㉝:ジョニー・B・グッド/チャック・ベリー

 

ビートルズも、ローリング・ストーンズも、

彼らに追随した世界中の数多の歌手も演奏者も、

チャック・ベリーがいなかったら生まれなかった。

ロックンロールのグランドファーザー、

1958年のバイブル。

 

このバイブルが発表された年は

僕はまだこの世に影も形もなかった。

 

初めて聴いたのは1974年。

近所のレコード屋が主催する

中高生らのコンサートが

区役所のちんまりしたホールで開かれた。

 

そこで中学の同級生のカドタくんが

「お子さまバンド」という3人組のバンドを結成して出演。

そこで演奏したのが「ジョニー・B・グッド」だったのだ。

(他にも2、3曲やったと思うが忘れてしまった)

 

当時、僕はハードロックやプログレッシブロックの

分厚くて起伏が激しく、

綿密に構成された楽曲が好きだったので、

初期のビートルズやストーンズがやっていたような

シンプルなロックンロールには

スカスカ感を感じて、正直、物足りなかった。

 

ところが、お子さまバンドがやった

「ジョニー・B・グッド」は

めちゃくちゃイカしてた。

 

中学生のバンドがそんなにうまかったわけではない。

しかし、とにかく楽しいノリと旋律が、

一発で体に刻み込まれた。

 

チャック・ベリーはその頃から

すでに伝説のロックンローラーとして、

ジョン・レノンやキス・リチャーズの口から

語り継がれていた。

 

その独特のパフォーマンスも、

「ロックなんてお笑いみたいなもん」とか、

「インチキだらけの世の中なんて笑い飛ばしたる」

みたいな気概を体現しているようで大好きだ。

 

2017年、グランパ・ベリーが

90歳でこの世を去った今も、

永遠のロックの北極星として、

ジョニーはグッドであり続ける。

 

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週末の懐メロ㉜:パンク蛹化の女/戸川純とヤプーズ

 

月光の白き林で

木のの根掘れば蝉の蛹の幾つも出てきし

嗚呼 嗚呼

それは貴方を思い過ぎて変り果てた私の姿

月光も凍てつく森で

樹液啜る 私は蛹化(むし)の女

 

何時の間にか貴方が

私に気づくころ

飴色の腹持つ

虫と化した娘は

不思議な草に寄生されて

飴色の背中に悲しみの茎が伸びる

 

カノンの旋律に

昭和のアングラ演劇を思わせる

女の情念のような詩を乗せ、

少女のように歌う戸川純。

 

「蛹化(むし)の女」を初めて聴いたのは

1984年のことだった。

ソロデビューアルバム「玉姫様」の

最後を飾るその歌声に戦慄が走ったことを憶えている。

 

蜷川幸雄も蜷川実花も

あまりに切なく美しい

この奇怪で文学的な純愛歌を愛し、

舞台や映画の劇中歌として使った。

 

それを自らの手で叩き潰したパンクバージョンは、

ライブのラストナンバーとして歌い続けられた。

 

昔はその狂いっぷりにドン引きして

まともに聴けなかったが、

還暦を過ぎて再び巡り会った今、

一気に脳髄に食い込んできて、血を逆流させる。

 

戸川の絶唱とヤプーズの壮絶な演奏に

ただただ感涙するのみ。

 

そして最後の投げキッスが可愛い。

 

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ポップミュージックをこよなく愛した

僕らの時代の妄想力

 

ビートルズをきっかけにロックが劇的に進化し、ポップミュージックが世界を覆った時代.僕たちのイマジネーションは 音楽からどれだけの影響を受け、どんな変態遂げたのか考察する、おりべまことの音楽エッセイ集。

 


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週末の懐メロ㉛:シュガー・ベイビー・ラブ/ザ・ルベッツ

 

1974年。当時日本で大人気だった

カーペンターズやミッシェル・ポルナレフを押しのけ、

ラジオの洋楽ヒットチャートで1位に駆け上った

「シュガー・ベイビー・ラブ」。

 

中学生だった僕も、一発で大好きになり、

毎日のように聴いていた。

 

ルーベッツ(正式にはルベッツらしい)

のデビュー曲だが、おそらく日本人の大半は

この曲以外、まったく知らず、

このグループのことなんて

とっくの昔に忘れていたのでないだろうか。

僕もすっかり忘却の彼方だった。

 

しかし、ある時、あの甘くて、

ちょっと切ないメロディが

脳の奥からよみがえってきたのだ。

 

で、探してみたら、あった!

曲はやっぱり素晴らしい。

 

そして動画までああった。

もちろん初見。

こんなちゃんときれいな画像が残っていたとは驚きだ。

70年代臭さがプンプンするところも感動的だ。

 

メンバー全員お揃いの

白い帽子、ジャケット、ズボン。

背中にはグループ名のロゴまで入っている。

 

そして、振り付けや決めポーズも

おもしろレトロ。

 

極めつけは、途中に入る

ドラマーのキザなセリフ。

当時の女子はこれでメロメロっとなったのか?

 

ラブ&ピースなザ・70年代ポップスを楽しむのに最適。

コロナの梅雨の清涼剤に、ぜひどうぞ。

 

 

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週末の懐メロ㉚:ララ・ミーンズ・アイ・ラブ・ユー/スウィング・アウト・シスター

 

「ララは愛の言葉」はフィラデルフィアソウル最高の一曲。

オリジナルは1968年のデルフォニクス。

 

以来、70年代・80年代・90年代と、

ジャズ系・ソウル系ポップスのシンガーたちが

こぞって歌いたがる超人気曲となり、

ジャクソン5時代のマイケル・ジャクソンや

プリンスなどもカヴァーしている。

 

僕が初めて聴いたのは阿川泰子の

ちょっと夜っぽくて艶っぽいヴァージョン。

日本人では山下達郎が圧倒的な人気だ。

 

山下達郎ヴァージョンはカッコいいし、

プリンスのちょっと変態チックな歌い方も好きだけど、

やっぱりこの歌は女性の声で聴きたいなということで、

1994年リリースのスウィング・アウト・シスターを選択。

 

この頃、よくJ-WAVEを聴いていたが、

ほとんど局のテーマソングみたいに1日何回も流れていた。

 

爽やかで華やかな、このバンド独特のサウンド、

親しみやすく覚えやすく、それでいて味わい深いメロディは、

コリーン・ドリュリーが歌うと、

ますます愛らしく聴こえる。

 

いつ聴いても耳に心地よくて、

今日も思わず「ララララ・・・」と口ずさんでいる。

 

「メモリアルギター」というものにハートを射られた。

これは大阪で195年の歴史を持つという超老舗楽器店「三木楽器」が

開発した「燃えるギター」である。

いわゆるビートルズ世代も70 代に入り、エンディングについて考えるようになっている。

「三木楽器」はそんな世代の、楽器や音楽を愛した人たちへのお見送りオブジェとしてこの「燃えるギター」をプロデュースした。

どうせあの世に行くなら、大好きな音楽・愛する楽器とともに――とお考えの皆さんは、ぜひ三木楽器のサイトを覗いてみてください。

 

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メモリアルギター 燃えるギター愛

 

「週末の懐メロ」を書くようになってから音楽熱が再燃した。

と言っても、音楽的才能はゼロなので、

もっぱら聴く方専門。

だけど本当に音楽には恵まれた時代に育ったんだなぁと

最近しみじみ思っている。

 

そんな中、「メモリアルギター」というものにハートを射られた。

これは大阪で195年の歴史(なんと江戸時代から!)

を持つという超老舗楽器店「三木楽器」が

開発した「燃えるギター」である。

 

いわゆるビートルズ世代も70 代に入り、

エンディングについて考えるようになっている。

「三木楽器」はそんな世代の、

楽器や音楽を愛した人たちへのお見送りオブジェとして

この「燃えるギター」をプロデュースした。

 

「燃えるギター」と言えばジミヘンだが、

これはレッド・ツェッペリン(ジミー・ペイジ)の

「天国への階段」が似合う。

弾くのではなく、棺に入れ、

天国へ持っていくためのギターなのである。

 

本物の楽器は金属を使っているので納棺できない。

火葬炉で燃えるギター にするためには、

すべて可燃性の素材で作る必要がある。

そこで企画・開発担当の櫻井裕子さんは、

全国の木工品メーカーに打診を繰り返した。

 

徹底的なこだわりがあったので、

何となくギターの形をしてりゃいいや、では納得できない。

 

形状の複雑さやコスト面でなかなか話が

折り合わず難航したが、

ようやく愛知県の木製玩具を製造する工房の協力を得られた。

 

その一方で斎場なに聞き取り調査を行い、

ご遺体とともに確実に燃え尽きることが前提であること

を確認し、小型化を検討した。

 

葬儀で祭壇に飾ったときに玩具っぽく映らないよう

見た目とのバランスをとりつつ完成させた。

まさしく職人技。

櫻井さんもついに思い描いた商品の形に

たどり着いた時は涙した。

もちろん、量産などできないので、一つ一つ手作りだ。

 

すべて木材で出来ているため、

セレモニーの際に納棺する楽器の副葬品としても、

また祭壇やお仏壇へのお供え物としても贈れる。

大きさは本物ギターの約 1/2 スケールで、

納棺に適したサイズに設計されている。

 

タイプはアコギと、エレキギターのレスポール型、

ストラトキャスター型の計3種類。

演奏用ではないものの、本物感を重視し、

細部まで丁寧に再現されているところは泣かせる。

 

開発コンセプト、そして

商品化するまでのこだわり・執念にも胸を打たれ、

レギュラーワークの月刊仏事

(葬儀供養業界の業界誌)で紹介した。

 

今日のブログはその記事をアレンジしたものである。

 

どうせあの世に行くなら、大好きな音楽・愛する楽器とともに――

とお考えの皆さんは、ぜひ三木楽器のサイトを覗いてみてください。

 

メモリアルギターの開発ストーリー

https://youtu.be/gh08NdcJ1sE

 

販売サイト

https://mikiwood.base.ec/

 

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週末の懐メロ㉙:サパーズレディ/ジェネシス

 

Supper's Ready「晩餐の支度」。

1972年リリース。

 

ディナーを前に恋人と抱き合った男が

瞬間的に見る幻想の数々。

オカルティックであり、ユーモラスでもある

その幻想の旅をストーリー仕立てで綴った楽曲は、

半世紀後の今も燦然と輝く

1970年代プログレッシブロックの最高傑作である。

 

彼女の体を抱きしめたとたん、

男の心の奥底にある不安や恐怖や邪な思いがあふれ出し、

様々なシーンやキャラクターとなって一種の悪夢を作り出す。

 

その素材となっているのはイギリスの歴史、

御伽噺や寓話、幻想文学、

そしてキリスト教文化の世界観。

 

それぞれのシーンに深い意味や思想性があるわけではないが、

それらを一つの楽曲として織り上げたセンスと技術がすごい。

 

バックの演奏も素晴らしいが、

特にこの曲を名曲の極みに持って行ったのは、

この時のヴォーカリスト、

ピーター・ガブリエルの独特の歌唱スタイルだ。

 

ガブリエルがジェエシス時代に築き上げたスタイルは、

自ら物語の主人公となって、その心情のみならず、

情景描写、他の人物のセリフ的な部分まで歌い分けること。

 

分かりやすく言うと、ミュージカルっぽい表現手法だが、

こんな奇抜な表現力をロック音楽の中で発揮できたのは、

先にも後にもガブリエルしかいない。

 

彼は後年、バンドを脱退し、

このスタイルを捨てて、本格的な歌手への道を歩むが、

ジェネシスのヴォーカリストとして遺したものは

他では聴くことのできない秘宝となっている。

 

ちなみにジェネシスは、最もビートルズに近い

プログレバンドである。

 

「サージェントペパーズ」などで

ビートルズが行なった実験音楽を発展させたのが

プログレッシブロックだとすれば、

それを一番忠実にエッセンスとして取り入れていたのが、

ジェネシスだ。

 

リアルなラブソングと

幻想・非日常の世界・ドラマを絶妙なブレンドで表現する。

 

この曲の中でも端々に、また、構成全体からも

「サージェントペパーズ」や「アビーロード」の影響、

ナンセンスファンタジーみたいな歌詞には

ジョン・レノンの影響が感じ取れる。

 

1975年にガブリエルが脱退した後、

ドラムのフィル・コリンズがヴォーカルとなり、

プログレを捨てて、ポップロックに転向して大成功を収めたのも

そんなバンドの成り立ちと歴史が要因ではないかと思う。

 

この時期のジェネシスは

「シアトリカル・ロックバンド」の異名を取り、

ピーター・ガブリエルが奇妙奇天烈な扮装で歌い踊るという

すごいパフォーマンスを見せていた。

 

そのライブ映像も楽しくて見ものだが、

今回は曲の全体像がわかるので、

あえてイラストで疑似アニメーションにした映像を選んだ。

 

20分超の大曲をイラスト化した労作で、

作者のジェネシス愛、ガブリエル愛が伝わってくる。

 

僕はELPを聴いて以来、

中学生の頃からプログレマニアだったが、

ジェネシスはそんなに聴かなかった。

その楽曲の持つ魅力と真価と普遍性に気づいたのは

割と最近のことである。

 

ピンク・フロイドもキング・クリムゾンも

今となっては懐メロ感が拭い去れないが、

ジェネシスはいまだ僕の中で進化を続け、

刺激的なイメージを送ってくる。

 


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残酷な天使のテーゼ/高橋洋子:週末の懐メロ㉘

 

「エヴァンゲリオン」がここまで人の心に食い込んだのは、

作品の内容はもちろんだが、テーマ曲の存在も大きい。

「残酷な天使のテーゼ」の歌詞は、

とてつもなく美しくドラマチックだ。

 

作詞の及川眠子がこの曲を書く際に与えられたオーダーは

「哲学的であること」「難解であること」。

それに対し、萩尾望都の漫画「残酷な神が支配する」を

元ネタにして2時間で書き上げたという。

 

そうして生まれたこの曲はエヴァ人気とあいまって

前世紀から常に人気カラオケ曲のトップ10に入る名曲となった。

アニメを観たことない人でも、

この歌は知っているという人は多いのではないか。

 

カヴァーもやたらと多い。

外国語バージョンも英語はもとより、10か国はくだらない。

 

それでもやはり高橋洋子のオリジナル版がいい。

このビデオは歌に合わせて、

テレビ版と旧劇場版、

つまり20世紀の旧シリーズのストーリーを

曲の尺4分に編集している。

 

新シリーズの完結編である「シン・エヴァ」を観た後だと、

絵もちょっと懐メロっぽい。

でも、そこがまたいい。

 

そして曲名どおり、

旧シリーズは本当に残酷だったなぁと感じる。

そう感じるのは、苛烈で凄惨なシーンが多いせいもあるが、

一番の要因は、女性の登場人物の運命があまりに過酷だからだ。

 

かつて映画の世界では、

劇中であっても女と子どもは殺してはならないという

不文律があった。

半世紀以上前の話で「女は守られるべき存在」という

一種の差別の表れでもあるのだけど。

 

しかし、自分が男のせいか、たとえ虚構の中とはいえ、

女が死んだり殺されたりするところを見るのは、

心が切り裂かれるような痛みを感じる。

 

旧シリーズでは、レイもアスカもミサトもリツコも、

主要な女キャラがみんな死んでしまった。

それもかなり無残で惨い死に方だった。

 

物語自体も最終的に狂気の世界に突っ込んでいき、

通常のロボットアニメ、

ヒロイックファンタジーとはかけ離れた、

前衛的なアート作品のようなエンディングになった。

 

そして、エヴァ人気が一種の社会現象としても扱われた。

1990年代の世紀末観、オカルトじみた事件の数々、

従来の社会常識の液状化、

人間の心の暗黒面の発見といったことも

影響してたのだろう、

 

それに比べて、新シリーズが

とても優しく温もりのある終焉に感じられたのは、

彼女らの命が無残に潰えることなく、救われたからだと思う。

ただ一人の死も崇高な「英雄死」だった。

 

庵野監督が新シリーズを旧シリーズほど

残酷な物語にしなかったのは、

齢を取って丸くなったせいもあるが、

女を殺し過ぎたことに対する

罪ほろぼしの意識があったからだろうと推測する。

男の心には必ずそういう贖罪の季節が訪れる。

 

この曲とこのアニメは、ある世代、

具体的には1995年から97年の

テレビアニメ放映~旧劇場版上映の時期に

ティーンエージャーだった人たち(現在の40代)にとって、

一つの原風景になった。

 

巨大なトラウマであり、一生消えない感動と傷跡。

幸か不幸か、僕は大人になってから出逢ったので、

適度な距離を置いて見ることができたけど、

耽溺した人を少し羨ましく思う時もある。

 

エヴァの素晴らしいところは、

自分の想像力でストーリーを補完し、

ひとりひとりの心の中に

「マイ・エヴァンゲリオン」をつくれるところにある。

 

エヴァンゲリオン補完計画発動。

四半世紀にわたった新旧シリーズが完結し、

「残酷な天使のテーゼ」が懐メロになった今、

世界中で無数の新たなマイ・エヴァが起動する。

 

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ポップミュージックをこよなく愛した

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昭和96年の思い出ピクニック

 


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週末の懐メロ㉗:レディラック/ロッド・スチュワート

 

幸運の女神」と題された1995年リリースの歌。

明るさと切なさの入り混じった印象的なメロディーを

リズミカルに、独特のハスキーヴォイスで歌っていく

ロッド・スチュワートの佳作だ。

 

この曲はフジテレビで放送されていた

「沙粧妙子 最後の事件」の

エンディングテーマだった。

 

主演の浅野温子、佐野史郎、升毅をはじめ、

当時のスター級俳優やアイドルたちが顔をそろえた

とんでもなくヘヴィで陰惨でオカルト風味満載の

心理サスペンスドラマ。

 

ベストセラーになり、プロファイリングという言葉を広めた

ノンフィクション「FBI心理捜査官」や

サイコスリラーの原点となった

映画「羊たちの沈黙」の影響は明らかで、

毎回おそるべき異常でミステリアスな殺人事件が起きていた。

 

夜9時というゴールデンタイムに公共の電波で

よくあんなとんでもない話をやっていたものだ。

 

思うにあの1990年代、

多くの人が、人の心の奥に計り知れない闇があることを発見し、

そこに鬼とか悪魔が生息することを認識し、

それを覗き見ることに興奮と快感を覚えてしまったのだろう。

僕はその一人である。

 

あの頃、異常だの狂気だのと騒がれたような事件や事象は、

いまや日常茶飯事的に起こっている。

人間と社会の、一つの進化だったのかも知れないと思う。

 

いずれにしても「沙粧妙子 最後の事件」は

めちゃくちゃ面白かった。

毎回、次はどうなるんだろうと盛り上がったところで

この歌が入ってきてエンディングとなる。

 

ドラマの濃厚な後味をクリーンにしてくれる

スチュワートの、軽くカマしているような、心地よい歌声。

何度聴いてもナイスだ。

 

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ポップミュージックをこよなく愛した僕らの時代の妄想力

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 ビートルズをきっかけにロックが劇的に進化し、ポップミュージックが世界を覆った時代.僕たちのイマジネーションは 音楽からどれだけの影響を受け、どんな変態を遂げたのか。心の財産となったあの時代の夢と歌を考察する、音楽エッセイ集。ブログより33編を厳選・リライト。

 

もくじ

●八王子・冨士森公園のスローバラード駐車場で、ポップミュージックをこよなく愛した僕らの時代の妄想力について考える

●アーティストたちの前に扉が開いていた

●21世紀のビートルズ伝説

●藤圭子と宇多田ヒカルの歌う力の遺伝子について ほか

 

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週末の懐メロ㉖:LOCH SENU/LANPA

 

LAMPA(ランパ)の[LOCH SENU(ロッホ・セヌ―)」は

1990年5月、イカ天で歌われた。

 

通称イカ天、「いかすバンド天国」はTBS系で

1989年2月から1990年12月まで放送された

バンド勝ち抜き合戦の番組である。

 

始まった頃、出場バンドのクオリティは結構高く、

当時、こりゃすごい、カッケー、楽しい、

テレビ的に面白いと思ったのがいっぱいあった。

 

しかし、30年あまりたった今。なおも新鮮に響き、

こころ傾けて聴けるのは、LANPAだけである。

 

ハイトーンで清涼な女声ヴォーカルと

ファンタスティックに響きわたるギター。

リズムセクションを含めた

アンサンブルの素晴らしさ。

 

そして、光や水、木や土や月など、

自然の事象と人の心情を重ね合わせて表現する

独特の美しさを持った音楽世界。

 

時に民俗音楽のようであり、

時にプログレッシブロックのようであり、

時にフォークっぽいニューミュージックのようでもある

変幻自在な楽曲は、どこかにありそうだけど

どこにもないユニークさを放っていた。

 

メジャーデビューも果たし、

CDも買って聴いていたが、この曲以外にも、

「水の上のペディストリアン」「記憶の森」

「ムーンライトマッドネス」「大地に雨」など、

バラエティ豊かな名曲ぞろいだ。

 

イカ天はその週にチャンピオンとなった「イカ天キング」が

5週連続で勝ち抜くと「グランドイカ天キング」になるという

仕組みだった。

 

LAMPAは4週勝ち抜くも最後の5週目で敗れ、

グランドにはなれなかった。

 

LANPAが去って以降のイカ天は全体的にクオリティが落ち、

ブランキージェットシティ以外、ほとんど憶えていない。

最後の3か月はつまらなくなって見なくなっていた。

 

審査員の好みか、番組の趣向なのか、

ルーツのはっきりしたロックらしいロック、

アクの強い強烈なキャラクター、イロモノ、

テレビ的に面白いといったバンドが

優遇されていたような気がする。

 

それらの基準のどれにも当てはまらず、

音楽性だけで勝負していたLANPAはちょっと不利で、

イカ天バンドらしくなかったのかもしれない。

 

けれども今となっては、そんなことはどうでもいい。

あれから30年。彼女らの遺した楽曲が

またとない生命力を持って輝いていることが

確認できれば、それで十分だ。

 

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もくじ

●八王子・冨士森公園のスローバラード駐車場で、ポップミュージックをこよなく愛した僕らの時代の妄想力について考える

●アーティストたちの前に扉が開いていた

●21世紀のビートルズ伝説

●藤圭子と宇多田ヒカルの歌う力の遺伝子について ほか

 

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週末の懐メロ㉕:タワー/エンジェル

 

高校に入ってしばらく経った1975年のある日。

当時よく通ってたロック・フォーク専門のレコ―ド店を

覗きに行ったら、店のマスターが僕の顔を見るなり、

「おっ、フクシマくん、今度すごいバンドが出たんだよ」

と言って聴かせてくれたのがエンジェルのデビューアルバム

「天使の美学」だった。

 

視聴用のプレイヤーのターンテーブルに

レコードを乗せて針を落とすや、

いきなりシンセサイザーの電子音がギュンギュン唸って、

ド派手なドラムがドカドカと響いたかと思ったら、

哀愁を帯びた美しいメロディーが流れだす。

オープニング曲「タワー」は、確かに劇的・衝撃的だった。

 

プログレ風味のハードロックと言うか、

ハードロックっぽいプログレと言うか、

とにかくそんな感じ。

 

ただし、日本でのエンジェルの扱いは

「アメリカ版クイーン」という感じだった。

人気爆発のクイーンをフォローして

女子ウケ狙っているのがミエミエで、

メンバー全員、中性っぽいメイクで

天使の白いヒラヒラの衣裳を着ていた。

 

レコードジャケットやステージを彩る

トレードマークの仮面のような像は

天使をモチーフにしているのだと思うが、

これはどう見ても天使と言うより、

エヴァンゲリオンに出てくる「使徒」である。

 

結局、僕は「天使の美学」しか聴かなかったが、

このアルバムは結構いい出来でクオリティの高い良い曲・

好きな曲が揃っていた。

中でもやっぱりトップにぶちかまされる

この「タワー」が最高である。

 

メロディラインの美しく、陰影に富んだ繊細な楽曲。

それに対して力まかせ、若さまかせの荒っぽい演奏。

そしていかにもアイドル然としたルックスとステージアクション。

 

いかにも1970年代のロックっぽくて

今ではとても貴重な存在、そして面白い個性に思える。

 

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週末の懐メロ㉔:悲しき鉄道員/ショッキング・ブルー

 

僕の脳内ジュークボックスの中で

すっかり廃盤になっていたショッキング・ブルー。

今年になってからたまたまYouTubeさんにご紹介いただいて

半世紀ぶりに聴いてみたら、まさしくショッキング。

すっかりイカれてしまった。

なんじゃ、この新鮮さ、このカッコよさは!

 

なにせまだ小学生だったので、

ラジオでなのか、テレビでなのか、

街中のどこかのお店でなのか、

どこで耳にしたのか、さっぱり憶えていない。

 

1969年「ヴィーナス」、1970年「悲しき鉄道員」と

大ヒットを連発したので、

けっこうよく聴いていたはずではある。

 

けれども中学生になってロック好きになってからは

「昔流行ったポップスグループ」として、

すでに過去の存在になっていた。

 

なんかその頃も耳にしたことがあったかも知れないけど、

古臭くて全然興味がわかなかった。

しかし、50年の歳月がそんなイメージをひっくり返した。

 

オランダのバンドで、

ヴォーカルのマリスカ・ヴェレスは

ジプシーの血をひく60年代型エキゾチック美人。

ーーということも初めて知った。

こんなちゃんとしたプロモビデオが残っているのも驚きだ。

 

世界的な大ヒットになったのは「ヴィーナス」の方だが、

僕はちょっとメランコリックなメロディーラインと

「No No No」という印象的なフレーズがリフレインされる

この曲の方がお気に入りだ。

 

「悲しき鉄道員」という邦題も

文学感、レトロ感が漂ってかえって新鮮で魅力的。

 

運転士なのか、機関士なのか、車掌なのか、駅員なのか、

はたまた開発者なのかーー

世界各地で特急列車が次々と開通し、

鉄道という産業・交通機関が花形だった時代には

「鉄道員」が一つの職業世界を表していた。

 

そういえば浅田次郎の小説を、

高倉健さん主演で映画化した「鉄道員(ぽっぽや)」

という20世紀の鎮魂歌のような名作もあった。

 

この歌のように、女よりも新列車の開発に夢中だった

レイルロードマンも大勢いたに違いない。

いまや絶滅寸前の「男のロマン」という言葉が通用した

最後の時代の名曲ともいえそうだ。

 

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週末の懐メロ㉓:同志/イエス

 

あまりにシンプルで、あまりに日常的な

「イエス」という言葉を新たな世界観で捉え、

芸術の次元まで昇華させたのは、

オノ・ヨーコの神業だった。

 

ジョン・レノンの魂を鷲掴みにした

あの有名なエピソードを、

ビートルズの曲が大好きだという

このバンドのメンバーが知らなかったわけがない。

 

彼らがどの程度、意識したかは知らないが、

「イエス」というたった3文字のバンド名と、

ヴォーカルのジョン・アンダーソンが紡ぎ出す

哲学的な世界観の音楽は、

オノ=レノンが目指したものと相通じている。

 

プラスティック・オノバンドに参加していた

ドラマーのアラン・ホワイトが途中から加入したのも

何かの縁かもしれない。

 

プログレッシブロックは狂

気や闇の世界を描く楽曲が多いが、

イエスが描き上げるのは光の世界--

あくまで肯定的な「イエス・ワールド」だ。

この世の森羅万象を自分の一部として受け入れる姿勢。

 

1972年リリースのアルバム「危機(Close Edge)」を

初めて聴いたのは中学3年のときだったが、

以来、イエスの音楽は、つねに僕の脳内にある

“もう一つの地球”の浄化装置として稼働し続けている。

 

オーケストラと共演した2001年のライブ。

「危機」の中の一曲、「同志(And You AND I)は

彼らの音楽性が最も優美に結実した佳曲。

 

歌詞は文学的な言葉遣いだが、

曲名通り「あなたとわたし」のラブソングとして、

おおらかな音の波に身をゆだねて楽しむことができる。

 

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週末の懐メロ㉑:忘れじのグローリア/ミッシェル・ポルナレフ

 

1973年の日本の一般的中学生の間で“洋楽”と言えば、

基本はカーペンターズかミッシェル・ポルナレフだった。

 

出る曲、出る曲、次々とヒットチャートのトップを獲得。

ラジオでカーペンターズとポルナレフの曲を

聴かない日はなかった。(という印象)

 

音楽のハットリ先生というのがいて、

1学期に1回、好きなレコードを持ってきてかけていいという

時間があったが、

その時もだいたいカーペンターズとポルナレフの曲が

音楽室に溢れていた。

 

女・子どもの聴くものなんか——という、

僕のロック信仰者の先輩方は、

例によって「あれは歌謡曲に過ぎない」と、

ポルナレフのことをバカにしていた。

フランスというところも「スカしやがって」

と気に入らなかったのかもしれない。

 

かつての日本人には一種のフランス信仰があって、

最近、UQのコマーシャルで片岡愛之助が扮している

「シェ―!」のイヤミさんのように、

おフランス大好き!パリ最高!という人がいっぱいいた。

 

芸術も思想も文学もファッションも食べ物もおフランス。

ならば映画だって、音楽だって、というわけで、

今思うと、60年代から70年代は、

日本の音楽界ではフレンチポップが

一つのジャンルを作っており、

フランスの歌手や音楽家がとても愛されていたように思う。

 

中でもミッシェル・ポルナレフは

ロック世代にもアピールする、

独特の音楽世界を展開していた。

 

軽快なリズムのオシャレなロック調の

「シェリーに口づけ」、

ちょっとアンニュイな雰囲気漂うロマンチックなバラード

「愛の休日」、

そしてこのドラマチックな

「忘れじのグローリア」のヒット3連発は

当時の中学生(特に女子)を完全にノックアウトした。

 

「オー、グローリア、グローリア~」と壮麗に歌い上げ、

これでもかとばかりにエンディングをリフレインして

余韻に浸らせるところが、とっても70年代っぽい。

 

ところで、この映像では最後の最後に

素顔の写真が出てくる。

あのカーリーヘアとでっかいサングラスが

トレードマークだったので、

へー、ポルナレフってこんな顔してたんだ~と、

プチ新たな発見。

 

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週末の懐メロ⑳:なごり雪/イルカ

 

3月は「なごり雪」の季節。

新しい季語まで生んだこの歌は、

僕が10代の頃からもう時代遅れな世界だった。

 

ロマンチックに感じて当時のガールフレンドと

真似事をしたことはある。

 

だけど、新幹線や特急列車が続々と

日本中を走る時代になり、

こんな別れのシーンは、1980年ごろには

古びた映画みたいなストーリーになっていた。

 

かぐや姫の伊勢正三が作り、

アルバムにひっそりと収められていた曲を

イルカがカバーして1975年に大ヒットさせ、

ほとんど彼女の代名詞になった。

 

子どもなのか、大人なのか、

女なのか、男なのか、

いまいち判然としない彼女が歌うことで

「なごり雪」は一つのファンタジーに昇華した。

 

いまや懐メロ中の懐メロ。カラオケの鉄板。

いろんな歌手がカバーしているので、

若い世代にもよく知られた人気曲になっている。

70代以下の日本人なら、

知らない人はいないと思われるくらいだ。

 

昨年の大みそかにテレビ東京の歌番組

(冒頭の徳光和夫さんのアナウンスから涙が出る)

で放送された、たぶん最新のイルカの映像。

 

いつまでたっても変わらないその風貌に

ずっと不思議な思いを抱いてきたが、

久しぶりに見て、ちょっとショックを受けた。

 

彼女も齢を取った。

時がゆけば幼い君も

大人になると気づかないままだったんだ、僕は。

 

独特の伸びやかな声は失われつつあり、

もう高い音を出すのが苦しそうだ。

けれども、それが新しい味付けになっているようにも聴こえる。

 

長年彼女が歌い続け、たくさんの人が愛して育ててきた名曲は、

この先、「ふるさと」や「赤とんぼ」のような

日本人の心の故郷の歌になっていくのだと思う。

 

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週末の懐メロ⑲:マーチ・オブ・ザ・ブラッククイーン/クイーン

 

僕にとってクイーンの最高傑作アルバムは間違いなく

1973年リリースの「クイーンⅡ」である。

「マーチ・オブ・ザ・ブラッククイーン」は

その劇的な構成美のクライマックスを飾る

クイーン・オブ・クイーンズとでも呼びたくなる曲だ。

 

デビューアルバムは大半が前身のバンド・

スマイル時代にやっていた曲か、

それを焼き直したものだったので、

「Ⅱ」が本格的なクイーンのスタート、

そして、フレディ・マーキュリーの才能が

爆発した作品でもある。

 

このアルバムは光と闇の世界の対比を描いた

コンセプトアルバムになっており、

アナログ盤ではA面がホワイトサイド、

B面がブラックサイドになっている。

 

英国のダークファンタジーに素材を取ったブラックサイドでは、

悪鬼や妖精が跳梁跋扈する曲がメドレーでつながっている。

4曲目に登場する「マーチ・オブ・ザ・ブラッククイーン」は

その世界観を集約した最高の聞かせどころだ。

 

スリリングな曲展開とドラマチックな構成は、

当初、ツェッペリンのパクリだの、

イエスの物まねなどと、

イギリスの音楽評論家にけなされていたが、

日本のファン(評論家ではない)は、

この頃からすでにクイーンの音楽を高く評価していた。

 

おそらく今でも日本では、世界的なバンドになった後期よりも

この時代の“ブリティッシュ・クイーン”のほうが

人気が高いのでがないかと思う。

 

2018年の映画「ボヘミアン・ラプソディ」では開始早々、

フレディ・マーキュリーが

ブライアン・メイとロジャー・テイラーのバンド

「スマイル」に出逢い、

脱退したヴォーカリストに替わってメンバーになる。

 

その後、バンド名を「クイーン」にして

ライブハウスに登場するのだが、

そこで「炎のロックンロール」を勝手に歌詞を替えて

歌ってしまうシーンが最高に面白かった。

 

そのシーン、その歌詞は、映画のテーマでもある

彼の生き方・不安定なアイデンティティの問題にも

関わっている。

 

映画自体は人間の掘り下げが非常に甘く、

むかし音楽雑誌で読んだクイーンのエピソードを

つぎはぎしただけのストーリーで

まったくの期待外れだった。

 

ただ、マーキュリーが抱えていた問題は伝わった。

 

イギリスという国でマイノリティとして生きる

自分とはいったい何者なのか?

 

このブラッククイーンにはマーキュリー自身が投影されている。

彼は自分が何者なのかを知るために、

英国の闇の女王・ブラッククイーンとなって

自分の心の中にある闇の部分を

洗いざらい表出しようとしたのだ。

 

楽曲の美しさ・カッコよさもさることながら、

そうした視点から聴いても面白いのではないかと思う。

 

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週末の懐メロ⑱:トムズ・ダイナー/スザンヌ・ヴェガ

 

静寂の中に響くクールな歌声と呼吸。

きっとどこかで楽器が入ってくるのだろうと思っていたら、

耳に届くのは最後までそのまま彼女の声と呼吸だけだった。

 

描かれるのは、ニューヨークの雨の朝。

トムの店でコーヒーを飲んでいた主人公は、

むかしむかし――雨が降り出す前の、

真夜中のピクニックのことを思い出し、

コーヒーを飲み干して電車に乗るために立ち上がる。

 

2分ちょっとの短い物語が不意に終わったとき、

背中がぞくぞくっとしたのを思い出す。

 

スザンヌ・ヴェガ、1984年の傑作アルバム

「孤独(ひとり)」の冒頭を飾る鮮烈なアカペラ。

 

都会の片隅の、奇妙に居心地よい孤独。

思い思いに生きる人たちの

それぞれの呼吸が聞こえてくる。

 

世間はとやかく言うけど、

ひとりぼっちもそう悪いものじゃない。

 

いくつになっても孤独な姿でステージに立つヴェガの

優しいメッセージが、

この曲に込められているような気がする。

 

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アイドル、マンガ、オカルト、オリンピック、新聞配達、家族、そして戦争――

昭和には愛すべきもの、憎むべきもののすべてがあった。

2021年=令和3年=昭和96年になった今でも、僕たちは昭和の物語から離れられない。

海を埋めたて、山を切り開き、明日へ向かって進んだ果てに見つけたものは何だったのか?

みんなが愛して憎んで生きた時代を1960(昭和35)年生まれの著者が探検する面白まじめエッセイ集。ブログ「DAIHON屋のネタ帳」から30篇を厳選・リライト。

 

もくじ

・西城秀樹さんのお葬式:青春の同窓会

・ちびまる子ちゃんとサザエさんはいつまで続くのか?

・昭和オカルト大百科

・新聞少年絶滅?物語

・死者との対話:父の昭和物語

・社会全体の児童虐待と「晴れた空」

・東京ブラックホールⅡ:「老いた東京」は美しいか?

・さらばショーケン:カッコ悪いカッコよさを体現した1970年代のヒーロー

・さらば平成――みんなが昭和に帰りたがった30年

・永遠の昭和 明日のための1960年代・70年代   ほか

 

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週末の懐メロ⑰:ジュニアズ・ファーム/ ポール・マッカートニー&ウィングス

 

ジョン・レノンとポール・マッカートニー。

ビートルズ解散後、ソロ活動になった二人の天才。

1970年代当時、自分のバンド・ウィングスを率いて

次々とアルバムをリリースし、

ヒット曲を連発していたマッカートニーは

完全にレノンを凌駕していた――

そんな印象があった。

 

けれども年月が経ち、それぞれの曲を聴いてみると、

「イマジン」「ラブ」「マザー」「マインドゲームス」など、

レノンの遺した曲は数は少ないものの、

永遠の生命力を持ったかのように深く体の芯まで染みてきて、

何度でも繰り返し聴きたくなる。

 

対してマッカートニーの曲、特にバラード系は、

正直、どうも深いところまで響いて来ない。

もちろん美しくて口当たりが良く、親しみやすいのだが、

ビートルズ時代と比べて何かが足りないのだ。

 

ポップミュージック史上最強の作曲コンビ、

レノン・マッカートニーがどういうふうに

ソングライティングしていたのか、詳しいことはわからない。

 

現在ではごく初期の頃を除いて、

ほとんどが共作ではなく、

それぞれの単独曲ということが定説になっている。

けれども彼らの曲作りはそう単純ではなかったと思う。

 

どちらか一方が作った曲だとしても、

スタジオでレコーディングする段階でセッションするうち、

さまざまなインスピレーションがやってきて、

こうしよう、ああしようと二人の間で

丁々発止のやりとりがあって

あの奇跡としか思えないビートルズの楽曲群が

出来上がっていった。

 

マッカートニーの憎いほどツボを心得たメロディーメイキングも、

レノンが一言アドバイスしたり、

プラスアルファのアイディアを付加するなど、

仕上げのスパイスを一振りすることで、

あそこまでの神業になり得たのだろう。

 

ソロのマッカートニーに何が足りないのかと言えば、

レノンの持っていた「思想性」みたいなものだろうか。

音楽の天才職人は、音楽が好きすぎて、

音楽を中心にしてしか世界のことを

考えられなかったのかもしれない。

 

なんだかポール・マッカートニーをディスってしまったが、

彼が今に至るまで超一流のミュージシャンで

あり続けていることは

ほとんど驚異的であり、尊敬すべきことに間違いない。

まさに彼の人生は音楽のためにあった。

 

1974年発表の「ジュニアズ・ファーム」は

生き生きしたロックナンバーで、

ラジオで初めて聴いてしびれた僕は、次の日、

レコード屋にシングル盤を買いに走った。

 

今は亡き奥さんのリンダも参加していたウィングス最盛期の

脂がギンギンのった演奏は

本当に元気でカッコよくて楽しくて、

彼自身もめちゃくちゃエンジョイしているのが伝わってくる。

 

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だれの心のなかにも「子ども」がいる。

自分のなかにいる子どもにアクセスしてみれば、

何が本当に大切なのか、何が必要なのか、

幸せになるために何をすればいいのか、どう生きるのか。

自分にとっての正解がきっとわかる。

〈少年時代の思い出〉×〈子育て体験〉×〈内なる子どもの物語〉で

こね上げた 面白エッセイ集。ブログから40編を厳選・リライト。

もくじ

・大人のなかの子ども、子どもの中のおとな

・ちびちびリンゴとでかでかスイカ  

・天才クラゲ切り:海を駆けるクラゲ 

・子ども時間の深呼吸 

・親子の絆をはぐくむ立ちション教育 ほか

 

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週末の懐メロ⑯:少女/五輪真弓

 

子どもの頃、僕が暮らしていた小さな家には縁側があって、

柿と柘榴と無花果の木が生えていた。

猫の額ほどの小さな庭だったが、

子どもの目にはずいぶんと広く見えた。

 

縁側では祖父や祖母といっしょに

みかんやお菓子などを食べていた記憶がある。

真冬に白い雪が積もっていたこともあった。

 

中学生の頃、出逢ったこの歌は

そんな情景を思い出させてくれる。

 

そして、いつもこの歌の主人公の少女は

いくつなのだろう? と考えてきた。

 

歌詞の1番の少女は9歳じゃないかと思う。

2番の少女は19歳だろうか。

 

9歳の少女は夢が崩れるのを見ても

縁側に座っているしかなかった。

けれど、19歳の少女は色あせた夢を捨てて

垣根の向こうへ旅立つことができた。

 

だけども最近、もしかしかしたらどちらも

本当は90歳のばあちゃんなのかもしれない

と考えるようになった。

 

叶えた夢も、叶えられなかった夢も、

いずれは手放さなくてはならない。

老いた時、人はそのことを知る。

 

そして9歳でも、19歳でも、90歳でも、

どの女にもその内側に少女がいるのだ。

 

人間は経験しなくても、勉強しなくても

生まれながらに生きる知恵と勇気を携えている。

その人ならではの知見もたくさんある。

 

五輪真弓はそんな普遍的な人間存在への思いを

美しい旋律に乗せた。

男の中にも少女がいることを伝えた。

一生の伴侶となる歌に出逢えたのは、

とても幸福なことだと思う。

 

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明日よりAmazon Kindle電子書籍

おりべまことエッセイ集5タイトルを

10日間連続無料でお届けします。

 

★7日(日)17:00~9日(火)16:59

ポップミュージックをこよなく愛した

僕らの時代の妄想力 (音楽エッセイ)

 

 

★11日(水)17:00~13日(木)16:59

神ってるナマケモノ (動物エッセイ)

 

★13日(木)17:00~15日(土)16:59

子ども時間の深呼吸 (子どもエッセイ)

 

★15日(土)17:00~17日(月)16:59

ロンドンのハムカツ (食べるエッセイ)

 

18日(火)新刊「昭和96年の思い出ピクニック」発売予定!

 


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週末の懐メロ⑮:キエフの大門/エマーソン・レイク&パーマー

 

1975年、ロック音楽雑誌「ミュージックライフ」で

グループ部門堂々第1位。

キーボードプレイヤー部門はキース・エマーソン、

ベーシストはグレッグ・レイク、

ドラマーはカール・パーマーと、

すべて第1位を総ナメ。

「ELP(エマーソン・レイク&パーマー)を聴かない奴は

若者じゃないぜ」

とまで言われるほどの圧倒的な人気を誇った伝説のバンドだ。

 

当時はロックミュージックの急成長時代。

「古い価値観・古い権威をぶっとばせ!」の心意気で、

クラシック音楽をロックにしちゃうというのが一時期流行した。

 

そこでELPはムソルグスキーの組曲「展覧会の絵」を

めちゃくちゃアグレッシブなロックに変えて

ライブ録音でアルバムをリリース。

それが大ヒットとなり、

「クラシック音楽ロック」の代名詞となった。

もちろんで今も名盤として聴き継がれている。

 

また、男子だけでなく、女子にも人気があり、

少女マンガの青池保子氏の名作「イブの息子たち」に登場する

3人の主人公は、ELPをモデルにしている。

 

この1974年の「カリフォルニアジャム」というライブにおける

「展覧会の絵」のクライマックス「キエフの大門」の演奏では、

曲の中盤で、エマーソンがオルガンを弾き倒し=引き倒して

ギュワンギュワン唸らせた後、

今度はグランドピアノに飛び移って弾き出すと

それがみるみる宙に浮かび、

エマーソンはピアノとともに空中で

グルングルン何度も回転する。

 

そして最後はダイヤルとケーブルを全身にまとった

電子楽器の巨神兵・ムーグシンセサイザーに飛び掛かり、

ヒュイーンヒュイーンと泣かせて完全制圧する。

 

いま見ると大笑いの超絶パフォーマンスだが、

あの頃はこれがすごかった。カッコよかった。

エマーソンはまるで機械文明に打ち勝った

人類代表のヒーローのようだった。

みんなが興奮して泣いていた。

 

けれども僕らの胸を熱くした

エマーソンもレイクもこの世を去っていった。

「キエフの大門」の歌詞の末尾、

「Death is Life」が胸を刺す。

 

今ではもう多くの人から忘れられているかも知れないが、

ELPこそロック黄金時代の夜空を焦がした

巨大な打ち上げ花火だった。

This is ELP!

20世紀の夢の歴史を見よ。

 

Amazon Kindle 電子書籍新刊

「ポップミュージックをこよなく愛した僕らの時代の妄想力」

 

ビートルズをきっかけにロックが劇的に進化し、ポップミュージックが世界を覆った時代.僕たちのイマジネーションは 音楽からどれだけの影響を受け、どんな変態を遂げたのか。心の財産となったあの時代の夢と歌を考察する、おりべまことの音楽エッセイ集。ブログ「DAIHON屋のネタ帳」より33編を厳選・リライト。

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もくじ

●八王子・冨士森公園のスローバラード駐車場で、ポップミュージックをこよなく愛した僕らの時代の妄想力について考える

●アーティストたちの前に扉が開いていた

●21世紀のビートルズ伝説

キング・クリムゾンの伝説と21世紀版「風に語りて」

●プログレッシヴ・ロックスターの死①:ジョン・ウエットンの訃報、そしてロンドンの寿司

●プログレッシヴ・ロックスターの死②:キース・エマーソンの尊厳死(1周忌に捧ぐ) 

●ヘイ・ジュード:ジョンとポールの別れの歌  ほか

 


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週末の懐メロ⑭:タイムマシンにおねがい/サディスティック・ミカバンド

 

イカしたロックはいつでもどこでも誰にでもモテる。

懐メロでありながら、50年の時間もひとっ飛び。

「ティラノサウルスお散歩アハハーン」が子どもにもウケて、

今や学童唱歌にもなっている(?)

サディスティック・ミカバンド1974年リリースの

「タイムマシンにおねがい」。

 

本当にタイムマシンのスイッチを回せば、

脳の中だけならいつどもどこでも

好きな時代に行ける時代になってしまった。

 

エンディングのリフレインをフェイドアウトじゃなく、

歌詞の途中でぶった切るのも70年代っぽくってラブリーだ。

 

1月21日(木)17:00~24日(日)16:59

3日間限定無料キャンペーン実施中

 

ポップミュージックをこよなく愛した僕らの時代の妄想力

 

★ビートルズをきっかけにロックが劇的に進化し、ポップミュージックが世界を覆った時代.僕たちのイマジネーションは 音楽からどれだけの影響を受け、どんな変態を遂げたのか。心の財産となったあの時代の夢と歌を考察する、おりべまことの音楽エッセイ集。

ブログ「DAIHON屋のネタ帳」より33編を厳選・リライト。Amazon Kindleにて発売中。

 

もくじ

●八王子・冨士森公園のスローバラード駐車場で、ポップミュージックをこよなく愛した僕らの時代の妄想力について考える

●アーティストたちの前に扉が開いていた

●21世紀のビートルズ伝説

●藤圭子と宇多田ヒカルの歌う力の遺伝子について

●ヘイ・ジュード:ジョンとポールの別れの歌

●阿久悠の作詞入門

●余命9ヵ月のピアニスト

●ローリング・ストーンズと新選組の相似点について

●キング・クリムゾンの伝説と21世紀版「風に語りて」

●プログレッシヴ・ロックスターの死①:ジョン・ウエットンの訃報、そしてロンドンの寿司

●プログレッシヴ・ロックスターの死②:キース・エマーソンの尊厳死(1周忌に捧ぐ) 

●勝手にビートルズ・ベストテン

●中学生時代の「エリナ・リグビー」の衝撃と和訳演奏

●純情ストーカー男と純心DV願望女の昭和歌謡

●人間は幸せに慣れると、幸せであることを忘れてしまう

●義弟のアナログレコードと帰ってきたカレン・カーペンター

●いちご畑で抱きしめて

●ダイヤモンドをつけたルーシーとの別れとジュリアンの心の修復作業

●抹消された20世紀パンクと想像力の中で生きる19世紀型スチームパンク

●悲しいことなんてぶっとばすロックンロールバンドのモンキービジネス

●オノ・ヨーコさん「NHKファミリー・ヒストリー」とYESの3文字の秘密

●オノ・ヨーコさん「NHKファミリー・ヒストリー」と「イマジン」の秘密

●いろいろな人が弾くから、心に響くロンドンのピアノ

●ストリートミュージックが商品になった街ロンドン

●アナログレコードとの再会

●見捨てられた恋人のようだったアナログレコードが、 なぜ絶滅の淵から回帰したのか?

●さすらいのレコード・コレクター:男のバカバカしくて痛快な生きザマ

●クリスマスにちょっとだけ世界と自分を変える

●森田童子の思い出:僕らの時代の子守唄

●自分をリライトする

●よみがえる死者・よみがえる歌:AIの音楽

●20世紀の愛と平和のロックなんて忘れてしまっていた

●だいじょうぶです、なすがままになさい

 

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週末の懐メロ⑬:デジャ・メイク・ハー/レッド・ツェッペリン

 

おそらくいちばん女子ウケするツェッペリン・ナンバー。

有名どころではシェリル・クロウが1990年代にカヴァ―したり、

「デジャ・メイク・ハー」という曲名そのままの

日本のアイドルグループもいる。

 

ビートルズ以外、ロックなんてほとんど興味のない、

もちろんレッド・ツェッペリンなんて全然聴かない

うちのカミさんもこの曲だけは好きだという。

 

レゲエとトラッドフォークのエッセンスをブレンドした

ポップでキュート、楽しくてご機嫌なリズム。

それでいながら思いっきり「ZEP節」になっている。

僕の「マイ・ツェッペリン・ベスト」の中でも、

つねに5本の指に入れている。

 

レッド・ツェッペリンといえば、

1970代のロックバンドの最高峰に位置するとともに

「ヘヴィメタの元祖」というのが世間一般のイメージ。

 

超名曲「天国への階段」は別格として、

いまだファンが挙げる彼らの代表曲は、

「胸いっぱいの愛を」や「移民の歌」などの

ヘヴィメタナンバーばかりだ。

僕はこれらの曲が昔からどうも好きになれない。

どうしてツェッペリン=ヘヴィメタなのか?

 

ヴォーカルのターザンみたいな雄叫びや、

宇宙空間で唸るようなギターとドラムなど、

演奏表現としては面白いと思うけど、

楽曲として美しくも楽しくもないし、心に響かない。

 

レッド・ツェッペリンの本当の魅力は、

特に3枚目以降のアルバムで聴ける、

ワールドミュージックを取り込んだ広大な音楽宇宙だ。

そこには世界各地の音楽に宿る精霊みたいなものが感じられる。

 

それを現代的なロックのビートに乗せて、

独自のZEP節にしてしまう作曲力と演奏力が素晴らしい。

圧倒的なオリジナリティ。

まさしくキング・オブ・ロックバンドの所業。

 

レゲエがポップミュージックの世界でまだ認識されておらず、

当然、ジャンルとしても確立していなかった1973年に

レゲエを取り入れてこんな斬新な曲を作れたのは、

このバンドだけだ。

今では多くのレゲエアーティストがこの曲をカヴァーしている。

 

ユニークなタイトルは、イギリスのジョークと

レゲエ発祥の国「ジャマイカ」を掛け合わせたもの。

実際、彼らは“ジョーク”としてこの曲をアルバムに入れ、

その後、二度と演奏しなかった。

 

この映像は曲に合わせて、

他の曲をやっているライブシーンを編集したものだ。

 

半世紀たっても絶大な人気と影響力を持つ

キング・オブ・ロックの魅力を

ひとりでも多くの人に味わってもらいたい。

「デジャ・メイク・ハー」は、その入口として最高だと思う。

 

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「ポップミュージックをこよなく愛した僕らの時代の妄想力」

 

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もくじ

●八王子・冨士森公園のスローバラード駐車場で、ポップミュージックをこよなく愛した僕らの時代の妄想力について考える

●アーティストたちの前に扉が開いていた

●21世紀のビートルズ伝説

●藤圭子と宇多田ヒカルの歌う力の遺伝子について

●ヘイ・ジュード:ジョンとポールの別れの歌  ほか

 


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週末の懐メロ⑫:クレア/フェアーグランド・アトラクション

 

1988年にデビューして、たった1枚のアルバム

「The First Kiss of a Million Kisses(邦題:ファースト・キッス)を遺して消え去ったスコットランド出身のバンド、

フェアーグランド・アトラクション。

 

彼らの音楽は1930~50年代のスウィングジャズや

古いアメリカやイギリスのフォークソングのエッセンスを

たっぷり取り入れた、当時からすでに懐メロ。

それでありながら超斬新で、たまらない切れ味があって

僕はしびれまくっていた。

 

「パーフェクト」という曲が大ヒットしたが、

いちばん好きだったのは、この「クレア」。

歌い手のエディ・リーダーと、クラリネットおじさんとの

丁々発止のやり取りが楽しくてイカしてる。

 

ちなみに「フェアーグランド・アトラクション」とは

移動遊園地のこと。

 

僕が過ごした1980年代のロンドンでは、

中心にある繁華街のレスタースクエア

(東京で言えば新宿みたいなところ)に、

ある夜、ピカピカ光を放つ遊園地が忽然と現れ、

子どもよりも、むしろ大人が嬌声を上げて

アトラクションを楽しんでいた。

 

安っぽくロマンチックで、懐かしいぬくもりがあって、

ちょっと退廃的な香りも混じる

大人のメルヘン、ファンタジー。

フェアーグランド・アトラクションの音楽には

そんなテイストがある。

 

たった1枚のアルバムは永遠の遊園地となって

21世紀もピカピカ光り続けている。

 

1月11日(月) 発売決定

AmazonKindle電子書籍・おりべまことエッセイ集

「ポップミュージックをこよなく愛した

僕らの時代の妄想力」

 

ビートルズをきっかけにロックが劇的に進化し、ポップミュージックが世界を覆った時代.

僕たちのイマジネーションは 音楽からどれだけの影響を受け、どんな変態を遂げたのか。

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週末の懐メロ⑪:スキャットマンズワールド/スキャットマン・ジョン

 

ジャズピアニストだったジョン・ポール・ラーキンは、

スキャットをヒップホップにリズムに乗せるという

アイデアを実行した。

1995年。52歳のときだ。

彼は音楽の才能はあったが、ずっと吃音で悩み続けていた。

 

彼のスキャットはハンディキャップである吃音症を

逆に活かした独特の唱法だ。

そのユニークな「スキャット・ヒップホップ」は

世界中で大ブレイクし、ジョン・ポール・ラーキンは、

「スキャットマン」「スキャットおじさん」として

一躍大スターとなった。

日本でも90年代後半、数々のコマーシャルに出ていたので、

憶えている人も多いだろう。

 

コミックミュージシャンと思ってる人も多いだろうが、

彼のデビューアルバムは、

未来を生きる子どもたちへの温かい愛にあふれている。

 

オープニングナンバー

「スキャットマンズワールド」で彼はこう語る。

 

ぼくはスキャットランドから呼びかけている

もし君が自由になりたいなら

ぼくの声を聴くと良い

君の中にあるファンタジーを学べるようになるよ

 

みんながひどくショッキングなことばかり話すから

きみは心の声から耳を閉ざし続けている

 

でも兄弟たち、聞いてほしい

歩き続けるんだ

君もぼくも姉妹たちも

隠すものなんて何もないんだ

 

このアルバムでスキャットマン・ジョンは、

社会における理想郷 「スキャットランド」について歌っている。 

 

「遠くを見る必要はない。

 それは君の心の奥深く 

一番大きな夢と一番暖かな願いの間に見つかることだろう」

というのがジャケット裏に書かれたメッセージだ。

 

すい星のごとく現れて人気を博したスキャットマンは、

わずか数年活躍したのち、

ガンのため、21世紀を迎える前に、

これまたすい星のごとく、この世を去った。

 

2021年になった今、

スキャットマン・ジョンのメッセージが

ふたたび僕たちの心に届く。

 

 

おりべまこと年越し無料キャンペーン

第2クールは2日夕方から4日夕方まで。

面白まじめなネタ帳エッセイ集4タイトル。

お正月後半のおつまみに!

 

1月2日(土)17:00~1月4日(月)16:59

●どうして僕はロボットじゃないんだろう?

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社気を劇的に変えるAI・ロボット・インターネット・DXにまつわる考察を面白まじめな読み物に。ブログから33編を収録。

 

●神ってるナマケモノ ASIN: B08BJRT873

イマジネーションを掻き立てる、地球上の137万種類の動物たちについてのエピソードやあれこれ考えたこと。ブログから36編を収録。

 

●子ども時間の深呼吸 ASIN: B0881V8QW2

自分のなかにいる子どもにアクセスしてみれば、自分にとっての正解がわかる。〈少年時代の思い出〉×〈子育て体験〉×〈内なる子どもの物語〉。ブログから40編を収録。

 

●ロンドンのハムカツ ASIN: B086T349V1

※3日(日)17:00~4日(月)16:59のみ

「食」こそ文化のみなもと。その大鍋には経済も産業も、科学も宗教も、日々の生活も深遠な思想・哲学も、すべてがスープのように溶け込んでいる。ブログから33編を収録。

  

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週末の懐メロ⑩:翼をください/山本潤子(赤い鳥)

 

赤い鳥というフォークロックバンドが歌う

「翼をください」を聴いたのは、

中学生どころか、まだ小学生だったかも知れない。

 

その時はまさかこれほどの名曲として成長し、

世代を超えて歌い継がれるとは思ってもみなかった。

 

息子の合唱コンクールでも歌ったし、

卒業式で歌った人もいるだろう。

音楽の学校の教科書にも載っているらしい。

 

エヴァンゲリオンの映画では、

神話的クライマックスの映像とともに

ドラマチックな聖歌のように響いた。

 

フォークでもあり、ロックでもある。

ジャズにもなるし、クラシックにもなる。

変幻自在でありながら、どんなアレンジをしても、

誰が歌っても、楽曲の良さが損なわれない。

 

改めて原曲を聴いてみた。

いろんなアレンジを聴いたので、

もともとは優しいバラードだったはずと、

勝手に思い込んでいた。

 

ところが、意外とアグレッシブでアップテンポ。

途中で拍子が変わるなど、

1970年代初頭――50年前!の日本のポップス としては、

かなり斬新な楽曲だったと思う。

赤い鳥はプログレバンドだったのだ。

 

そして、今では聴き取りづらくなってしまったけど、

この歌詞とメロデイの奥には、

既存のシステムや価値観に抗うようなメッセージも

含まれていたはずだ。

 

最近は大合唱やオーケストラで神々しく

盛り上げるバージョンを聴く機会が多かったが、

このバージョンは、アトリエのようなアットホームな場所で

赤い鳥オリジナルメンバーの山本潤子さんが

ギター、ベース、ピアノのシンプルな編成で

しっとりと、けれども明るく突き抜けるように歌い上げる。

 

半世紀の年月を経た歌声と旋律は、

原曲よりもさらに原点に回帰したかのような深い響きがあり、

この名曲の神髄に触れたような気持ちになる。

 

今年の年越しはこの曲で決まりだなぁ。

 

 

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週末の懐メロ⑨:ハッピークリスマス」/ジョン・レノン&ヨーコ・オノ

 

1980年代に入ってから、いろんなミュージシャンが

クリスマスソングを作るようになったが、

70年代にはまだまだ少なかったような気がする。

 

中学生の時に聴いてから、

10年くらいの間、「戦争は終わった」と歌うこの曲は

子どもの時から聴いているクリスマスの歌や

戦前に作られたクラシックソングとは一線を画す

「僕らの時代のクリスマスソング」だった。

 

ジョン・レノン没後40年。

あの頃より少しは世界は良くなったのだろうか?

 

と、他人事のように呟くのでなく、

僕たちひとりひとりの心がけ次第なのだろう。

 

 

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週末の懐メロ⑧:ボール・アンド・チェーン/ジャニス・ジョプリン

 

中学生の一時期、ジャニス・ジョプリンは憧れの女性だった。

 

「サマータイム」も「ムーヴオーバー」も大好きだが、

1曲だけ選ぶとしたら、やっぱり世界中に衝撃を与え、

遥か未来の世代にまでその名を知らしめた

1967年、モンタレーポップフェスティバルでの

「ボール・アンド・チェーン」のパフォーマンス。

いま聴いても圧巻の一言だ。

 

インターネットもホームビデオもない時代、

僕はこの映像をNHKの「ヤングミュージックショー」で観た。

その時、14の小僧にとって、

ジョプリンは世界で最高にかっこいい女だった。

そして僕は彼女がすごく美人で可愛いと思っていた。

 

ジョプリンの歌に出逢ったのは、ラジオの深夜放送だ。

いまや伝説の「糸居五郎のオールナイトニッポン」。

糸居五郎さんのディスクジョッキーを聴いたのは、

それが最初で最後だったが、強烈に記憶に残っている。

 

いま思えば、糸居五郎さんは、僕の出逢った

まともに英語をしゃべる初めての日本人だった。

そこでかかったのが、

ジョプリンの「サマータイム」だったのだ。

 

DJの紹介に続いてトランペットのメロウなイントロが流れ、

最初の1フレーズが耳に入ったときの衝撃は忘れられない。

ジャニス・ジョプリン、「サマータイム」。

しかし僕が彼女のことを知ったとき、

彼女はもうこの世の人ではなかった。

 

1970年、クスリのやりすぎで、

27歳の若さでジョプリンは死んでしまった。

現代の感覚で言えば、不道徳で愚かな死にざまだ。

 

けれども「30以上は信じるな」と若い連中が叫び、

カウンターカルチャーをかまして熱くなっていた時代のこと。

ロックに魂を捧げたかのような歌いっぷりを見せた、

その生きざま・死にざまは、一つの理想であり、

彼女の存在は神格化され、神聖な物語のように語り継がれた。

 

それは半世紀が過ぎた今でも生き続けている。

ジョプリンの人気の高さは、

僕らが若いころからほとんど変わっていないのではないか。

今の若い連中の間でも伝説化されているらしい。

 

彼女を超える女性ロックシンガーは、もう現れないだろう。

テクニック的にうまい歌手はいくらでもいるが、

それを聴くオーディエンス、リスナーの

耳とマインドがもうすっかり変わってしまった。

「音楽で世界を変えられる」と信じていた若者が大勢いたから、

ジョプリンはあれだけの歌唱ができた。

類まれな音楽の才能と、

それを求めた時代精神との幸福な結婚がそこにあった。

 

僕は彼女の歌はもちろん好きで、

初めての出逢いから折に触れて聴き続けているが、

それ以上に顔が好きである。

 

歌っているとき、若い女から年季の入ったおばさん、

ばあさんまで

人生をタイムトラベルするかのような表情の変化。

 

それと対照的に、音楽雑誌のグラビア写真や、

レコードに付録としてついていたフォットブックの中では、

当時のヒッピー御用達のトンボメガネをかけて、

きょとんとした顔や、ちょっとはにかんだ表情で映っているのが、

とても印象的でかわいいなと思った。

 

1960年代の思想やら文化やらのベールに覆われて、

自由や社会運動や女性解放の象徴みたいに

扱われることもあったが、

実際の彼女は、そうした思想や政治的こととは無関係の、

ただ純粋に歌うのが大好きな女の子だったのではないかと思う。

 

YouTubeにアップされた、このモンタレーポップの

「ボール・アンド・チェーン」の最後を見て、

その思いを強くした。

 

歌い終わり、熱狂的な観客の拍手を浴びて

小躍りしながら舞台袖に引っ込んでいく彼女の後姿は、

まるで6歳児のようだ。

「キャーッ、じょうずに歌えちゃった~!」

なんてセリフが聞こえてきそうな、

かわいくてユーモラスなジャニス・ジョプリンだ。

 

「いたちのいのち」

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週末の懐メロ⑦:青春の影/財津和夫(チューリップ)

 

1974年リリースのチューリップ版

「ザ・ロング・アンド・ワインディング・ロード」。

リーダーだった財津さんのテーマ曲にもなっている。

 

何かとビートルズのパクリみたいに言われることが

多かったけど、

ビートルズへのリスペクトから愛される歌をつくり、

今に至るまで、人生の大半にわたって歌い継いできたことは

やっぱり素晴らしいことだと思う。

 

昔のチューリップの演奏もいいけど、この曲に関しては

白髪になり、老眼鏡(だよね、きっと)をかけて歌う

財津さんの姿がじつに味わい深く、歌詞の説得力も増している。

間奏のギターソロが妙に70年代っぽいところもご愛嬌。

しみじみする冬。熟成の境地。

 

「いたちのいのち」ASIN: B08P8WSRVB

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●あらすじ

カナコは10歳。小学4年生。

一人娘の子育てに悩まされながら、生活を支えるのに忙しい母親のマヨと二人暮らしをしている。

しかしもう一人、というか一匹、いっしょに暮らす同居者がいる。その名は「イタチ」。ペットのフェレットだ。学校でも家でも口をきかないカナコにとって、イタチは唯一、心を開いて話ができる親友であり家族だ。

 

国語の授業で、その大好きなイタチのことを作文に書いたら、

担任のあかり先生が目にとめ、

「すごくいいので、コンクールに出しましょう」と言ってきた。

そんなつもりじゃなかったのにと、内気なカナコは困惑し、

先生に激しく抵抗する。

 

しかし、母と先生と関わる中で、カナコはだんだん変わり始める。それをイタチは察知していた。彼女が3歳の時からずっと一緒に暮らしてきたイタチは、地球に生まれて間もないころから、自分がカナコに必要な存在だとわかっていた。

 

彼は天国にいた時の記憶を持っている。

天使だったイタチは、もともと人間として地球に生まれることを望んでいたのだが、生き物としての命を与え、地球に送る〈地球いきもの派遣センター〉の手続き上のミスによって

人間になるのを諦めた。

その代わりにフェレットとして

ワンサイクルの命をまっとうすることになったのだ。

 

子どもからちょっとおとなに変わっていくカナコと、

そのそばで天使の目を持ったまま生きるフェレットのイタチ。

それぞれの視点から代わる代わる、日常生活とその中で起こる事件の数々、そして、ふたりの別れまでのストーリーを描く。

 

なお、表紙イラストは

漫画家・イラストレーターの麻乃真純さんが制作。

「パートナー 進め!ソラ」「ほっと・ペットクリニック」「あしたはハッピードッグ」「母のバッカス」「いぬの先生」など、動物ものの作品を多数発表している。

 


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週末の懐メロ⑥:スワロウテイル~あいのうた~/¥タウンバンド

 

1996年は息子が生まれた年だった。

それなのにこの歌は、

中学生か高校生の時に出逢ったような錯覚にとらわれる。

それくらいの威力を持って肌に食い込んで、

消えない痣をつくった。

 

今でも耳にすると、架空の街「¥TOWN(エンタウン)」の

荒廃した風景と人々の群像が浮かび上がり、胸が疼き出す。

そして繰り返し聴かずにいられなくなる。

 

¥TOWN(エンタウン)は

バブル経済崩壊後の日本の心象風景だった。

岩井俊二監督はそれを終戦後の焼け野原・闇市のような

イメージを重ね合わせて描き出した。

 

経済戦争のThe DAY After。

僕たちはいまだその後遺症に悩んでいる。

 

その映画「スワロウテイル」を

僕は仕事帰りに渋谷の映画館で観た。

子どもが生まれたばかりだったので、

早く家に帰ってカミさんを手伝わんと・・・と、

ちょっと罪悪感を抱きながら。

 

およそ四半世紀が過ぎたいま、

この歌が頭の中で鮮明によみがえってきたのは、

コロナ禍に巻き込まれて世界が変わっていくのを

目の当たりにしているからだろうか。

 

名曲はそれまでの価値観が崩壊した荒野から生まれる。

 

 

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動物ストーリー「いたちのいのち」

11月30日(月)、Amazon Kindleより発売予定

 

子どもからちょっとおとなに変わっていく小学4年生のカナコ。そして、天使の目を持ったまま生きるフェレット「イタチ」。

飼い主とペット、それぞれの視点から代わる代わる、日常生活とその中で起こる事件の数々、そして別れを描く長編小説。

「ほっとペット・クリニック」「いぬの先生」などの作品でおなじみ、日本の動物マンガの第一人者、麻乃真純さんが表紙イラストを制作。お楽しみに。

 


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週末の懐メロ⑤:ソー・ロンリー/ザ・ポリス

 

ロックってとにかくカッコいい!

いつ聴いてもそう思わせてくれるバンドがポリス。

最初は70年代後半に起こったパンクムーブメントに乗って

現れた(ように見えた)が、

その曲作りと演奏力は

他のパンクバンドをはるかにしのぐ、

まったく別次元のものだった。

 

ロックにレゲエのエッセンスを持ち込んで

自分たちの音楽を創り上げることに成功したのはポリスだけだ。

 

ギター、ベース、ドラムの最小ユニットから繰り出される

「白いレゲエ」は圧倒的な威力で世界を席巻した。

その代表曲「So Lonely」の1979年の圧巻パフォーマンス。

 

ビッグになってからの貫禄ある演奏もいいが、

この曲に限っては、デビューしたての頃の

“若気の至り”が炸裂する、

ノリノリ、やっちゃえ的な演奏が好きだ。

いやー、やっぱ若いって素晴らしい!

 

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週末の懐メロ:嘆きの天使/ケイト・ブッシュ

ケイト・ブッシュとほぼ同世代であり、

彼女の歌をリアルタイムで聴き続けられてきたことは、

自分の幸運の一つのように感じる。

 

その出逢いが、デビューアルバムのトップナンバー

「嘆きの天使(Mooving)」だった。

クジラの歌声と神秘的な海鳴りの音から始まるこの曲は、

のちの彼女のとてつもなく

綿密で深遠な音楽世界のイントロダクションでもあった。

 

彼女に“Mooving”を教えた

英国のダンサー、リンゼイ・ケンプのことを歌った歌。

ケイト・ブッシュの歌世界は、

ケンプのイマジネーションあふれる創造的舞台ともリンクしていた。

 

それにしてもよくこんな映像が残っていた。

1978年の第7回東京音楽祭。

彼女は銀賞を受賞した。

 

東京音楽祭がどんな音楽祭だったのか調べてみたら、

TBS系の団体が1972~92年まで20年間開催された国際音楽祭だったらしい。

どの程度、権威があったのかわからないが、

受賞者のリストを見ると、ナタリー・コール、ライオネル・リッチー、

オリビア・ニュートン・ジョンなどの名も見られるので、

当時はそれなりのものだったのだろう。

 

けど、僕の中ではケイト・ブッシュがこの時、

ただ一度きり日本に来た、ということで記憶にとどまっている。

ついでに言うと、この時に撮影したらしい

「ローリン・ザ・ボール」のセイコーのコマーシャルも憶えている。

 

他のライブ映像やミュージックビデオではお目にかからない

いかにもアイドルと言った感じのピンクのフリフリを着ているのも

日本人の嗜好に合わせてのことだろうか?

 

それにしても曲名が解せない。

どうして「Mooving」が「嘆きの天使」になるのか?

これは1930年のマリーネ・ディートリッヒ主演の映画と同じタイトルだが、

ケイト・ブッシュとディートリッヒはどうも結びつかない。

 

ただ、この曲はかの「嵐が丘(Wuthring Heights)」と

カップリングしてシングル化された。

「嵐が丘/嘆きの天使」。

アイドルの歌でありながら、文学的な香り漂う邦題マジックは、

日本でこの天才少女を売り出すのに一役買ったのかもしれない。

 

その天才ぶりはこの後40年以上ずっと続いている。

始まりはアイドルだったが、音楽家・表現者として超一流だった。

ミステリアスでエキセントリックでプログレッシブ。

かと思えば、叙情的でユーモラスでドラマチック。

1曲1曲に音楽の神が宿っているかのような充実度・完成度。

生きててよかったと思わせる音楽。

ケイト・ブッシュを聴き続けてきて本当に良かったと思う。

 

 

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週末の懐メロ:ドント・レット・ミー・ダウン/ザ・ビートルズ

 

「浄心ハイツにビートルズが来るんだって。行こか?」

と友だちに誘われたのは、中2か中3、1973年か74年のことだ。

 

浄心ハイツとは、名古屋市西区の浄心町にあった映画館である。

もちろん、そんなところにビートルズが来るわきゃない。

ビートルズの映画が来たのである。

 

45年も昔のことなので栄や名駅などの繁華街に出なくても、

映画が娯楽の王様だった時代の名残で、

うちの近くにもけっこう映画館がたくさんあった。

 

小学生の時は、浄心ハイツで、それぞれの休みになるたびに

「東宝チャンピオンまつり」

(ゴジラなどの怪獣映画にアニメなどを付け足した5~6本立て)を見ていた。

 

ちなみに黒川日劇で「ガメラ」や「大魔神」や「妖怪百物語」などの大映映画を、

志賀東映で「東映まんがまつり」を見ていた。

どこも現代の感覚では信じられないほどボロくて汚なかったけど、

あったかくて楽しいところだった。

 

その浄心ハイツでビートルズ映画の3本立て

「ビートルズがやってくる ヤァ!ヤァ!ヤァ!」

「ヘルプ!」「レット・イット・ビー」をやったのだ。

 

時はビートルズが解散して3~4年経った頃だ。

僕はハードロックやプログレッシブロックに

のめり込んでいたので、

当時、ビートルズにはさして関心がなかった。

先輩たちにロックスピリット(?)を叩き込まれていたせいもあって、

「ビートルズなんて歌謡曲とおんなじ」とまで思っていた。

 

僕だけではなくて、1970年代は次々と新しい音楽が生まれていた時代だったので、

「ビートルズなんてもう時代遅れ」という風潮もあった。

 

けれども当時の中学生にとってビートルズ映画を見るというのは、

やはり一つのビッグイベントだった。

 

なんといってもインターネットはおろか、

ホームビデオさえない時代なので、

ミュージシャンの映像を見るということは、

めちゃくちゃ貴重で、しかもカッコいいことだったのだ。

 

というわけで友だち3人と見た3本立て。

他の2本はアイドル時代のもので、

「なんじゃ、このガキっぽい映画は?」という感想だったが、

ドキュメンタリーの「レット・イット・ビー」は一味も二味も違った。

なんというか、大人の音楽家の世界と言う感じがしてカッコよかった。

 

リアルタイムでビートルズを聴いていたファンは、

スタジオに当然のように4人といるオノ・ヨーコを

毛嫌いしていたようだが、

僕はそれまで全然知らなかったので、

「この女の人は一体何なんだろう?」と不思議でしょうがなかった。

 

なので映画「レット・イット・ビー」には4人と同時に

長い黒髪のオノ・ヨーコの神秘的なイメージが鮮烈に貼りついている。

 

この頃のビートルズはすでに崩壊状態で、

メンバー間の感情もあまりよくなったそうだ。

 

しかし、セッション音源を聴くと、

いざ楽器を持って音を奏でだすと彼らの心が一つになり、

まるでモスラが糸を吐き出すように音楽が紡ぎ出されてくる。

その様はさすがとしか言いようがない。

 

割とだらだらとスタジオ内のドキュメントが続いた後のクライマックスは、

アップルレコードビル屋上でのゲリラ演奏である。

この通称「ルーフトップライブ」は彼らのラストライブとなった。

 

その演奏曲の中でも一番好きだったのが、

「ドント・レット・ミー・ダウン」だ。

 

ジョン・レノンの書いた楽曲の中で5本の指に入る。

ノリもメロディも演奏スタイルもすごくユニークで、

いまだにこれに類する曲を聴いたことがない。

最高にカッコいい、まさしくレノン独自の世界。

 

ジョン・レノンは短い人生の間に、

ビートルズのメンバーやロックミュージシャンとしてだけでなく、

思想家、哲学者、社会運動家、家庭人、父親など、

実にさまざまな人間的な顔を見せた人だ。

 

それゆえ、伝説になっているのだが、

僕の中ではこのルーフトップライブで

「ドント・レット・ミー・ダウン」を歌う姿が

レノンの基本イメージになっている。

 

そういえば今年はレノンの没後40年だ。

 

 

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週末の懐メロ:愛にさよならを/カーペンターズ

 

カーペンターズを聴くと、中学生の頃、

好きだった女の子を思い出す。

彼女とは結構イイ線いってて、

よく話をしていたのだが、

音楽の話になって

「わたし、カーペンターズが好きなんだけど、

フクシマ君はどう?」

と言われたので、

「おれはロックだから、カーペンターズなんて聴かないよ。

レッド・ツェッペリンとか、エマーソン・レイク・アンド・パーマーとか・・・」

「何それ?」

「うわー、わかってねえなぁ」とかなんとか。

 

なんだかそれから気まずくなって話をしなくなった。

後悔することしきりだった。

くだらん自己主張なんぞせずに

「うん、カーペンターズも好きだけど、

よく聴くのはロックでさ、レッドツェッペリンとか知らないかな・・・」

とかなんとか言っていれば展開は違っていた。

今でいう「中2病」にかかっていたんだろう。

 

まさしく中2の1973~4年、カーペンターズは人気絶頂だった。

僕たちの世代の洋楽入門編という感じだった。

ラジオ音楽番組でも、洋楽ヒットチャートの1位は

いつもカーペンターズの曲が占めていた。

 

しかしその一方で、ロックを聴く男子たちは

「英語の歌謡曲」「女・子どもの聴くもの」

と言ってバカにしていた。

 

 

事情は中学生の世界だけでなく、

アメリカの音楽評論家なども

「甘ったるいお菓子のようなポップス」と酷評していた。

 

リチャードとカレンの、

大人に褒められる優等生的な若者ぶりも

不良っぽいロックンローラーが持て囃される時代では

嫌われる要因だったのだろう。

 

「いい子ちゃんしやがって」

みたいな感じで。

 

そんな中、当時読んでいた日本の音楽雑誌の中で

とある評論家(日本人)が

「〈イエスタディ・ワンス・モア〉1曲を書いただけでも、

もっとリチャード・カーペンターが評価されるべき」

と書いているのを見て、ちょっと心を動かされた。

(今思えば馬鹿げているが)

じつは僕は隠れカーペンターズファンだったのだ。

 

あれから50年近くの歳月がたち、

かの評論家氏が正しかったことを改めて実感せずにはいられない。

カーペンターズの音楽は素晴らしい。

 

僕だけでなく、当時のロック中学生も

じつはカーペンターズの音楽の質の高さを認めていたのだ。

恥ずかしくて言えなかったけど。(ほんとに馬鹿げている)

 

しかし、あれだけのヒットメーカーでありながら、

リチャードもカレンも世間の悪口を気にしていたようで、

なんとかロックのテイストを盛り込んだ

オリジナル曲を作ろうとしていた。

 

そして生まれたのが、

間奏とエンディングの派手なギターソロが異彩を放つ

「愛にさよならを(Goodbye to Love)」。

 

当人のギタリスト氏は、

「カーペンターズの曲でこんなにやっちゃっていいの?」と

内心ビビってたそうだが、

リチャードは「いいんだ、もっとやってくれ」と鼓舞したらしい。

 

「わたしはひとりで生きていく」と

凛として歌い上げるカレンの歌唱と

ドラマチックなエンディングのコーラス、

そして、めっちゃカッコいいギターソロで、

名曲揃いのカーペンターズのレパートリーの中でも

燦然と輝く1曲になった。

その輝きはもちろん半世紀を経た今でもまったく色あせない。

 

1974年の日本公演。

絶頂期のカーペンターズは、

2週間ほどの間に全国銃弾ツアーを行った。

 

そして、ここから10年も経たないうちに

カレン・カーペンターは33歳の若さでこの世を去った。

彼女の死因「拒食症」という病気があることを知ったのも、

その時が初めてだった。

 

中学の同級生だった彼女は

まだ元気でいて、カーペンターズを聴いているのかなぁ。

 

 

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週末の懐メロ:5年間/デビッド・ボウイ

 

1972年。若きボウイの雄姿。

曲は代表作「ジギースターダスト」のオープニングナンバー。

地球滅亡5年前の歌だ。

 

あと5年で地球が滅ぶ、世界が終わるという時に

ロックスター「ジギースターダスト」が空から舞い降りる。

この頃、デビッド・ボウイはジギー・スターダストだった。

 

そんなSFな物語が当時は説得力を持って、

広く若者たちに受け入れられた。

みんな、どこかでこんな世界は終わると思っていた。

けれどもそれは押し寄せる機械文明や管理社会に

抗いたいという精神の表れだったのだろう。

 

いま、誰も「ジギースターダスト」の物語は受け入れない。

もう抗えないところまで来てしまったと諦めた。

それは賢明なことであり、憂うべきことでもあると思う。

 

 

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